遊戯王VRAINS 風翼のバディ   作:乾燥海藻類

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第04話 ロスト事件④

誘拐されてから半年くらいが経った。

大きく欠伸をすると、布団とも呼べないようなボロ布をたたむ。空調は整備されているらしく、特に暑くも寒くもない。そういった意味では快適ではある。

軽いストレッチを行い、朝のデュエルに備える。しっかりと目を覚ましておかないと、単純なプレイミスを犯してしまう。負けてしまえば朝食は錠剤だったり、カロリーブロックだったりが出てくるのだ。テンションだだ下がりである。

そうして意識をしっかりと覚醒させて、来るべき時に備える。

いつものように5分前にアラームが鳴り、ゴーグル型のVR機を装着する。

「よう、昨日はよく眠れたかい、翼」

「まあまあだね。今日も勝たせてもらうぜ、ウィンディ」

「ハッハー、そうはいかないな。今日のデッキは自信ありだ。僕が勝たせてもらうさ」

軽快な口調で黒い人影が話しかけてくる。その動きも酷く人間臭い。

一人称も私から僕に変わり、堅苦しい話し方も気さくになった。そして自分の名前をウィンディだと名乗った。

あまりの豹変ぶりにマニュアル操作に切り替えたかと疑ったが、そもそも最初からAIだったかどうかも疑わしいし、真偽を確かめる(すべ)もない。

まあ、AIだろうと人間だろうと、やるべきことは変わらない。

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「僕から行かせてもらうぜ。まずは《SR赤目のダイス》を召喚。そして《SRタケトンボーグ》を特殊召喚だ。このカードは自分フィールドに風属性モンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できるのさ。そして効果発動。このカードをリリースして、デッキから《SR-電々大公》を特殊召喚。アローヘッド確認。召喚条件は風属性モンスター2体。赤目のダイスと電々大公の2体をリンクマーカーにセット。《HSR-GOMガン》をリンク召喚!」

 

HSR(ハイスピードロイド)GOM(ジーオーエム)ガン》

リンク2/風属性/機械族/攻1000

【リンクマーカー:左下/右下】

 

「GOMガンの効果発動。EXデッキから《HSR-魔剣ダーマ》を除外し、デッキから《SR三つ目のダイス》と《SRカールターボ》を相手に見せる。そして相手はその中からランダムに1枚選び、その1枚を自分の手札に加え、残りを墓地へ送る。さあ、翼。右か左か、どっちを選ぶ?」

 

「じゃあ俺から見て右のカードを選ぶぜ」

 

「OK。ならこいつを手札に加え、残りは墓地へ送る」

 

墓地へ送られたのは《SR-三つ目のダイス》。マズい方が落ちたな。

 

「GOMガンのもうひとつの効果も発動するぜ。手札から風属性モンスター1体を召喚する。俺は《SR-ダブルヨーヨー》を召喚。そして召喚時効果を発動だ。墓地の《SR三つ目のダイス》を特殊召喚。そして、この2体でシンクロだ。レベル4のダブルヨーヨーにレベル3の赤目のダイスをチューニング。飛翔しなッ! 《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》! まだ終わりじゃねぇぜ。墓地の電々大公の効果発動だ。このカードを除外して、墓地の赤目のダイスを特殊召喚。レベル7のクリアウィング・シンクロ・ドラゴンにレベル1の赤目のダイスをチューニング。更なる輝きを放てッ! 《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》!」

 

《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》

星8/風属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

 

「オマケだ。《死者蘇生》を発動して、墓地の《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》を特殊召喚。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

ウィンディ LP4000 手札1 モンスター3 伏せ1

 

□□□□■

クウ□□□

 G □

 

G:HSR-GOMガン 攻撃力1000

ク:クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン 攻撃力3000

ウ:クリアウィング・シンクロ・ドラゴン 攻撃力2500

■:伏せカード

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー」

 

雄々しくも美しい白銀の竜が2体。どちらも強力な効果を持っているが……。

 

「モンスター効果だけなんだよな。《ブラック・ホール》を発動。フィールドのモンスターを全て破壊する」

 

「チッ、雑に崩しに来やがって。そのまま受ける」

 

「そしてすかさず強奪するぜ。《死者蘇生》を発動。対象はもちろん《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》だ!」

 

「汚ねぇッ! それが人間のやることかよぉッ! ……なぁんてな。リバースカード《リビングデッドの呼び声》を発動。対象はもちろん《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》だぜ!」

 

「ならば速攻魔法《墓穴の指名者》を発動。《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》を除外する」

 

対象のモンスターが除外されたことで、互いの発動したカードは対象を失い不発となる。

 

「思惑は外れたが、フィールドはがら空きになったな。《ゴールド・ガジェット》を召喚。そして効果発動。手札から――あれ?」

 

いいところだったのに、いきなり視界がブラックアウトした。そして背後から聞こえる轟音。

ゴーグルを外して振り返ると、半年間で一度も開くことがなかった扉から光が漏れだしていた。

 

要救助者(252)を確認。これより保護する。坊や、よく頑張ったね。もう大丈夫だよ」

 

オレンジの服に身を包んだ偉丈夫は、優しい笑顔でそう言った。

 

 

 




ロスト事件についてですが、けっこう謎なんですよね。
AIとデュエルしていたのか、それとも被験者同士のデュエルをAIが観察していたのか。
デッキは自由に組めたのか、それとも支給されていたのか。
一応本作の独自設定ということにします。
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