遊戯王VRAINS 風翼のバディ   作:乾燥海藻類

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第05話 マンジュシカの拷問部屋

警察に保護された俺は、実家へと送られる、ことはなかった。

俺がいなくなったことで、両親は警察の調査を受けた。その結果、虐待の疑いを持たれたが、当の本人がいないことで保留になっていた。だが、俺が証言したことで真実が明らかになり、俺は保護施設に送られることになった。親戚はいるみたいだったが、会ったこともないし、あの親の親類縁者など信用できん。

俺の要求は無事通り、保護施設で生活することになる。

そして10年の月日が流れ、俺は高校生となった。

平穏が戻っても、基本人格が出てくることはなかった。何度呼び掛けても応答はない。とはいえ、そばにいるという感覚はあるので、出てきたくなったら出てくるだろう。

「おーい、工藤。もう帰るのか?」

「島か。まあ、部活もやってないしな」

声をかけてきたのは同じクラスの島直樹。意外とコミュ力の高い男で友達は多いらしい。まあ、相手が友達と思っているかはともかく。

「それだよ!」

「どれだ?」

「部活だよ、ぶ・か・つ。暇なら付き合えよ」

そう言って島は俺の腕を掴むと、大股で歩き出した。

「強引だな。部活の勧誘か?」

「察しが良いじゃねぇか。聞いたぜ、おまえもデュエルするらしいな」

「まあ、それなりにな。……デュエル部?」

そのドアには間違いなく「DUEL CLUB」と記されていた。

「失礼しま~す。部長、入部希望者を連れてきました」

いつの間にか入部希望者にされてしまった。

「えーっと、一年の工藤翼です」

「入部希望者は大歓迎だよ。藤木くんもあれから来てくれないし。さ、入って」

部屋にいる部員は島を含めて6人か。これで全員とは限らないが、女の子も一人いるな。

「カード収納式のデュエルディスク。随分と旧型を使ってるのね」

「あまり裕福ではなくてね」

「あ……ごめんなさい。そういう意味で言ったわけじゃ……」

「いや、気にしてないさ」

俺がそういうと、栗色の髪の女の子は少しだけ相好を崩した。この子、同じクラスだったよな。名前は確か財前。

「そんなことよりデュエルしようぜ。新人の洗礼だ、おとなしく受けろ」

「やれやれ、工藤くん。申し訳ないが、島くんのわがままに付き合ってやってくれないか?」

「構いませんよ。じゃあやるか、島」

「おう、胸を貸してやるぜ。先攻でも後攻でも、好きな方を選んでいいぞ」

「そうか。じゃあ先攻をもらおう」

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「俺のターン、スタンバイからメインへ。俺は《トリックスター・キャンディナ》を召喚する」

 

「……え?」

 

「おいおい、おまえブルーエンジェルのファンだったのかよ!」

 

「ふっ、だが俺のデッキはブルーエンジェルほど優しくはないぞ。キャンディナの召喚時効果を発動。デッキから「トリックスター」カード1枚を手札に加える。そしてその効果にチェーンして、手札の《トリックスター・マンジュシカ》の効果を発動。キャンディナを手札に戻し、このカードを特殊召喚する。さらにチェーンして《サモンチェーン》を発動。このカードは同一チェーン上で複数回同名カードの効果が発動していない場合、そのチェーン3以降に発動できる。このターン俺は通常召喚を3回まで行う事ができる」

 

「召喚権を増やすカードかぁ。そういえばキャンディナってカード名ターン1じゃないんだよな」

 

不穏な空気を感じ取ったのか、島の表情が曇っていく。逆順処理が始まり、サモンチェーンの効果が確定、フィールドのキャンディナと手札のマンジュシカが交代し、キャンディナの効果で2枚目のマンジュシカが手札に加わった。

 

「再度《トリックスター・キャンディナ》を召喚して効果発動。3枚目のマンジュシカを手札に加える。フィールドのキャンディナを手札に戻し、手札のマンジュシカを特殊召喚。三度(みたび)キャンディナを召喚し効果発動。《トリックスター・リインカーネイション》を手札に加える。キャンディナを手札に戻し、手札のマンジュシカを特殊召喚」

 

フィールドに3体のマンジュシカが並ぶ。これぞ最強の布陣、マンジュシカ・ジェットストリームアタック。

 

「続けて永続魔法《悪夢の拷問部屋》を発動」

 

「ご、拷問部屋? 確かにブルーエンジェルはそんなカード使ってなかったな」

 

アイドルが使うようなカード名じゃないしな。ファンのイメージは守らないといけないだろうし。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

工藤翼 LP4000 手札2 モンスター3 伏せ1

 

□□■□悪

マ□マ□マ

 □ □

 

マ:トリックスター・マンジュシカ 攻撃力1600

マ:トリックスター・マンジュシカ 攻撃力1600

マ:トリックスター・マンジュシカ 攻撃力1600

悪:悪夢の拷問部屋

■:伏せカード

 

――――――――――――

 

「すげー嫌な予感がするけど、ドロー」

 

「相手がドローしたこの瞬間、マンジュシカの効果が発動する。相手の手札にカードが加わる度に、加えたカードの数×200ポイントのダメージを与える。マンジュシカは3体いるので3回分だ。そして悪夢の拷問部屋の効果は、ダメージを与える度に発動する」

 

「つ、つまり、どういうことだ?」

 

「つまりマンジュシカ(200)拷問部屋(300)の3セットで、計1500のダメージだ」

 

島直樹 LP4000 → 2500

 

「ぐっ、だがこの程度なら……あっ、伏せカード……」

 

「《トリックスター・リンカーネイション》を発動。相手の手札を全て除外し、その枚数分だけ相手はデッキからドローする」

 

「お、俺の手札は6枚……ぐあああああぁぁッ!!」

 

 

 

島直樹 LP2500 → 0

 

 

 

悪夢の拷問部屋は必要なかったな。

でもまあ、俺のデッキはブルーエンジェルほど優しくはないぞ(キリッ)と言った手前、違いは見せつけねばならんだろう。

その後、何故か妙に財前さんに絡まれた。

 

 

 

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