この都市がおかしいのはどう考えても転生者が悪い! 作:あまねぎ
みなさん感想の返信遅れて申し訳ありませんでした。
第9話の都市戦争ですが、ニャル子とアインハルトとの会話部分を書き変えました。
ぶっちゃけ、重要でもないシーンなので読み返すの面倒だったら読まなくても大丈夫です。
八相――もとい外道どもの計画を受けて数日後、原作介入候補となる優秀な武芸者たちに〝ぼくのかんがえたさいきょう転生者をツェルニに送ろう計画〟が知らされた。
それを聞いた転生者たちの反応は様々だった。原作介入するべく、より己を鍛えるもの、自身の研究に熱を上げるもの、原作に興味がないもの。
とはいえ、この計画を起因として若手武芸者たちの武芸が盛んになったのはよいことなのでしょう。
私も〝ぼくのかんがえたさいきょう転生者をツェルニに送ろう計画〟によって地獄すら生温い特訓が始まりました。――これに関しては後程語ります。
そして束の間の休日、私、ニャル子さん、ルリさんのいつもの三人で遊ぶことになり、集合場所のファミレスに入ったのですが……。
「うぼぁ………………………………………………………………………………………」
「かゆ……うま…………………………………………………………………………………」
「あびゃ~………………………………………………………………………………………」
私含め、全員テーブルに顔を突っ伏していた。FXで全額溶かしたような顔で口からエクトプラズマ的なものが出ている当たりかなり危ない。
「お、お客様、ご注文の品をお持ちいたしました」
注文の品を持ってきたウェイトレスの声が震える。死体のように突っ伏している人間が三人もいるのだから無理もない。
私はテーブルに置いてくださいと眼だけ動かしてジェスチャーする。
その動きにウェイトレスは睨みつけられたと勘違いしたのか、ひぅっとビクつく。
一瞬、料理を落としそうになりながらも、震えた手つきで注文した料理と飲み物をきちんと置いた。
「ご、ごゆっくりどうぞ!」
勢いよくお辞儀してウェイトレスは脱兎のごとく逃げ出す。
その間、私たちは動かない。ひたすら口からエクトプラズマを吐き出している。
数分後、飲み物の氷が半分ほど溶け出した所で私はふらふらになりながらも顔を起こす。そしてゆっくりとストローを咥えて青く発光するコーラ――ヌカコーラクアンタム(放射性物質なし)を飲む。味、炭酸、カフェイン、カロリー、全てが二倍というヌカコーラクアンタムの強烈な味によって一気に目が覚める。
「……二人とも大丈夫ですか?」
私の言葉に二人ともゾンビのようにギギギと関節音を鳴らしながら起き上る。
「……大丈夫じゃない」
「……大丈夫じゃありません」
そう言っていますが、二人とも何かを食べられる程度には回復したのか、無言で料理を食べる。
私もそれ以上会話する余裕がないので無言でエビのトマトクリームパスタをフォークで巻いて食べる。少しでも体力回復するために内力系活剄で内臓を強化して食べたものを高速で消化、吸収を繰り返す。
私たちは一言もしゃべらず、ひたすら料理を口に入れる。ひたすらに。
結局、話をできるようになったのは料理を全て食べ終えた後だった。
※
「で、私が言うのもなんですが、二人とも何があったんですか?」
食後のティータイム。私含め、三人とも会話できる状態になったので、ニャル子さんとルリさんが何故FXで全額溶かしたような状態だったのか訊いてみる。
私の質問にルリさんが疲れ気味に答える。
「……ツェルニ行きが決まって私もある人と特別訓練が始まったんですよ」
「ルリさんに教えられる人なんているんですか?」
ルリさんはコルベニク一の念威操者で念威総長だけあってその実力も突出している。それこそ、今すぐ念威を使い、ハッキングしてコルベニク経済を文字通りひっくり返すくらい簡単にできる。
そんなルリさんが自主訓練じゃなくて誰かと特別訓練?
「アムロさんとマンツーマンで実戦訓練されました」
「「ああ~」」
アムロさんですか、納得です。
この都市の武芸者に最高の念威操者と聞かれれば、誰もがホシノ・ルリを上げるだろう。だが、最強の念威操者と聞かれれば違う。武芸者たちはこう答えます。
最強の念威操者はアムロ・レイと。
―――アムロ・レイ。
身体能力が一般人である念威操者でありながら、念威で集積した情報から相手の動きを予測する超能力的直感。その情報を高速で処理することで武芸者を超える反応速度を持つ頭脳。その二つを武器に念威操者なのにそこら辺の一般武芸者よりも強いという、ある意味、師匠よりも人外な人物である。
当然だが、武芸者をサポートする念威操者に戦闘能力なんてものはほとんど必要ない。精々、念威端子を爆発させる念威爆雷による最低限の自衛能力があればいい。
決して、念威端子をファンネルに魔改造して
ルリさんは再び、顔をテーブルに突っ伏す。
「おかげでアムロさん曰く、ニュータイプLv6、切り払いLv3になりました……。今じゃ
ふふふふ。私がガンダムになれる日は近いですよ。……私はガンダムだ。私はガンダムだ。私はガンダムだ。私はガンダムだ。私はガンダムだ―――」
「――てりゃ」
ニャル子壊れてきたルリさんの頭を軽く叩く。昔の家電製品じゃないんですから……。
しかし、いい具合に叩けたのか、ルリさんは「はっ、私は何を……」と目覚め、ガンダムの洗脳が解けた。
「……というわけで、アムロさんに天狗の鼻を見事にへし折られましたよ。3分で武芸者9人も倒せない私が念威総長とか笑っちゃいますね」
「いや、普通、念威操者は武芸者一人も倒せませんから」
私の言葉にニャル子さんもうんうんと頷く。念威操者がそんなに強かったら私たちがいる意味がないです。
「私はそんな感じです。お二人は何があったんですか?」
「私は――」
と、何があったのか語ろうとした時、ニャル子の瞳がハイライトに変わった。
「ニャル子さん……?」
「……ああ、すみません。ちょっとこの前の事を思い出していました」
そう言ってニャル子さんはカップを持ち、アンゼロットの紅茶――ニャル子さん曰くいろいろ下がる味らしい――を飲み干した。
「………………安易な手段で強くなるものじゃないですね」
「……一体なにがあったんですか」
ニャル子さんの瞳のハイライトが消え、ゆっくりと答える。
「……カガクノハッテンニギセイハツキモノデース」
「「あっ……………」」
その言葉だけで私たちは彼女が何をしたのか理解した。
念のため、私は彼女に確認する。
「…………受けたんですか?」
「……はい」
「失敗したと?」
「いえ、手術は成功しましたよ。身体能力も上がり、剄脈も以前よりも増えました。……ですが、私の知らない剄技が使えたり、変化球を投げれるようになって、自分の身体が全くの別物になったような感じがしてすごく怖いんです。
………………さらに言えばリアルでパワポケの裏サクセスルートに踏み込みました」
ニャル子さんの顔が青白く染まり、ぶるぶると震える。
SAN値ピンチだった。いつ発狂してもおかしくない状態だった。改造手術に加えてパワポケ時空を体験したんですから無理もない。
……しかし、解せません。
「なんでニャル子さんは改造手術をしてまで強くなろうとしているのでしょうか?」
ニャル子さんはよくも悪くも同年代では上位に入る優秀な武芸者だ。多少、強さへの渇望はありましたが薬や人体改造をするほどではありません。
ニャル子さんが悲しく笑う。
「最強とかチートみたいな強さは欲していませんよ。自身の身の丈は分かっていますから。……ただ、私も親友として二人と一緒に同じ学校に行きたいんですよ。
でも私はお二人ほど強くないですからちょっとした邪道にでも走らなきゃ、一緒に並び立てないんですよ」
「ニャル子さん……」
「ま、改造はダイジョーブ博士に懲りてもうやりませんから安心してください。……それに最近、RX師匠が妙にやる気を出してしまったせいか最近、仮面ライダーの皆さんたちと一緒に特訓したり、ショッカー退治に行くようになりました」
笑っているが、目はいい具合に濁っていた。
なお、この都市ではライダーとショッカーのように敵対する組織同士で模擬戦をちょくちょく行っている。
「だ、大丈夫なんですか?」
「…………クリムゾンスマッシュを防げるショッカー戦闘員たちと毎日殴り合う、ホワイトな職場ですよ」
「それ絶対ショッカー戦闘員じゃないですよねッ!?」
クリムゾンスマッシュがショッカーに防がれる仮面ライダー555とか見たくない。でもクリムゾンスマッシュ防ぐショッカー超見たい。
「そんなわけでここ毎日ショッカー共に『一本でもニンジンならぬ一人でもニャル子キック』を放ったりしています。……そして本命の」
「――アインハルトさんは何があったんですか?」
二人はずいっと顔を近づける。
……なぜ、私の話が本命なんですか?
「私たちの中で一番ハードな特訓してますので」
「ぶっちゃけ、アインハルトちゃんが一番厄ネタ背負ってますし」
「酷い言いぐさですね……」
確かに間違ってはいませんが。
「はぁ……。この前、魔法を学ぶために魔法少女の成り切りが集まる遊園地『マジカルランド』行ったんです」
「超絶カオス組織の所じゃないですか……」
「『病院』『教会』に並ぶ狂組織ですよ」
二人が驚く様子を見て改めて理解する。やっぱあそこやばい所だったんですね。
「マジカルランドですが、初めはリリなの系の成り切りも沢山いて結構楽しく修行してたんですが……マジカルランドの抗争に巻き込まれました」
「「どういうこと!?」」
二人が驚愕してはもる。うんわかります。私も最初にそんな感じに驚きました。
マジカルランドに関して説明する。
「マジカルランドにいる魔法少女たちはいくつもの派閥があるんですよ。
『プリキュアシリーズ』『カードチャプターさくら』を始めとした王道系魔法少女がいる東映会。
『結城友奈は勇者である』『戦姫絶唱シンフォギア』などのがいる変身ヒロイン会
『魔法少女まどか☆マギカ』『魔法少女育成計画』などの反魔法少女がいる深夜組。
『大魔法峠』『撲殺天使ドクロちゃん』などの邪道魔法少女がいる組織OVA
今回はこの四組が来季魔法少女アニメ放送枠で争いが起きたんですよ。」
ちなみに私が修行していたのは『魔法少女リリカルなのは』『プリズマ☆イリヤ』が所属する角川組。角川組は深夜組と兄弟組織のため今回の抗争に巻き込まれました。
「どこのヤクザ組織ですか……」
「この都市の魔法少女はモノホンヤクザでしたよ」
血で血を争う戦いだった。魔法少女の姿をした龍が如くでしたよあれ。
「プリキュアたちに集団リンチされたり、超巨大錬金鋼ホムリリーと戦ったりと何回か走馬灯見えましたよ。……これ以上いたらやばいと思って大量の魔法少女たちの技を『見稽古』で速効で覚えて速効で逃げ帰りました」
はははは……死んだ魚のような目で当時を思い出す。
逃げ帰った数日後、マジカルランドが崩壊して遊園地が営業停止しましたが、何が起きたか知りませんし、知りたくありません。
「と、マジカルランドはこんな感じでした。師匠の命令で次は忍術を忍びの里に行ったんですが……」
「まだあるんですか……」
「マジカルランドで結構お腹いっぱいなんですが」
二人の言葉を無視して話し始める。ここまで話したんですから、起きた事全部吐き出します。
忍びの里。
名前でわかるでしょうが、忍者系の成り切りが集まるところで、NARUTO、バジリスク、閃乱カグラ、ニンジャスレイヤー等が集まっている。
「忍術と言ってもただの化練剄の応用技ばかりでしたからね。いくつかは簡単に習得できましたよ。……ついでに忍殺語検定準一級を合格しました」
「なんで漢字検定みたいなノリでそんなもの取得してるんですか……」
「取らないと返してくれなかったからですよ!」
逆切れしてしまう。
おかげで今の私はニンジャスレイヤーの成り切り達と違和感なく忍殺語で会話できたりします。
まぁまぁ、とルリさんがなだめるように言う。
「履歴書に書ける資格が増えてよかったじゃないですか」
「履歴書にそんなもの書けませんよ!」
もし私が面接官ならそんなふざけた資格を書くやつは絶対に落とします。
私は荒げた息を落ち着くため、ヌカコーラクワンタムを飲み干して一息つく。
「そんな感じで私は口から火を吐いたり、閃乱カグラの成り切り忍者の服を破いたり、アイエエエエエエッ!と、叫んでたりしてたんですが――」
うん。この時点ですごいカオスですね忍びの里。まぁ、10年もこの都市で育ったせいかある程度耐性ができましたけど。
だが、あれには耐えられなかった。
「あそこ……対魔忍までいたんですよ……!」
「「うわぁ……」」
二人がドン引きする。
対魔忍。
前世ではブラウザゲームにまでなった有名な…………エロゲである。
レイプ目になりながらもその時の様子を思い出す。
「ははは……。私、真珠入りの男性のあれとか馬のあれとか初めて見ましたよ……」
今、思い出してもトラウマガガガガ。
10歳の少女になんてものを見せるんですかあいつら。
さらに女性が『んほおおおぉ!』とか『あひいいいいぃ!』とかされているのを見ました(一種のプレイだったらしいですが)。
ちなみに、その時の様子を見た大人たちは無垢な少女に無性ポルノを見せるようないい笑顔してたんで全員ぶちのめしてから都市警に通報し、ブタ箱に入れてもらいました。普通に犯罪だったので。
「そして夜な夜な対魔忍たちが襲ってくるんですよ。負けたらエロ同人みたいにされると思ってマジカルランドよりも怖かったです。恐怖に泣きながら戦いました」
しかも対魔忍全員魔族化して悪堕ちしていました。ちょろすぎですよ対魔忍……。
そんでもって不死身、瞬間移動できる対魔忍とかいて全員強い。快楽にはよわいくせに。吸血鬼アサギさんめっちゃ強かった。前世で最強の対魔忍(笑)とかバカにしてすみませんでした。
貞操の危機を思い出して、顔が青白くなりぷつぷつと鳥肌が立つ。涙腺もちょっと緩んで涙が出そうになる。
二人が励ますように両肩をやさしく叩く。
「アインハルトちゃん、今日は修行を忘れて思いっきりに遊びましょう!」
「そろそろ映画の時間です『ルパン三世VSシティハンター』楽しみにしてたじゃないですか。キャラメルポップコーンおごりますよ」
「ニャル子さん……ルリさん。う、うわあああああああん!」
そんな二人の優しさに私は二人の胸を借りて全力で泣いた。
怖かった……本当に怖かったです!
18禁展開?
そんなもの・・・うちにはないよ
プリキュアは魔法少女じゃなくて伝説の戦士だろ!?
ま、魔法少女のWikipediaにプリキュア乗ってるし(震え声)
12月22日一部修正