この都市がおかしいのはどう考えても転生者が悪い! 作:あまねぎ
Dホイールと合体したプラシドさんがカードを引く。
「俺のターン! ドロー!」
だから、サーブしましょうよ。
「俺は手札から魔法カード、カオス・ブラストを発動! デッキの上から3枚カードを墓地に送り、フィールドに存在するレベル4以下のモンスターを破壊する。俺はワイズコアを破壊!」
プラシドさんの前に浮かんでいた機械の卵―――ワイズコアが爆発した。
……その演出必要なんですか?
「ワイズコアが効果によって破壊された時、デッキ、手札、墓地から機皇帝ワイゼル
プラシドさんが五枚のカード型錬金鋼を復元化させて、∞の形が描かれた球体、ヘビ、ウサギ、カタツムリ、トリの形をした白銀錬金鋼で出来た機械が現れる。
「そして機皇帝ワイゼル
プラシドさんがそう叫ぶと、∞を形が描かれた球体を胴体とし、ヘビが頭、ウサギが右腕、カタツムリが左腕、トリが下半身と変形し、5メルトルを超える白銀の巨大ロボットに合体した。
これには実況席のニャル子さんも騒ぎ出す。
「プラシド選手一ターンで五体のモンスターを召喚し、さらにそのモンスターが合体したー!?」
ワースゴイナーもんすたーガガッタイシタヨー。……なんだこれ。
ワイゼル
「ワイゼル
プラシドさんが器用に鋼糸で機皇帝ワイゼル
先ほどのワイゼルアインが打ち出すボールよりも速いボールですが、打ち返せないボールではない。
だが、ボールを打ち返す瞬間、気が付いた。
―――機皇帝ワイゼル
先ほども言った通り、機皇帝ワイゼル
それでもワイゼル
「アウト! 0-15!」
「くっ、入りませんでしたか」
「さぁ、反撃の開始だ」
プラシドさんがそう言うと、再びサーブを打ち、ラリーが始まる。
ワイゼルの守備範囲が広すぎてまともにやっても相手コートには入らない。壁打ちをやっている気分だ。
打ちあげても後ろにいるプラシドさんがDホイールで打ち返すでしょうから、おそらくロブも意味がない。……ならば。
「覇王……断空拳!」
覇王断空拳の加速を乗せたボールを機皇帝ワイゼル
ワイゼル
しかし、プラシドさんはこの攻撃に対して不敵な笑みを浮かべる。
「アインハルト、お前がワイゼル
プラシドさんが叫ぶと機皇帝ワイゼル
新たに着けられた左腕が剄の障壁を展開し、胴体のワイゼル
腕を変えたとしても私の攻撃は防げません!
しかし、私の予想とは裏腹にボールはワイゼル
「なッ!?」
「ワイゼル
今の一撃でワイゼルを破壊できなかったことに私は驚愕し、実況席も騒ぎ出す。
「まさか、アインハルト選手の必殺技覇王断空拳によるショットが弾かれたー!? 先ほどのワイゼルアインでは破壊できたのになぜ、ワイゼル
『ワイゼル
ワイゼル
『黒鋼錬金鋼は錬金鋼の中で最も耐久度の高い錬金鋼です。そこに剄で作った障壁を加えることによって強固な盾となり、アインハルト選手の覇王断空拳によるショットを防げたのでしょう。さらに伝導率の低い黒鋼錬金鋼で剄の盾を作ったことから、プラシド選手の技量の高さが伺えます』
ルリさんの言う通り、黒鋼錬金であれだけの剄の障壁を作れるプラシドさんの技量が相当なもの。
戦い方はふざけてますが……この人強い!!
「少々暴れさせてもらうぞ! 俺のターン、ドロー!」
やっていることはアホですけどね!
状況はこちらが不利。ワイゼル
とはいえ、この武芸テニヌルールでは拳で直接殴ることはできず、搦め手なども使えない。
やれることは正面突破のみ!
「はぁ!」
勢いよく、ボールを返すと同時に空破断を放つ。
空破断の衝剄でワイゼル
よし、左側が開いた。今なら相手コート入る―――
「罠カード発動! ボム・ブラスト!」
「ちょ!?」
流石にこれには驚愕しました。だって目の前にいるワイゼル
勢いよく右に避ける。
同時にワイゼル
「0-40!」
なんでもないかのように審判がポイント宣言をする。
当然、私は怒ってプラシドさんに文句を言う。
「今の避けなかったら大怪我じゃすみませんでしたよ!」
「ボム・ブラストはこのターン戦闘を行っていないモンスター三体まで選択し、選択したモンスターを破壊することによって破壊したモンスターのレベル×400ポイントのダメージを与える。俺は自分フィールドのレベル1ワイゼル
おいこら、無視すんなや。ちゃんと会話のキャッチボールをしてください。
そんなこと関係ないとばかりにプラシドさんのサーブに移る。
「俺のターン! 俺はカードを一枚伏せ、グランエル
ワイゼル
「おおっと、ここでプラシド選手怒涛の4枚ドロー!」
『最早、テニヌしているのかデュエルしているのか武芸しているのかわかりませんね』
ほんと、何なんでしょうね、これ。
プラシドさんはまだ
「手札から速攻魔法! 速攻召喚! このカードは手札のモンスター一体を通常召喚できる。俺は手札のスキエル
「プラシド選手、ボム・ブラストで失った機皇帝のパーツをわずか一ターンで新たな機皇帝パーツに換装しましたね」
『はい。素晴らしいデュエルタクティクスです。機皇帝はパーツを変えることで強くなるモンスター。新たに着けられたグランエル
見ているだけなら馬鹿らしい光景ですけど、ルリさんの言ってることが本当なら状況はかなりまずい。
縦長のモノアイ顔のグランエルTには収束率の高い碧石錬金鋼、人の字型ブースターの形をしたスキエル
とはいえ、まだ得点では私の方が上ですし、総合能力も私の方が上。勝機は十分あります。
しかし、流れを完全に相手に取られ、先程の爆発によって自分コートがデコボコになり、イレギュラーバウンドの連発によって私は窮地に立たされてしまった。
「ワイゼル
「……ぐッ!」
斬撃武器として最も細かい調整の利く鋼鉄錬金鋼で出来たワイゼルA5の斬剄を金剛剄で弾くも、ボールは返せず、自分コートに入る。
審判が宣言する。
「2-3!」
それにより、ニャル子さんが言う。
「プラシド選手ついに逆転! アインハルト選手、機皇帝ワイゼル∞に手も足も出ません! アインハルト選手は先ほどのサーブ時に化練剄でコートを修復して、イレギュラーバウンドはなくしましたが、機皇帝ワイゼル∞の鉄壁の防御を崩せず、このまま一方的にやられてしまうのかー!?」
ニャル子さんの実況に気分を良くしたのかプラシドさんが言う。
「機皇帝ワイゼル
その提案に真っ向から否定する。
「降参はしません。……それに、ようやく機皇帝ワイゼル
その言葉にプラシドさんは気付く。
「ほう、先程の化練剄でコートを戻すのと同時に伏剄を伏せていたか」
伏剄。外側に伏せた剄を一気に解放することにより、通常以上の剄力の技を放つ化練剄の奥義。
プラシドさんの言う通り、化練剄でコートを戻すついでに、機皇帝ワイゼル
プラシドさんが笑う。
「機皇帝ワイゼル
「勝負です!」
一つ目の伏剄を解放し拳撃と衝剄を加えたサーブ放つ。
ベルカ古流武術覇王流 覇王空破断
その威力は覇王断空拳のショットよりも威力があり、強くて速い、剄の弾丸。
プラシドさんはこの攻撃に対し、余裕を持って対応する。
「スキエル
機皇帝ワイゼル
ワイゼルの右腕―――ワイゼル
私はすぐさま、次の伏剄を解放。伏剄によって膨れ上がった自身の剄で斬剄を包みボールを投げ返す。
ベルカ古流武術覇王流 旋の型 旋衝破
「ワイゼル
ワイゼルの左手が衝剄の障壁を作るが、相手の斬剄と伏剄で大幅強化された一撃によって、ワイゼルG3に罅が入る。
返ってきたボールを伏剄を加えた光線のような剄の砲弾で打ち返す。
「なに!? 高町ヴィヴィオの技だと!?」
ワイゼル
四つ目の伏剄をボールと共に雷と炎、二つの化練変化で作り上げた二龍を機皇帝ワイゼル
春光拳 双破龍神翔
「永続罠発動! 分岐―ディヴァジェンス! このカードは自分フィールドの機械族モンスターが攻撃される時、対象を別の機械族モンスターに変更できる! 攻撃対象を機皇帝ワイゼル
機皇帝ワイゼル
走ってボールに向かいながら伏剄を解放。中国拳法で言う鉄山靠でボールを打ち返す。
ベルカ古流武術覇王流 牙山の型 崩天輪
「スキエル
プラシドさんは、すぐさま新たな機皇帝の左腕パーツを取り付けるも、まだ錬金鋼に剄が浸透しきっていないのかボールの威力を相殺しきれず、大きく左にそれる。
六つ目の伏剄を解放し、碧石錬金鋼の脚甲が煌めき、集束砲の蹴打でボールを飛ばす。
格闘戦技八神家流 抜剣 星煌刃
「分岐―ディヴァジェンスの効果で対象をスキエル
ボールを打ち返すも星煌刃でスキエル
手甲を獣爪のような手甲に形態変化させて、七つ目の伏剄解放。
ベルカ古流戦場格技エレミア流 ガイスト・クヴァール
「ワイゼル
爪撃でワイゼル
そのまま、コーナーに入りポイントが入ると思いきや、プラシドさんがDホイールによる衝剄で打ち返す。
私は地面を化練変化させ、剄を纏わせたボール目掛けて自身の腕に取り付けた化練変化した、土で出来た巨大なゴーレムの腕を回転させながら、ロケットパンチの要領で飛ばす。
「グランエル
機皇帝ワイゼル
だが、ボールの威力は相殺しきれなかったのか、ボールはグランエルTに当たり、グランエルTが壊れる。
残りは胴体のみ!
残りの伏剄を全て解放し、全力でボールを胴体のみとなった機皇帝ワイゼル
「覇王……断・空・拳!!」
ベルカ古流武術覇王流 覇王 断空拳
「バカな!? この機皇帝が!? この俺が!? 人間ごときに敗れるというのか!? ぐ……うああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
覇王断空拳によるショットで機皇帝ワイゼル
地面を転がり、ボロボロとなったプラシドさんが試合続行不可能なのは見るからに明らかだった。
それにより、試合を見ていた実況、観客が、わああああああああああああ!! と沸く。
「アインハルト選手、機皇帝ワイゼル
『二人とも素晴らしい試合でした。次の試合も期待が高まりますね。なお、次の試合ですが、壊れたコートを化練剄の達人、鋼の錬金術師 エドワード・エルリックさんが修理しますので数分お待ちください』
よろよろと、コートの外側に行き、ふう、と息を吐いて、フェンス越しに軽く座る。
プラシドさん……かなり強かったですが、まずは一回戦勝利です。
後ろから声が聞こえてきた。
「ふん、プラシドがやられたか」
「だが奴は俺らの中じゃ最弱」
「まったく、俺ら同期のいい面汚しだぜ」
後ろを振り向くと、そこには牡牛の兜を着けた黄金聖衣を着込んだ男、死覇装を着込んだ白髪の小柄な男、頬に十字傷がある楽の文字が描かれた道着を来た男、三人が立って遠目からこちらを見て、四天王コピペを言っていた。
「………………………………誰?」
私の疑問にいつの間にか隣に立っていた、ニャル子さんが答える。
「右から牡牛座の黄金聖闘士のアルデバランさん、護廷十三隊十番隊隊長の日番谷冬獅郎さん、狼牙風風拳の使い手ヤムチャさんです。プラシドさんも入れて、彼らはコルベニクかませ四天王と呼ばれています」
「……………………………………………………………………………………」
コートの修復が終わったのか、ルリさんがアナウンスを流し、第二試合が始まる。
アルデバラン対羽咲綾乃
「コートにボールを通り抜けることは許さん! この牡牛座のアルデバランがな!」
「あっ……一番バカなことした」
鉄壁の守備を見せたアルデバランさんでしたが、綾乃さんのラスボスじみた威圧感に気圧された隙をつかれてテニヌボールとバトミントンの羽が直撃して吹っ飛ばされて綾乃さんのKO勝利。
日番谷冬獅郎対ふ○っしー
「倍返しなっしー!」
「なん……だと……!?」
梨妖精ふな○しーの俊敏な動きに対応できず、ふな◯しーの勝利。
ヤムチャ対真田弦一郎
「きえろふっとばされんうちにな」
「貴様らルール通りにテニスをやらんかぁーーー!!」
真正面からのテニスで真田さん圧勝。
こうしてコルベニクかませ四天王は期待を裏切らず、全員一回戦で敗退しました。
……ほんと、何しに来たんでしょうこいつら。
Q 今回、アインハルトがヴィヴィオの技使っていたけど使えるの?
A 使えます。ハルにゃんVividの拳技の大体は使えます。はい。覇王流思っていたよりも技少なくて、バトル描写が苦手で必殺技に頼りまくってる作者が全部悪いんです。ダメな作者をどうか罵ってください。