徹夜明けにエボルトになっていたのですが。   作:通りすがりのゴキブリ

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遅くなりました。


4話 あそんでエボルト

NO SIDE

 

 

 

総一が変身し、ゆっくりとその場に近付いている頃。

 

プリキュアはザケンナーとの戦いに神経を集中させていた。

 

「はぁっ!」

 

「やぁぁぁぁつ!」

 

 

結論か言うと戦況はプリキュアが優勢だった。

 

力強く、かつ素早いキュアブラックの剛拳がザケンナーを打ちのめし、隙を埋めるかの様にキュアホワイトの華麗な足技がザケンナーに襲い掛かる。

 

以心伝心と言っても過言では無い、見事な連携プレーにザケンナーは翻弄されるばかりだった。

 

「ホワイト!マーブルスクリューよ!」

 

「ええ!」

 

プリキュアの技の中でも最大火力の必殺技「プリキュアマーブルスクリュー」を放つために二人は手を繋ぎ、片手をザケンナーに翳す。

 

しかしその時だった。

 

「きゃっ!」

 

「っ!…何?!」

 

 

突如ホワイトの隣から赤色のオーラを纏った何かが凄まじい速度で通りすぎて行ったのだ。

 

余りにも速いスピードのためか発せられた突風に、二人は思わず目を閉じる。

 

だが一瞬怯んだが二人は光の園の伝説の戦士、風圧程度なら苦にならず、すぐに回復して先程の超スピードで通りすぎた者の正体を確認するために目を開ける。

 

 

二人の目に入ったのは赤と金の装飾が施された鎧を身に纏う戦士の背中だった。

 

「誰なのあの人?」

 

「さぁ…でもザケンナーを倒そうとしてくれているみたい。」

 

 

戦士はザケンナーの懐に入り込むと、腰に着いている装置のハンドルを回す。

 

すると腰の装置から明るい雰囲気だが、どこか不気味な感覚を覚える音楽が鳴り響く。

 

「ベートーベンの交響曲第9番?」

 

「なにそれ?」

 

普通の女子中学生に比べて博識なホワイトはドライバーの音楽のモデルに気付いたが、ブラックは何の事か分からず目を丸くしている。

 

 

『Rady go! エボルテックフィニッシュ!チャオ!』

 

突如音楽が鳴りやめば、戦士は右拳に朱色の炎のようなオーラを纏い、ザケンナーに拳の一撃をかました。

 

「ザケンナァァァァア!!」

 

戦士が放った拳はザケンナーの体に当たった瞬間に空間を圧縮・爆発させ、ザケンナーは断末魔のごとき叫び声を上げ、複数の星形の生命体へと姿を変える。

 

その光景の意味をプリキュアは知っていた。

 

「一撃でザケンナーを倒した?!」

 

「ありえない…!」

 

驚愕する二人をよそに戦士…エボルはゆっくりと後ろを振り向く、その時初めて二人はエボルの顔を見る事が出来た。

 

「………!」

 

「…蛇…?」

 

エボルの顔は…一言で言えば不気味だった。

 

上を向き牙を剥くコブラを彷彿とさせる顔つき、そしてコブラの舌のような複眼。

 

決して醜い訳ではない。だがエボルからはどのような敵でも震え上がらせるであろう威圧感を感じた。

 

「…………」

 

エボルは二人をじっと見つめたまま動かない。二人もその場から一言も話さずに佇んでいる。

 

エボルから発せられる独特な威圧感に気圧されながらプリキュアとエボルは向き合ったまま見つめ会う、それから数分が足ったのか数秒の間だったのか解らない。

 

ずっとこちらを見ているエボルに痺れを切らしたのかホワイトが話し掛ける。

 

「………貴方は何者なの?」

 

警戒するような口調、確かにザケンナーを倒したが、それはただ相手にとっては都合の問題と言う可能性がある。完全に味方とは信じられなかったのだ。

 

『俺か?俺はエボル、仮面ライダーエボルだ。』

 

そこで初めてエボルの声を聞く、しかし低音かつ渋く、威圧感のある金尾ボイスはホワイトの警戒心を解くどころか逆に増幅させる。

 

「…エボル?」

 

聞き覚えの無い名前にブラックは首を傾げる。

 

警戒しているホワイトに対してブラックからはそういったものを感じなかった。ザケンナーを倒した事からエボルを味方と思っているのだろう。

 

『お前たちがプリキュアって奴か?』

 

「ええ、そうよ。」

 

『そうか…なら少し遊ぼうか。』

 

エボルはそう言うと再び赤色のオーラを身に纏い、高速でホワイトの懐に入り込み、腹部に拳の一撃を当てる。

 

「あぁぁっ!」

 

「ホワイト!」

 

エボルの一撃を食らったホワイトは数メートル吹き飛ばされる、飛ばされた先でぐったりとダウンしているが気を失ってはいないようだ、しかし体が大きなダメージを受けたためか思うように動かない。

 

「よくもホワイトを…!」

 

ブラックは相棒を倒された怒りを拳に込めて渾身の一撃を放つが、それはいとも容易くエボルの掌に受け止められる。

 

『…準備運動には丁度良い…!』

 

 

ブラックは受け止められた手を振り払い怒涛のラッシュを放つが全てエボルの高速移動で回避されてしまう。

 

「攻撃が当たらない…!」

 

『フフフ…どうした?もう終わりか?』

 

「いいえ!まだよ!」

 

エボルの挑発的な態度に苛つきながらブラックは先程以上の激しいラッシュをエボル目掛けて放つが、やはり同じように全て避けられてしまう。

 

「やぁぁぁぁつ!」

 

しかし直後、ダウンしていたホワイトが復活し、背後からエボル目掛けてドロップキックをかます。

 

『……!』

 

 

それに流石のエボルも冷や汗を掻いたのか一瞬驚いた素振りを見せ、紙一重で上体をひねり回避する。

 

『……調子に乗るな!』

 

エボルは強い口調でそう言うと高速で二人の懐に入り込み、腹部に至近距離でエネルギー弾を放つ。その威力は強力でプリキュア二人を後方に数メートル吹き飛ばす程だった。

 

「ぐっ!」

 

「きゃぁ!」

 

吹き飛ばされ、意識が朦朧とする中プリキュアは確信した。

 

「こいつはドツクゾーンなんかと比べ物にならない程の強い」と。

 

だが二人は伝説の戦士、敵がどれ程強力であろうと人々を守るために戦わなくてはならない。

 

 

震える体をどうにか動かし、ゆっくりと立ち上がる。

 

足腰がフラフラするがそれでも膝を付かず、ぐっと堪える。

 

「ホワイト…マーブルスクリューよ!」

 

「…うん!」

 

二人は最後の希望に賭けるかの様に片手を天に翳す。

 

「ホワイトサンダー!」

 

「ブラックサンダー!」

 

すると黒と白の二つの雷がその場に落ち、二人の掌に吸収される。

 

「プリキュアの‼美しき魂が!」

 

「邪悪な魂を!打ち砕く!」

 

「「プリキュア・マーブルスクリュー‼」」

 

直後二人の掌から黒と白が螺旋状に交差したエネルギーが放出され、エボルに襲い掛かった。

 

プリキュア最大にして最強の必殺技、プリキュア・マーブルスクリューはエボルの元に達すると同時に凄まじい閃光をまき散らす。それによりプリキュア二人は怯むが、数秒すれば光が鎮まり、その頃には直ぐにエボルの様子を確認していた。

 

 

「....いない…」

 

「…そんな…あり得ない!」

 

 

しかし二人は目の前の光景に驚愕した、なんと先程まで戦っていた筈のエボルが居なかったのだから。マーブルスクリューをもろに受けた場合敵は吹き飛ばされたりその場で倒れたりとやられ方はそれぞれ違う、だが今まで消える事は無かった。

 

近くに自分達以外の気配は見当たらない。そこでエボルが消えた理由を二人の中は確信した。

 

「……逃げられたの?」

 

「…そうみたい。」

 

変身を解き、一息つく今までドツクゾーンの敵と戦ってきたが、あれ程強大な敵は初めてだった。しかも何が目的かも不明。名前だけしか知らず何者かも解らない敵と来たものだから。精神的にも肉体的にも疲れていた。

 

「あいつ強かったね…」

 

「うん、確かエボルって言ってた…」

 

「うん…また何時戦うか解らないし、今日はもう遅いから帰るわね、じゃあね雪城さん。」

 

「うん…さようなら美墨さん。」

 

 

二人とも背を向け、家に帰るために歩き出す。

 

しかしここで二人とも背を向けなければこれから起こる事は少し変わっていたのかも知れない。

 

そのせいで美墨なぎさは気付かなかったのだから。

 

雪城ほのかの体に赤色の粒子が入っていくのを。

 

 

 

 

 

 

 

 




申し訳ありません。別小説を現在執筆中の為、次回更新遅くなるかと思います。


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