徹夜明けにエボルトになっていたのですが。   作:通りすがりのゴキブリ

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ただいま



6話 がっこうエボルト

ほのかside

 

 

目覚まし時計が鳴り、私は目を覚ます。朝の6時…私がいつも起きる時間だ。

 

「おはようミポ!ほのか!」

 

ベッドから起き上がるとミップルが朝の挨拶をしてくれる、こうして元気に話すミップルをみていると、可愛いと感じ思わず頬が緩んでしまう。

 

「ええ、おはようミップル」

 

私は可愛らしい相棒に挨拶を返すと、昨日より新しく住む事になった居候にも声を掛けるべく、首を下に向け自分の体へと目を写す。

 

「おはよう、エボル。」

 

声を掛けてみるが返事はない、まだ寝ているのかな?

 

「エボル朝だよ!起きて!」

 

そういえばエボルは私の何処に潜んでいるのだろう、昨日の夜聞いてみたら何か気持ち悪い冗談で誤魔化されたが…まさかアレ本当じゃないわよね…

 

『ん…んー』

 

そんな事を考えながら、自分の体へと目を向けながら寝坊助のエボルを呼び掛けていると、身体の内側から気怠そうな声が聞こえる。どうやら起きた様だ。

 

「おはよう、エボル。」

 

『ん?ああ…おはよう、ほのか…今何時だい?』

 

「朝の6時だよ。」

 

『…もう少し寝かせてくれ…』

 

「ダメよ!エボル?ちょっとエボル!』

 

返事が無い…どうやら二度寝に入ったようだ…地球外生命体ってこんなにグータラなの?

 

全く…仕方ない、別に寝てても特に問題無いし、ミップル

も学校では寝て貰ってるし問題は無いだろうから、このままエボルは放って置こう。

 

私は着替えを済ませた後、朝食を食べ学校へ行くために部屋を出るのであった。

 

***

 

学校に着き、いつもも同じくミップルを寝かせると、授業を受けるために教室へ向かう、すると廊下で見覚えのある人物が走ってくるのがわかる、幼馴染みの藤森君だ。

 

「おはよう、藤森君そんなに急いでどうしたの?」

 

「あぁ、おはようほのか…ー時間目移動教室だったんだよ。だから急がないと…!」

 

「うん、じゃあね!」

 

そんなやり取りを交わした後藤森君は慌てた様子で走り去っていった、大方彼の事だ、授業ギリギリまでサッカーの練習をしていて移動教室だった事を忘れていたのだろう。

 

『お前の男か?』

 

「ひゃっ!」

 

急に聞こえたエボルの声にびっくりして思わず変な声をだしてしまう。

 

「起きていたの?エボル?」

 

『ああ、おはようほのか。で?今の男とお前はどういう関係なんだ?』

 

「関係って…ただの幼馴染みよ?」

 

『幼馴染み…彼氏とかではなくて?』

 

藤森君が私の彼氏?そんな事考えた事も無いんだけど。

 

「ないない、ただの幼馴染みよ。」

 

『そうか…』

 

そんなやり取りをしていると、何故か周りの視線がこちらに刺さる、まるで変人を見るような目だ。

 

「もしかして…エボルの声って周りに…」

 

『うん、聞こえていない。基本的にお前にしか聞こえないが、どうやら例外としてミップルは聞こえるらしいな。』

 

「…じゃあ今まで私は…」

 

『うん、周りから見ればお前は、大声で独り言を言う変人だろうな。』

 

「…………っっっっ!」

 

自分一人で白昼堂々と独り言を大声で言っていた事を思いだし、エボルの変人宣言で顔から火が出る程真っ赤に鳴っていくのが解る。

 

「~~~~!!!」

 

だめだ恥ずかしすぎる、私は声にならない声を出しながら大急ぎで教室へと向かうのだった。

 

***

 

その後、教室にて。

 

なんとか周りの冷たい目線を潜り抜け、落ち着きを取り戻した後自分の席に座る。HRを終わり、教科書やノートを机に起いて授業の準備が完了すると、同時に扉が開き先生が教室に入ってくる。

 

一時間目は国語の授業だ、私達の国語担当の先生は文章の読解力に力を入れている、そのため良く生徒を指名して教科書を音読させる事で知られている。

 

『お?枕草子か?』

 

授業が始まり、教科書を開くとエボルが興味深そうに尋ねて来る。

 

「うん…知ってるの?」

 

『ああ!そりゃあ平安時代で有名な文豪だからな!』

 

周りに聞こえないように呟く私と逆に、エボルは逆にテンション高めに熱弁してくる。

 

しかし意外だ、エボルがまさかこう言った文学が好きとは思わなかった。あれ?でもエボルが地球に来たのってつい昨日って言っていたし…私もエボルに本を読ませた事も無い。

 

「…でもエボル…枕草子なんか何処で知ったの?」

 

『あ?あぁ…ちょっと色々あってな…』

 

それ以降エボルが私に話し掛ける事は無くなり、すっかり大人しくなってしまった。

 

なんかはぐらかされた気がする…

 

まさか宇宙でも枕草子が知られているとか?うん…私達のファンってエボルも言っていたからその可能性はある…でも宇宙に地球の文学まで有ったら宇宙人の言語は地球の言語?宇宙語とかは無いの?そういえばエボルも最初から日本語を話せていた。私達を見ている時に日本語を勉強したのかな?

 

…さすがに考えすぎかな?

 

***

 

その後授業が終わり、次の授業まで間のトイレ休憩。

 

「あの…雪城さん?」

 

「ふぇ?」

 

用を済ませ、手を洗っていた所美墨さんに呼び止められる。

 

「その…えーっと…」

 

美墨さんは言葉を濁すばかりで何処か気まずそうでいた、私何か悪いことしちゃったかな?

 

そういえば授業も上の空で先生に注意されてたっけ…もしかして昨日のエボルの事考えていたのかな?…ちゃんともう戦う事は無いって話さないとな…

 

「そうだ美墨さん昨日「ミップルミップルミップル!」

 

「その声はメップルミポ!!」

 

私が話そうとした瞬間に美墨さんのカードコミューンからメップルが現れ、それに呼応するかのように私のカードミューンからもミップルが現れる。

 

二人はコミューンの状態から本来の姿に戻り何時も通りイチャ付き始める。全く…本当にラブラブなんだから…

 

しかし良い所で話の腰を折られてしまった、エボルの事は後で話そう。

 

「ちょっと!誰かに見られたらどうするの?!」

 

そんな事を考えていると、美墨さんがイチャついているメップルを引き剥がしている、しかしメップルはひょいと簡単に美墨さんから抜け出して得意そうな顔で

 

「なぎさもいずれ恋をする者の気持ちが解るはずメポ!」

 

と言う。

 

恋をする気持ち?!どう言う事かしら…

 

「メップルどう言う事ミポ?」

 

ミップルが私の気持ちを代弁様に聞いてくれる、するとメップルはミップルにこしょこしょと耳打ちをする。私にも聞かせて欲しいんだけと…

 

「な、何やっとんじゃぁぁぁあい」

 

すると美墨さんは何か思い当たる節が有るのか怒鳴り声を上げメップルを再び抱え上げてミップルから遠ざけてしまった。

 

これじゃあさっきの言葉の意味を知る事は難しそう…別の話題を振りましょう。 

 

「そういえば、美墨さん…私に何か話があったんじゃ…」

 

「え?あぁ…なんでもない!なんでもないよ!」

 

しかし話題を振った瞬間、美墨さんは逃げるようにトイレから出ていってしまった。なんか…まるで私と一緒に居たく無いみたいに…

 

『おいほのか!小便だったら言ってくれよ。子宮から膀胱に移動して吸収するのに…』

 

…この変態宇宙人は後で殺しておこう。

 

***

 

その後ミップルを再び眠らせた後、二時限目の授業の数学、エボルは一切私に話し掛ける事は無かった、昼寝でもしていたのかな? 

 

そして三時間目の理科、理科室でのガスバーナーを使った熱分解の実験、エボルもこれに興味津々で私の実験を見ていた、エボルもある程度化学の知識があるらしく理科室の実験道具を見たり、骨の模型を「せんと」、カエルのホルマリン漬けを「ばんじょー」と名付けて遊んでいた。

 

四時間目の社会の授業、エボルは歴史が好きらしく教科書を読んではその深い知識を見せていた。その時の声は楽しそうで、何処でその知識を手に入れたのか聞くと宇宙では地球の歴史も習う事を教えてくれた。

 

 

そして授業の間の昼休み。

 

『なぁ…お前何時も一人で食ってるのか?』

 

私が化学室で一人でお弁当を食べる中、エボルはそれを疑問に思ったらしく、聞いてくる。

 

「ええ…仲の良い化学部の人も他の人と食べちゃっているし…」

 

『なるほど…俗に言うぼっちって奴か…』

 

…素直に否定できないのが悲しい。でも今は美墨さんが居るし別に寂しくはない。

 

『…なぁ…その唐揚げ上手そうだな…一口くれよ』

 

「え?良いけど…食べれるの?」

 

『うん、ちょっと待って…今人間の姿になるから…』

 

人間の姿…?私が頭にハテナマークを浮かべていると、私の下腹部から赤色のアメーバ状の粒子が飛び出す、その粒子は形を変え、徐々に人形となり最終的には私よりも年上の20歳程の男性の姿になった。

 

「あなた…人間の姿にもなれたの?」

 

「うん、やっぱりこっちの方が動きやすいわ」

 

エボルらしき男性は軽くその場でストレッチを始める、なんか色々あり得なさすぎて脳ミソがショートしそう…

 

「で?唐揚げ食わせてくれるんだろ?」

 

「え?ええ…はい。」

 

箸で唐揚げを取り上げエボルに差し出すと、嬉しそうな顔をしながらパクっと食い付き一言「うまい!」と言うと再び粒子に戻り私の下腹部へと戻っていった。

 

…トイレの時から思っていたけど、何ちゃっかり私の子宮に居るのよ…

 

そういえば最初に有った時も子宮に居るなんて言っていたけどあれ冗談じゃなかったのね…

 

「はぁ…」

 

こんな変態趣味の宇宙人、追い出せるものなら追い出したい、しかし故郷が滅び行く所が無い以上放っては置けない…

 

「…一度はっきり言わなきゃダメなのかな…?」

 

再びため息をつくと、自然と右手に未だ握っている箸を見る。

 

そういえばエボルったら箸を差し出したとたんに食い付いたわね…まるでエサを差し出された鳥みたい…

 

それに…自意識過剰かもだけど、唐揚げを欲しがったのも私が友達居ないって知ったから…

 

「ふふふっ」

 

全く変態じゃなきゃこう言った可愛くて優しい一面もあるのに…

 

…ん?箸を差し出した?

 

エボルに差し出したのは私の箸…

 

エボルが私に唐揚げをせがんだのは私の食事中…

 

つまりエボルに差し出した箸は私が口をつけた…

 

「…………っ~~~~!!!」

 

『どうした?ほのか?俺との間接キスそんなに恥ずかしかったか?』

 

「う…うるさいっ!!!」

 

…!やっぱりこの宇宙人絶対に追い出してやる!

 

 

 

 




お久しぶりです皆さん、作者のゴキブリです。

色々リアルで立て込んでいたのと少しスランプもあったので更新が遅れてしまいました。

これからも頑張って活動していきたいと思うので応援よろしくお願いします。

ご感想等お待ちしております。
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