呪いの人形は恋を知らない   作:酎はい人形

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オリジナルの解釈があります
いやいや違うだろ、と思うかもしれません
しかしまあ飽くまでオリジナルですのでご容赦くださいな


5 記憶と呪いの人形

休日にする事!

デート?ショッピング?

違います

掃除です

・・・・・・悲しい

掃除機を掛けながら悲しい独り身の寂しさを呪う

 

市子「ちょっと!あんまり埃たてないでよね!」

 

コイツは何にでも噛み付くやつだな

ピラニアかお前は

 

市子「・・・バカにしてるの丸わかりなんだけど?」

 

市子先生の謎スキル

何故俺の心が読めるし

 

「・・・だったらガラスケースの中入ってれば良かっただろ」

 

ヴィオラ「でも我々人形にとって、埃は天敵です!」

 

貴様も言うか!

口うるさいのが1人増えたよ・・・やったねヴィオラちゃん・・・

 

「ならキッチンにでも避難してろ!休みの日に掃除しないと面倒になっちゃうんだよ・・・」

 

市子「何よ!偉そうに!この変態!」

 

ヴィオラ「エッチ!スケベ!」

 

ヴィオラは市子に何を吹き込まれたのだろうか!

まあそれだけ馴染んでくれたのは良かったが・・・

 

「はい、お前ら掃除終わったら説教な」

 

市子・ヴィオラ「えーーー!」

 

当然だ!

こんな紳士を変態とか何処見て言ってんだ!

と言うか、何で市子さんは俺を変態呼ばわりするのだろうか・・・

なんか不安になるんだが・・・

いやナニがとは言わないけどさぁ・・・

 

「おい市子。お前の台座ちょっと退かすぞ?」

 

市子の私物はガラスケースと台座と本人

この3セットを密かに市子さんセットと呼んでいる

飽くまで密かにだけどネ・・・

 

市子「壊さないでよねー?」

 

毎回掃除する時いつも言われる台詞

壊さないっつうの

 

「へいへい」

 

そういえば、台座の裏ってどんなんなってたっけ?

あんまり意識して見ること無かったな

ついでにちょっと失礼して・・・

 

『 櫻井 』

 

台座の裏にそう彫ってあった

製作者の名前なのかな?

 

ヴィオラ「どうかしましたか?」

 

「ん?いや・・・」

 

調べてみたら、案外由緒正しいかも知れないけど・・・

しかし・・・

 

市子「ん?何よ」

 

詮索するのはやめとくか

何かしらの訳ありかもしれんしね

機会があったら調べてみるかな

 

ヴィオラ「あ、市子さん。髪に埃が!」

 

市子「嘘!取ってーー!」

 

すまんな2人とも

だがちょっとでも綺麗な空間にしとかんと埃が積もっちまうからな

これは君たちの為でもあるんやで?

 

「ほら、あと少しで掃除も終わるから大人しくしてろ」

 

市子・ヴィオラ「はーい」

 

子供の引率をする先生の苦労が今分かる・・・

こりゃ大変だよホント

 

 

 

 

 

 

 

 

掃除も一段落して腰掛ける俺

普通にちょっと張り切り過ぎたかな・・・

まあその頑張りがこの部屋の綺麗さよ!

 

市子「まあ?あんたにしては頑張った方ね」

 

ヴィオラ「ショウさんは何事にも真面目なんですね!」

 

市子「ヴィオラ、コイツを煽てても何も出てこないわよ?」

 

カチーン

市子のヤツ調子に乗りやがってー!

 

「よしヴィオラ。お前には何か買ってきてやろう」

 

ヴィオラ「え!ホントですか!?ヤッター!」

 

市子「ちょっとちょっと!私には!?」

 

「ある訳ないだろ。反省しろ」

 

なんなら正座でな

たまにはその悪すぎる口を反省しなさい!

 

市子「ホントヒドイ男!アホ!さいてー!」

 

そっぽ向く市子

とは言いつつも、市子の分も何か買ってきてやろうかなとは検討している

・・・が、何を買えばいいのかいまいち分からん

 

「ヴィオラは何が欲しい?」

 

ヴィオラ「私は・・・新しいお洋服が欲しいです!」

 

おうふ・・・

大の大人がお人形さんのお洋服買うの・・・中々ハードル高いな・・・

まあ世の中にはネット注文があるしな・・・

 

「・・・ネット注文で構わないかね?」

 

ヴィオラ「勿論ですよ!ありがとうございます!」

 

よし、探してみるか!

・・・ついでに市子の分もな

 

 

 

 

 

スマホを開いたと同時にふと思い出した

あの『 櫻井 』と掘ってあった名前

ネット注文の前に先に見てみるかね

色々検索してそれっぽいサイトがヒットした

その名前が・・・

 

「・・・・・・櫻井人形店・・・」

 

そう声を漏らした時だった

背中がザワついた

後ろを見ると、市子が物悲しそうにこっちを見ていた

 

「・・・どうした市子」

 

市子「・・・櫻井・・・・・・?」

 

聞き覚えがあるような様子

まあおそらく製造元だろうし聞き覚えはあるだろうよ

 

「あぁ、お前の台座に掘ってあったんだ」

 

市子「・・・櫻・・・井・・・・・・・・・」

 

何やら様子がおかしい

どうしたものなのか

 

「おい市子?」

 

市子「・・・・・・なんでもない」

 

ヴィオラ「・・・なんでもないという様子では無いですよ?」

 

まあ確かに

いつもの市子とは様子が明らかに違う

やっぱり何かあったのだろうか

 

「・・・大丈夫か?」

 

市子「・・・・・・何だか、ざわつく感じがするのよ」

 

俺なんて背中がざわついて焦ったよ

 

ヴィオラ「市子さんを結ぶ何かがあるのではないでしょうか」

 

製造元ってだけでは無い何かしらの因果関係があるかもな・・・

それに、市子の記憶の件もあるし・・・

 

市子「ま、良いわよ別に。なんか無性にざわついただけよ」

 

そう言うと、テクテクと台所の方へ歩く市子

寧ろ俺が気になるんだが・・・

 

ヴィオラ「・・・あの、ショウさん」

 

ズボンの端を引っ張りながら呼ぶヴィオラ

あら可愛い

・・・ってそうじゃなくて

 

「どーした?」

 

ヴィオラ「・・・市子さんなんですが、やっぱり普通の人形とは違う気がするんです」

 

そりゃこんだけ喋るわ動くわの人形は普通とは違いますわな

・・・まあ多分ヴィオラの言いたいのは、他の所謂呪われた人形とは違うって言うことなんだろうがね

 

「どういう事?」

 

ヴィオラ「・・・えっと、市子さんから出ているオーラ自体は負のオーラ何ですが・・・誰かに向けた怨念とは違うと言うか・・・」

 

????

俺がアホなのか理解があんまり出来ん・・・

 

「すまんヴィオラ。分かり易く頼む」

 

ヴィオラ「うーん・・・例えば私とかは、持ち主であるご主人に捨てられたくないっていう誰かに対しての想い何ですが・・・」

 

ふむふむ

 

ヴィオラ「市子さんは、自分に対しての何かしらの想いがあるみたいな・・・うーん・・・なんて言うか・・・」

 

何となく言いたい事がわかったような気がする

ヴィオラの様な人形のパターンは誰かに対しての念

捨てられたくない、可愛がって欲しい、私を見て欲しい

そんな想いが彼女達に魂を宿す、と

市子は、誰かに向けた想いでは無く自分に対して何かしらの想いが今の市子として魂が宿ったと・・・

 

「・・・何となくわかったが、ヴィオラみたいなパターンが多いのか?」

 

ヴィオラ「・・・というより、それが普通かと・・・・・・」

 

呪いの人形の普通はよく分からんが・・・

まあおかしな話だよなぁ

市子の本質は人形であって、自分自身に何かの想い・・・或いは無念や後悔のようなものがあるというのは・・・

 

「・・・まるで人間みたいだな」

 

そう、まるで人間だ

生きていた頃に後悔があるような・・・

 

ヴィオラ「・・・はい」

 

・・・うーん、まあ何がともあれだ

これは飽くまで予想に過ぎない

いくら市子とは言え、こんなデリケートな話をいきなりする訳にも行かないしな・・・

今の所手掛かりは・・・

『 櫻井人形店 』

どうやら鍵はここにありそうだな・・・

 

「・・・」

 

場所も割と近い

次の休みにでも行ってみるか・・・

何だか探偵みたいだな俺

あ、そう言えば

 

「話逸れちゃったけど、ヴィオラはどんな服欲しいんだ?」

 

そうそう

元々この話題でスマホを取り出したんだよな

 

ヴィオラ「え?・・・えっとですねぇ」

 

あともう1人

黄昏てるあのお方の分も・・・

 

「おーい市子?お前も来い」

 

市子「へ?」

 

何腑抜けた声を

 

「お前の分も買ってやるよ、何が良い?」

 

市子「な、何よ!さっきは邪険にしたくせに!」

 

それについてはお前が悪い

紛うことなきお前が悪い

 

「要らないならお前の分は無しにするぞー?」

 

市子「だ、誰もそんなこと言ってないじゃない!」

 

トテトテトテっと俺の元に来る市子

先の事はこれから考えればいい

分からないことは、一歩ずつ紐解いていけば良い

・・・・・・でも何だろうな

・・・・・・妙な胸騒ぎがする

理由は分からないが、知ってはいけない何かがありそうな・・・

・・・・・・

気の所為だよな!

気にしてたら何にも進まない

これが市子の為になるなら・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は流れ、夜

佇むひとつの人影がそこには居た

 

「・・・どうやらこのアパートのようだな」

 

間違いない

このアパートから異様なオーラを感じる

この感じは・・・二体か?

以前から妙な気配を感じてはいたが・・・まさかこれ程とは・・・

この私が来たからには・・・

 

「・・・必ず滅してくれる・・・・・・」

 

この私から逃れられると思うな・・・

この・・・天城清玄からな・・・




このストーリーでは解釈で進ませてもらいます
よろしくお願いします

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