「・・・・・・・・・」
天城「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
天城「・・・・・・」
・・・いやマジ?
このタイミングは無いわ・・・
いやどのタイミングでも思うけども・・・
「・・・・・・」
天城「・・・・・・」
つーかなんか言ってくれよ!
怖いだろうが!
天城「・・・あなた、こんなにすごい霊気の中良く平気な顔してるわね」
「あぁ、僕エアコン結構強めに設定してるんですよ」
天城「私が言ってるのは『霊気』であって『冷気』ではありません」
鋭い指摘!
ありがとうございまーす!
・・・ってそうじゃなくて
「・・・分かる系の人ですか?」
天城「そうじゃなかったらここには居ないです」
さっきから言葉に刺があるのは気の所為だろうか・・・
「・・・左様でございますか」
天城「名刺は受け取らなかったかしら?貴方の職場の若い女の子に渡しておいたんだけど」
「胡散臭すぎて仕事場に置きっぱっス」
天城「・・・」
・・・もう少しオブラートに包むべきだったか
なんか怒ってるような気がする・・・
天城「・・・てっきりすぐ連絡が来るものだと思っていたから」
「え?」
天城「相当な曰く付きのものがいるんでしょ?」
「いや?全然?」
居るには居るけどアンタが思う程ヤバい奴らじゃないんでね!
・・・つーか早く帰ってくれないかな
天城「・・・貴方ねぇ、こんなのいつまでも放ってたら貴方が大変な目に遭うよ?」
「いや特に大変と思ったことないけど」
あ、嘘
アイツらよく喧嘩するし、掃除の時うるさいしまぁまぁ大変だわ
「・・・というか天城さん・・・でしたっけ?僕は別に困っては無いのでわざわざ来てもらって申し訳ないですけど、全然平気ッスよ」
天城「・・・ちょっと信じられないわね」
そんな事言われましても・・・
だって本当に別に問題無いんだもん!
天城「・・・そこまで言うなら少し見せてもらえないかしら?」
・・・えー・・・・・・
飯食えないんだが・・・
つーかめんどいんだが・・・
「・・・今日じゃなきゃダメっすか?」
天城「駄目」
即答やんけ
家主俺ぞ?
「・・・じゃせめて5分くらいでお願いしたいっす」
天城「・・・」
あれ?
全然聞いてねぇよ・・・
すごい目で訴えてくるやん・・・
怖い怖い・・・
今まで沢山の除霊やお祓いをしてきた
昔から霊が視えるのは当たり前の事だった
・・・その所為で色々昔は大変だったけど
どうせならコレを仕事にしてしまおうと始めたのがキッカケ
何となしにつくった事務所であった為、どうせすぐ廃業になると思った
でも意外と相談の電話はよく来た
人知れず、皆抱えている悩みがあるという事なのだろう
それが見えない霊的なものなら尚更
だからこそ、本当に色々なものを視てきた・・・
・・・だからこそ、この男は異常だと思った
普通の人間ならこの場にいる事すら躊躇われる
私でさえ足が重い
気を抜くと持っていかれそうになる・・・
それこそ魂ごと・・・
男の部屋のリビングを見ると、そこには居た
2体の人形が・・・
周囲の空気が澱んでいるのがわかる・・・
頭が痛い・・・
恐らく私に対しての敵意なのだろう・・・
男の表情は特に変化も無く、台所の方に向かった
・・・何なのだ・・・この男は・・・
再び視線を人形にやる
・・・特にこの日本人形だろう
確かに隣の西洋人形も曰く付きなのは分かる・・・
しかしこの日本人形・・・異常だ・・・
人形なのにまるで人間に近い様な・・・
まるで呼吸をしてるかのようだ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
正直に言うと少し後悔している・・・
ここまでとは思わなかったからだ・・・
これは直ぐにでも祓わなければならない・・・
・・・ちくしょう
結局家に入れちまったけど、アイツら大丈夫かな・・・
スピリチュアル的な何かで急に昇天とかしないよな?
つーか飯食っていいかね?
天城さんなんか2人めっちゃ凝視してるし・・・
・・・腹減ってるしせめてコンビニ弁当温めさせて
台所にちょっと失礼・・・
夜に飯作るとか無理だよな~
最初は何となしに作ってたけど、結局面倒になってインスタントやらカップ麺やらコンビニ弁当になっちゃうんよな~
・・・そりゃ健康診断で引っかかりますよね
天城「・・・ねぇ、悪いこと言わないから祓ってあげるわよ?」
「・・・へ?」
またなんか言ってるよこの人・・・
「・・・いや、だからね?別に何ともーーー」
天城「これはあまりにも異常よ・・・何れ貴方に災いが起こるわ」
・・・・・・災いねぇ
天城「そもそもこんな物を置いておいて平然としている貴方もどうかしてる」
・・・は?
何言ってんだこいつ
ていうかモノ扱いにムカつくんだが
天城「これは貴方の為に言ってるのよ?」
・・・・・・・・・・・・
「いや申し訳ないですけど、帰って貰ってもいいですか?」
天城「は?」
「アンタがコイツらの事をどう思ってるのかなんて知ったこっちゃないっすけどねぇーーー」
・・・やべ
これもう俺止められないわ
「少なくとも俺は命を救われたんすよ。勝手なこと言ってコイツらの事を悪く言うのはやめてくれないですか?」
天城「・・・・・・」
・・・やっちまった
つい頭に血が登っちまった・・・
気まず!!
どうしよ・・・
なんかフォローせんと・・・
驚いている・・・
彼の怒りに?
彼の言動に?
それもそうなのだがもう1つある・・・
彼が言い放った瞬間に、何故か穏やかなオーラが部屋を包んだのだ・・・
先程のような悪意に満ちたオーラが嘘のように・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
なるほど・・・
彼とあの2体の人形には軒並みならぬ何か特殊な絆があるように思える・・・
特にあの日本人形・・・
さっき迄の表情が嘘のように穏やかなだ・・・
私に向けた敵意もまるで無くなっている・・・
・・・・・・あぁ、そうか・・・
・・・これは貴女達の怨念ではなく・・・・・・純粋な・・・
天城「・・・そうね・・・ごめんなさい」
「・・・いや、その~・・・・・・」
天城「貴方の意見をしっかり聞くべきだったわ・・・」
「・・・いや、僕の方こそ・・・すんません」
・・・・・・・・・いいえ違うわ
貴方は悪くない・・・
私は今まで何を視てきたのだろう・・・
ただ無機質に祓い、除霊し、成仏させてきた
・・・何の想いも願いも聞かずに・・・・・・
よっぽど彼の方が彼女らの事を、霊のことを分かっている
だから彼は頑なに断ったのか・・・
・・・寧ろ彼に預けていた方が、彼女達にとって幸せなのかもしれない
天城「どうやら早とちりをしていたようね」
私がそう言うと彼が顔を上げる
「・・・え?」
天城「私もまだまだみたいね。こんなにも良く理解してくれている人が居るんのだもの」
「・・・」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
なんだったんや結局・・・
嵐のような時間だった様な・・・
市子「・・・ねぇ」
「・・・どーしたよ」
市子「・・・どうして庇ったのよ」
ヴィオラ「・・・そうですよ、私達は・・・・・・」
「呪いの人形だからか?」
市子「・・・」
ヴィオラ「・・・」
今更何言ってんだか・・・
「・・・アホな事言ってくれるなよ、俺飯食うから」
それに・・・
俺にとってお前らの存在は・・・
・・・・・・・・・まあいいか
ヴィオラ「・・・市子さん」
市子「・・・何?」
ヴィオラ「・・・少し気になる事があって」
市子「・・・」
ヴィオラ「私、まだお二人の関係をしっかり理解してる訳では無いのでこんな事聞いていいか気になったのですが・・・」
市子「・・・」
ヴィオラ「・・・ショウさんが言ってた、命の救われたっていうのは・・・」
市子「・・・そうね・・・・・・分かったわ」
ヴィオラ「!」
台所からコンビニ弁当を持って座るショウ
・・・何だかお疲れのご様子・・・・・・
私・・・何だか悪い事を聞いているのかな・・・・・・
市子「・・・ねぇ、アホ助」
「だーれがアホ助だコラ」
市子「ヴィオラに、あの事教えてもいい?」
「・・・」
・・・あの事?
「・・・そうだな・・・・・・」
ヴィオラ「・・・・・・」
私の知らない2人の過去・・・
「・・・俺さ・・・・・・」
「・・・死ぬつもりだったんだ・・・・・・・・・」
恋の「い」の字もねぇ・・・