走るその先に、見える世界   作:ひさっち

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2.切ってみろ

 

 

 

「身体温まったな? じゃあ早速本格的に練習するぞ?」

「こんのっ――!」

 

 

 コースを一周して立ち止まった麻真に、メジロマックイーンが彼に向けて飛びながら右足で回し蹴りを放つ。

 片足に三十キロ、両足で六十キロの重りが付いた蹄鉄靴から放たれる蹴りが空気を切り裂き、轟音を鳴らしながら麻真の頭部へと迫った。

 

 

「元気があり余ってるなら良し。じゃあ説明するから聞けよ?」

 

 

 しかし麻真は表情を変えずに身体を軽く逸らしてメジロマックイーンの蹴りを避けていた。

 本気で当てるつもりだった蹴りを麻真に躱され、メジロマックイーンは不満そうに顔を顰めた。

 

 

「避けないでください! 頭をかち割れませんわ!」

「俺の頭をかち割ったら、お前のウマ娘人生が同時に終わるからな?」

 

 

 淡々と即答した麻真に、メジロマックイーンが頬を僅かに膨らませる。

 第三者から見るとメジロマックイーンのその表情は可愛いものだったが、麻真からすれば自分の命を刈り取りに来た死神の顔にしか見えなかった。

 メジロマックイーンから放たれた蹴り。それは麻真が見る限り、間違いなく“本気”の蹴りだと分かった。ウマ娘は時速六十キロを越える速度で走れる程の筋肉を持っている。つまりそれだけの足で振り抜いた蹴りは、軽々と人間を重症にするだけの威力を備えている。

 それを無視してまで放ってきたということは、それほどメジロマックイーンは本気で麻真に怒っていたらしい。しかし彼女がどれだけ怒ろうとも麻真は特に気にすることはなかった。

 

 

「ふんっ――!」

 

 

 そして再度メジロマックイーンの右足が麻真の頭へ向けて振り抜かれるが、彼は軽々とステップを踏んで回避する。

 メジロマックイーンの蹴りを躱しながら、麻真は彼女に呆れた表情を作っていた。

 

 

「だから無駄な体力使うなって、走る練習の時間減るぞ?」

「それは! 原因を作った貴方が! 意地悪だからです!」

「意地悪もなにも、俺はフォームは気にしなくて良いって言ったはずだぞ?」

 

 

 そんなメジロマックイーンの不満に、麻真は意地の悪そうな笑みを浮かべていた。

 麻真の言葉を聞いたメジロマックイーンが目を大きくする。そして怒りのあまり彼女の表情は僅かに引き攣ったように震えていた。

 

 

「よくもまぁそんな言葉を口にできますわね! 明らかに楽な方法で走ってた貴方にだけは言われたくありませんわ!」

「別に俺が使ってただけで、やれとは言ってないぞ?」

「貴方が使ってたということは! それが最善なのは分かりきったことです!」

 

 

 メジロマックイーンが叫ぶ。麻真が走る上でフォームを気にしていたということは、彼は“それ”をしなければいけないと判断していたことだ。

 そう叫んでいたメジロマックイーンの口から“その言葉”を聞くと、麻真は満足そうに頷いていた。

 

 

「それだ。その言葉がお前の口から聞きたかった」

「……はい?」

 

 

 唐突に言われた麻真の言葉に、メジロマックイーンが呆気に取られる。

 しかし麻真はそんなメジロマックイーンに楽しそうに笑うと、説明を始めていた。

 

 

「マックイーンが今口にした最善、それは走る上で最も必要なことだ。お前に足りないものは、基礎能力と走り方。基礎能力はトレーニングを続ければある程度は補える。あとは走り方だ」

「……その走り方がこの靴と何の関係があるんですの?」

 

 

 麻真の意図が分からない説明にメジロマックイーンが眉を寄せる。

 そんなメジロマックイーンに、麻真は呆れたと言いたげに鼻を鳴らしていた。

 

 

「あるに決まってるだろ。その為だけに俺はお前に“それ”を履かせたんだからな。俺の真似して走るだけじゃない。身体をどう最善に動かしたら早く動けるか、それを自分で気づいて学べ」

「ですから! その為と言うならこの靴を履かせた意味を教えてください!」

 

 

 再度、メジロマックイーンが麻真に問う。

 急かすメジロマックイーンに麻真が苦笑する。そして彼は小さな溜息を吐いて答えた。

 

 

「その靴を履いて速く走ろうとすると必然的に自分の身体に合った足の使い方を覚えないといけない。力技で走れなくもないが、それは速く走る方法にならない。走る為に身体のどこの部分を効率良く動かすか、それをまずは覚えろ」

 

 

 そこまで麻真に言われて、メジロマックイーンも理解しつつあった。しかし“それ”を初めに教えなかった麻真に対する怒りが消えたわけではない。

 メジロマックイーンは口を尖らせながら、麻真に不服そうな目を向けていた。

 

 

「……初めに教えてくださっても良かったと思いますが?」

「俺が言うよりも、自分で気づいた方が身につく。人から全てを教わるよりも自分で理解した方がいい場合もあるんだよ」

 

 

 あまり同意できない。メジロマックイーンは素直にそう思った。

 教えられた方が良いのでは、とメジロマックイーンは思う。しかし麻真は正反対の意見を話していることに思わず彼女は眉間に皺を寄せていた。

 

 

「それなら麻真さんが私の走り方の悪い所を指摘してくださった方が早いのでは?」

 

 

 そもそもメジロマックイーンには自分の走り方がある。元々の走り方に、麻真が見せてくれた“先行の走り方”を取り入れたフォームで彼女は走っている。

 その走り方に修正点があれば、それを麻真が指摘して直していけば理想の走り方になるのではないか?

 それがメジロマックイーンの意見だった。

 

 

「お前の元々の走り方じゃ駄目だ。色々混ざってる“アレ”だと直し出したらキリがない。それに一箇所直すと他の箇所も直すって悪循環になる。足首の使い方だけ直しても、足腰の使い方が違ったら力の入り方がチグハグになって足を痛めることもあるからな」

 

 

 メジロマックイーンの走り方は、麻真から見れば修正点の塊だった。

 本来の負担の掛かる走り方から、僅かな修正を入れたフォームに変わり、そして麻真が見せた“先行の走り方”を追加で取り入れている。

 その為、今のメジロマックイーンの走り方は、走ることにおいての“良い箇所”と“悪い箇所”が混ざった独特なフォームが作られていた。

 ただ悪い所を直すだけで良くなるわけではない。それに麻真がメジロマックイーンに見せていた先行の走り方は、彼が作った走りの基本の形であり、彼女の走り方ではない。

 悪い走り方の悪い箇所を直すと、その箇所はメジロマックイーンに合った走り方に変わる。しかし彼女に合った走りに一箇所を変えると、元々の良かった部分も彼女に合った形に変えないといけなくなる。それをひたすら繰り返すのは非常に手間の掛かる作業になる。

 だからこそ、その手間に時間を掛けるくらいなら一から作り直した方が早い。それが麻真の考えだった。

 

 

「だから全部直すと?」

 

 

 渋々ながら、メジロマックイーンも麻真の話を少しずつ理解していた。

 悪い箇所を直せば、その箇所に合わせる為に良い箇所も修正する。それならば全てを一から作り直した方が早いと。

 

 

「そう、だからその為にお前をしばらく走らせなかった。理由、今なら分かるか?」

 

 

 そしてここで麻真が告げた言葉に、メジロマックイーンは“あること”に合点がいった。

 

 

「……走る感覚を忘れさせたかった?」

「正解。本当は“数ヶ月くらい”走らせたくなかったが、メイクデビュー戦が入ったから予定変更した」

「あの……麻真さん。今、鳥肌が立つようなことを仰いませんでした?」

 

 

 メジロマックイーンが耳を疑った。目の前にいるこの男が言った言葉は、それだけ彼女には衝撃的だった。

 数ヶ月走らせない。ウマ娘の存在意義である走ることを数ヶ月も禁止されると思うと、メジロマックイーンの背中に寒気が走り抜けた。そしてその期間、おそらく麻真は自分に基礎トレーニングしかさせないことも同時に察していた。

 あの辛い日々が数ヶ月も続き、加えて走れないと考えただけでメジロマックイーンは目眩がしそうになった。

 

 

「当たり前だろ? 走る感覚ってのは自転車に乗る感覚と一緒だ。一度覚えた感覚を忘れるのはかなり難しいんだからな? それこそ染み付いた癖は簡単には抜けない。無意識に癖は勝手に出てくる」

「だからと言って数ヶ月も走らせないのはどうかしてますわっ!」

 

 

 思わず、メジロマックイーンは麻真に叫んでいた。

 しかし麻真も自分の意見は曲げないと言いたげにメジロマックイーンの態度に対して、また溜息を吐いていた。

 

 

「自分の癖を消すってのは、それこそかなりの努力がいるんだ。自分ですら指摘されても気付かない癖を直すのは時間が掛かるんだっての。それならそれを忘れるくらい走らない方が良い」

 

 

 その麻真の言葉は、メジロマックイーンの癪に触る言葉だった。

 麻真が癖を消す為に自分を走らせないと言っているということは、つまりメジロマックイーンの走り方には癖があると言っているようなものだ。

 メジロマックイーンはそれに気がつくと、不満そうに口を尖らせた。

 

 

「……私に癖が多いと言いたい顔してますわね」

「いや、多いぞ。お前」

 

 

 そして麻真に即答されて、メジロマックイーンは顔を顰めた。

 誰しもある癖が自分にも少なからずあると思っていたが、まさか即答される程だとは思っていなかった。

 走り方が悪いだけで、正しい走り方を覚えれば良いと思っていたメジロマックイーンにとって、麻真の言葉は思っていた以上に胸に刺さっていた。

 

 

「どこですか?」

 

 

 メジロマックイーンが目を細める。

 麻真は不満な表情を見せたメジロマックイーンに、話すべきか一瞬悩んだ。

 本来、癖の多いウマ娘には特に何も言わずに癖を消させる方法を麻真は選んでいた。

 しかし麻真はメジロマックイーンの性格を理解していた為、彼は渋々ながら予定にはなかった癖の指摘をすることを選んだ。

 

 

「……お前の場合は意識してないだろうが、走ってる時の加速の踏み込みでたまに必要以上に足首とふくらはぎに力込めて使ってるだろ?」

「そんなこと、ありませんわ」

 

 

 麻真にそう指摘されて、メジロマックイーンは自分の走り方を思い出しながらたどたどしく答える。そんな走り方をしているつもりは彼女にはなかった。

 しかし麻真は、そんなメジロマックイーンに続けて指摘していた。

 

 

「長い時間走ってるとふくらはぎに痛みを感じたことないか?」

 

 

 そう言われて、メジロマックイーンは背筋が凍ったような感覚を覚えた。

 確かにあった。過去、長い時間走っていた時に稀に鈍い痛みを感じたことが何度かあったことがある。

 そして麻真は、更に続けてメジロマックイーンに指摘をしていた。

 

 

「あと俺と会うより前、たまに走り過ぎて膝が少し痛いと思ったこともあるだろ? それ、走り過ぎじゃなくて膝に負荷を掛け過ぎてなってるからな?」

 

 

 続けて麻真から言われた内容に、メジロマックイーンは鳥肌を立てた。

 心当たりが確かにあった。ごく稀に膝が痛いこともあった。しかしそれはオーバーワークによる痛みだとメジロマックイーンは思っていた。

 しかし麻真がそれを指摘したということは、それはメジロマックイーンが知らない癖で起きたことだと理解させられた。

 

 

「柔軟性のない膝で負荷の掛け過ぎ。太腿からふくらはぎに掛けて必要ないところでも力を入れてるから、その力の使い方が癖になってる。膝に負担掛け過ぎてオーバーワークすると靭帯炎とか起こして二度と走れなくなるからな?」

「分かりました! 分かりました! もう良いですから!」

 

 

 そして麻真から指摘され続けたことで、メジロマックイーンは折れた。

 麻真にこれ以上指摘されるのは心が耐えられそうにない。甘んじて受け入れる自信はあったが、的確に悪い点を複数指摘されれば流石に身構えていたメジロマックイーンでもメンタルが壊されそうになっていた。

 

 

「私が悪かったです! ちゃんとやりますからそれ以上は言わないでください!」

「まだ言えるぞ? あとは――」

「良いですから! もう言わなくて良いですっ!」

 

 

 続けて話そうとする麻真をメジロマックイーンが声を上げて止める。

 その態度を見てメジロマックイーンがようやく納得したことに、麻真は安堵して肩を落とした。

 

 

「納得したみたいだな?」

「えぇ……わかりました。走らないことも正しいことは“十分”理解しましたわ」

 

 

 ここは大人しく従おう。そう思ったメジロマックイーンは先程の指摘を受けなくなかった故に、素直に今は麻真に従うことを選んだ。

 麻真は指摘されて落ち込んでいたメジロマックイーンに肩を竦めると、彼はようやく話が進められると安堵して口を開いた。

 

 

「なら良い。じゃあ話を戻すぞ? その靴で走ると、基本的な走り方を学べる」

 

 

 そう言って麻真がメジロマックイーンの履いている靴に指を差す。

 メジロマックイーンが麻真の指先を追うように自分の靴に視線を向けたのを見て、彼は話を続けた。

 

 

「お前は最初のランニングで足首の使い方を学んだ。なんでか分からないがお前は次のステップだったふくらはぎの使い方もできるようになってる。だから次は、その先をやるぞ」

 

 

 麻真がポケットからストップウォッチを取り出すと、それをメジロマックイーンに見せつける。

 メジロマックイーンはそのストップウォッチを見ると、見るからに嫌そうな顔をした。

 麻真がストップウォッチを持ったということは、つまり次にやらされることの想像が容易だった。

 

 

「タイム測定……ですか?」

「その通り。まぁ、ストップウォッチ持ってたら分かるだろうな」

 

 

 重りを付けた靴でタイム測定をするということは、つまり速く走らないといけないことになる。

 メジロマックイーンは重りを付けた靴で全速力で走る自信がなく、加えて転んだ時の可能性を考えていた。

 ウマ娘が走って転ぶ。それは確実に大怪我に繋がるからだ。速い速度を出せてしまうウマ娘故に起きる事故でもある。

 そんなメジロマックイーンの表情を見て、彼女の思っていることを察した麻真は淡々と告げていた。

 

 

「言っとくが、ちゃんと走れば転ばないからな。綺麗な走り方をすれば足はもつれない」

「……分かりませんわよ?」

 

 

 不安そうに表情を暗くするメジロマックイーンに、麻真は苦笑していた。

 それは杞憂だと、麻真はメジロマックイーンの前で自分が履いていた靴を地面にトントンと当てていた。

 

 

「重い靴でも、力の使い方を覚えれば問題ない。だからそれをタイム測定で覚えろ」

「しかし、いきなり全力で走るのは……」

 

 

 メジロマックイーンが自分の靴を見つめながら、ポツリと呟く。

 もし転んだ場合のことを考えてしまう。不安ない気持ちになるのも無理もない。

 しかし麻真は不安そうにするメジロマックイーンに首を傾げていた。

 

 

「いきなり全力で走るつもりか?」

「……はい?」

 

 

 メジロマックイーンが怪訝な顔を見せる。

 麻真は手に持っていたストップウォッチを手元でボールのように遊ばせながら、平然と話していた。

 

 

「お前にやってもらうのはタイム測定だが、目標タイムを設ける。それをクリアしていけ」

「目標タイムですか?」

「あぁ、目標タイムを段階的に上げてく。そうだな、最初は……」

 

 

 そこで口を閉じた麻真がしばらく考え込む。そして十秒程度の時間が経って、彼はメジロマックイーンに告げた。

 

 

「コース一周、二千四百メートル。まずは五分で走ってこい」

「えっ……?」

 

 

 麻真の指定した目標タイムに、メジロマックイーンが反応に困った。

 目標が無理難題ではない。それはむしろ逆だった。

 

 

「そんなに遅くて良いのですか?」

 

 

 そう、その目標タイムはあまりにも遅いタイムだった。

 本来なら二千四百メートルは全力でなら三分弱程度で走れる。公式のレコードタイムになれば三分を切り、二分台の記録となる。

 麻真が指定した五分。それはメジロマックイーンから見ても“遅過ぎる”目標だった。

 

 

「遅くて良い。まずは五分を切ってみろ。そしたら次のタイムを教えてやる」

 

 

 麻真は驚いていたメジロマックイーンに気にする素振りもなかった。まるでそれが当然と言いたげに、彼はメジロマックイーンに指示していた。

 麻真が指定した目標を超えていけば本当に速くなれるのだろうか?

 そんな心配がメジロマックイーンにあったが、あの北野麻真が言うのだから信じるしかない。

 メジロマックイーンはそう思うと、麻真の言葉に頷いた。

 

 

「……分かりましたわ。やります」

「それで良い。その靴が脱げるように頑張れよ?」

 

 

 そして頷いたメジロマックイーンに、麻真が朗らかに笑みを見せる。

 しかしメジロマックイーンは、最後に麻真が話した言葉が耳に残った。

 今、この男……なんて言ったのかと。

 メジロマックイーンは思わず眉を寄せて、麻真に訊いていた。

 

 

「麻真さん……ちなみに、最終目標が終わらないとどうなりますの?」

「終わるもなにも、終わるまでずっとその靴履かせるからな?」

「……どんな時も?」

「走る時は全部それ。それ以外で走るのは禁止だぞ?」

 

 

 メジロマックイーンが膝から崩れ落ちた。

 どうあがいても、麻真の作った目標を終わらせないと自分はこの“靴”を脱ぐことができない。

 こんな馬鹿げた重りを付けた靴を履き続けることを想像するだけで頭が痛くなる。

 メジロマックイーンはそう思うと、溜息を吐きながら立ち上がった。

 

 

「分かりました。なら早速……五分を終わらせますわ」

「やる気があって何より、じゃあ位置につけ」

「勿論、麻真さんも走りますわよね?」

「そりゃお前が走るなら、俺も走るだろ?」

 

 

 当たり前と即答した麻真に、走る準備をしていたメジロマックイーンが呆気に取られる。

 つくづく思うが、この人は変わっているとメジロマックイーンは思った。

 わざわざ走る必要もない場面なはずなのに、一緒に走ると言っているのだから。

 冗談で言ったつもりだったが、まさか即答されるとは思ってもいなかった。

 

 

「……なら良いですわ。よろしくお願いします」

「任せとけ。じゃあ始めるからな。好きなタイミングで走って良いぞ」

 

 

 メジロマックイーンが位置について、走る構えを取る。

 麻真も構えたメジロマックイーンの後方で、ストップウォッチを持ったまま軽く構える。

 メジロマックイーンがその場で深く深呼吸をして、足に意識を向ける。

 重りを付けた時の足の使い方、先程のランニングで学んだことを思い出す。イメージの中で学んだことを思い出して、その点をメジロマックイーンは意識していく。

 そして集中してメジロマックイーンが準備を整えた瞬間、彼女は走り出していた。

 

 

「スタートはまだまだだな」

 

 

 走り出したメジロマックイーンの後ろ姿を見て、麻真が苦笑いする。

 しかしそれはまだ伸ばせるところがあるということ。麻真はそう思うと、前をゆっくりと走るメジロマックイーンを追い掛けるように走り出していた。

 麻真が提示した目標。その最終目標である三分三十秒を切れた瞬間、メジロマックイーンは大きく変わる。

 それを期待して、麻真は前を走るメジロマックイーンを穏やかな目で見守ることにした。

 

 

 

 

「ん……?」

 

 

 

 

 しかしそこで麻真はとあるモノが視線に入った。

 練習場の端にある茂みに隠れるようで隠れ切れていない尻尾と頭が見えていた。

 鹿毛の耳と尻尾が不自然に飛び出ていて、小さな子供のような体型のウマ娘が麻真をジッと見つめていた。

 

 

「なんだ? アイツ?」

 

 

 麻真がそれを見て、一瞬だけ怪訝な顔を見せる。

 だが麻真は、それを見てすぐに視線を逸らしていた。

 おそらく、関わらない方が良い。麻真は直感でそう思った。

 不思議とそれは正しいことだという確信が、何故か麻真にはあったからだった。

 




読了、お疲れ様です。

今回も時間掛かりました。
拙い文章だったら申し訳ないです。
今回は練習回。それと後々の伏線です。
誰でしょうね?最後のウマ娘は?

今後の展開にご期待ください。

では、また次回の更新でお会いしましょう!

追記

さて、皆様にご報告です。
今回、私はちょっとした企画に参加致しました。
皆様がご存知か分かりませんが、
サイレンススズカの作品『十五夜にプロポーズでも』の作者であるちゃん丸さんの企画『ウマ娘プリティーダービー企画短編集』に私、参加しています。
ランキングによくウマ娘の作品を載せている作者様方が多いので、良ければご覧ください。あのタマモクロスの方や、ダイワスカーレットの方などなど。
ちなみに私は、本日の21時に公開させる予定です。良ければご覧ください。
メジロマックイーンを目当てに皆様が私の作品を読まれていると承知していますが、機会があればよろしくお願いします。
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