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トレセン学園に落ちた巨大な落雷。落下地点には意識を失ったイクシオン…。そのままその場と周囲が爆音と衝撃波、閃光に包まれる。そのまま土煙が晴れると共にゆっくりと目を開ける。
「…イクシオン、じゃないな…。…誰だ?」
そこに立っていたのは意識を失っていたはずのイクシオン…だが、目つきも纏っている雰囲気も何もかもが違う。そして絶対唯一の違いは銀髪をかき分けて伸びる黄金色の角。
「…やれやれ、随分と無理矢理に引っ張り出してくれたもんだ。それで?私を引っ張り出していったい何のつもりだ?」
どうやら二重人格だったらしいイクシオン。威圧感たっぷりのその言葉を受けながらも残っている他の生徒達を下がらせる…もちろん医療スタッフもだ。
「答える気は無しか…出て来るつもりは無かったんだ。それを無理矢理起こされて、私は今機嫌が悪い。」
「…だからなんだってのさ」
「…ほう?」
一歩前に出てそう言ったのはトウカイテイオー。そんなテイオーの脳裏に浮かぶのは皐月賞の後の、しっかりとかわした握手…そして日本ダービーでもう一度戦おう、という約束。
「そ、そんなふうに脅かしたって僕は全然怖くないぞ…!!それに日本ダービーでイクシオンにリベンジするんだ…!!早く身体を元のイクシオンに返してよ!!僕の大事な…友達で、ライバルなんだからさ!」
「ほーう?言うじゃないか、ゴミが。好敵手《ライバル》?こいつと貴様が?」
と、軽く右手を持ち上げ手のひらを上に向ける。そして負けた手の平からバチバチと雷が漏れ始める。
「面白い冗談だな?貴様とこいつがそうだと言うならば、我が主神から授かりしこの雷…受けてみよ。見事耐え抜いたならお前のその望み、叶えてやろう!」
そのまま右腕を大きく振り上げる、同時に周囲にバチバチと放電現象が起こる。漂う異様な空気を感じ取り、明らかにやばい…全員がそう悟り、その場から離れようとする。
「テイオー!お前も離れろ!」
「嫌だ…!こい…お前の雷なんて、こ、怖くないもん!」
「気に入った、ならば手向けとして受け取れ。『サンダラ!』」
そのまま振り下ろされ、雷が降り注ぐと思った瞬間にフィンガースナップの音が聞こえる。その瞬間にはテイオーの足元の地面は焦げてはいるがテイオー自身には何も無く、また振り下ろされる直前だった高く挙げられた右手はすでに振り下ろされている。そしてルドルフとテイオーの前にいるのは、チームリギルのトレーナー…五十嵐 悟。
「やっほー、ドルフ。ただいまー。なんだか僕の出張中に面白いことになってるみたいだね〜?」
「トレーナー…!今はおもしろいと笑える事態ではないぞ。」
「うんうん、大丈夫。事情は大体わかってる〜。」
ちょっと涙目のテイオーを抱えながら深刻そうなシンボリルドルフに対してカラカラと楽しそうに笑う悟。その態度に目の前の黄金色の角を生やしたイクシオンも顔を顰める。そして先ほどよりも不機嫌そうな声で。
「貴様、何者だ。」
「んー?てんっ、さいっ!トレーナーの五十嵐 悟でーす!よろし…「サンダラ!!」おっと。」
五十嵐に降り注ぐ雷、それは妙なタイミングで途切れたと思えば五十嵐の足元は焦げている。そして彼には何一つ怪我は無い。
「貴様…我が雷に何をした?」
「んー?んー、君の雷に、というより世界にかな?まぁ、種を教えてあげるからちょっと大人しくしてな?そこにいるトウカイテイオーの瞬き2回で終わらせてあげるから。」
そういうと、そこからは本当に瞬き三回で終わってしまった。
一回目、目を閉じて再び開いた瞬間にはもう五十嵐が懐に入っており、拳を握って構えている。
二回目、そしてもう一度目を開けばイクシオンは大きく後方に吹き飛んでおり、何が起こったか分からず惚けた顔をしている。その間、何も聞こえず同時に五十嵐は正拳突きをした後のような構えをとっており、その姿勢から戻った後に少しだけサングラスを下に下げて。
「少しは頭が冷えたかな?」
そう問いかける、そして大きく吹き飛ばされて半ば木にめり込むような形になっているイクシオンは軽くため息を吐き。
「ああ。」
と、短く答えた後に五十嵐は良かった良かったと頷く。
「約束だ、種を教えてもらおうか。」
と、目の前のイクシオンが身体を木から抜き出しながら話す。それにサングラスを掛け直した五十嵐はまるで簡単なマジックの種を明かすように答える。
「んー?まぁ、簡単に言うと…当たってない。」
「…はぁ?」
「というよりは当たったと言うプロセスを無かったことにした、かな?」
そういうと五十嵐は両手でピースを作る。そしてそれをまるでカニかザリガニのように開いたり閉じたりする。
「今使った魔法はね、簡単にいうならこの現実という動画をリアルタイムで編集する魔法。これ、僕が創造魔法で作ったやつね。
簡単に言えばこうだ。本来のプロセスなら
まず君のサンダラがテイオーに接近する→トウカイテイオーに直撃→テイオーの身体を伝い有り余る電力が地面に流れる→地面が焦げ、崩壊する。
とまぁ、色々省いたけどそういうプロセスを踏むんだけど、さっきのは
君のサンダラがテイオーに接近する→トウカイテイオーに直撃→なんやかんやでテイオーが傷付き力尽きる→テイオーの身体を伝い有り余る電力が地面に流れる→地面が焦げ、崩壊する。
このプロセスの"トウカイテイオーにサンダラが直撃"、ここから、"テイオーの身体を伝い有り余る電力が地面に流れる。"ここまでを切り取って無かったことにした。だからさっきの攻撃も君は僕の接近に気付かなかったし、君は僕の攻撃を防げなかった。てわけ。」
「…規格外だな。本当に人間か?」
「人間だよ。てんっさいっ!で、ちょっと凄いだけさ。」
まさに傲岸不遜といった感じでカラカラと笑いながら五十嵐はそう言う。そしてイクシオンは疲れた様子で座り込む。
「はぁ…些か疲れた。私はそろそろ引っ込む。」
「あらー、そう?僕としてはもう一人のイクシオンともお話ししたかったんだけど。」
「たわけ。私はそもそも出てくるつもりはなかった。裏でほんの少しこいつに手を貸してたに過ぎん。それを妙な薬で無理やり引っ張り出されたんだ。」
「なるほどねぇ、犯人も犯人で逃げるの上手いなぁ。」
「…まぁ、私とてあいつの事を心配していないわけじゃない。この体はあくまであいつのものだ。だが、今回私が目覚めたことで何かしらの弊害はあるかも知れない。その時はよろしく頼む。」
「まっかせなさい。僕、てんっ、さいっ!だから。」
「…なら…頼…む、ぞ…」
と、イクシオンは再び眠りにつく。その場にゆっくりと倒れれば穏やかな寝息を立てて。
「いやぁ、暴れん坊将軍の相手は大変だねぇ…それじゃあドルフも今日はゆっくり休みなさい?あとはぼくがなんやかんややっとくからさ。」
「……あぁ、そうさせてもらおう…」
目の前で起こった大量の不可思議現象を前にして、シンボリルドルフは、考えるのをやめた。
♢♢♢♢♢♢♢♢
「……んんっ…っ、はぁ…」
身体の硬さを感じながら目を覚ます。なんだか全身の筋肉が固まっているような気がする…筋肉痛なのかな…?なんて寝ぼけた頭で考えながら体を起こす。そして順当に記憶を思い返していって、そうだ…私…!とベッドから起き上がる…まだ身体がふらつく…そんなに熟睡していただろうか…。寝ている場合じゃ無いのに…と油断していると足をもたらさせてしまい、転ぶ。そして地面に激突したわけでも無いのに頭に信じ難いほどの激痛が走る。
「い"い"っだぁぁ〜〜〜〜〜いっ!?!?!?」
思いっきりみっともない声をあげてしまった…。そのまま激痛がした部分…額のあたりを手で抑える…なんか手に当たって邪魔だなとすりすりとその部分を触る…。んん?と違和感を覚えた後に洗面所へ。鏡を見た瞬間に叫んだ私は悪く無いと思うんです…。
「なんですかこれ〜〜〜〜〜っ!?!?!?」
その後キッチリと会長さんからお叱りを受けました…でも、しょうがないじゃ無いですか…。
鏡を見たら、自分に黄金色の角が生えてたら誰だって盛大に叫ぶと思うんです…。
♢♢♢♢♢♢♢♢
あの後、会長さんから色々と私が倒れた後のことを聞きました。結果から言うと…はい、私にも盛られてました…というか、むしろターゲットは私だったそうです。持った犯人は食堂のアルバイトくんらしいのですが現在、取調べでも何も得られていない状態だそうで、薬か何かによる精神操作を受けた可能性があるそうです。そして目下の1番の問題は。
「…なんですか、これ。」
「角だ。」
「角だな。」
「角、だよなぁ。」
「角」
「美しい角だねぇ…」
「デェス…」
「oh…it's great horn…」
と、皆さんマジマジと私の額から生えている黄金色の角を見ています。というか…めちゃくちゃ邪魔なんですけど!?
簡単に言えばフロントの長い車に乗っている感覚です…。いや、あれより酷いかもです…まず何より角の長さが分からないから不意にぶつけたらめちゃくちゃ痛いです、はい。ぶつけた時の衝撃がダイレクトに頭蓋骨に伝わってめちゃくちゃ痛いです…。しかもこの角、凶悪なことに重さがほぼありません…。
「それで、この角…どうしたら良いですかね…?」
「さぁ?」
と、こんな状況でもポ○ンキーを食べるトレーナーさん。…そりゃそうか、改めて考えてみればいきなり担当のウマ娘からトラブルがあって目を覚ましたら角が生えてました、なんて俄かに信じられるだろうか?
「まぁ、そのまま気にせず生活したらいいんじゃない?きっとその方が面白いよw」
「完璧面白がってるよな?トレ公…。」
「うん、だって自分の最高傑作のウマ娘から角生えてるんだよ?そりゃ面白いよw」
あっはは!!と爆笑するトレーナーさん…。まぁ、トレーナーさんの言う通り気にせずに生活していけばいいのだけれど…。
「とまぁ、いろいろアクシデントはあったけど…あと一週間で日本ダービー、優先すべきはそっちだ…みんな、今からちょっと詰めていくよ?」
その通りだ、私は日本ダービーとオークス。他のみんなも色々まっているレースがある。その声を聞いてみんなの顔が引き締まる。かく言う私もそうだ。
「と言うわけで、イクシオンの角の話はおしまい。ほら、みんなさっさと着替える!!」
と、トレーナーさんのその言葉と柏手を皮切りにみんなが一斉に切り替わる…そうだ、角一本なんかで立ち止まっていられない…。
だけど私は、この時気づかなかったんだ。この時を皮切りに…。
自分の身体がどんどん"化け物"に変わっていっていることになんて。
改めて見返してレース描写が単調気味になってきたと思うこの頃、どう思いますか?
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このままでも、ええねや。
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勉強してこい、ボケナス
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ポチンキ()