破神の愛馬のお話   作:elf5242

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その15

今日も今日とて、トレーニングの日々。どうもイクシオンです。あの大規模な事件から丸一週間。爪痕は若干残りつつあるものの理事長さんと会長さんが警察の人と連携して色々やっているそうです。これでひとまず収束すると良いんですけど…。と気にしてる場合ではありません。

 

『ブッブー、判断が遅い!!…どう?似てたぁ?あははは!』

 

「はぁっ…はぁっ…!クッソ…!腹立つ…!」

 

現在、私とエアグルーヴさん、ナリタブライアンさん、ヒシアマゾンさんでトレーニングルームで瞬発力トレーニング中です。トレーニング内容は簡単です。自分を中心に半径5mで配置された八つの柱とそれに設置されたLEDの内蔵されたボタンがあり、点灯したボタンを押していくだけです。

レベルは優しい順から、easy、normal、High normal、hard、Berry hard、super hard、extra hard、lunatic、ultimate、の順です。そして現在の挑戦者はヒシアマゾンさんです。

 

「というか、判断が遅いってなんだよ!?!?途中で点灯するボタン変わるとか聞いてねぇぞ!」

 

「それを含めて判断が遅いのだろう、たわけ。」

 

「同感だ。」

 

「あはは…」

 

そう、このトレーニング…berry hardから鬼畜になっていくのである。まずはこのトレーニングに使われる柱なんですが一つの柱につきボタンが5個あります。優しい難易度だと一個の決まった場所しか点灯しませんが、難易度が上がるごとに点灯する可能性のあるボタンが増えていき、さらに難易度が上がると急に点灯するボタンが変わったりするのです。そして一定時間内にボタンを押せなかったり、間違えたボタンを押すと、先程のヒシアマゾンさんのようにトレーナーさんの声で煽られ…怒られます。現在ヒシアマゾンさんはextra hard…というかみんなextra hardです…。

 

「ヒシアマゾン、変われ。次は私だ。」

 

「おーう…私はちょっと色んな意味でクールダウンしてくるわ…」

 

と、ヒシアマゾンさんとナリタブライアンさんが交代します。そしてナリタブライアンさんが端末を操作します。トレーニングを始めるにはまずこの端末を操作しないといけません。

 

『メインシステムッ、チャレンジャーデータの認証を開始っ。』

 

この時点でちょっとイラッと来ますが、落ち着いてください…この訓練怒れば怒るだけ、成果が下がります。

 

『メインシステムっ、トレーニングモードきどー!!君になら!出来るはずだ!…愛してるんだ、君たちをあはははははっ!!!』

 

トレーナーさんはっちゃけてるなぁ…この声全部トレーナーさんらしいです()

なお、生のウマ娘だと hardも突破できない模様…会長さんはlunaticを最近クリアしたみたいです。一回のトレーニング時間はクリアしておおよそ5分…瞬発力の他に観察力や判断力、反応速度も鍛えられて一石四鳥とか言ってますが割とキツイんですよ?これ。

 

『難易度を選択して下さ〜い』

 

「…extra hardだ。」

 

『りょーかい〜、extra hardのデータを読み込み中…ちょっと待ってて下さいよっ!』

 

あ、ナリタブライアンさんが凄い拳握ってる…耐えて下さい…後機材壊さないで下さいね…?

 

『そろそろ出番だけど、準備出来てるぅ?』

 

「……」

 

『もう準備出来てるのかなぁ?』

 

「……」

 

『それじゃあ、やろうかぁ。あはははははは!!!』

 

全部の柱のボタンがランダムに点灯した後に全部消灯する。そして。

 

『さてと、じゃっ!いっちょ行きますか!』

 

と、トレーニングが開始される。最初は確定で真後ろ…見事にナリタブライアンさんが反応し、真後ろの柱の真ん中のボタンを押します。そのあとは完全にランダムです。ちなみにズルしようとして最初の柱の近くにいようとすると『聞こえてるー?そっちじゃないですよー、あれれー?もしかしてビビっちゃってる?自信無いー?あははははっ!!!』と、永遠と煽られてトレーニング開始できません。なのでズルはできないようになってます。

 

「シッ!」

 

その後もその隣の柱、そこから真後ろの柱と次々にボタンを押していきます。

 

『クリア率ぅ、30%ぉ。ここまでだったら誰でも出来るんだよー?』

 

と、音声が流れればパターンが変わります。端末を中心に見て右斜め前の柱、その真ん中のボタンにナリタブライアンさんの右手が届く50センチ手前付近で急に点灯するボタンが真ん中から一番左端に変わります。

 

「…っ、ふんっ!」

 

それを見たナリタブライアンさん、咄嗟に右手を止めて引き立つ左手でボタンを押します。が、部屋の中にアナウンスが流れます。

 

『反応速度遅くなってるよー。ねぇ、これやばいんじゃなーい?』

 

「…チッ!」

 

すぐさま他の柱のボタンを押しに行くナリタブライアンさん。一つのボタンが光っている秒数はおよそ2秒…正確には2.5秒。迅速な判断力、機敏な反射神経、正確な観察力…全て持ち合わせないとextra hardクリアなんて夢のまた夢です…。本当にどっかのテレビ番組のセットか遊園地のアトラクションのようですがマジでトレーニング施設です。その後もフェイントをなんとか反応しながらトレーニングは続いていきます。

 

『クリア率ぅ、60%ぉっ!折り返し地点ですよー!』

 

トレーナーさんの声が段々とテンションが上がっていく…本当に煽るの好きなんだな…この人…。ちなみに60%を超えると対角線上の柱のボタンが光る確率がかなり高くなる…しかし対角線ばかり気にしてると他が疎かになる…なかなかに難しい。

 

『反応速度落ちてるよー!あれれー?もしかしてへばっちゃったぁ?あはははははっ!!!』

 

「……っ!!」

 

あ、歯軋りの音が聞こえた…そしてしばらく粘ったナリタブライアンさんもフェイントに引っかかり、別のボタンを押してしまう。

 

「しまったっ…!」

 

『はいっ!おしまい!!ぎゃはははははっ!!まぁ、ちょうど良いんじゃない?ゴミ虫にしてはさぁ。』

 

「ーっ!!」

 

あ、ナリタブライアンさんが柱殴った。ちゃんとウマ娘が八つ当たりしても良いように作られているのか、ちゃんと柱にクッション素材まで用意している周到さ…だけどこの煽りボイスはないんじゃなかろうか。

 

「はぁっ…はぁっ…」

 

「出てくれ、交代だ。ブライアン。」

 

「あぁ、すまない。」

 

「気にするな。」

 

エアグルーヴさんとナリタブライアンさんが言葉を交わした後に入れ替わり、今度はエアグルーヴさんがトレーニングルームへ。そして部屋の中央の端末を操作します。

 

『メインシステムっ、チャレンジャーデータの認証を開始ぃ。』

 

『メインシステムぅ、トレーニングモードきどーぅ!君にな』

 

「喧しい、extra hardだ。」

 

『りょーかい、extra hardのデータを読み込み中…しっかり準備しなきゃダメだよ!!』

 

はっちゃけたトレーナーさんボイス…多分これで心折れてこのトレーニングルームへ寄り付かなくなった子もいるんだろうなぁ、なんて考えながらエアグルーヴさんのトレーニングを見る…少なくとも後1週間後にはエアグルーヴさんとオークスで直接対決する事になる。

 

『それじゃあっ、頑張ってねぇ!!』

 

そして、カウントの音声が鳴り始め、そしてブザーが鳴ると同時にトレーニングが開始される。最初は確定で真後ろ。その後連続で左回りにボタンが付いていく。そして右斜め前の柱のボタンを押せばその対角線上の柱のボタンが光る。

 

『クリア率30%ぉ!ほら、頑張れ頑張れぇ。』

 

煽りボイスも無視してエアグルーヴさんが淡々とボタンを押していきます。それもかなりのハイペース。タイミング的には本当に光った瞬間には押されている感じです。

 

『クリア率60%ぉ!良いじゃぁん、盛り上がってきたねぇ!!』

 

はっちゃけてきたなぁ…ナリタブライアンさんの時とはボイスが違ってます。どうやら裏でボタンを押した時間に応じてなにやら得点が加算されているようだ。

 

「はっ…はっ…すぅっ。」

 

『もしもーし?反応落ちてきてるよー?集中して下さいよー?』

 

トレーナーさんの煽りボイスにも一切耳を貸さず、着々とボタンを押していきます。反応速度が落ちてるのも息を入れた直後なので、誤差はほとんどありません。

 

『クリア率90%ぉ!!』

 

と、一番高いテンションでトレーナーさんの音声が響き渡ります。そして着々とクリア率のゲージが溜まっていきます。92…93…94…。

 

「はぁっ…!はぁっ…!」

 

96…97…98…99…そして最後の一個、最初と同じ初期位置から真後ろの柱…5つのボタンがランダムに点灯していき、一番右端に点灯した瞬間、それを見逃さなかったエアグルーヴさんの手によってボタンが押されます。

 

『extra hardクリア〜。なかなかやるじゃない、それなりにはさぁ。』

 

と、トレーナーさんの音声が鳴ると同時にエアグルーヴさんがトレーニングルームから出る。

 

「お疲れ様です、エアグルーヴさん。」

 

「あぁ、だがすでに会長はこの上にいる…精進しなければ。」

 

エアグルーヴさんの上昇志向は本当に見習わなければ…。そして私もトレーニングルームへと入る…大丈夫、私なら出来る…もう一人の私の力を借りなくてもこのくらい…。

 

『メインシステムぅ、チャレンジャーデータの認証を開始ぃ。』

 

端末を操作すればアナウンスが聞こえて来る。指紋認証をすればすぐにモードが切り替わる。

 

『メインシステムぅ、トレーニングモードきどーぅ!君になら、出来るはずだ!…愛してるんだ、君たちをあはははははっ!!!』

 

…本当にはっちゃけてますね、ストレスとか抱えてなさそうですけどね…トレーナーさん。そして早速難易度を選択して構えます。

 

『それじゃあ、頑張ってねぇ!!…この難易度、気にいると良いけど。』

 

ブザーがなり…トレーニングが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異変はその日の夕食の時だった。相席になったのはよく食べるオグリキャップさんにスペシャルウィークさん、それについて来る形でタマモクロスさんとスーパークリークさん、そこに私を加えた五人だ。

 

「オグリとスペ…あんたらホントよくそんな量食えるなぁ…。」

 

「そうだろうか…?皆のことを考えて少し抑え目にしたんだが…」

 

「そうですよ!あとこれくらいなら3倍はいけます!」

 

そういう私たちの目の前には揚げ物やその他のおかずで出来た東京タワー…いえ、会場的にはサ○シャイン60でしょうか?それが二つ並んでいます…見てるだけでお腹が少し膨れて来ます…。タマモクロスさんはお好み焼き…スーパークリークさんはパスタのセット…私はカレーライスです。

 

「まぁ、残さんのやったら良いけどな…あんたらはそこら辺はちゃんとしとるさかい…」

 

「あぁ、食べ物を粗末にするのは良くない。」

 

オグリキャップさんとスペシャルウィークさんが食べ始めたのを見ればみんなも各々の食事に箸やフォークをつけ始めます。そして私もカレーライスに手をつけ始めます。

 

「……っ!?」

 

口の中に広がったのは…見知ったカレーの風味ではなく嫌悪感にも近い不快感。その不快感に全身の毛が思わず逆立ちます。

 

「…?大丈夫ですか?顔色悪いですよ?」

 

「……っ!?!?げほっ!げほっ!!」

 

まるで無味無臭の細かい砂の塊を食べているような不快感…その不快感に思わず口を押さえながらスプーンを取り落としてしまいます…。不快感に耐えきれず思わず咳き込んで吐き出してしまいます。

 

「なぁ、ほんまに大丈夫なんか…!?そこのあんた、医務スタッフ呼んできいや!」

 

「大丈夫ですか…!?イクシオンさん!!?」

 

「はぁっ…はぁっ…」

 

「大丈夫…!?ゆっくり、無理しないで飲んで…。」

 

真っ青な顔で口元を押さえる。スーパークリークさんが持って来てくれた水をゆっくりと少しずつ口に含む…多少は不快感が流されたような気がするがそれでもまだ口の中は不快感でいっぱいだ。

 

「こっちや!」

 

「私も手伝おう。」

 

身体に力が入らない…思うように動かない…そこまでの不快感で。そのまま駆けつけてくれた医務スタッフの人とオグリキャップさん、タマモクロスさん達で担架に乗せられて医務室へと運ばれて、その日は医務室で夜を明かした。

 

その日から、私は暫くの間…まともな食事は取れなくなった。

改めて見返してレース描写が単調気味になってきたと思うこの頃、どう思いますか?

  • このままでも、ええねや。
  • 勉強してこい、ボケナス
  • ポチンキ()
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