「…ん…」
目を覚ませばゆっくりとベッドから身体を起こす。熟睡した後のような少しの間の微睡を感じながらも、少し薬の匂いが鼻に付く。どうやら病院のようだ…。
「…何が、あったんだっけ…」
ゆっくりと自分の記憶を思い返す…レースがあったのまでは覚えている…それから無我夢中で走って…それからどうしたんだっけ…?と、レース開始直後からゆっくりと思い出していく。
「そうだ…ゴールした後に倒れて…」
と、そこまで思い出したようでベッドから立ち上がればすぐさま身体を動かす。
「いっ、つつつ…やっぱりちょっと固まってるかも…。」
屈伸、伸脚…脚を中心にゆっくりと足首から順にほぐしていく。もう十分休んだ、寝てる暇はもう無い。壁を使い、脚をあげ踵を壁につけるようにして股関節を解していく。
「よし…大丈夫「何をやってる貴様」いたいっ!?」
後ろから頭を誰かに何かで叩かれます…重量感もあるし割と痛い…振り返ればエアグルーヴさんが大きいハリセンを持ってます、おそらくそれで叩いたのでしょう…。
「全く…病み上がりの身の上で無理をするな。また倒れられても困る。」
「は、はい…」
と、頭をさすりながら答えます…割と結構な勢いで叩かれたのでまだ頭がジンジンします…一体何で出来てるんですか、そのハリセン…。っと、そういえば聞きたいことがあったんでした…。
「あ、起きましたか…?」
と、サイレンススズカさんも病室に入ってくる。エアグルーヴさんに叩かれたこともあるのでベッドに大人しく戻る。もちろんオークスで争った二人も近くに椅子を持ってきて座る。
「あの…それで、オークスの…レースの結果はどうなったんですか?」
と、一番聞きたかったことを聞いてみる。私は結果を見る前にばたんきゅーしてしまったので映像審議の結果を知らないのだ。それを聞くと、二人は顔を見合わせた後に二人揃って笑い出す。
「えっ…?ちょっと…」
「いやぁ、ライブは大変だったなぁ。スズカ」
「そうね、私達二人でも盛り上がったけど、"主役"がいたらもっと盛り上がったでしょうね。」
クスクスと笑いながら話す二人…いきなりのことに私の理解は追いつきません…。
「え…?えっ…?」
「ふふふふっ…」
と、困惑してる私に対してエアグルーヴさんが手を差し出して来ます。そしてにこやかに笑ってるエアグルーヴさんが口を開きます。
「おめでとう、お前の勝ちだ。」
「え、は…はい?ありがとうございます…?」
エアグルーヴさんから言われた優勝したことに対しての言葉に対してはてなマークを大量に頭に浮かべながら受け取る。未だにぶっ倒れた私が一位だってことが信じられないんですが…だれか、わたしの両方の頬を引っ張ってほしい…。
「映像審議なんだけど、本当に鼻差も無い爪先の差だったのよ。だから、誰が勝ってもおかしくなかったの。」
と、リンゴを剥きながらサイレンススズカさんもそう言います…本当に…?私が…?
「それに私達…納得したのよ。倒れちゃった貴女の姿に。」
「…納得…ですか…?」
「そう。倒れるくらいの全力を出した貴女に、それすら出し惜しみしてた私達が勝てる道理が無いもの。」
と、語るサイレンススズカさん…内心は悔しいんでしょう…果物ナイフを握る手に若干力が入ってます…そんなに力んだら手切っちゃいますよ…?
「だから…次こそはね、貴女とお互いに…それこそ倒れちゃうくらいに本気で走りたいと思ったの。それでようやく、貴女と対等に戦えると思うから…だから次は、絶対負けない。覚悟してね。」
確固たる強い意志を感じた瞳からの視線をぶつけられれば…なんだか認められた気がして…なんだか嬉しい…。
「はい…受けて立ちます…!」
と、硬い誓いを交わしたところで、お見舞いに来てくれたエアグルーヴさん、サイレンススズカさんと一緒に即日退院。お医者さんの話曰く、疲労と軽度の低酸素症が重なった結果らしい。なので昨日から1日たったいま、退院してもオッケーだそうだ。そして退院したらみんなに帰還と改めての歓迎の挨拶を貰った…神様、破神様…こんな化け物の私ですが…ここにいても良いんでしょうか?
♢♢♢♢♢♢♢♢
「はっ…はっ…!」
というわけで調整も兼ねて自主トレーニングです、もちろん挑戦するのはトレーナーさんの煽りが心に来るあのボタントレーニングマシンです。
「はっ!…シッ!」
『クリア率60%ぉ!いいじゃぁん、盛り上がってきたねぇ!』
「はぁっ…!はぁっ…!」
このトレーニングにも慣れて来たようで、トレーナーさんの煽り文句もほとんど聞き流せるようになった。ボタンを押すと同時に素早く切り返し、次のボタンへ。
「はっ、はっ、はっ…すぅ…!」
途中で何度も息を入れながら、ひたすらボタンを押していく。
『クリア率ぅ、90%ぉ!そうだ!それで良い!!』
次々とフェイントを落ち着いて見切りながら、ボタンを押していく。3つ押して1%…96…97…98…99…!
そして、最後のボタン…確定で真後ろだが1秒光ると光るボタンが変わる。それを確認した後に最後のボタンを殴るように押す。
『クリア率100%ぉ!最高だ貴様ぁぁぁ!!あはははははは!!!』
と、トレーナーさんの狂ったような高笑いが聞こえる。そしてトレーニングルームの中央で汗を拭う。他の人達も血の滲むような努力を重ねている頃だろう…遅れをとるわけにはいかないのだ。明日は…いよいよ、日本ダービーだ。
改めて見返してレース描写が単調気味になってきたと思うこの頃、どう思いますか?
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このままでも、ええねや。
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勉強してこい、ボケナス
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ポチンキ()