破神の愛馬のお話   作:elf5242

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その29

どうも、皆さんしばらくぶりです。いつものごとく私です。裏技を使いつつしっかりと足の怪我を治したイクシオンです。え?脚を治した裏技ですか?言わせないでくださいよ、恥ずかしい…事もないんですけどね。普通に電池という私にとってのチートアイテムを使いました。

完治してしばらくはリハビリ兼基礎トレーニングに従事してました。そして今ですが…。

 

「ふぅっ…!ぐっ、ぎぃぃぃぃぃっ…!!!」

 

と、トレーナーさん所有の練習場にて再びトラックと綱引きです。安心してください…まだ優しめです、2トントラックです。やはりブランクは酷かったようで踏み込んでいるとはいえ、少し引きずられちゃいます。蹄鉄の重さもちょっと軽くしてもらい片足40kgずつぐらいにして貰ってます。

 

「っ、はぁっ…!はぁっ…!」

 

会長さ…、こほん。失礼しました、シンボリルドルフさんとライスシャワーさんに軽い宣戦布告のようなものをした後にトレーナーさんに相談したら、「うん、とりあえず容赦しないからね?」との事です…まぁ、血反吐ぐらいだったら死なない程度なら何リットルでも吐きますよ。もう負けたくないんですもん。まぁ、いわゆる負ける意味を知った、という奴です。一部がパン見たいな髪型をした何処かのイタリアのギャングも「人ってやつは、"成功"や"勝利"よりも"失敗"から学ぶことの方が多い。」なんて言ってましたからね…いや、私たちウマ娘をヒトと言っていいのかわかりませんけど…なんか大いに話が脱線しましたね…。

 

「ぎっ、ギギギキギギッ…!」

 

と、2トントラックと引き合いながらジョジョに私が軽トラのタイヤをスリップさせるようになってきて。そしてそのまま少しずつズリズリと引きずっていきます。

 

「だぁぁぁっ…!」

 

と、大きく強く踏み込んだところでバキンッ!と金属が折れるような、割れるような音が聞こえて。そして拍手のような音が聞こえます。

 

「はぁい、終了。まぁ持たせたほうかな?はいこれ。」

 

と、シューズの裏を見れば見事に蹄鉄が割れてます…まぁ、デビュー前もデビュー後も散々踏み砕いて壊しましたから…。とトレーナーさんから新しいものを受け取り、交換します。もう蹄鉄の交換も慣れたものです。お陰でトレーニングシューズは3足くらい履き潰してますけど…。

 

「よし…お願いします!」

 

と、蹄鉄の交換を終えて軽く身体を解せばすぐにトレーニングの体制へ。水分補給はバッチリなのですぐにでもいけます。むしろ私には時間が無いので休んでる暇すら惜しいのです…。二つのレース、負ける気で挑むつもりは毛頭ありません。

 

「それじゃあ、ちょっと外周走って見ようか。全力で。タイムはそうだね、天皇賞・春のレコードにしようか。誤差は+1秒以内。いくよ?…角もちょっと出して見ようか。」

 

と、トレーナーさんがストップウォッチを手に持ちつつ支持します。この場所の外周が大体菊花賞と同じなのです。そのままスタートの構えを取ればグッと身体に力を込めます。額のあたりに確かな重量を感じればビリビリと身体に心地いいくらいの刺激が走ります…。よし、いける。

 

「シッ…!」

 

僅かにするストップウォッチのスタート音を聞き逃さずにスタートします。もちろん初めっから全速力。目標タイムは天皇賞・春のレコード。まずは直線、快調に飛ばします。一応ここは地質的にはダートに近いので割と足を普通に取られます…。そしてコーナーは鋭く攻めます。

 

「……っ!」

 

ちょっとだけ秋華賞のコーナーの出来事が頭をチラつきます…大丈夫、完治はしてる…でも…と、どこか信じきれない部分もある…ほんの少しだけ攻める角度を緩めて左足への負担を減らそうとします。やはりそこで速度が落ちたのか、その後も挽回しようとしましたがやはりコーナーでの左足への意識が取れず、タイムもレコードに+8秒してしまいました…。

 

「コーナーの時、左足庇ったよね?」

 

「はい…。」

 

「やっぱり怪我が尾を引いてるのかな?」

 

「多分、だと思います…。」

 

「そこ、次までには治しておいてね。練習で自分の脚を信じられないようじゃ勝てるレースも勝てないよ。特にドルフと走るんなら尚更だ。自分の脚を信じられないようなら引退した方がいい。」

 

「…はいっ…!治しますっ…!」

 

「おっけ、じゃあもう一回。」

 

「はいっ…!」

 

と、トレーナーさんから手厳しい言葉を頂きつつ、左脚の庇い癖を治すためにもう一度走ります。ここで折れるわけにはいかないんです。みんなが待ってるんですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう、そこだ。いくぞ?せーのっ!」

 

「なー、そこのそれとってくれへん?」

 

「えーっと、これがあそこにいくから、これがそこで…」

 

「ねー!これ何処だっけぇっ!?」

 

学園内をみんながあちこち慌ただしく走っています。そう、私たちウマ娘がやることはレースもライブもそうですが、応援してくれるファンの皆さんがいてこそ成り立っています。そして今私たちが何をしてるかと言うと、もうすぐファン感謝祭というものが開催されます。それの準備をしてるのです。他の学校で言うところの文化祭です。もちろんセキュリティもカッチリしてます。カチカチです。各チームやクラスごとに出店をするのですが、私たちのところはと言うと。

 

「おかえりなさいませ、お嬢様。」

 

と、他のクラスのウマ娘をシンボリルドルフさん、フジキセキさん、テイエムオペラオーさん、エアグルーヴさんが接客の練習をしてます。それぞれのモチーフ色に合わせた薔薇のコサージュを胸につけた執事服で。私たちの出し物は執事喫茶です。接客は先ほどの4名です。私ですか?私は大したファンもいないので裏方に専念するといって回避しようとしましたが三人がかりで理詰めにされた結果、私も執事服です()

まぁ、衛生面を考えてエプロンと三角巾の着用は認めてもらえたので良しとしましょう。というわけで私は当日出すメニューの食材管理です。発注は食堂のおばさま達と相談しつつメニューは全員で決めました。試作もバッチリです、自信作です。調理係ですか?もちろん私一人ですよ?一度何人か手伝いに入ろうとしましたが私の領域に入ると怪我をしますよ?というのを作業で見せつけて撤退させました。

 

「よし、いい感じだな。」

 

「これなら本番も大丈夫そうだね。」

 

と、四人はバッチリのようです。練習に付き合わされたウマ娘四人は何やら鼻血を出して担架で保健室へと運ばれて行きました…。一体どうしたんでしょうか?

 

「厨房の方はどうだ?」

 

「ええ、食材も器具も全部注文通り…大抵の軽食ならここで作れますよ。」

 

と、エアグルーヴさんから改めて確認をされますが、バッチリです。席の確保もバッチリ、後はどのくらいここを訪れる人が来てくれるか、ですね。実の所私も腕の振るい甲斐があるので楽しみです。こうして誰かのために料理をするのは久しぶりですから…。

 

「と言うわけで、裏方は任せてください。」

 

 

と、右腕を力瘤を作るように曲げた後に左手でポンと叩きます。ちなみにグラスワンダーさんとエルコンドルパサーさんは大食い対決の審判として駆り出されています、タイキシャトルさんは…ごめんなさい、よくわかんないです。ライスシャワーさんはマラソンだそうです。本番もしっかりと裏方です。ええ、軽食でもドリンクでも完璧に仕上げてみせますとも…ただラテアートは流石に簡単なものしかできないので勘弁してください()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてなんやかんやで本番です。表から聞こえてくる黄色い悲鳴を耳にしつつのんびりとオーダーをこなします。ケーキはガトーショコラとチーズケーキ、焼き菓子はマドレーヌやらパウンドケーキやらです。なんでそのかと言うと、楽なんですよね作るの。大量生産しやすいし…まぁ、弟妹達にあげるとホールで作っても5分と持ちませんが…。あと、本当にですが簡単なご飯も作れますよ。凝ったものはオムライスくらいが限界ですが…。

 

『ねー!会長カッコいいでしょ!!』

 

と、どうやらトウカイテイオーさんも来ているようです、私は今オーダー消化で忙しいので後日余ったお菓子でも渡しに行きましょうかね…。シンボリルドルフさんも満更でもないようです。

 

「はい、これが5番テーブルの分、これが7番テーブルです。お願いします。」

 

そのままサクサクとドリンクからフードまでオーダーをこなしていきます。まぁ、デザート系はすでにまとめて作っておいて冷蔵庫にポイ、あとはちゃっちゃとフード系を仕上げちゃうだけなので問題無し、です。

 

「お帰りなさいませ、お嬢様。」

 

と、フジキセキさんがまた一人テーブルにご案内してます。私はオーダー中なので大きな声は出せませんが…。そして10分ほどすれば新規オーダーが通ります。やはり人気のチーズケーキ、ガトーショコラとオムライス、やはりオムライス人気ですねぇ。子供は好きですもんね。ご飯はあらかじめ分量分小分けしてるので電子レンジで。後はそのまま玉ねぎやら角刈りの鶏肉やらスイートコーンやらをしっかり炒めて火を通していきます。同時並行で半熟オムレツの準備もして…割と最近料理してなかったので心配でしたが、割となんとかなるものですね。後はまるまるとしたオムライスに向日葵を描いていきます。名付けるならダンデライオンオムライス、ですかね。

 

「お願いします。」

 

「あぁ、任せてくれ。」

 

出来たオムライスをサッとシンボリルドルフさんに渡します。チーズケーキとガトーショコラは食後と言うことでお皿に準備して冷蔵庫に置いておきます。もちろん皆さんの分もきちんと確保してあるので悪しからず…。その後は洗い物が溜まってきたので袖を捲って洗い物に徹します。と言っても洗い物はほとんどスプーンやフォークなどのシルバー類だけなんですけどね。豆知識としてスプーンとフォークなんかは全部銀で出来てたみたいですよ。銀は毒に反応するらしいので毒が入ってるかが分かったとか…昔の人って凄いですねぇ。と、ホールの方に耳を傾けてみると何やらちょっと騒がしいですね…?

 

「…お姉ちゃんのと一緒の味がする…」

 

聞こえてきたその言葉にビクッと身体を離させます、まさか…誰か来てるの…?なんて予感がします…たしかに弟妹達にはよくオムライスを作ってあげてました。料理も全部シスターから習いましたし…。いやでもそんな都合のいいこと…あるわけ無い…いやでも声には聞き覚えはあるし…。

 

「あいたい…!」

 

会いたい、その気持ちは痛いほど分かる。足を怪我した時に何回も思った…だが言わないで欲しい。私も耐えてる、だから…!と私の願いは虚しく…。

 

「…っ…うわぁぁぁぁぁぁっ……!!じおんおねえぢゃんにあいだいよぉぉっ…!!」

 

…聞いた、聞いてしまった。確定だ、私の大事な弟妹の一人だ…。本当なら今からでも飛び出して行きたい…抱き上げてあやして上げたい…けど、まだダメだ…。思わずシルバー類を握る手に力が入り、フォークが歪んでしまう…ちょっと一旦離れよう…エプロンを脱ごうとした瞬間に肩を叩かれる。

 

「ご指名だぞ。」

 

「…エアグルーヴさん…っ…!」

 

「いけ、お客様を待たせるな。」

 

と、わたしから強引気味にエプロンを剥ぎ取ればトン、と背中を押されて…。

此処までしてくれたんだ…行こう…。とそのまま泣いている妹のところまで行けば…。

 

「全く…しょうがないなぁ。」

 

そのまま後ろから脇の方に手を入れてひょい、っと持ち上げてこっちを任せて抱き上げる。

 

「…ぐずっ…おねぇちゃん…?」

 

「いつまでも泣かないの、おめかしもして美人さんが台無しだよ。」

 

と、泣き止むまで背中を叩いてあげる。ちょっとだけぐずりがおさまった頃合いを見計らって。

 

「…お歌、歌ってあげようか。何が聞きたい?」

 

「…ポポのやつ…」

 

「…シスターも好きだったもんね、いいよ。」

 

と、リクエストが来れば笑顔でそのままリクエストを受け入れる。みんな歌ってた歌だ…もちろんずっとシスターといた私も…。

 

『E Le Vu Sha Ki La Ku Pa Di Ma To Ka Lei

PoPo Loouise PoPo Loouise

栗の木の下で抱きしめた 真っ黒なPoPo Loouise』

 

『宝物の箱をママが捨てた するとパパはだまって窓を全部閉めた

愛を探して僕は居るよ こまくの海に口笛が泳ぐ』

 

…これを歌うたびに思う、もう私達に愛と優しさをくれたシスターはいなくなっちゃった…。これからはわたしがシスターみたいにならなくちゃ…。だって、この子達はまだこんなにも小さいんだから。

 

『サボテンの花が咲く季節に また逢えるまた逢おう

E Le Vu Sha Ki La Ku Pa Di Ma To Ka Lei

PoPo Loouise PoPo Loouise』

 

サボテンの花が咲くのは春先から夏の終わりぐらいらしい。そう言えばこの子が来たのも春先だった気がする。その時にポポっていう犬を飼ってたんだっけ。一番この子に構ってあげてたな…ポポ。そんなポポもこの子が来たつぎの春先に虹の橋を渡っちゃったんだけどね…。その時はなくこの子を一日中シスターと一緒にあやしてたな…。

 

『水玉模様の石を拾う 青いナイフでハートに丸く刻みこむ

僕は知ってるあなたのことを まぶたの波にこずえが揺れる』

 

…もうシスターには会えないけど、この子には…ううん、この子を含めた弟妹達にはまだわたしがいる。この子達のためなら、まだいくらでも強がれる。

 

『サボテンの花が咲く季節にまた会える また会おう

満天の星空を探して君の名を唄ってる』

 

『きっとコンドルは待ってるよ あの山の向こう側

E Le Vu Sha Ki La Ku Pa Di Ma To Ka Lei

PoPo Loouise PoPo Loouise』

 

…歌い終わり、腕の中を見てみればすっかり夢の中。泣き疲れたのもあるのだろう。起こさないようにそっと、引き取ってくれた親御さんに渡して。

 

「この子を、よろしくお願いします。」

 

と、頭を下げる。そして注文のデザートはきっちりとお持ち帰りの形で渡して。

 

「…おねぇちゃ…また、会える?」

 

色々やっていたらどうやら起きてしまったようだ…そのまま頭を撫でてあげて。

 

「サボテンの花が咲く季節にまた会えるよ。」

 

そう言って、手を振って見送った。ずっと見えなくなるまで。その後は普通に周りの人に頭を下げた後に裏方業務に戻りました。

 

…その後何故か、私が歌った姿が動画サイトに挙げられてちょっとだけバズったのは秘密です。

 




気まぐれで書いてみる…。

【ゲイル・アンド・ライトニング】イクシオン
レアリティ 星2
固有技能 エアロスパーク(星2)
最終コーナーに差し掛かるまでに5位以上になると、身体に走る電撃と共に周りの加速効果を打ち消しつつ自身を加速させる。

【破神の愛馬】イクシオン(レアリティ星3以上)
トールハンマー(レアリティ星3以上)
最終コーナーに差し掛かるまでに5位以上になると、轟く雷鳴と共に周りの加速効果を打ち消し、疲れやすくしつつ自身を加速させる。

ステータス
スピード 111(6%)
スタミナ 109(6%)
パワー 90(6%)
根性 89(6%)
賢さ 91(6%)

距離適正
短距離 B
マイル B
中距離 B
長距離 B

脚質
追い込み B
差し A
先行 A
逃げ C

スキル
直線加速
牽制
垂れウマ回避

覚醒レベル2
ポジションセンス

覚醒レベル3
直線回復

覚醒レベル4
根幹距離

覚醒レベル5
ハヤテ一文字

改めて見返してレース描写が単調気味になってきたと思うこの頃、どう思いますか?

  • このままでも、ええねや。
  • 勉強してこい、ボケナス
  • ポチンキ()
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