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「はぁっ…はぁっ…!」
「イェーイ!エルの勝ちデース!!」
数日後、五十嵐トレーナーの指示の元、私はチームリギルの面々に揉み扱かれていた。
「はい、お疲れ様二人とも。エルは一旦休む為に学力トレーニングに入ろうか。ブライアン、エルについて二人で過去のビデオ研究だ。よろしく。」
「了解した、いくぞ。」
「え?ちょっ…ウェイウェイ…!?ま、待ってくだサーイ!」
と、プロレスで使うようなマスクを被ったウマ娘エルコンドルパサーさんと印象を一言で言うなら狼といった印象を持つウマ娘、ナリタブライアンさんがその場を離れていく。
「タイキー、おいでー。」
「oh!呼びましたカ?トレーナー?」
「この子のインターバルが終わったら次はタイキと短距離で模擬レース5本ね。」
次はタイキシャトルさんが模擬レースのお相手らしい。少し息を乱しながらも立ち上がって。
「よろしくお願いします…!」
「OK!トレーナーが目を掛けたなら貴女は間違いありまセン!私で良ければお相手しマース!」
気持ちのいい笑顔にこちらも笑みを返しながら、アラームが鳴る。インターバルは終わり。練習のスタートラインにタイキシャトルさんと並ぶ。スタート役兼撮影はエアグルーヴさん。
「それではゆくぞ…はじめ!」
その声と共にタイキシャトルさんと同時に走り出す。距離は1200…短距離に分類される距離、タイキシャトルさんの得意距離だ。走り出してもう800m地点だというのに1バ身以上距離が離れている。そのまま差を保たれてゴール。最終的な距離は1バ身以上の差が離れていて。
「はっ、はっ…強い…」
「当然デース!」
「まぁ、レベルが違うからねぇ。インターバルは5分。タイキとの短距離が終わったら次はグラスワンダーと長距離に行こうか。」
「はいっ…!」
チームリギルのスパルタトレーニングは本当にスパルタだった。
「早速なんだけど、君……着替えて来て?」
と、言われて着替えれば軽い柔軟の後にすぐさまトレーニングだ。トレーナーさんからは「大丈夫大丈夫、君がどれくらい動けるかの確認だからw」と言っていたがこれは確認じゃ無い…固めのトレーニングだ。インターバルが終わればまたタイキシャトルさんとまた短距離。
「はっ…!はっ…!」
「ふぅ、いい感じデース!これならすぐに即戦力ですネ!」
「ありがとうございます…!」
タイキシャトルさんの言葉にお礼を返しつつも割と全然余裕はない。それに比べてタイキシャトルさんは5本走ったにも関わらず表情はちょっぴり疲れたかな?程度。化け物すぎる。
「グラスワンダーを呼んできまース!もう少し休んでてくださいネ!」
「は、はい…」
そうしてタイキシャトルさんが走って行けば、不意に風が吹く。冷たさが心地よく酷使した脚を冷やしてくれる。さらにかいた汗がさらに風を心地よくしてくれる。なんだか今日はぐっすり眠れそうだ。
「ではグラスワンダー、後をお願いしマース!」
「ええ、ではイクシオンさん。よろしくお願いします。」
「はい…!お願いします!」
「距離3000、一番グラスワンダー!二番イクシオン!…はじめ!」
それを合図にグラスワンダーさんとの長距離が始まった。
♢♢♢♢♢♢♢♢
「そうそう、頑張れ、頑張れ。」
と、グラスワンダーと長距離を始めたイクシオンを見つめる五十嵐。今は目隠しでは無くサングラスを着用していて。そんな彼の隣にはシンボリルドルフ、生徒会のデスクワークを終わらせて来たらしい。
「調子はどうだ、トレーナー。」
「うん、やっぱり凄いね。彼女、一種の天才ってやつだよ、自分では気付いて無いと思うけど。」
「先程から見ていた、彼女、おそらくだが…」
「うん、世界中探してもいないよねぇ。多分彼女に走れない距離も脚質も無いよ、多分。バ場の影響は多少なり受けるとだろうけどね。あと、異常なのはその脚の回復速度だ。」
「まさに掘り当てたのはトレーナーおあつらえ向きの原石だったわけだ。」
「うん、鍛えて行けば確実に化けるね。まぁ、でも今はあんなもんかな?まだ慣れてないし。本格的な彼女専用トレーニングもまだだしね。まぁ、君のトレーニングを丸々流用すれば大丈夫でしょ。」
「加減する気は?」
「そりゃ無理だ、彼女にも君にも申し訳ないけど。」
なんていいながら五十嵐がサングラスを軽く下に向けてずらし、日本人には珍しい碧眼でシンボリルドルフを見る。
「みんな、慎重に扱いすぎなんだよ。だから仕上げ方も中途半端になる。」
「こんな乱雑にするのはトレーナーくらいさ。」
「まぁねぇ…それに彼女、たぶん自分のために走ってるんじゃ無いよ。」
「ほう?」
「あの目を見てごらん…あれはたぶん、誰かのためだ。僕にその誰かは分からないけど、目は口ほどに物を言うからね。まぁ…興味があったら聞いてみたらどうだい?」
「そうしてみるとしよう。さて、私も着替えて参加してくるとするか。」
「あっそ、じゃあグラスワンダーが終わったら次、君とイクシオンね。オペラオー、柔軟に付き合ってあげてー。」
そういうと、そろそろゴールしそうな長距離の模擬レースを見ながら、ゴール地点に向けて、スタスタと五十嵐は歩いていくのだった。
♢♢♢♢♢♢♢♢
「あー…」
その日の夜、練習を終えて入浴を済ませて戻ってきた寮の部屋のベッドですぐさま横になる。リギルのトレーニングがあそこまでスパルタだとは思わなかった。最終的には生徒会長、シンボリルドルフと長めのインターバルを取りながら模擬レース20本…まさに皇帝の名に相応しい走りで一番近くても1バ身は離れてしまう。いや、違う。あのプレッシャーに私が押し負けてそれ以上近づけない。
「…メンタル面か…」
こればっかりは場数を踏むしか無いのだろう。精神は身体と違って時間をかけるしか無いのだから。
『君に必要なのはまず自分の身体を知る事。何が得意で何が不得意なのか…君にはまずそれが足りて無い。それが無い時点で君はまずスタートラインにすら立ててない。今日はその為に模擬レースを中心とした擬似的実戦訓練だ。』
着替えた直後に言われたその言葉が今も胸に残る。たしかに今まではちょっと身体能力が高いだけ、と知ろうとしなかった。でもこれからはそうはいかない。もっと自分と向き合わなければ。しかし…今日は色々あって疲れすぎた。なんだかぐっすりと眠れそうだ。
「おやすみ…みんな…」
そのままうつ伏せの状態で、チラリと写真を見た後にゆっくりと眠りに落ちていく。勝手に瞼が閉じて行く。明日からまた厳しいトレーニングだ。しっかりと体力を養わなければ。翌朝、ぐっすりと寝過ぎて遅刻し掛けたのはご愛嬌だ。こんな調子でやっていけるのだろうか、私。
♢♢♢♢♢♢♢♢
イクシオンがチームリギルで練習を始めて2週間ほど経ったある日。チームリギルの部室では、シンボリルドルフと五十嵐トレーナーがひっきりなしに何かを話している。
「それではトレーナー、いよいよ…」
「そ、彼女のメイクデビューだ。いずれ彼女にも海外を経験してもらわないとね。」
「学校ではすでにチームリギルの秘蔵っ子なんて言われているが、まさにそれだけの資質を兼ね備えつつあるな。」
「大丈夫でしょ、だってメイクデビューに出てる子達、言い方悪いけど弱いもん。彼女なら…」
「鎧袖一触、か。」
「exactly.《そういう事》このことは僕から彼女に話すよ。チームスピカの秘蔵っ子…テイオーとどちらが強いかな?」
そう言った五十嵐トレーナーの顔はまるで獰猛なチャレンジャーのような目だった。
「作戦はどうする?まぁ、彼女なら関係無く走れるとは思うが。」
「逃げ一択、彼女の伸び代凄いからね。今はもうタイキやエルにも喰らい付けてるし。長距離はまだ慣れてないのか、ちょっと離され気味だけどそのうち追いつけるんじゃ無いかな?」
「なら…」
「近いうちに君も本気で勝負が出来ると思うよ。」
「そうか…!…トレーナーの言うことだ、期待するとしよう。」
満足気に話して笑みの交換をするシンボリルドルフと五十嵐トレーナー、イクシオンのメイクデビューはすぐそこまで迫っていた。
♢♢♢♢♢♢♢♢
「はいはーい、今日のトレーニング終わり。全員集合〜。」
練習場にトレーナーさんの手を叩く音が聞こえればみんなそれぞれトレーニングを終わらせてトレーナーさんの元に集合する。
「てなわけで、多分そろそろみんな目標にしてるレースが近づいてると思う、だから明日から調整の期間に入る。大丈夫、本番までにはキチッと仕上がるよ。僕が保証する。特に、イクシオン。」
「はいっ…!」
「君は明日から僕が着く。僕が完璧に仕上げて見せる。」
「と言うことはトレーナー…!」
「そう、イクシオン。一週間後…君のメイクデビューだ。」
いよいよ来た…ウマ娘達にとってのデビュー戦…これを過ぎれば同じチームと言えど、強力なライバルになる。メイクデビューの目的は勿論…1着…良くも悪くも注目される一戦…いやでも身体は硬くなる。
「緊張しなくてもヘーキヘーキ、君なら余裕さ。」
「はい、ありがとうございます。」
「hey!おめでとうございマース!頑張ってくだサーイ!」
「わっとと…あ、ありがとうございます…!」
なんて、タイキさんをはじめ様々な人から激励の言葉を受ける。その言葉を受けながら何事も一番最初が大事、ここだけは失敗出来ない。
「さて、では明日のトレーニングからそれぞれの調整メニューを渡す。オーバーワーク禁止、いいね!」
「「「「「はい!!!」」」」」
「それじゃあ解散。今日はゆっくり休むんだよ。」
そういえばそれぞれのメンバーが寮へと帰っていく。着替えた後に少しだけ居心地の良い三女神像の広場に座れば空を眺める。夜空と夕焼け空の境目の紫色になってる部分を見上げながら、そよ風を全身で受けて。
「…すぅ…ふぅ…」
と、一つ深呼吸すると少しだけ冷えた空気が肺の中に入って、まだ熱り気味の身体を心地よく覚ましてくれる。そして夕焼け空が地平線の向こうに沈もうとしているのを見れば、自分も戻ろうとして立とうとしたところに。
「はい、お疲れ様。」
「わぁっ!?ととっ…!?」
「おー、そんなにびっくりした?」
と、視界の外からいきなり目の前に缶のカフェオレが。しかも鼻先に当たった上に冷たい。まだ夜はすこし冷えるというのにこれは酷くはないか?犯人はトレーナーさん。
「びっくりしますよ!もうっ!」
「あっははっ!ごめんごめん、メイクデビューって言ってから硬くなってるような気がしてるさ。」
「まぁ、緊張はしてます…」
「怖いかい?」
「少しだけ…」
「それで良い。恐怖を感じない生き物なんていない。恐怖を克服する事こそ生きる事だと僕は思う。」
「恐怖を克服…」
「あぁ、恐怖を感じなくなれって意味じゃあ無い。恐怖を乗り越えて、その先にある何かを掴めるようになれって話さ。」
恐怖を乗り越えた先にある何か、おそらくチームのみんなもその先にある何かをすでに掴んでいるのだろう…私は一体何が待っているのだろう。少し考えさせられながらもトレーナーさんなりの言葉で激励しているのが分かって。
「…ありがとうございます、必ずそうなれるように頑張ります。」
「お礼は言わなくて良いよ、君は君のやりたいことやるべき事のために走れば良い。僕たちはただそのお手伝いをするだけさ。」
そう言ってトレーナーはトレーナーの寮へと戻っていく。そして振り向きざまに。
「それじゃあ、また明日からね。メイクデビューが済んだら、一段と厳しく行くよ。」
「はいっ…よろしくお願いします!」
「それじゃ、風邪引くなよ〜」
そんな間延びした声でトレーナーは振り向かずに去っていく。空を見届けた後は私も寮に戻ろうと軽く走っていく。そしてトレーナーとの厳しい調整トレーニングの一週間を過ごして。メイクデビューの日を迎えた。
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