愛というものは、愛されることよりも
むしろ愛することに存する。
──アリストテレス──
そして結末まで考えてると言いましたが………過程を考えてるとは言ってないです。過程ぼんやり過ぎるので1話以降は投稿が遅くなります。ノリの問題で、はい。
熱い戦闘描写や残酷グロ描写を書くのが大好きなので、恋物語は慣れてません。慣れたいって意志はあるから許して。
「…………………あぁ、クソ」
なんとか、放課後。授業が全く頭に入ってこなかったことに悪態をつき、頭を抱える。忘れなければいけないのに。早く忘れてしまいたいのに。だって、もう少しすればまた今日もスズが…………
「…………………………来るわけねぇだろ」
そう、思考を無理矢理止める。そうだ、これからは彼女の時間になるのだから。余計な期待も、やめてしまえばいい。もし…………もし、時間を削って来たとしても、こちらがいなければ、すぐに彼女も帰路につくだろう。
あぁそうだ、そうして彼女と少しずつ距離を離していくんだ。そうすれば、いつかきっと彼女を忘れられる。
「………忘れ、られる…………」
そう、思考を口に出して。凄まじい寒気と悪心に襲われ、思わず口を抑える。
「ぅ、う……ぅ……う、ぅぅ、ッ……!!
はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!
う、ぐっ、はっ、はっ、はっ………」
喉を鳴らし、大きく息を吸って、上がってくる胃物を押し戻す。気持ち悪さに脳を支配され、その場に膝から崩れ落ち、その時に机に胸を打ち付け、倒れる。
「う……っ!……げほっ、げほっ!!」
その痛みに、息が詰まって。
更に、吐瀉物が器官に入る。
思考が止まる。
「は、か、ぁ……っ!……ひっ、ひゅっ……
は、はっ、は………か、ぁぅ………ッ……!!」
息が、できな
◆◆◆◆◆◇◇◇◇◇
「………………………………」
ぼんやりと、瞼を開ける。気分は最悪、頭と喉元がズキズキと痛み、血流に泥が混ざっているかのような怠さが身体を重くする。
どうやら寝かせられているようで、身体には布団がかけられていた。鮮明になってきた視界に入ったのは、真っ白な天井。
そして………起き上がろうとすると。
「まだ寝てたら?」
その声のした右の方向に、バッ、と視線を向ける。そこにいたのは、スズだった。間違えるハズがない、その声音を。忘れるワケがない、その話し方を。それに、眼を見開いて驚いていると。
「なに?幽霊でも見たような顔して………
折角保健室まで連れてきてあげたのに、
感謝の1つもないのか……って知らないのか」
そう言って笑う彼女を、呆然と見つめる。……………何故か、この時。無性に…………嬉しかった。彼女が気にかけてくれたことが。そうか、連れてきてくれたのが彼女だったのか、と。
だが、どうしてもまだ、気持ちの悪さが残っていて…………どうにも、笑えそうにはなかった。
「………悪い」
「……………ま、いっか。
大丈夫そうで安心したかな。
吐き戻したのが詰まったって言ってたけど」
「そう、か」
……………彼女を忘れようと考えただけで、そこまでなるとは。我ながら……どうにも……………
「馬鹿だな」
「ん?なんか言った?」
「いや別に………」
「ってちょっと、なんで起きようとしてんの?
私見てるし、もう少し寝たら?」
「別にいい。彼氏んとこ行ってやれ。
俺は帰って今日休んだ課題終わらせねぇと」
思いだし、自分が心の底から嫌になる。早く何処か、彼女がいない場所へ。そうして鞄を取って立ち上がった時。
「…………あれ」
振り替えると、きょとん、とした顔で彼女はそんな声を漏らす。それに聞き返すことにするが………
「どうしたよ?」
「………いや、なんでもないかな?」
「んだよ…………全く」
それに、何となく。
誰も聞いていないのだ。知っているのは俺だけだ。
「そういやお前さ─────」
だから。馬鹿なことを、してみる。
「10年前の約束とか、覚えてるか?」
それに、彼女は笑ってこう返す。
「10年も前のことなんて、覚えてるワケないって」
分かりきっていた、答え。
分かりきっていた、言葉。
思い出すこと自体の拒絶に。
「……………じゃ、な。助かったよ」
また、朝のように。
自分の馬鹿げた考えに、自分で吐き気を覚えながら、俺は逃げるようにそこから走り去った。