幼馴染みに、好きな人が出来た   作:青い灰

4 / 4


愛することは命懸けだよ。
甘いとは思わない。
       ──太宰治──

心中とかロマンがあって好きです。
太宰さんの本はどれも繊細でしゅごい………
特に『斜陽』ほんと好き。

今回も良い感じに気持ち悪くなったので短めです。
多分そのうち編集して内容増やします。多分。




4話

 

 

 

「……………悪いけど帰ってくれ」

 

 

なんとか休日まで過ごしきり、食事も睡眠も手につかないような暮らしを続けていた、そんな日のことだった。自宅のインターフォンを鳴らし、訪れた男にそう言い放つ。だが、彼は真剣な目で答えた。

 

 

「黒滝、話がある。

 それを話すまで、帰るつもりはない」

 

「……………散らかってるが」

 

「構わない。別に此処で話してもいいけど」

 

「…………はぁ、上がれよ。

 課題が終わってねぇし、早めに帰ってくれ」

 

 

嘘を言い、分かった、とだけ返す彼から視線を外し家へと入れる。一度、彼と会って話をしたいとは思ったが………どうしても、行動に繋がらなくなっていた。何の気力も沸かず、歩くことですら苦しさを感じるほどに。

 

彼を家に上げてテーブルに案内、冷蔵庫から麦茶の入ったペットボトルを差し出す。彼は頭を軽く下げてそれを受け取った。

 

 

「ありがとう」

 

「……………で。何の用だ、()()さんよ」

 

 

溜め息をつき、その向かいに座る。

武川………彼女に告白し、付き合っている張本人だ。

 

 

「彼女について、だ。

 君も分かってると思うが」

 

「前置きはいい。俺のことも知ってるんだろ。

 惚気話なら他所でやってくれ」

 

 

何が、君も分かってると思うが、だ。

お前が知ったような口を利くな。

武川を睨みつけ、催促する。

 

 

「………一昨日、彼女の家に行った。

 彼女の姉から君の話を聞いたよ」

 

「その話は忘れろ。あいつは覚えてない。

 それは直接聞いたからな、とっとと本題に入れ」

 

 

苛立ち交じりにそう言う。

武川は少し気まずそうに視線を泳がせ、それから、眼に力を込めてこちらに負けぬ気迫で、言った。

 

 

 

 

 

 

 

「彼女と付き合う権利を、僕にくれないか」

 

 

 

 

 

 

 

即座に立ち上がる。

その胸元を掴み上げ、壁に背中を叩きつける。

 

 

「そんなことを言いにきたのか、武川」

 

「げほ、っ……!そんなこと……!?

 それは君が……!!」

 

 

 

 

「余計な気遣いなんざいらねぇっつってんだよ!!

 俺なんかに憐れみでもかけてんのか!!?

 あぁそうだろうよ憐れだろうよ!!

 俺は約束忘れられてるのに気付かずに、

 なのにずっと信じ続けた馬鹿だからな!!

 それがこのザマだ!!」

 

「…………すまない」

 

「謝るくらいならあいつの所にでも行け。

 俺なんか気にしてんじゃねぇ、

 そんなことで気を遣ってんじゃねぇ。

 付き合う権利なんか俺が決めることじゃないし。

 俺はあいつの保護者でもなんでもない……」

 

 

 

 

 

心が、軋んでいく。

視界の全てが色褪せていく。

歪んでいく。

崩れていく。

 

 

 

 

 

「ただの、1人の友達でしかないんだから」

 

 

 

 

 

白と黒しか色がなくなった視界で、武川の酷い顔が見えた。

 

 

「罪悪感なんか感じる必要はない。

 だって、それでいいんだから。

 お前も、あいつも、それでいいんだからな」

 

 

その顔から見て取れる感情は『理解が出来ない』。

何故そんな顔をするのだろうか?

言葉を放つ思考の片隅で、今の自分を鑑みる。

 

けれど、答えは武川の口から放たれた。

その息を呑み、恐怖を噛み殺したような顔で。

 

 

 

 

 

「なんで─────笑ってるんだ………?」

 

 

 

 

 

笑っていた。

遠くの姿見で見た、俺は。

 

 

確かに、笑っていた。

 

 

自分への呆れ笑い、ではなかった。

そんな笑みではないことは自分でも分かった。

 

 

 

 

 

言うなら、それは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が触れたような、笑い方だ。

 

 

 

 

 

 

「おい!?黒滝!?大丈────!?

 ─────………───……───────

 

 

 

 

 

遠くなっていく。

全てが、遠く離れていく感覚。

 

意識が薄れていく。

 

 

 

 

なんだろうか、これは。

あの時の、苦しい感覚とは違うことが分かる。

 

意識がこうして消えていくのは、二度目。

だから、この感覚に気がついた。

 

 

気がついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

────消えていく感覚に、歓喜を感じることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、そうだ。

 

 

消えてしまえば、何も問題はないじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。