とある英雄馬の深き衝撃   作:静かなるモアイ

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英雄の軌跡


英雄。チームに入る

ディープインパクトは小柄だ。ウマ娘の競馬は勿論のこと、ホモサピエンスの陸上競技を含めた走る競技は体格が大きなアドバンテージになる。体格が大きく、背が大きければその分一歩走る度のストライドが大きく、一歩一歩の幅が大きい。その上、骨格というフレームに着く筋肉量も必然的に大きくなる。

 

だからなのだろうか?多くの大人達はディープインパクトの身に宿る素質に気付く事が出来なかった。これは多くの大人達の誤算と言えるだろう。史実でもそうだった、ディープインパクトは幼少期の頃はそこまで注目されていなかった。G1を制覇する馬は幼少期の頃から片鱗を見せると言われている。それはウマ娘の世界でも言えることであり、ウマ娘の世界でその片鱗が現れ出すのは本格的にウマ娘がトレーニングを始めるジュニアAクラス(中学一年生)の頃である。

 

「ウララちゃん。チーム決まった?」

「未だ決まってないんだ。エヘヘ…行けると思ったんだけどな」

 

トレセン学園の生徒達はトレーナーの皆様が顧問を務めるチームに入り、そこのトレーナーの指示やアドバイスを聞いてはトレーニングに励んだりしているのだ。トレセン学園のチームは言わば部活動のような物であり、多くのチームが存在している。

チームに入ればメリットが沢山だ。大会へのエントリーもトレーナーが行ってくれたり、蹄鉄シューズ(ホモサピエンスで言えば陸上のスパイクシューズ)やスポーツドリンクも部費で出る。だが、チームに入らなかったら大会のエントリーも自分で行わなければならないし、蹄鉄シューズやスポーツドリンク等も自腹で買わなければならない。

 

だから多くの生徒達はチームに所属してスター選手を目指して頑張るのだ。ディープインパクトのクラスメートの9割は既にチームに所属しており、ジュニアAクラスで唯一チームに入っていないのはディープインパクトとトレセン学園での初めての友人であるピンク色の髪の少女 ハルウララの2人だけだ。

 

「大丈夫大丈夫!!ディープ君も私も凄いチームに入れるよ!!」

 

素質が無い。見た目だけで判断されたディープインパクトとハルウララの2人。今日も2人は運動場の端っこでストレッチを行い、自主練習を行っていた。チームに所属していない為に自分でトレーニングメニューを考えるしかない。

ディープインパクトは小柄で未だ身体も未発達(一般的に女性の方が発育は早い)。そのディープインパクトよりも小柄なハルウララの2人はトレーナー達から見向きもされず、面接の段階で門前払いされてしまったのだ。

 

ふと、そこでハルウララは気付いた。ディープインパクトの身体は物凄く柔らかく、バレリーナのように脚が後頭部に着く程だったのだ。

 

「ディープ君!?凄く、身体柔らかいね!?」

「うん。小さい頃から柔らかかったからね」

 

史実曰く英雄ディープインパクトは物凄くしなやかな筋肉と柔軟性を持っていた。本来、馬では不可能に近い横走さえも可能であり、その柔軟な筋肉のバネが皆が知る翔ぶ力に成っているのかもしれない。

 

「よし、それじゃアップしてくるね。お先!」

 

ディープインパクトはそう告げ、軽く走り始める。柔らかい間接と筋肉だからこそ出せる、走り。その走りは走ると言うよりも跳ねていた。もし、これで彼がウォーミングアップではなく本気で走り出せば跳ねるは翔ぶに昇華されるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その光景を遠くから見ていた3人組が居たのだ。その内2人は白髪のウマ娘であり、1人は若いホモサピエンスの男性だった。ディープインパクト以外で男性だとすれば間違いなく何処かのチームのトレーナーだろう。

2人の少女はどちらも白髪だ。片方はポニーテールで、泥んこに汚れたジャージ姿。もう1人の少女は高身長でそこら辺の男性より背が高い美女だった。

 

「ゴルシ、オグリ…あの子が噂の子だよな?」

 

トレーナーはディープインパクトの走りを眺め、震える。末恐ろしい物の片鱗を見てしまったかのようにだ。

 

既に練習を行ったのか、泥んこに汚れたジャージ姿の少女。少女と言ってもディープインパクトより背が少し大きい少女が口を開く。

 

「しなやかな動きだ。まるで走るじゃない…翔ぶと言った方が良いな」

「なんで…何処のチームもあの子を入れないんだ!?なんで気付かない!?あの子は…とんでもない選手に化けるぞ!!」

 

ディープインパクトの潜在能力に驚かされたのか、トレーナーと思われる男性は震える。

 

「確かに体格は小さい。体格のアドバンテージは無いだろう。だけど、そのデメリットを遥かに上回るバネに柔軟性…見かけじゃ絶対に気付けない力だ!!」

「どうするんだよ、トレーナー。ウチはオンボロチームだろ?」

 

高身長の美女がそう言った。そう美女のいう通りで男性が率いるチームは最初からボロボロだった。最近まで学園農園のニンジン畑で手伝いをしていたほど、金欠だ。解散寸前のボロボロチームであり、田舎から出てきて誰にも相手にされなかった子と問題児を引き入れてなんとかチームとしての形を保ってるに過ぎない。

 

「ゴルシ。お前はあの子と…噂のディープインパクトと走りたいか?」

「おう。面白そうだしな!賑やかに成るぞ!!」

 

高身長の美女に問うと、美女は笑顔でそう答えてくれた。

 

「オグリは?」

「楽しくなりそうだ」

 

所属ウマ娘が全員賛成してくれた。ならば答えは決まった。

 

「行くぞ」

 

トレーナーは教え子であるウマ娘のオグリキャップ、ゴールドシップを連れてディープインパクトとハルウララの所に向かう。

 

「すまない…ちょっと良いか?」

 

トレーナーは白髪の少女オグリキャップ、高身長美女ゴールドシップと共にディープインパクトに話し掛ける。トレーナーの声に反応し、ディープインパクトはトレーナー達の方を向いた。

 

(なんて綺麗な瞳だ!?まるで…やる気に満ち溢れてる!!)

「なんですか?もしかして…此処使います?端っこだけでも良いので使って良いですか?」

「いや…俺は君を勧誘しに来たんだ。俺のチームに入ってくれ、解散寸前でボロボロなチームだけど」

 

まさかの勧誘。これまで沢山のチームに断られてきたディープインパクトも勧誘されるとは思わず、驚いた。

 

「えっ?入って良いんですか?」

「勿論だ!!」

 

だが、ディープインパクトは人差し指を立てた。

 

「その代わり、ハルウララ…僕の友人のウララちゃんも入れて下さい」

 

ディープインパクトは友達思いだ。自分はトレーナーのチームに入ることが出来る。だけど、ハルウララはこのままじゃ一生チームに入ることが出来ないかも知れない。だから、自分もチームに入る条件としてハルウララを同じチームに入れるように言ったのだ。

 

「勿論だ!!チームシリウスにようこそ!!」

 

この1年と少し経った12月。日本に初めての衝撃波が襲うことになる。ディープインパクトのデビューであり、彼はそのレースを圧倒的な力で余力を残したまま勝利する事になる。

 

英雄ディープインパクト。彼の伝説は始まったばかりだ。

 

 

「此処がチームシリウスの部室だ!!」

「オンボロ!?」

 

だが、彼が所属したチームシリウスは正にボロボロであった。




なんでオグリ…髪飾り着けてないの?転入したばかりだから。

この作品、後10話以内…伸びて前後で終わります。もし、次回作書くならゴルシどうしよう。シリウスとスピカ、どっちも出てきます

  • ディープきゅんの居るチームシリウス
  • スペちゃんの居るチームスピカ
  • ゴルシはハジケリスト…風のように現れる
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