熱い猛暑を北海道で過ごし、夏バテすること無く菊花賞が行われる当日を迎えたディープインパクト。
京都競馬場。菊花賞が行われる競馬場はこれまでにない興奮に包まれていた。全てのウマ娘が生涯に1度しか挑戦する事を赦されない三大クラシック。三大クラシック最後の関門と言える菊花賞は2年ぶりに満席…いや立ち見の観客を含めれば満席を上回る人々がやって来ていた。
皇帝シンボリルドルフ以来となる無敗の三冠馬の誕生。その光景を見ようと多くの人々がやって来た。その無敗の三冠馬となろうとするのは英雄ディープインパクト。男では史上初の無敗の三冠馬を目指すべく、英雄はターフに入った。
「英雄!!」
「ディープ!!」
「頼んだぞディープインパクト!!」
人気は当然の如く一番人気。されどディープインパクトの顔に迷いはない。北海道での夏合宿を家族も一緒に参加した為か、心の負荷やプレッシャーは思ってたよりも無さそうだ。だが…それでも昨年度の三冠馬であるオグリキャップと異なり、無敗の2文字がプレッシャーとしてディープインパクトにのし掛かる。
「お前なら行けるぞディープ!!」
だが…英雄は1人ではない。観客席ではチームシリウスの仲間や家族達がディープインパクトの勝利を信じて声援を送る。まあ…ゴールドシップが観客席で焼き蕎麦を焼いて商売してるのは気にしてはいけないだろう。
「行ってきます!!」
英雄は家族と仲間にそう告げて、スターティングゲートに向かった。
『さあ、これより始まります菊花賞。全てのウマ娘が生涯1度だけ挑戦を赦された三大クラシック。その三大クラシック最後の戦いが始まります』
実況がそう告げて、ゲートが開く。一斉に飛び出した出場者達であったが、英雄ディープインパクトは隊列の真ん中に控えて瞬発力を爆発させて仕掛けるタイミングを待つ。
『先頭はローゼンクロイツ。ディープインパクトは未だ隊列の真ん中だ』
『恐らく、彼は仕掛けるタイミングを待ってますね』
第4コーナーを回って最終直線。遂に英雄が仕掛ける。本来、ウマ娘では困難な高速走行中のサイドステップ。それで隊列の外側に飛び出したディープインパクトは急激に加速する。いや、加速ではない最早爆発と称した方が良いほどの急加速だ。
『ディープインパクトが仕掛けた!!彼は此処からが速い!!逃げるローゼンクロイツ!!』
だが…衝撃波を爆発させた英雄は止まらない。その勢いのままでローゼンクロイツを抜き去り、ぐんぐんとディープインパクトはリードを広げていく。
『ディープインパクト!!リードは5馬身!!もう、圧倒的だ!!そしてディープ…貴方はシンボリルドルフと同じく、伝説になる!!』
実況が叫び、その瞬間にディープインパクトはゴールした。シンボリルドルフ以来となる無敗の三冠馬の誕生、嘗て幻の馬と呼ばれたトキノミノルの未練を晴らすようにディープインパクトはチームシリウスの伝説のページを刻んだのだった。
VIP席。そこでチームリギルのメンバー、トレセン学園の理事長と共にディープインパクトの疾走を見守ったたづな。彼女はディープインパクトに拍手を送ると、トレードマークでもある帽子を取った。
「おめでとうディープちゃん。やはり、私の目に狂いはなかった」
帽子を取ったたづな。当然、たづなの事をウマ娘だと知ってるのは極僅か。それ故か最強チームであるチームリギルのメンバーはたづなの秘密を知り、唖然としてしまった。
「そんな…貴方は…貴方は…まさか」
「ええ、お久しぶりと言えば良いですかね?くれぐれも私の事は公に成るまで内密に」
たづなはそう告げて、VIP席を出ようとする。だが…
「待ってください!!」
呼び止める人物が居た。それはリギルのリーダーであり、ディープインパクトと同じく無敗の三冠馬の称号を持つウマ娘、シンボリルドルフだ。
「どうして…病と怪我を隠して日本ダービーに出たんですか!!貴方なら…ダービーを辞退し、休養を取ってからでも世界を制覇出来た。
あの時、幼い私に言った世界の頂に行きたいという願いを諦めてもダービーに出るべきだったんですか!!」
だが…それでもたづなは答えない。
「答えてください!!トキノミノル!!」
「私は自分の事より、他人の期待を優先してしまった。それだけよ」
たづなはそう告げて帽子を再び被り、VIP席から出ていった。
たづなは真っ直ぐ、とある場所に向かう。そこでは無敗の三冠馬になり、報道陣からのインタビューを終えたディープインパクトがストレッチをしていた。
「あっ!たづなさん!!」
「実はですね…私とディープインパクト君は昔に会ってるんですよ」
たづなはそう告げて、帽子を取る。
「改めてお久し振りね。私の本当の名前はトキノミノル。嘗て、チームシリウスのリーダーだった競技者よ」
トキノミノル。それがたづなの本当の名前であり、嘗てチームシリウスのリーダーだったウマ娘。生涯無敗、10戦10勝であり7回も日本記録を塗り替えた伝説。ウマ娘の競技者の中では伝説として語られる女性。それがトキノミノルだ。
「君は覚えてないかもね。でも、事実よ。先ずは菊花賞制覇おめでとう」
たづな…トキノミノルはディープインパクトの視線の高さまでしゃがみ、更に続ける。
「私は理事長に言いました。貴方がクラシック三冠を無敗で制覇すれば、1年間…秘書としての仕事を休むと。
その間、私はコーチとしてディープインパクト君…貴方を鍛えます。貴方はもう国内では無敵でしょう、最速の私が保証します。ですが、世界が相手ならは別です」
「但し、その条件として私の願いを代わりに叶えて。私の代わりにとある大会で優勝して」
「その大会って何ですか?」
その試合は唯の試合ではない。史実の英雄ディープインパクトが、暴君オルフェーヴルが、ゴールドシップが、ジャスタウェイが、日本の名馬達が挑戦して敗れた夢の舞台。
「フランスで行われる世界最高峰のレース、凱旋門賞。そのレースで勝利したウマ娘は名実共に、世界最速の称号を得るわ」
凱旋門賞。英雄は伝説から全てを託され、遂に世界に飛翔する。
1年後。羽田空港。
新たに中学生に成ったキタサンブラックを加えたチームシリウス。シリウスのメンバーはサブちゃんとブラックタイドを筆頭としたディープインパクトの家族と共に、英雄の凱旋を待っていた。
「ディープお兄ちゃん未だかな?」
チームシリウスと家族から少し離れた所。そこでは沢山の報道陣もカメラとマイクをスタンバイさせて、英雄が現れるのを待つ。
そして…その時がやって来た。
「日本代表がフランスから帰ってきたぞ!!」
1人の報道陣が叫ぶ。すると、日本代表監督であるトキノミノルを先頭に、日本代表が帰ってきた。そして…トキノミノルの後ろには首から金色に輝くメダルを提げて、右手に輝くトロフィーを持つ英雄が現れたのだ。
「待ちくたびれたぞ!!ディープ!!」
「マジで英雄に成ったな!!」
「おかえりー!!ディープ君!!」
「うむ!!流石だ!!」
「お帰りですわ!!ディープ先輩!!」
「良くやった!!流石だぜ!!」
「流石はお兄ちゃん!!」
英雄ディープインパクト。正真正銘、世界の頂点に立ったディープインパクトが日本に帰ってきた。
「ただいま!!」
これはもう1人の英雄が歩んだ軌跡である。
ゴルシ「次は私達だな!!ジャスタウェイ!!」
ジャスタウェイ「おう!!」
なお、翌年。ゴルシとジャスタウェイが凱旋門に挑戦したが、結果は史実の通りであったとか。
これで一先ず完結ですね。まあ…もとより短編だったので物凄く駈け足でしたが。
この作品、後10話以内…伸びて前後で終わります。もし、次回作書くならゴルシどうしよう。シリウスとスピカ、どっちも出てきます
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ディープきゅんの居るチームシリウス
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スペちゃんの居るチームスピカ
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ゴルシはハジケリスト…風のように現れる