親睦会。
それは名前の通り親睦を深めるために開かれる会であり、参加することにはなにかしらの意義がある。
しかしそれは、あまり人と話すことが好きではない人にとっては、地獄になる可能性もあるかもな会である。
すなわち、なにがいいたいかというと・・・
「じゃあエルフリーデは不参加、ね?」
「はい。」
エルフリーデ・フォン・ヴェラこと田渕正義は親睦会を欠席します。と、いうことだった。
まあ生前も学校で話すことは少なかったし、家でもニートみたいだったし、こういう会は苦手なのだ。
そもそもルッキーニのやつが親睦会何ぞ計画するからだ。しかもかなーり乗り気になってるし。
「というわけで、各自親睦会に向けて頑張ろー!」
この通りだ。
とりあえず宮藤とリーネはお国料理を、坂本少佐は剣舞を、ミーナ中佐は歌を、エイラはなんかよくわかんないものを、シャーリーはユニットの展示を、それぞれやることになっている。
ペリーヌは着ぐるみだったっけ?まあいいか。
~親睦会当日~
というわけで、基地待機である。
待機はあくまでも待機なので、これといったイベント的なものもない。
むしろ暇すぎて困るくらいだ。
今この基地に残っているのは俺も含めて4人。
1人は夜間飛行に備えて睡眠中。Wエースは不明。
ちなみに俺は格納庫で自分のユニットの整備中である。
「いつまで整備をやっているんだ?」
「はい?」
訂正。バルクホルンさんも格納庫にいた。
一体どこから現れたのか、声をかけてきたのはバルクホルン大尉だった。
「前から聞きたいと思っていたのだが、お前はカールスラントのどこ出身なんだ?」
「え、えーっとそれはですねー」
どうしよう。どこ出身とかいわれてもカルスラの地名とかわからないし、転生した~とかいえないし・・・
「どうした?」
「あっ、えーっと、諸事情でほとんどカールスラントにはいなかったもので、ですね。」
正直にいえないし、この策が妥当であろう。多分。
「そうだったのか。聞かせたくないことだったか?」
「いえ、そんなことないですよ。」
「そうか。ならよかった。」
まあ聞かせたくないことなんですけどね~。
「私はカイザーベルク出身でな。冬は日が長くてクリス、ああ、妹なんだがな、よく本を呼んで聞かせたものだ。」
「そうなんですか。」
ふぬ?バルクホルンさんがもう立ち直ってる?おかしい。俺の知ってる話だとまだ立ち直ってはいないはずなのだが。
そんな話をしていると、
ウーン!
轟音が格納庫中に響き渡る。
「敵襲だ!今すぐ出撃準備!」
「了解!」
まあ格納庫にいるから30秒もかからないうちに出撃できるんだが。
ストライカーに足を通し、俺の使い魔であるアライグマの尻尾と耳が出現する。
「発進!」
ストライカーを動かし、10秒もしないうちに体が空中へ浮かび上がる。
風を切る音と体にかかるGも、慣れてしまうと心地良い。
敵は巨大ネウロイ4機と小型ネウロイからなる編隊。そのうち3機はロンドンへ、1機は親睦会が行われている村へ向かっている。らしい。
会場から戻ってきたミーナ中佐御一行と合流し、指示を受ける。
「ペリーヌさん、リーネさん、エルフリーデさん、坂本少佐は村へ。残りの隊員はロンドンへ!」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」」
というわけで、俺は村担当である。
程なくして、先行していた宮藤、ルッキーニ、シャーリーと合流してから数十秒後。
話にあった、巨大ネウロイが姿を表す。
「どうした?宮藤?」
「何か、嫌な感じがするんです。」
宮藤はじっと巨大ネウロイを見つめる。
しかし、嫌な感じとは何ぞや?
「わかった。慎重に行くぞ!リーネとルッキーニ、シャーリーと宮藤でロッテを組め!ペリーヌは私の2番機だ!ヴェラは後ろで援護射撃!」
『了解!』
坂本少佐の命令により、展開して、巨大ネウロイに攻撃を加える。の、だが・・・
「どうなっている?」
いつもより手応えが薄い。ビームも弱い。これが宮藤がいった「いやな感じ」か?
下から回り込んで攻撃しようとしたそのとき。
「何だ!?こりゃ!?」
俺の頭の上。すなわちネウロイの腹あたりのところのハッチらしいものが開き、小型ネウロイがワラワラと出てくる。形は円盤型なので、さながらUFOといったところか。
「散開されると煩いか!?」
そう叫びながら舌打ちする坂本少佐。
「だが、遅い!」
少佐はそのうちの1機にねらいを付け、軍刀で一刀両断にする。
ところが。
「な、何だ!?」
小型ネウロイは、軍刀で一刀両断にされる瞬間、白い光を放って爆発した。
爆発に吹き飛ばされた坂本少佐は錐揉み状態で急降下する。
「坂本さん!」
宮藤が叫ぶ。
「くっ!」
なんとか体勢を立て直す少佐。破片でも刺さったのか、軍服の袖が血の色に染まっている。
「宮藤さん!手当てを!」
ほとんど悲鳴に近い声をあげるペリーヌ。
「はい!」
「気にするな!」
痛みに表情を歪めた坂本少佐は、近寄ろうとした宮藤を牽制する。
「こいつら、一定以上のダメージで自爆する!近距離では爆発に巻き込まれるぞ!遠距離から撃ち落とせ!」
「了解!」
要するに、おもいっきり離れてねらうか一撃離脱を狙うか、ってことか。
大型に攻撃しようにも、UFOどもが邪魔だしな~。UFOズを片付けてからのほうが良さそうだ。
「いくぞ!」
ストライカーを動かし、UFO型ネウロイに向かって突っ込む。
MG42をぶっ放し、相手が自爆する前に逃げる。体に並々ならぬGがかかって、つらい。
ワラワラと溢れ出るUFOを牽制しながら、一体ずつ撃破していく。
のだが。
「こいつら、どんだけ出てくるんだよ・・・」
いくら倒しても倒しても、数が減ってる気がしない。むしろ増えてる。
夏の蚊よりもうっとおしい。爆発に巻き込まれないようにするのも一苦労だ。
「ちっ!村に入られる!」
弾倉を交換しながら、シャーリーが舌打ちした。
確かに、ネウロイと村との距離は、150mを切っている。しかもUFOズが邪魔で近づけない。
と、そのとき。
二つの気球が、ネウロイの侵攻を阻むように空にあがった。
訓練の時に、何度も世話になった阻塞気球に似た気球。のはずなのだが。
「え?あ・・・れ?」
二つの気球の下には、『歓迎!ストライクウィッチーズ!』と書かれた垂れ幕があった。
おそらく親睦会のために作られたであろう熱気球に、ワイヤーのネットが張られている。
突然上がったそのネットに先行していたUFOネウロイの一機が引っかかり、わずかに動きが鈍る。
「今だっ!」
シャーリーが先頭の一機に向けて銃弾を放った。
ネウロイは、為すすべもなく爆発する。そしてその爆発に巻き込まれて、他のネウロイも爆発する。
その連鎖爆発で、UFOネウロイズの、大半が消滅していた。
「おっしゃ!」
俺は爆発に乗じて、巨大ネウロイの下に回り込んでいた。
がら空きになった下部に、これでもかというほどMG42をぶっ放す。
そして、MG42の銃弾で、コアが露出する。が。
「何だ!こりゃ!?」
露出したコアを守るがごとく、コアの周辺に格子状のビームが回転しながら展開される。
隙間は約2センチ。回転を止めれば、銃弾が通る隙間だ。回転を止めれば、の話だが。
「こうなったら・・・」
そう、こんな時にはどうするか。どうやっても回転は止められない。しかし止めなければコアに攻撃できない。
だったら時間を止めてしまえばいい。そんな能力を、俺はあのクソジジイから授かっている!
「THE・WORLD!」
時間を止める時のワードを口にし、自分以外のすべての時間を十秒間だけ止める。
もう動かない格子状のビームの隙間に、MG42の弾丸を打ち込む。
これで十秒。
時は動き出し、コアの眼前で止まっていた弾丸は、すべてコアに命中する。
巨大ネウロイは、完全に消滅した。
~501基地内、医務室~
「・・・・・」
「・・・・・」
目が覚めたら、俺は医務室のベッドの上にいた。
目の前には宮藤の顔があった。どうしてこうなったかは知らないが、俺のことを看病してくれていたのかもしれない。と、思っていた時期が私にもありました。
「・・・・・なにをしているんですか?」
「・・・・・・・・えーっと、ね。」
そう、宮藤は思いっきり鷲掴みにしていたのだ。俺の胸を。
悔しい。自分の体が今男でないのが悔しい。生前なら胸を鷲掴みにされることも、不快感を感じることも、ベッドの上にいることもなかったはずなのに。
無防備な宮藤のデコに拳を喰らわせ、手を引き剥がす。
「もう一度聞きます。なにをしているんですか?」
「えーっと、エルフリーデさんが海に落ちたから、その手当を。」
「海に落ちた?」
「はい。魔法力の使いすぎとかで。」
なる程。時間制止の力は結構魔法力使うやつだったらしい。それで気絶して医務室のベッドの上にいる、と。
それはいい。それはいいのだが・・・・
「それとアレとはなにが関係しているんですか!」
「それは・・・。ちょっと手が滑って。」
「どうやったら手が滑って人の胸を鷲掴みにできるんですか!」
「えーっと・・・・・」
くそっ!油断も隙もありゃしない!この淫獸めっ!なかなか不快に感じたぞっ!
ネウロイ初撃破の喜びと、異様な不快感を同時に味わった日のことだった。
まいどまいど投稿が遅れてしまい、申し訳ありません。
そういえば、今回は一応初戦闘シーンです!
どうでしたかね?いまいちでしたかね?