~~~序・始~~~
ーーーーーーーーブッ・・・
唐突にS-DATプレイヤーから供給されていたクラシックミュージックが途切れた。
(ん・・・電池切れかな・・・今朝交換したばかりだったのに)
はて、もしかしたら使い古しの電池を間違えていれたのかしらん。
シンジは閉じていた瞼を開き、ため息を一つ吐いてゆっくりと顔を上げた。
目線の先、電車の窓からは地平線に沈もうとしている大きな夕日が見えた。
「え・・・降り損ねた?・・・」
シンジは今朝、第三新東京市行きのロマンスカーに乗ったのだ。
目的地はだいたい2時間ほどであり、昼前には到着する予定だった。
つまり今の時間が夕方だとすると、かなりの距離を乗り過ごしたことになる。
あの父の愛人と思われる写真の女性との待ち合わせもすっぽかしてしまった。
「どっ・・・どうしよう・・・」
「心配することはないよ。碇シンジ君」
シンジはいきなり目の前から放たれた声に驚愕した。
先ほど窓の外を見たときには誰も前の席にはいなかったにも関わらず、今目の前には『誰か』が確かに座っているのだ。
大きな夕日の光が後光のように声の主にあたり、そのため顔の部分が影に覆われていて、声の主の顔を見ることができない。
「君は乗り過ごしてなどいないよ。そもそも終点が第三新東京市なんだから」
「そっそうですね・・・ええと、あなたはどなたでしょうか?」
シンジは現状に混乱していたが、不思議と心は落ち着いていた。
「そうだね、この世界より一つ上の次元に住む庶民に過ぎない存在さ。まあ、それでもこの世界に干渉することは好きにできるから・・・いわゆる『神』という存在だと思ってもらって結構だよ」
「『神』・・・ですか」
「うん。それで早速本題に入っていいかな。君もさっさとこの夢から覚めたいだろう?」
シンジはとりあえずその言葉に頷いておいた。
相手が神?で夢?ということなら今自分にできることはないと考えたからだ。
「まずね、シンジ君。君はこれからお父さんに呼ばれて第三新東京市に行くわけだけど、今日早速そこで使徒と呼ばれる怪物とロボットに乗って戦うことになるんだ。負けたら人類が滅亡するから責任重大だよね!!っとここまでは理解できるかい?」
「・・・・・・えーと、僕をからかっているんでしょうか・・・」
「残念ながら事実だよ。まあ、別に私を信じてくれなくても後数時間で嫌でもわかることだ。怪物は電車から降りて迎えを待っている間に見れるから楽しみにしてくれ」
神はクヒヒヒと低く笑った。いや嗤ったといった感じだった。
「でね。さらに君には信じてもらえないかと思うのだけど、今日からの君の戦いの物語は私たちの世界、所謂『天の国』で大ヒットしていてね。原典はもちろんのこと様々な詩編が生まれているんだ。ちなみにこの世界もその一つの欠片、紡がれ始めた序章なんだよ」
「・・・・・・つまり、あなた方にとって僕は物語の中の人物だと言うのですか」
「そう、その通り。私たちの世界から見ればその通りだ。しかし、君はこうして現実に存在し生きている、この世界もまた現実の世界なのは間違いない。そして付け足して言えば、この世界とほぼ同じな平行世界がたくさんあり、その平行世界すべてに君が存在していて主人公として物語を紡いでいるんだ。私たちの世界はその平行世界群を干渉、観察できる立場にあるわけだよ。だからさっき言っただろう『一つ上の次元』だと」
「難しいですけど・・・とりあえず置いておきます。それで『神』であるあなたは僕に何の用事なのでしょうか?」
「いいね。君は賢い。それでは話すけど、このまま私がこの世界に干渉しない場合、最終的には君以外の人間はすべて消えてしまい、君はひとりぼっちになってしまうんだよ。ああ、詳しいことは言えないけどね。つまりはこの物語はバッドエンドなのさ。本当に救いようが無い話なんだよ。それに納得できない私の仲間たちは様々な介入をしてこのバッドエンドを回避しようとしている。例えばシンジ君、君にものすごい力を与えて怪物との戦いを有利にしたりだ。ただね、せっかく介入しているのに、いまひとつ君がどの世界でも幸せになってない。もっともっと『君は幸せになるべき』だと思っているんだ。最近ではこの世界も飽きられて詩編の数も減っているし、監視者も減っている。だからこそやりたい放題の所謂「チート」を使って幸せになって欲しいのさ!!」
「ちーと??」
「そうチートだ。偉大なる神の一柱「ちーたー」氏がうみだした「チートシステム」これを私は君に授けようと思う。これを使い使徒戦はもちろん、対ネルフ、対戦自などの人間相手にも優位に戦ってもらいたい」
「・・・えっと『ネルフ』ってなんです??それとなんで僕が『戦自』と戦う羽目になるんですか!!嫌ですよそんなの!!」
「まあまあ、その辺の情報はチートシステムを使えば閲覧できるようにしておくから、気になるところは自分で調べなさい。さて、シンジ君、申し訳ないが少しいまここを覗いている『監視者の皆さん』に説明をするので待っていてくれないか」
神はそう言うと咳払いを一つし、天井を見上げながら語り出した。
「さて、ご覧いただいております監視者の皆様、はじめまして。この物語はGMである私とシンジ役である「EVAの知識がほぼゼロ」の友人がTRPGの要領で先述のチートシステムを使いながら物語の途中まで麦酒をお供にプレイした記録を元に小説に起こしたものです。しかし、友人は「にじふぁん」という投稿サイトの爆死にショックを受け、小説を書くのを一旦止めてしまったので、二人で協力した部分は残し、不完全な部分は私が補完するという形を取っています。なのでこのシンジ君は時に突拍子も無い行動をしたり、ネタに走ったり、スパシンじみた力を有したりしていますがご了承お願いいたします。また運の要素も入れたかったのでサイコロ、アミダなども使用してます。それとこのシンジ君はめちゃスケベです。R-17.9です。咥えさせます。まったく最低の外道の糞やろ」
「・・・あの・・・もういいでしょうか・・・」
「はっ!ごめんごめん、少し取り乱した。待たせたね。では、これを受け取りたまえ」
シンジの目の前に光の玉が現れ、そしてその中から何かが飛び出てきた。
シンジは慌ててそれが顔に当たる前に受け取った。
「これは・・・時計?でいいのかな・・・」
その時計は紫色をしておりかなり丈夫そうな時計だった。そして見るからに高そうだ。
「それはカ○オのGショ○ク、ガイ○ックスストア限定の初号機カラーモデルだ。ぜひ君に使って欲しい。おそらくだが気に入ってもらえると思う。私とお揃いだ」
「・・・すこし派手ですけど。でもありがとうございます。なんだかどこかで見たような気もしますし、とても気に入りました」
「そうだろうそうだろう。さて早速だが左下のモードボタンを押してみてくれ」
「はい、ってうわ!!なんですかこれ!!」
シンジがモードボタンを一回押すと時計から四角い画面が飛び出してきた。
画面は水色の半透明で、そして画面上には様々な項目が並んでいた。
「まずは初期設定だ。これを済ませばいよいよ第三新東京市!開幕のブザーが鳴るんだ」
「初期設定?ですか・・・ええと順々に選んでいけばいいのでしょうか?」
「さて?もうここからは君が自分で考えなくてはダメなんだ。とりあえずここまでちゃんと静かに聞いてくれたからボーナスとして追加で5万ポイントあげよう。様式美だ」
「はぁ、、、ありがとうございます。・・・うーんと・・・」
シンジはとりあえず画面を慎重に見ていくことにした。
現状は怪しいことこの上ないが、夢にしてはやたらと現実味がある上、『神』の存在感のすごさを鑑みるに彼は嘘を言っていないのではないかと感じたのだ。好意で自分を助けてくれようとしているようにも思えた。ならば自分で考えろと言ったからには真面目に取り組んだほうが絶対に良い。
(まず、現在の所有ポイントは15万か・・・これが多いのか少ないのかわからないけど、、、第一画面は『身体強化』か戦闘技能、操縦技能・・・不老不死まである!!って不老不死は一億ポイントだから選べないのか、というか別になりたくもないな。たしかロボットに乗って戦うとか言ってたから操縦技能は上げておくのが良いのかな??とりあえず次の画面を見てみよう。第二画面は『施設整備』だ。プラント建設、プラントのレベルアップ、EVA関連、JA関連、トライデント関連・・・だめだなんのことなのかさっぱりわからない。プラントを作ればロボットが開発できるのかな?いや違う、『本体の生産』はどこにも無い、あるのは本体のアップグレードと装備の生産だけのようだ。しかも装備の欄は空欄になっていて選べない。それと戦術機開発?エステバリス開発?うーん・・・置いとこう。他には食堂?司令室??今のところどうしようもなさそうだね。よし次、えーと第三画面は『美少女召喚』・・・は??」
「おお、第三画面まで進んだのかい。これは補足してあげよう。美少女召還とはこことは違う世界の美少女たちを召喚することができる画面だ。この世界の平行世界ではなく、全くの『異世界の少女たち』だ。美少女といっても三十(笑)を超えている人物もいたり、600歳を超えている吸血鬼もいたりするのだが・・・とにかくこのキャラは嫁!っていう女性キャラは全て選べるようにしてあるよ」
「(吸血鬼?嫁??)えっと、女の子を呼んでそれで何になるのですか?」
「彼女たちはただの女の子たちでは無い。君にもわかりやすく言うと『アニメや漫画』のキャラクター達と解釈したまえ(まあ、お前もそうだが)。もちろん普通の少女に過ぎない人物もいるが、たった一人でこの世界を簡単に救えてしまう人物もいる。そういう人物はポイントを高く設定させてもらうからおいそれ呼べないがね。また呼ぶことができる世界は最初10個に限らせてもらう。あらかじめ『リリカルなのは』『ハイスクールD×D』『真・恋姫†無双 』『ゼロの使い魔』『とある魔術の禁書目録(+とある科学の超電磁砲)』『マブラヴ・オルタ』『IS インフィニット・ストラトス』『真剣に私に恋しなさい!!』『機動戦艦ナデシコ』『碇シンジ育成計画』に決めさせてもらう。なぜかというと監視者の方々がググることなく安易に監視してもらうためだ。これ以外の別世界を足したい場合はその世界に応じて私の決めたポイントを追加で払ってもらおう」
「(僕の育成計画??)・・・さっぱり意味不明なんですが」
「いいんだ、別に君は気にすることは無い、忘れてもらっていい。ちなみに追加する世界だが、例えばガ○ダムシリーズの場合は数百万から数千万ポイント請求する。逆にサザエさんなら1000ポイントで良い。ドラえもんは1億ポイントだ。美少女召喚なのでドラえもん自体は呼べないが妹のドラミちゃんは呼べるからな、というか兄より優秀になっている。サザエさんの場合はワカメちゃんや花沢さんたちが呼べるぞ(呼びたいかはともかく)。私の知らない作品の場合はググって調べてのち決定する。スマ○ルプリ○ュア?もちろん可能だ。ちなみに追加した世界から一人呼ぶ場合も当然ポイントが必要だから注意するように。これも一人一人私がポイントを設定するのでその都度画面を確認して欲しい。
このあたりも説明が必要だな。我慢して聞いてくれ。そうだな・・・例えば『リリカルなのは』の世界の女の子を呼ぶ場合だが、アニメ版なのはは『無印』、『As』、『Sts』と3期に分かれているから、呼ぶ際は具体的にどの時点の人物を呼ぶのかを指定してもらいたい。
例えば高町なのは→無印(9歳)→レイジングハート所有ならば30万ポイントだ。
レイジングハートなしなら3000ポイントでいい。それで役に立つかは解らないが愛でることはできるぞ。高町なのは→Sts(19歳)→レイジングハート・エクセリオン所有の場合は300万ポイントだ。管理局での10年の戦闘経験を加味させてもらい10倍とする。
またオプションについても説明しよう。先ほどの『レイジングハート』の部分だ。
これも例えばなのはの友人のアリサ・バニングスで説明するとアリサ・バニングス→無印(9歳)→バニングス財閥令嬢で20万ポイント請求する。バニングス財閥なしならば2000ポイントで良い。これは『バニングス財閥』をこの世界に出現させるための追加分だ。アリサを通して財閥を利用できるようになるわけだ。ただ、この場合アリサは9歳児に過ぎないので実際はたいしたことはできないだろう。ポイントがもったいないかもな。
しかしアリサ・バニングス→Sts(19歳)→バニングス財閥後継者を選択するのは200万ポイントになる。この頃のアリサは後継者としてかなり財閥内でも発言権が強い。そのためなのはと同じく10倍の設定をさせてもらった。世界の危機ならば十分な協力が得られるだろう。これは他の作品でも同様に適用される。『ネギ魔』の雪広財閥でも『真剣に~』の九鬼財閥でも同じような立場であればそれなりにポイントは高く設定されるということだ。気をつけるように。また必要ポイントは作品によって『基準』が違う。ネギまなら『キャラクター人気投票』も加味されているので能力の割に必要ポイントが高かったり、能力が高いのにポイントが低い子もいる。このあたりはぜひプロフィールを熟読してあれこれ楽しんでハーレムを築いてもらいたい。おまけでプロフィール開示は一人につき1000Pだ」
「・・・・・・お話は終わりましたでしょうか・・・・・・」
完全に置いてけぼりのシンジ君であった。
「ああさらに一つ付け足すと、誰を呼んだとしても元の世界には影響はない。ここに呼ばれるのは本人では無く『コピー』だからね。まあ、この世界では現実の人間になるがね。それと彼女たちは『神の洗脳済み』なのでよほどのことが無い限り君に従うし、×××もちゃんと君が口説けば応じてくれる(というか普通でもちゃんと口説けばできるけどな笑)。君には彼女たちを呼んだ手前、ちゃんと養ったり守ったりする責任が出てくるわけだが・・・それも心配ない、それこそ誰を呼んでも彼女たちは自分で自活できる自立した女性たちだ。役割を終えて君がもう必要ないと言えば、君の元を去り、それぞれ考えてこの世界で生活をするだろうさ。まあ、私としてはできれば全員と楽しいハーレム生活をしてもらいたい(こいつがなのは9歳を呼んだ場合はどうしようか汗)」
「・・・とっ・・・とりあえず、つっ次の画面を見てみます!」
(知らない女の子を自分の都合で呼ぶなんて絶対無理だよ!何様だよ!そんなこと僕にはできない!だからこの画面はもう見ないようにしよう。それで第四画面は『技術開発』?これって第二画面と同じじゃないの?F型装備(装甲)、F型インパクトボルト、F型プログナイフ、デュアルソー、AW.マスチマ??JA改ってなに??ううんさっぱりわからないけど、おそらく先に技術開発をしないとプラントで生産できないのかな??リストの最後の方にある量産型エヴァ(S2機関なし)やS2機関とかは数千万ポイント必要とかですごいポイント数が要求されるようだけど・・・。とりあえず最後まで見てみよう!最後第五画面は『情報』・・・か。これもどれもポイントが高いなぁ。灰色になってて選べないのもあるし。なんだよこの人類保管計画全容とか5千万ポイントって何さ、裏・死海文書(日本語訳)も3千万ポイントだし・・・。お父さん・・・碇ゲンドウの情報で5百万ポイント、あの写真の女性の葛城ミサトさんでも300万ポイント・・・。あっお母さんもある!!でも・・・6百万ポイント必要とか・・・これ、初期ポイントの15万じゃどれも選べないじゃないか。本当にこれを選べる日が今後くるのだろうか泣)
シンジはとりあえず最後までこのチートシステムを見てみた。
わかったことはほぼちんぷんかんぷんということだ。なんだか悲しくなってしまった。
(いや・・・いまはこれらを『選べない』ということが『わかった』ということだ。つまりは将来選べるようになるということなんだよね)
「その通り!私は君にこの物語を『可愛い女の子たちとキャッキャと楽しく無双してもらいたい』のだ。今選べないということはいずれ選べるようになる。心配ご無用だよ。それに情報に関しては君が独自に調べたことについてはポイントが棒引きされるから安心したまえ。さあ、そろそろ前に進もう。数少ない監視者たちが早くしろとせっついているよ」
「ええと、ではとりあえず身体強化を・・・」
「おっと待った。シンジ君・・・本来は口を出すべきでは無いのだが、これだけは提供者として言わせてもらおう。君は女の子を呼ばない心算だね。それは『ダメ』だ。君には絶対に女の子を呼んでもらう。まず最初に呼ぶ女の子を決めてから他を選び給え」
「でっ・・・でも、僕に『女の子の世話をする』なんて無理です!!」
「君が『世話を受ける』の間違いじゃないかな??とにかくダメだ。どうしても君が呼ぶのを否定するならば今回のこの話はなかったことにしてもらう。そしてもうこの世界に存在の意味は無い。ここで君を殺し、この世界はサードインパクトを起こしてさっさと滅んでもらおう。14年後の世界に飛んでみんなに白い目で見られてもいいのかい?」
「(14年後??)そっそんないくらなんでも横暴です!」
「それが『神』ということさ、まあ、確かに君は彼女たちの世界の原典(元ネタ)を知らないし、誰を何の基準で選べばいいかなんて急には言われてもわからないだろう。ふむ、時間も残り少ない。そういうことなら最初の召喚は私のサービスでオススメの娘を選んで呼んであげよう。ちなみに今後もオススメの女の子は画面に表示しておくようにする。もちろん誰を選ぶかは君次第だけどね」
神はそう言うと「誰にしようかなー♪」と楽しそうに呟いている。
「うーん、さすがに高ポイントの能力が優秀な子は面白くないよなぁ。とりあえず作品をアミダで決めるか・・・っと『恋姫』ね。一番ポイントが低いのは張勲(+袁術)、公孫サン、張三姉妹とかだけど・・・。この中で面白そうなのは張勲かな腹黒いし。よし君に決めた!ポイントは『おまけの袁術』を含めて3万ポイントだけど言ったとおり彼女たちは私の特別サービスだ。この世界から抜けたらすぐに会えるからお楽しみに♪♪」
シンジは目の前の画面のカーソルが勝手に操作されていく様子をただ呆然と見ていた。
なんというか神の勝手な行為(好意)に反論する気がなんでか起きなかった。
「ほら、シンジ君。身体強化をするんだろう。早くしたまえ」
「・・・あっはい・・・えーと、まず肉体強化をレベル1から4へ(-3000P)、戦闘技能はレベル3へ(-2000P)、操縦技能レベルを一気にレベル5へ(-4000P)、精神力アップをレベル3へ(-2000P)、知力アップをレベル3へ(-2000P)、魅力アップをレベル3へ(-2000P)・・・」
「もっとドーンとレベルを上げたらどうだい。まだたった15000ポイントしか使ってないよ?レベルの上限は100なんだから、そんなチマチマ上げても効果は薄いよ」
「あの・・・このポイントは使わずに貯めておけないのですか?」
「あのね、シンジ君。君、命がかかっているのわかってる?ケチったら死んじゃうよ」
「だからこそ、いざという時に必要な力にポイントを振りたいと思いまして・・・」
「うーん(いざという時にのんきに画面を開いて振る余裕があるのかね?)まあいいか、シンジ君の好きにしなさい」
「はい、すいません」
シンジはとりあえずかなりのポイントを残して画面を閉じた。
性格的にというか、彼はいままでの人生の中でめったに小遣いを叔父達からもらえなかったので、必要なときに困らないよう貯め込む癖がついていた。
なのでポイントとはいえ全部をすぐに使ってしまうようなシンジ君ではなかったのだ。
ちなみに神も失念していたのだが、この時点でシンジは国体出場選手並の運動能力、大卒並の知力、ジャ○ーズのアイドル並の魅力(オーラ)などを得ており、かなりのレベルアップを果たしていた。レベルを一つ上げると一段階上のステージになるという設定をすっかり忘れており、ポイントを一桁低く設定していたのだ。後日、そのことに気がつき神は大爆笑することになる(ちなみに必要ポイント数は直さなかった。神に二言は無いのだ)。
つまりは、実際には15万ポイントを消費しており、シンジ君は十分チートになっていた。しかし、シンジ君も神(笑)もそんなことは知らず、別れの挨拶を交わしていた。
「では、シンジ君。これで私の役割は終えた。もう会うこともない。大変だろうが頑張ってくれたまえ。最後に・・・いいかいシンジ君、このチートシステムは『我慢とは無縁』だ。好きにどんどん使っていいんだよ。君は真面目だから女の子をモノのように召喚したり、努力もせずに強くなったり賢くなったりするのを嫌うかもしれない。しかし、それは全くの間違いなんだ。君がこれから置かれる立場は本当に本当にヒドイものなんだよ。それに打ち勝つには『チート』しかない!と思う。あと数時間で君は大人達の醜さを知るだろう。そしてそれでさえまだまだ甘いものなんだ。誰もが君のことなんか駒にしか思わず、人生をむちゃくちゃにし、苦しめ、最後には独りぼっちにさせられる。別の展開の14年後の世界なんか酷すぎて引いたよ。私には君をそんなふうに扱う大人達が許せない!乳臭いと言われてもね。だから、私はこのチートシステムを君に渡したんだ。シンジ君、いいね。ハーレムを築いて幸せになるんだよ」
「・・・ハーレムのところはわかりませんが、わかりました。僕もそんな未来は嫌です。神様がせっかく僕に与えてくれたのですから、十全に使いたいと思います」
シンジのその言葉に神は頷いた。顔は見えなかったが十分に満足したようだった。
そしてゆっくりとその姿が薄くなり、まもなく消えてしまった。
消えたのと同時に窓の外は青空に変わり、さらにガタンゴトンと電車の音が復活した。
シンジは左手首にはめた時計、チートシステムに目を落とす。
(夢じゃない・・・そう、夢じゃなかったんだ。そして僕はこれからとんでもないことに巻き込まれる。でもこのチートシステムがあればきっと乗り越えられる。頑張ろう・・・。ああ、そうだ・・・この時計の色は昔好きだったあの『おもちゃのロボット』と同じ色なんだ・・・)
チートによって知力がアップしているシンジはすっかり忘れていたそんな過去のことも思い出していた。
そういえば母さんは・・・などと考えていると、今度は真横から声が聞こえてきた。
「のう、シンジ・・・まだ着かんのかえ、妾は蜂蜜水が飲みたいのじゃぁーーー」
「美羽様、ご主人様を困らせちゃダメですよ。着いたら買ってもらいましょうね♪」
・・・・・・え??
第壱話 使徒、襲来 Aパートに続く