「ここは・・・ドコ?」
シンジは第二東京でユイ達とともに戦自のお偉いさん方と会議をしていたはずだった。
しかし、ふと気がつくと壁に巨大な振り子時計が掛けられている不気味な部屋にポツンと独り佇んでいたのだった。
すると、影になっていてよく見えないが振り子時計の下に誰かが椅子に座っていた。
そしてその人影は懐かしい声でシンジに語りかけた。
「やあ、シンジ君。久しぶりだね」
「あなたは・・・もしかして神様??」
「ああ、そうだよ。驚かせて悪かったね。今日はねシンジ君、君に一つプレゼントをあげたいと思って、急なことだけど呼び出させてもらったんだ」
「へ?『プレゼント』ですか?それは一体・・・」
「内輪の話で申し訳ないんだが、ここから先、君がどのような物語を紡いでいくのかまったくの未定なんだよ。なにせ稀代wのストーリーテラーさんがいなくなってしまったからね」
「確か神様の友人さんのことですね・・・。あの時はチンプンカンプンでしたが」
「ああ、よく覚えていたね。神である私と悪魔である友。君がこれまで紡いできた道筋はその悪魔によって定められていたわけなのさ。ただし、ここからはまったくの白紙。シンジ君自身が全てを己で決めていかなくちゃならないんだ」
「僕は今までも自分で全てを決めてきたと思ってますが・・・」
「はて?そうだったかね?まあ、そう君が思っているのならそれでもいいさ。ならこれからも引き続き頑張って幸せになるといい。さて、プレゼントの件だがこれも以前話していた美少女召喚できる世界を『追加』する権利を一つ与えるというものだ。なぜかと言うと、友がいなくなってしまった状況ではこの追加する世界を言い出す輩がいなくなってしまったからだ。このままじゃ設定倒れだし、そのための緊急の処置として『サイコロ』でその世界を決定しようと思う。もちろん監視者の皆さんが楽しめるよう、今回もよくSSの題材になっている世界を選んだ。君が振りたまえ」
「・・・・・・」
<サイコロの目>
1.『めだかボックス』 2.『ハイスクールD&D』 3.『GS美神極楽大作戦』 4.『ハンターハンター』 5.『Fate/stay night』 6.『東方Project』
「神様・・・」
「なんだい??君が大好きな銀英伝は無理だよ。あの作品だとフレデリカとヒルダとシェーンコップの娘さんくらいしか女の子がいないし・・・地球が地球教化しちゃうし」
「全部」
「うん?」
「これ全部ください!!!!」
「・・・・・・は??」
「神様は僕を『幸せ』にすることが目的なんですよね。なら全部選ばせてください!」
「・・・いや、君ね。一応こんな糞SSでもルールってやつがあるんだよ?」
「でも安西先生、僕はもっともっと可愛い女の子とエロエロなことがしたいです!」
「誰が安西先生だよ!そんなことを認めてたら物語の収拾がつかなくなるでしょ!」
「ずっと待ち焦がれてたんだろ、こんな展開を!荒らしがやってくるまでの場つなぎじゃねえ!管理人が登場するまでの時間稼ぎじゃねえ!他の何者でもなく!他の何物でもなく! テメエのその手で、たった一人の少年(シンジ)幸せにしてみせるって誓ったんじゃねえのかよ!ずっとずっと神様(笑)になりたかったんだろ!アニメみてえに映画みてえに、命を賭けてたった一人の少年(シンジ)を守る、そんな神様(笑)になりたかったんだろ!だったらそれは全然終わってねえ!! 始まってすらいねえ!!ちっとぐらい長いプロローグで絶望してんじゃねえよ!!手を伸ばせば届くんだ。いい加減に始めようぜ、神様(笑)!! 」
「シンジ君・・・」
「神様が何でも思い通りに出来るってなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!」
「とりあえずネタを入れれば文字数が稼げると思っている幻想をまず止めなさい」
「サーセン」
「性格変わりすぎでしょ、君。まあ、いいか。じゃあ好きにしたらいいよ」
「マジで!!さすが神様、話がわかる!」
「ただし・・・ただしね、実は君がチートシステムを使うことでこの世界の様々所に弊害というか何と言うか悪いところもたくさん出てきちゃっているんだよねー」
「はい?」
「たとえば今中国で黄色い布を頭に巻いた山賊が増え始めていたり、火星にエイリアンが襲来していたり、そのせいでコロニーが一つ壊滅してたり、川神市で変なドラッグが蔓延し始めてたり、このままでは大陸が空に浮かんでしまい人類滅亡したりとか・・・ね」
「・・・なにそれこわい」
「君が召喚システムで女の子を呼べば呼ぶほど、もともとの彼女達の世界にある『危機』も少しずつこの世界に侵食してきているんだよ。今一番進行してるのが10人召喚されてる『マブラブ・オルタ』の世界だね。彼女達一人呼ぶ度に、侵攻を受けている火星にハイブが一つ追加されているんだよ。その次が『ネギ魔』で4人だから、そのせいで火星の魔法世界がえらいことになっているみたいだ。この二つは連動しているみたいだね。ごめんねぇー説明が遅くなって♪」
「・・・・・・え?それって、マジ??」
「マジマジ。でも全然問題ないよ。だって『チートシステム』はそんな危機くらいどうだって乗り切れる『チート』なんだからさ。まあ、君の物語(エヴァ)が終わる前にこの全ての危機を君が解決させないといけないという縛りもあるんだけど・・・。まあ、楽勝だよね」
「・・・ちなみに最後の使徒(?)はいつ頃来るんでしょうか?」
「それは情報をポイントで買いたまえ・・・ってOKOK、その振り上げた拳は戻すんだ。わかったよ、教えるよ・・・。えーと時期は君の行動で前後するけど来年のはじめあたりかな?」
「あと7ヶ月ちょっとでその全ての危機を解決しなきゃだめなの!?そんなの無茶ぶりすぎるよ!!」
「・・・でもシンジくん。今の調子で使徒戦をやっていてもネタ切れで監視者の皆さんは飽きちゃうよ?もうミサトさんやトウジくん達を使って安易に笑いを取りに走るのは止めないかい?」
「うっ・・・痛いところを。あーあ、やっぱりそんな甘い話はなかったのか・・・」
「このシステムがあるだけ『大甘』だと思うけど。とにかく世界の危機についてはチートシステムの情報画面に表示させておくからね。それぞれの危機に関しては『期限』が設定されている。その期限を越えると取り返しのつかないことになるから必ず守るように」
「・・・さっきの追加した世界の女の子達を呼んだ場合も、やっぱりその世界の危機がこの世界にやって来るんですか?」
「そりゃ当たり前でしょ。まっ話がわかったところで、そろそろ帰っていいかな?」
「・・・はい・・・というか、そうなると美少女召喚の『コンボ』ってかなり凶悪じゃありません?!なのはちゃんを1発目に召喚してたら(震え声)」
「さて?世界中にジュエルシードがばらまかれて大騒ぎか、闇の書が暴走してるか、スカさんが楽しく暗躍しているかくらいなんじゃない?その展開も用意してあったよ」
「オーノー!!危なかったぁーーーーー!!使徒どころじゃねぇーーーーー!!」
「元気を出しなよ。まったく、また以前のネガティブシンジ君に逆戻りかい?チートシステムを信じれば大丈夫だよ。主人公が負けるはずがないだろう?僕は君に爽快に無双して欲しいんだがら。ほらあれだよ『人類爽快化計画』だよ!!」
「わかりましたよ。あれでしょ?女の子でキャッキャ楽しむんだったらそれなりの苦労をしろってことでしょ!!」
「そういうこと。それに君自身のレベル上げも『人類最強レベル』で止まってるしさ。早く使徒化するとか念に目覚めるとか所謂『スパシン』になって欲しいわけなのに、せっかくのチートがもったいないよ。あと、これはまだ作成中だけど『パワーアップキット』もいずれつけてあげるね。お楽しみに。ではそろそろお暇させてもらうからね、じゃーねー♪」
「はい・・・また・・・(神様だってキャラ変わってるじゃん)」
「碇殿・・・、第三新東京市に使徒が現れたとか・・・」
「うわ!びっくりした!!」
精神世界で神様と別れ、現実世界に戻ってきたシンジにいきなり白髪の交じった髪をオールバックにキメているダンディなおじさんが声をかけた。
「どうなさいました?少し考え込んでおられたようだったが?」
「いえ、大丈夫です(そうそう、今会議中だったんだっけ)問題ない(キリっ」
戦略自衛隊陸将『土方歳造』は自分の孫ほどの少年のカリスマに圧倒されていた。
当初は子供に一尉の階級はやり過ぎじゃないか?と思っていたが、今はそんな疑問はキレイに払拭されている。
(なるほど・・・首相や大臣連中がべた褒めするはずだ。将来が楽しみだな・・・)
本日、第二東京の旧松代城跡に建てられた『戦略自衛隊総本部』にて第1回目の斯衛軍発足準備会合が開かれていた。
『松代城』といえば、歴史好きの人たちからすると『海津城』と言う名の方が馴染みがありよく知られているだろう。武田家と上杉家が争った川中島の合戦にて重要な戦略拠点で有り、かの山本勘助によって築城されたとも言われている。江戸時代に改名された後、真田氏の居城として明治の時代まで使われた。
セカンドインパクト後、松代を含むこの地域に東京が移転してくると、幹線道路沿いで高速道路のICにも近いこの場所が戦略自衛隊総本部として作り替えられたのである。
もちろん、現存していてこの城跡の顔でもある『太鼓門』は引き続き総本部の正門として使用されているし、できる限り残せる史跡は残すよう配慮されていた。
現在、この会議室には碇シンジ一尉、碇ユイニ佐、榊千鶴三尉、珠瀬壬姫三尉、雪広のエージェントである香月夕呼博士が席に座っており、彼らの護衛の神宮司まりも一曹、忍足あずみ一曹両名も後ろに控えている。そして、戦自からは陸将の土方、海将の沖田、空将の永倉の3名が主に出席していた。それ以外にも副官数名が同席している。
しかし戦自トップの統合幕僚長芹沢の姿はここに無かった。彼は戦自解体が決まった後、戦自が今まで抱えていた諸問題の全ての責任を取るとして辞意を表明していたのだ。
芹沢は当初この斯衛軍には猛反発していたのだが、その後説得(洗脳)を受け賛成に回ると賛成派の旗振り役を務めていた。そしてなんと退職金を含めた全財産を斯衛軍に寄付するとまで言ったのであった。さらには自分の孫達を少年兵として軍に放り込みさえしたのである。
芹沢は決して評判の良い男ではなく、政治家との黒い噂が絶えない人物であったため、戦自内でも嫌われていたのだが、今回の彼の行動はその評判を大きく覆す潔い、まさに見事な引き際であった。
ちなみに彼を幕僚長に据えていたゼーレのメンバーもこの報告書を読んだときは思わず報告書を二度見したほどの驚きであった。
そして、さらにもう一人、上座には政威大将軍に任命された煌武院悠陽が座っている。
彼女はシンジに先日召喚されていたのだが、夕呼の側に直接召喚されていたため、シンジに会ったのは今日が初めてである。本人はシンジと話したくて仕方がなかったのだが、表面上は威厳溢れるまさに政威大将軍にふさわしい風格を見せていた。
当初戦自の幹部達は悠陽を不安視していたが、この何日かで彼女はオジさん達の心をギュッと掴んでいた。まあ、心配せずとも不満分子はすでに洗脳によって粛正されているので彼女の支配権は揺るぎないものであったのだが。
彼女は現在この総本部内で暮らしており、目下御殿を本部隣の二の丸に建築中である。
もちろん建築は雪広建設が施工していて、費用は全て雪広の寄付である。
また、この総本部周辺も併せて拡張工事を行っている。
こちらは那波建設が施工し、戦術機を配備できるよう様々な施設を急ピッチで工事していた。費用はもちろん那波の寄付である。
「まだ詳しいことはわかりませんが、僕が乗っている初号機が大破したそうです。幸いにもコアは無事だったそうですが、機体は数週間の修理が必要だそうです。残念ながら今回の使徒戦には使用できそうにありません。零号機は再起動実験が成功しているので出せますが、実戦経験の無いファーストチルドレンを無策に出撃させても彼女を殺すだけです。僕の命令があるまでは絶対に出さないように言ってあります」
「それで時間の猶予はどれくらいあるのかね?」
「明日の2400(ふたよんまるまる)が期限のようです。それ以降は使徒がジオフロントに到達、程なく光線を放たれてネルフは消滅、サードインパクト発生、人類滅亡となるでしょう」
「あと32時間弱といったところか・・・。それでどうするのかね、碇一尉。君はネルフの作戦二課長でもあるのだろう?ネルフのロボット1機で使徒に勝てるのかね」
「ネルフでは無理です。ファーストチルドレンはシンクロ率が25%前後と起動ギリギリです。そんな状態で出たとしても使徒の光線が避けれず倒されるでしょう。今回の使徒は遠距離攻撃に特化しています。残念ながら兵装ビルも役立ちません。また、防御力もかなり高いという威力偵察の第一報もありましたし、この防御を打ち破る兵器は現在ネルフにはありません。なので、まあ、何が言いたいかというとネルフに勝つ見込みはほとんど無いということです」
「しかし、シンジ殿はそれほど絶望しているように見えません。策があるのですね?」
悠陽が期待を込めたまなざしでシンジを見る。シンジは彼女に力強く頷いた。
「はい。ネルフ作戦二課長として斯衛と防衛庁に協力を求めます」
「我々と防衛庁?にかね。しかし・・・」
「まあまあ永倉さん、最後まで碇一尉の話を聞きましょう」
「ああ、そうだな。すまん」
「現在ナガサキに置いてある僕の『陽炎』を使います。この陽炎ですが、発表会の時に驚かせようと大改造を行っていたのですが、明日の朝までにこれを完成させて第三新東京市に運びます。全身への追加装甲と高機動ブースターを装着させてますので、単独で現場に向かうことが出来ます。皆さんに頼みたいことは戦自研の陽電子砲を第三新東京市まで運んで欲しいのです」
「ああ、それは問題無いし望む所だが・・・。陽電子砲は使徒に通用するのかね?」
「たとえしなくとも使徒に隙は必ず作れると思います。陽炎では多分使徒のATフィールドが破れないので、まず陽電子砲で隙を作り、続いて零号機で使徒のATフィールドを中和、陽炎でトドメを刺すという三段構えで戦いたいと思います」
「陽電子砲の電力はどうするのかね?かなりの電力が必要になるが・・・。まさか全国から集めるとか無体な事は言い出さないだろうね」
「いえ、それでは停電による事故などの恐れがあります。病院や介護施設などでも長時間の停電は困ってしまうでしょう。なので電力は『JA』を使います」
「JA?来月の『戦術機』の発表会の時に一緒にお披露目予定の日重のロボットかね?」
「はい。資料によるとあのロボットは外燃機関にリアクター、つまり小型の原子炉を持っています。それをフル稼働させればかなりの出力になるでしょう。それを陽電子砲に繋いで使用します。まあ、恐らくは日重側もそれを見越してのリアクター内蔵なんだと思いますから繋ぐのも容易いでしょう。さすがに発表会間近なのでJAも動くことはできるでしょうし・・・。陽電子砲をJAに取り付けて移動砲台にできれば一番ありがたいのですが。というわけでJAを第三新東京市に持ってくるよう防衛庁と日重に要請してください」
「ふむ・・・なるほど・・・。防衛庁と日重が好き勝手にしているのかと思っていたが、意外とちゃんとしたものを作っていたのか・・・。これは盲点だったな。了解した。悠陽様に要請書を書いてもらいましょう。首相の署名もあれば文句はでないだろう」
「わざわざ実績を作らせてあげるのだ。喜んでやって来るさ」
「・・・しかし、いくらこちらで準備ができても、ネルフの司令がうんと言わないと共同作戦が取れませんぞ。使徒戦の優先権はネルフにあるのですからな」
「大丈夫です。少しでも賢いなら自分たちではどうしようもない状況だということはわかるでしょうし・・・。作戦二課として作戦を司令部に上申もします。それに母さん、ユイ二佐を本部に向かわせて司令を説得すれば大丈夫です」
「そうなのかね?ではそちらは任せよう。その他には必要なことはあるかね?」
「せっかくですからテレビ中継を行いましょう。国民に使徒戦を見せるべきです。今のままでは国民達は自分たちの危機を知らぬまま暮らすことになります。斯衛軍がなぜ作られたのか、戦術機やJAがなぜ必要なのかを知ってもらう必要があるでしょう。我々の力で使徒は撃破できることがわかれば安心するでしょうし、支持を受けることも出来ます」
「うむ。それは賛成だ。こんな大事をいつまでも隠しきれるものでは無い」
「現在上り調子の内閣支持率をさらに上げることができる。政府もはりきって対応してくれるだろう」
「しかし・・・榊首相は素晴らしい方なのに、なぜあんなにも以前は支持率が低くかったのだろうな?」
「わからん・・・今までとは『人が変わった』ようにしか思えんよ」
こうして斯衛軍の発足準備会合は一旦中断、後日改めて行うということで、出席者達は慌ただしく使徒戦への対応始めることとなった。
シンジがハーレムメンバー達とともに会議室から出てくると、部屋の外には会議前に戦自のお偉いさんから彼の副官として与えられていた霧島マナ三曹が待っていた。
「碇一尉!」
「ん?ああ確か霧島三曹だったっけ?僕はこれから急いでナガサキに向かう仕事ができたんだ。明日の使徒戦の準備をするためにね。ちょうど良いからマナちゃんも一緒においで。それで明日の朝『一緒に』第三新東京市に戻るから」
「はい!了解です!!」
マナは会議の内容を聞いていないため、シンジの言うことにいくつか疑問を感じたが、それは表には出さずに元気よく返事をした。どちらにせよ彼女には『是』の返事しか許されていないのである。
「シンジ」
「あっ母さん・・・。えーと父さんの説得をお願いするね。今回の作戦内容は二課を通じて司令部に提出するよう指示しておくから。あと、カエデさんにゲートまで迎えに行かせるよ。あとレイを絶対に不用意に出撃させないよう目を光らせて!あの葛城一尉はなにをしでかすかわからないから危険だよ」
「わかっているわ、任せなさい。世界が変わってもゲンドウさんはゲンドウさんよ、あれで可愛いところもあるんだから・・・。上手く操ってみせるわ」
「そっそう?・・・うん、じゃあ頼んだね。それと・・・」
シンジはユイに頷くと後ろに控えていたあずみとまりもの二人を手招きした。
「「なんでしょうかシンジ様?」」
「あずみさん、まりもさん・・・葛城一尉の件ですが、彼女がもしレイを殺そうとしたり危険に晒そうとする行動を取ったときは彼女を殺して下さい。副官の日向二尉もです。許可は後で悠陽からもらっておきます。チルドレン候補生は緒戦の戦いで負傷入院しているので心配ないと思いますが、もしなにかあれば彼らも同じです。殺してください。目標を殺した後は母さんとレイを連れて本部から脱出して下さい。その際は戦自の皆さんの協力が得られるように手配しておきます」
「「わかりました」」
あずみとまりもは少し顔を強ばらせて返事をするとシンジに敬礼した。
「千鶴と壬姫は母さんについてサポートをお願いするよ。夕呼さんは悠陽の側で・・・人手が足りないな・・・誰か呼ぼうか?本当は事情があって召喚は慎重に行いたいけど」
「大丈夫よ。この総本部内なら滅多のこともないし・・・。下手に悠陽様の側近が増える方が怪しいわ。碇、早く行きなさい。時間は貴重よ」
「わかった。では行ってくる」
シンジは夕呼に頷くと、母親達に敬礼しマナを伴ってナガサキへと向かうのだった。
シンジを見送ったユイ達も第三新東京市に戻るため自らの移動を開始した。
「シンジ殿は行かれましたか・・・」
悠陽が会議室から出てきた。彼女は会議室に残ってシンジ達から頼まれた書類を早速作成していたのである。彼女の後ろからその作成された書類を持った戦自の幹部達も出てくると、悠陽に敬礼し急ぎ足で関係部署へと向かって行った。
「申し訳ありません。せっかく今日の夕食はお二人でと準備していたのですが」
「いいえ、この火急の時に彼がのんびりと食事をとれるような立場では無いことは承知しています。それに私も明日の作戦開始までできる限りのことはしたいのです。香月殿、もちろん私にも仕事はあるのでしょう?」
悠陽のその言葉に夕呼はニヤリと笑って「当然です」と答えたのだった。
二人は微笑みあうと早速自室に向かい、今後に向けた様々な政治工作をスタートさせたのであった。もちろんそれはシンジの勝利を前提としてである。
長崎へは第二東京空港(旧松本空港)から飛行機に乗り長崎空港へ向かうことになる。
空港には3バカの一角、神代 巽が車で迎えにくるとのことだった。
旧長崎造船所、現ナガサキ・アーセナルは長崎市の湾沿いにあるため、空港からは車でだいたい1時間程度の距離と見れば良い。
まさか自分が行くことになるのであれば、もっと近いところに作れば良かったとシンジは後悔したが、さすがに第二や第三新東京市に近いところに巨大施設がいきなり現れていたら、さすがにネルフや内調にもっと早く『戦術機』のことがバレていただろう。
さて、そんな小忙しいシンジ君であるが、空港に向かう車内で早速新たに自分の副官になったマナの太ももをFSSし始めた。
しかし、シンジ君は重要なコトをうっかり忘れている。
彼女は別にシンジに召喚されたわけでも、操祈に洗脳を受けている訳でも無い・・・昨日まで少年兵として、そしてトライデント級のパイロットとして訓練を受けていた戦自の女の子なのである。
(ちょ!ちょっと!!碇一尉、一体いきなり何をはじめやがるのですかぁ!!!)
今回彼女は上司から重大な任務を受け、なんと三士から3階級も昇進し三曹として彼の副官としてやってきているのである。これはつまり2度と元の部隊には戻ってくるなという意味でもあった。三曹の自分があそこに再び舞い戻っても何の仕事も無いからである。
ちなみにその任務とは『碇一尉の副官(小間使い)』『彼を某国のハニートラップから守る』『孕め』の3つである。
さすがに最後の命令は酷くないかと思ったし、少し泣いてしまったが、もともと深く悩む性格でもなかったのですぐ立ち直り、じゃあどうやって彼の子を『孕め』ば良いのかと、この14年間色恋沙汰に接してこなかった彼女にはよくわからなかったのである。
もちろんナニをすればいいかは、さすがにマナも知っているのでそのような意味では無い。
どうやってシンジを誘惑してその気にさせるのか?というのが問題だったのだ。
彼女の上司は無責任に『大丈夫、ヤレばデキる』とアドバイスをしたのみだった。
しかし、まさか今日配属され会ったばかりの自分に、彼は平然とスカートの中に手を入れて太ももを触るというセクハラをナチュラルに行ってきたのである。
これにはさすがのマナも吃驚仰天であった。
(碇一尉は女好きとは資料に書いてあったけど・・・。これは女好きというより変態さんなのでは??それにいくら何でも初日にこれはダメでしょ。「セクハラです!」って言った方がいいのかな?でもそれでクビになるのもやだし・・・)
そんな動揺するマナを無視して、シンジは彼女をFSSをしながら携帯電話でネルフ本部の作戦二課の職員達と至極真面目な会話を繰り広げていた。
その表情は真剣そのものであるし、とてもなんとか指を彼女の股の間に入れようと奮闘している変態だとは見えなかった。
「ふぅ・・・とりあえずこれでよし。しかし、シンクロ率0%で出撃させるとは」
シンジは彼女の太ももから手を引いた。それにホッとしたマヤだった。
すると、シンジはマナに真剣な表情で顔を向ける。その顔にマナはドキッとした。
「ねぇ霧島三曹・・・。君がエライ人に何を言われて僕の傍に来ているのかはわからないけど、僕は自重しない男だから君の太ももに触るし、おっぱいも触るし、キスもするし、一緒にお風呂も入るし、一緒に寝るし、エッチもするよ。最終的に戦いが終わったらメンバー全員に僕の子供を作ってもらって大家族になったら『痛快!ビッグシンジィ』って番組をやりたいと思ってる。だからそれが嫌だったら副官は辞めてもらってかまわないからね、明日は一緒に陽炎(改)にも乗って敵に特攻するしさ」
「ちょっと待って下さい!突っ込みどころ満載で困ります!まず碇一尉、セクハラは自重して下さい。一尉の思い描く副官像は間違いです!どこのエロゲですか!!それと日本は一夫一妻制なんですから不特定多数の女性とそんなコトをしてはダメです。えーと番組は今は置くとして、明日の『特攻』って何ですか!聞いてませんよ、そんなこと!!」
「え?やだよ。何で君みたいに可愛い女の子に自重しなくちゃダメなの?そんなのは楽しくないし、何より『幸せ』じゃ無い・・・。僕は世界の危機を救うことと引き替えに自重することを止めたんだ。絶対に拒否する!今、車から降りなかったら君にキスするよ!一夫多妻は問題無い、いずれ法律を改正させるから!特攻については人手が足りないんだから仕方ないでしょ!大丈夫。君が死んでも変わりは(別世界に)いるから!!」
「死ぬのが前提?!」
マナはうきゃーと頭を抱え蹲ったが、シンジによってあえなく押し倒され、抵抗むなしくファーストキスを彼に奪われた。その後、空港に着くまで彼女はFSS、OMMなどのセクハラ三昧を受け続けるのであった。
「ごめん、ちょっとやり過ぎたね」
「・・・・・・・・・・・・」
シンジはジト目で彼を睨むマナに平謝りしていた。さすがにアレはなかった。
空港に着いたときにはマナは半裸に剥かれてシンジにペロペロされていたのである。
運転手さんが雪広の身内じゃなかったら、シンジはこのスキャンダルで彼の命運は終わっていたことだろう。いくら自重しないといってもやり過ぎである。
「ついカッとなってやった。今は反省している」
「それって本当に反省しているんですか?はぁ・・・もういいです。私も上司から碇一尉の子供を孕めーなんていう無茶な命令も受けてましたし・・・。遅かれ早かれこうなっていたでしょう。というか一尉、本気でハニートラップに注意してくださいね(ギロリ)」
「うんうん、ごめん。これからよろしくお願いします(ペコリ)」
「・・・はい、わかりました。今後も誠心誠意お仕えさせて頂きます」
「ありがとう。僕のことはシンジでいいからね、マナちゃん」
「わかりました。シンジ君・・・でいいかな?というかいいよね」
「うん」
こうして二人は仲直りした。まあ、マナには彼を許すほか生きる道がないのだが。
(はぁー驚いたけど、ちょっとした弱みも握れたし結果オーライかな?)
彼と名前で呼び合えるようにもなったしと、なかなかに逞しいマナであった。
二人は雪広家が所有する自家用ジェットに乗って、長崎へ向け飛び立つ。
さすが、雪広家、内装は豪華絢爛で今まで少年兵として貧しい暮らしをしていたマナにとっては夢のような一時であった。それはシンジにとってもさして変わらない。
二人は美味しい夕食を楽しんだ後、少し仮眠を取ると今後のことについて話した。
「私が一緒に乗るって言ってましたけど・・・どういう意味ですか?」
「ああ、陽炎(改)は複座型管制ユニット搭載なんだよ。サブウェポンの火器管制やナビゲーションをマナにやってもらうことで、僕の負担を軽減して欲しいのさ」
「そんな責任重大なことを、いきなり私がやっても良いのですか??」
「大丈夫だよ。マナも今まで戦自でパイロットの訓練を受けてきたんでしょ?陽炎は僕がOSをかなり弄ってあるから、初めてのマナでも十分扱えると思うよ」
「・・・私、実は訓練で内蔵を痛めててパイロット失格なんですけど・・・」
「そうなの?でも多分大丈夫だよ。戦術機のパイロットは全員『強化装備』を着て乗るから体への負担はかなり軽減されているんだ。明日の朝に一度テスト飛行をするから、その時にもし体が耐えられないようなら言って欲しい。その時は3バカさんの誰かに代わりを頼むから」
「うっ・・・こんなチャンスをみすみす逃したくはありませんが、その際はお願いします。でも、できればパイロットになるのは夢だったし・・・シンジ君のお役にも立ちたいので頑張ります」
マナは拳を握りしめてシンジに自らの決意を示すのであった。
シンジは空気を読まず相変わらずマナをFSSしていたが、彼女は無視していた。
だんだんと彼女もシンジに順応してきたようである。よかったよかった。
ちなみにどうせ自家用ジェットなんだから律儀に空港になんぞいかず、直接基地に向かえばよかったとシンジが気がついたのは空港到着後のことであった。
さて、シンジ達が長崎へ到着し迎えの車に乗り込んだ頃、旧東京にある日本重化学工業のJA開発チームの研究施設では大騒ぎになっていた。
開発チームの時田シロウの元に内務省の万田長官から直接連絡があったのである。
はて?一体何の用件だろうか?まさかJAを発表前に関わらず没にしてしまうのだろうか?と彼は酷く怯えていたのであるが、長官の話した内容は驚愕するものであった。
ほどなく、FAXで以下のような命令書が彼らの元に送られてきた。
『政威大将軍、煌武院悠陽の名において命ずる。日本重化学工業は自衛隊の協力を得てJAを第三新東京市に運び、斯衛軍(戦自)とネルフの共同作戦に参画すること』
時田はその命令書に面食らい、一体全体これはなんなのかと最初理解ができなかったが、その後防衛庁や本社から次々と詳しい連絡が入ってくると、どうやらJAをあの使徒との戦いに使うようだと考えが至ってきた。
時田は内調から前回、前々回のネルフによる使徒戦の報告書を極秘に見せてもらっていたのである。それは彼らが開発しているJAが使徒戦を想定したものだったからだ。
「JAに戦自研が試作している陽電子砲を搭載して使徒にぶっ放す・・・。確かに可能だろうが・・・」
「規格が合いますかね・・・取り付けも調整も大変ですよ」
「確かにJAに陽電子砲を取り付けるなんて想定もしていなかったな・・・」
「しかも明日の二四時までとか・・・無茶すぎる・・・」
チームのメンバー達は悲観的な発言を繰り返していたが、時田はカッとなって目の前の机を蹴り飛ばした。
「馬鹿もん!!お前らは何を言っているんだ!!雪広の戦術機に大きく水を開けられ、本社からも発表会以降のJA開発は凍結も示唆されているんだぞ!!これは天がくれた大チャンスではないか!!戦自の陽電子砲を搭載できれば、それはすなわち今後斯衛軍や国連軍にJAが配備される可能性が高まる!!受注へ向けての最後の機会だろうが!!」
「しかし・・・」
「しかしも案山子もあるか!とにかくJAを急いで起動させて倉庫からトレーラーに載せろ。本社や他の工場の技術者も全員第三新東京市に来させるんだ!とにかく時間が無い!死んでも絶対にJAに陽電子砲を搭載させて使徒に一撃を加えさせようじゃないか!化け物を我々の作ったロボットで倒す。それは子供の頃からの夢だっただろう!!今こそそれを叶える時だ。皆、JAを信じるんだ。必ずJAは答えてくれる!!」
「その通りですチーフ!おい、みんな行こう!俺たちのJAでネルフや戦自の奴らに目に物見せてやろうじゃ無いか!!」
「そうだな!よし行こう」
時田の檄によりJA開発チームは気勢をあげ全員が一丸となって動き始めた。
シンジはJAをただの電源の代わりくらいにしか思っておらず、自走できるならありがたいなぁくらいの期待だったのだが、彼らはその期待を上回る成果を見せるのである。
こうして、戦術機に並ぶ日本の守護神『JA』の伝説が今ここに始まったのであった。
ジャカジャカジャカジャン!ジャカジャン!!
ついに動き出した第五使徒!、JAに迫る閃光。その強力な破壊光線を封じ、葬り去るには、ポジトロンライフルの力を用いるしかない。だが、その力を使えば彼の体に重大な危機が・・・!!
次回、勇者ジェットアローン最終回『輝け!不死身のジェットアローン』にフェード・イン!
Bパートに続く