エヴァちーと(さよならEVA ver)   作:支城

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エヴァちーと 第弐話 見知らぬ、天井 Aパート

 

ドイツネルフ支部、特務機関ネルフの欧州における開発・活動拠点である。

米国の第一・第二支部と同じく『支部』と呼称されながらも本部の影響力はほとんど無い。

表向きはヒゲ司令の命令を聞いてはいるが、内実は好き勝手に運営されていた。

もちろん本物の飼い主であるゼーレの命令には従順であったわけだが。

 

そんなドイツ支部のとある空き部屋にヨレヨレのシャツに無精ヒゲ、ネルフの特殊監査部の職員にして日本の内務省のスパイ、さらにはゼーレの飼い犬の三足のわらじを履いている加持リョウジという男が片耳にイヤフォンを付けパイプ椅子に座っていた。

 

(第三への使徒の襲来・・・あらら随分と慌てているようで・・・)

 

目の前の机に置かれたノートパソコンの画面にはドイツ支部上層部の連中が、昨日第三新東京市に現れた使徒と、本部のエヴァ初号機との戦いの記録画像を観ている様子が写しだれていた。彼はここで所謂盗撮・盗聴を行っているのである。

 

(それにしても初号機、いやサードチルドレンだな凄いのは・・・このスムーズな動き・・・頭のキレ・・・とてもこの日初めて乗った子供の動きじゃぁ無い・・・これも司令のシナリオなのか??・・・ま、これでここの連中も目が覚めるだろう)

 

今まで実際に起動し実戦に耐えうる機体は弐号機しかなかった・・・本部には零号機、初号機の2機が配備されていたが、起動すらできていない現状をドイツ支部の者達は笑い、所詮は黄色いサル共かと本部を下に見ていたのである。それがいきなり何段階も飛び越えて初号機が使徒を撃破するという成果を挙げたのである。

 

(アスカには・・・この映像は見せないだろうな。この初号機の動き・・・アスカと弐号機の動きに匹敵している。シンクロ率も当初は68%、その後助けた子供を入れても70%、最後は80%近くに達している。アスカのベストにはまだ届いていて無いが・・・いや、サードチルドレンは訓練をしていない上にプラグスーツも着てないんだ・・・これは早晩抜かれると見た方が良いだろうな・・・やれやれ日本に行ったら荒れるな)

 

加持が現在護衛任務に着いている少女の今後のことを考えていると、会議室では使徒戦の模様は映像が終わったらしく、次になにやら発令所の様子が写し出されていた。

 

(ん、なんだ??・・・何?碇ユイだと!!!!)

 

これにはさすがの加持も思わず叫び声をあげるところだった。

間一髪我慢できたが慌てて画面を食い入るように見る。

 

(・・・間違いない。『碇ユイ』だ。東方の新三賢者、悲劇の天才。エヴァ初号機の開発責任者にして若くしてゼーレに強い影響力を有していた女性だ・・・。初号機の実験で死んだということだったが・・・これは司令も知らなかったのか??何、雪広だと??確か麻帆良に本社を置く大企業だが・・・わけがわからん。赤木ナオコ博士??なんで赤木博士が碇ユイをサルベージしたら隠すことになるんだ??副司令は何を知っている??これはどうやら深い理由があるな・・・ともかく)

 

「使徒の襲来と共に様々な勢力がいよいよ動きだしたと見るべきだな・・・雪広とゼーレが繋がっているという線もあるし・・・そうだな、この線で探ってみるか・・・そうだとしたら司令はゼーレに人質を取られたというわけだ・・・さてどうするのやら」

 

画面上ではドイツ支部の上層部が先ほどから碇ユイの画像を何度もリピートしたり一時停止したりして騒いでいる。

 

(ん??こいつら何をそんなに騒いでるんだ??確かに碇ユイの存命は大ニュースだが・・・違うな・・・なにやらその後ろに見切れている人物を指さしているようだが・・・あれは・・・惣流博士??)

 

「「「馬鹿な!!!」」」

 

今度はさすがの加持も叫ぶことを止められなかった。

 

「惣流・キョウコ・ツェッペリンだと馬鹿な!!彼女は自殺したはずだぞ!!」

 

弐号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレーの母親にして、その弐号機の開発に加わっていた人物だ。ドイツ支部が碇ユイに対抗して見いだした英才である。しかし、彼女もユイと同じ実験の事故で発狂し後に自殺したはずだった・・・。

 

(酔わせたアスカから俺は直接母親の死については聞いてるぞ・・・彼女が第一発見者だったそうだ。もちろん裏も取ったし、遺体だって墓地に埋葬されているはず・・・それが・・・こんな芸当ができる所は限られている。ますますゼーレと雪広が繋がっている線が深まったな・・・おっ?あれはアスカの父親のラングレー氏か・・・何?確実に殺したはずだと!!なるほど彼女の死は自殺ですら無かったというわけか・・・目的は再婚とアスカのマインドコントロールだな。やれやれ仕事とはいえ因果なことだな)

 

「ともかく死んだとされていた二人の天才・・・この二人の存命は本部とここに強烈な一撃を与えたわけだ。アスカに母親が実は生きているなんて知らせるわけが無いし・・・俺が知らせるというわけにもな・・・すまん。可愛そうだがしばらくは彼女に道化でいてもらうしかないな」

 

加持はそう呟くと再び喧々諤々と不毛な議論を続けている連中の監視を再開したのであった。

それはあまりにも愚かで無様な狂乱劇だった。

 

 

「『知らない天井だ・・・』というか天蓋だけどさ・・・」

 

シンジは千紫万紅、百花繚乱、豪華絢爛な色とりどりの花が描かれた天蓋を見つめる。

シンジの寝ている天蓋付きベッドは数百万円の豪華なベッドだったが、小市民である彼にとっては『ものすごく寝やすい高そうなベッド』としか思えないものだった。

 

ふと、横を見ると、昨日一緒に寝た美羽がまだ幸せそうに涎を垂らして眠っていた。彼の名誉のために言うが手は出していない。さすがにまだ幼女?にタッチするほど精神は強化されていない。というか元値が低すぎてMAXまであげても無理かもしれないが。

 

昨日、ケージでの胴上げ祭りの後、シャワーを浴び元の服に着替えて・・・ということしていたら、アヤカがネルフ(の入門ゲート)まで迎えに来てくれたのだ。

 

そして、そのまま一緒にリムジンに乗って帰ってきたのである。

それはエヴァから降りて1時間も経っていなかった。

 

リツコさんはシンジの検査をしたそうであったが、副司令から待ったがかかり、今日改めて伺って検査を受けるということで納得してもらった。

 

帰ってきたら皆で夕食を食べて、そのまま寝室に案内されてすぐに爆睡である。

おねむになっていた美羽を七乃さんから託され、一緒に寝たわけなのだが、まあ、美羽はシンジにとって妹のような子であるし、特に意識するということはなかった。

 

もちろん、その他のハーレムメンバー、とくにアヤカ、イザベラの二人はほぼ徹夜で仕事に当たっていた。彼女たちの戦いは使徒戦後からが本番だったのである。

 

ボーっと天蓋の花びらたちを見つめていたら、寝室のドアが開き七乃が入ってきた。

 

「おはようございます、ご主人様」

 

「おはよう、七乃さん」

 

「ああ、いいですよ。まだそのままで、まだ朝食の準備もできてませんし・・・それに・・・朝のお勤めが済んでませんからね♪」

 

七乃はそう言うとニヤニヤしながらシンジ達が寝ているベッドに近づく、そしてシーツの中に潜り込み彼の真上にまで移動してくる。

 

「な・・・七乃・・・さん・・・何をしてらっしゃるのでございますか・・・(汗」

 

「むふふふー『ナニ』に決まってるじゃないですかぁ。ご主人様も期待してたクセにーこのこのーまぁまぁそのままで楽に横になっていてくださいな」

 

期待していた・・・まあ、それは否定しない。というか何も無かったらがっかりしていたことだろう。本来のシンジ君であれば大騒ぎして逃げ出していただろうし、そもそも女性に免疫の無いチェリー君だ。これまで女子の友達すらいたことがなかったのだ。

 

実際ははるか以前に旧ネルフ、ゲヒルンの研究所で幼いアスカとも遊んだことがあるし、当時は髪を染めていなかったリツコとも遊んでもらったことがあるのだが、二歳の頃のことなどもちろん覚えていない。学生だったリツコですら忘れているようなことである。

 

シンジは逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!と呟きながら、というかまったく逃げるつもりなど端から無いのだが、七乃のお口のご奉仕をほるほると受けることとなったのである。

 

 

さて、シンジ君が自身の息子を起動させている頃、長崎では一人の女性が途方に暮れていた。

 

それはシンジによって召喚されたイリーナ・ピアティフ女史である。

彼女は確かに横浜の国連基地において香月博士の秘書官として働いていた。

しかし、当然ながら彼女は『戦術機』の開発などしたことなど無いのである。

 

「これ・・・どうしよう・・・もう、無茶苦茶だよ・・・」

 

目の前には横浜基地で香月副司令が使っていたパソコンがある。

というか、この研究所は自分が働いていた横浜基地そのものである・・・この部屋だけ。

 

雪広重工業、長崎造船所、その埠頭の端っこにポツンとコンクリートで作られた豆腐建造物があった。シンジが出現させた『戦術機を開発する研究所(香月博士の部屋)』である。

無論『それしか無い』・・・ケージも無ければ、寝るところも食堂も無い、何にも無いのである。

 

今、とりあえず一緒にこの世界に呼ばれた三バカ達が食料を求めて外に旅立っている。

昨日、4人で腹ぺこ状態のままここで雑魚寝していたのだ。

いくらセカンドインパクトの影響でずっと季節が夏だとはいえ、こんな目の前が海の埠頭に置かれてしまうと気温も下がるし、波の音はうるさいし死ぬかと思った。

 

これは昨日ネルフに行くため急いでいてよく確認をしなかったシンジとアヤカのミスであったが、まさかそこまで細かく設定しないといけないとは二人も思わなかったのだ。

 

「お腹も空いたけど、戦術機の開発もやらないと・・・うう・・・そうはいっても私にそれを求めるって明らかに役不足(誤用)ですよー。そりゃお手伝いくらいはできますよ。お手伝いはできますけど、いちから撃震のCADを引いて、OSを作るなんて酷すぎません??無理無理無理・・・あーどうしよう・・・博士のパソコンのパスワードもわからないし!」

 

「・・・中尉・・・なに変な踊りを踊っているんです?」

 

「3バカさん・・・」

 

「・・・中尉、それは別世界の私たちの話です。ってメタなことは止めましょう。それよりどうしたんですか?とりあえず造船所の入り口の守衛さんに弁当を買ってもらえましたから食べませんか?」

 

「はい・・・そうですねって!!これ合成食じゃない!!本物じゃないですか!!美味しい!!生きてて良かった(泣」

 

「はい、、、どうやらこの世界では合成食ではないご飯が食べれるようです・・・これだけでもシンジ様に呼ばれて良かったって思いました」

 

そう言うと3バカ達は互いにうんうんと頷いていた。

彼女たちは守衛さんから10人分のお弁当を買って貰っていたのだが、すでに2つずつ食べていたのである。現在彼女たちが食べているお弁当は3つ目だ。

3つ目でもお弁当の美味しさは変わらない。イリーナは一つだけだが心は痛まない。

 

「私では戦術機を開発できないんです・・・シンジ様のお役に立てません・・・」

 

「・・・まあ、それは仕方がないでしょう。私たちも戦術機がなければ正直、護衛くらいしかできませんし・・・シンジ様に連絡を取ってみてはいかがですか?」

 

「・・・えーと、電話番号がわからないんだよね」

 

「「「・・・・・・・・・・・・」」」

 

「で、では・・・守衛さんに話して連絡してもらいましょう・・・」

 

結局、守衛さんではどこに連絡していいのかわからず、結局社員さんたちが出社してくるのをポケーっと守衛室で待つことになる4人なのであった。

 

 

「おはようございますシン、シンジ様」

 

「あっうん、おはよううう、アヤカ」

 

無事発射を終えたシンジは用意されていたいつもの白のカッターシャツと学生ズボンを履いて寝室から出てきた。七乃は洗面所にて後始末、美羽はすやすやと未だ夢の中である。

 

アヤカは七乃のお勤めについてはもちろん知っていたが、とりあえず素知らぬ振りをした。「七乃さんのお口はいかがでしたか?」とはさすがに淑女が聞くわけにはいかない。

昨日の夜に下の世話についてはハーレムメンバー内で話し合いが行われており、とりあえずは呼び出された順番に勤めること、本番は禁止(ユイによる強権)ということになっていた。

 

強化された精神を持つシンジだったが、さすがに人生初のフ○ラの後である。

彼は目に見えてキョドっているわけだが、リビングにいた女性陣(母含む)は生暖かい目でこの愛する少年を見守っていたのだった。

 

シンジはゴホンゴホンとわざとらしく咳をすると、空いているソファーに座る。

 

「朝食は食堂に準備できていますわ、ですが、先に今日の予定をお話してもよろしいでしょうか?この後すぐにイザベラさんが出かけてしまいますので」

 

「うっうん。もちろんだよ!」

 

「では、朝食後10時にネルフが運営する病院に私と一緒に向かいます。そこで健康診断を受けるようです。その後ネルフ本部にて上層部・・・お父様達と会食、それとパイロットの契約交渉を行います。それが終わりましたら今後の訓練スケジュールなどの話があると思います。その後帰宅となります。交渉時はユイさんもTV電話で参加してくれるのでご安心下さい。ユイさんとキョウコさんは朝食後に別の場所へ移動します。そうしないと、ここが襲撃されたときにユイさん達を守れなくなりますからね。またイザベラさんは第二東京の雪広セキュリティサービスにて諜報部の方々と面通しをします。イザベラさんはしばらくは第三には戻ってこれないそうなので、後でキスくらいはしてあげてくださいね」

 

「うっうん」

 

「なんだよアヤカ恥ずかしいじゃないか(///∇///)」

 

「そういった一つ一つの積み重ねが大事だと思いますわ。さて、七乃さんと美羽さんにはこのビルの警備(自宅警備)をお願いしています。それとシンジ様、早急にシステムを使用する必要が出てきました、本当に申し訳ないのですが、朝食後出発前にお時間をお願いします」

 

というわけで、早速朝食を食べに食堂へ向かう。

途中でイザベラが別れるため、シンジはドキマギとしながらもイザベラのおでこにキスをしてあげた。イザベラは「なんだよおでこか・・・」とちょっと不服そうである。

 

豪華な朝食を楽しんだ後(七乃もちゃんと合流した)、母たちと別れ再びリビングに戻ってくる。

 

「ではシステムの起動をお願いします」

 

「うん、ええと、まず何をしたらいいのかな。ポイントは4000万ポイント近くあるからこれならなんでもできそうだけど・・・」

 

「・・・確かにすごいポイント量なのですが・・・ネルフに対抗するにはまだまだ足りません。昨日頂いた百億もすでに予算を組み終えて無くなってしまいましたし・・・」

 

「えっ百億円をもう全部使っちゃったの??」

 

「はい・・・。シンジ様、ネルフの予算っていくらぐらいがご存じですか?」

 

「ネルフの予算??えっとどれくらいなんだろう??」

 

「ネルフは予算の開示を一切していないのですが、国連の拠出金でだいたいわかります。1年間の予算は数兆円規模といったところでしょうか・・・」

 

「ちょ・・・兆!!!ネルフってそんなにお金使っているの!!」

 

「はい、さらには追加予算で数千億円を請求するのも珍しくありません。ネルフへの拠出金の分担金を払うために自国民が飢えに苦しんでいるという国もあるのですわ」

 

「な・・・なんで国民をそんなにしてまで・・・」

 

「サードインパクトを防ぐ、人類を守る、それがネルフだからですわ・・・確かに今回の使徒戦ではネルフの開発したエヴァが撃破したのです・・・そのお題目は嘘ではなかったということになるでしょう。今後も予算が減ることはありませんわ」

 

「なるほど・・・そういうことなら百億円でネルフに対抗するなんて全然無理なわけだね・・・」

 

「ええ、、、戦術機を作ろうにも、生産ラインや資源などはシステムを使って大量に作れても、機体の維持、整備、運搬・・・他にお金のかかることはいくらでもあります。諜報活動も人件費はもちろんですが、拠点のマンションを借りたり、車を用意したり、買収して情報を取ったりするのにもお金がかかります・・・。その他にもこのビルを強化したり、通信インフラを独自に引いたり・・・。ですから4000万ポイントというのはそこまで大きなポイントではないのです。とはいえ、チートであるのは間違いないのですが」

 

「うん。それはそうだよね。じゃあ、ポイントをお金に変えてしまえばいいの?」

 

「いいえ、まず、先ほど長崎から連絡がありまして、イリーナさん達が途方に暮れているそうです。まず長崎の研究所の整備を行いましょう」

 

「長崎??研究所で戦術機の開発をしてるんじゃないの?」

 

「ええ、イリーナさんからとても自分ではできないとSOSが・・・それに食堂も無ければ寝るところも無いため辛いと・・・」

 

「・・・ああ・・・本当だ。個別に設定が必要なのか・・・これは悪いコトしたな。よし、じゃあ、一気に1000万ポイントを使って長崎造船所をマブラブ・オルタの国連横浜基地にアップグレードしよう。もちろん造船もそのままできるようにしておかないとね。ドックも強化しちゃおう。それと香月夕呼さんを今回は召喚しよう、えーと800万ポイントだったっけ。あと生産ラインも一つ作って100万ポイント、資源もとりあえず100万ポイント分用意して・・・全部で2000万ポイントだね」

 

「はい、到底2000億では作れない施設、得がたい人材です。スピードも全然違いますし、やはりお金よりもシステムを利用して整備した方がお得のようですね」

 

「後はどうするの??あっそういえば昨日見た夢で『恋愛原子核』を取得するようにって神様に言われたような・・・先にそれを取っておこう。たった10万ポイントだし・・・。はい、オーケーだよ」

 

「本来であれば情報も得たい所ですが、せっかく諜報部を動かすのですし、もう少し様子を見ましょうか・・・あら?シンジ様、シンジ様の強化があとちょっとで完了するようです、先にポイントを全て振ってはいかがでしょうか」

 

「え?あれ?本当だ・・・。スキルの上限って10レベルなんだ・・・神様は100だって言っていたような気がするけど・・・なるほど、これ以上にあげる場合は『超人』もしくは『真祖』『人修羅』・・・とか人間を止める必要があるんだね・・・いや、もちろん止めるつもりはないよ。僕は人間で十分。じゃあ、全部の項目を10まで上げておくね」

 

「ええ、なんだかシンジ様がより逞しく魅力的に見えてきましたわ」

 

アヤカは頬を染めてシンジをうっとりと見ている。とうとう英雄レベルの魅力まで高まったようだ。今の彼は豊臣秀吉レベルの人誑し(劣化)、ナポレオンレベルのカリスマ(劣化)を得ている。まあ、それをシーザーにしてもよいし、アレキサンダー大王に変えてもよいのだが。

 

 

「おおっなんじゃ!曹操のやつが現れたかと思ったぞ」

 

ようやく起き出してきた美羽が魅力マックスのシンジを見て驚いた。

・・・というか華琳はチート級の魅力・カリスマ持ちだったのか・・・。

 

美羽達にわかりやすく現在のシンジ君の強さを表記するとこんな感じだ。

 

知力80(元が-20) 武力70(-30) 魅力90(-10) 精神70(-30)

 

・・・お前元が酷すぎるだろ!とは言ってはいけない。

あの能力値は歴史に名を残した『武将』『文官』が基準なのだ、一般人のさらにその中でもかなり劣っていたシンジ君なのである。これを読んでいる監視者の皆様だってさほど変わらない数値だと思いますよ(煽り)。

 

それを考えると北郷一刀君は偉かったんだなぁ・・・。

よく考えてみれば剣道部のエース(っぽい)、イケメン(らしい)なのだ。

こいつは神の敵だ。カッとなってアンチ北郷のSSを書いてしまうのも許して欲しい。

 

「でもこれなら、曹操さんを呼び出してもバカにはされないと思いますよー」

 

七乃がそう付け加える。確かに今まで呼び出している女の子達はシンジと比べて圧倒的に強者という人物はいない。美羽は幼女、アヤカはセレブの中学生、イザベラは頭は良いがチビで魔法が全く使えない上に人間関係は破綻気味、ユイとキョウコは親世代なので置くとして最大戦力が実は七乃であり、その七乃でさえ、恋姫世界では『最弱の武将』である。

 

それを考えるとさすがに、そろそろ能力の高い人たちを呼び出しても良い頃である。

昨日までのシンジであれば例えばいきなり曹操を呼ぶ、呂布を呼ぶ、川神百代を呼ぶ・・・それで果たして扱い切れただろうか・・・いくら神の洗脳があったとして気後れしたのは間違いない。今であればこういう人物を呼び出しても十分対応できるだろう。

 

「問題は私たちが『みそっかす』になっちゃいそうですけどー・・・」

 

「いえ、すでに800万ポイントの香月博士が出現していますから遅いですわ」

 

「その人は長崎なんでしょう?『side長崎』だったら敵じゃないですよー」

 

「七乃さんは『全員性描写がある』というのを忘れているようですわね」

 

「そうだったー!」

 

「・・・あのさ・・・昨日も同じことしゃべったけどこの後ネルフに行くんだよね、まだポイントは半分弱残ってるし、早く何に使うか検討しないとダメだと思うんだけど」

 

「ええ、そうでした。申し訳ありませんわ・・・そうですわね、とりあえず1000億を私の口座へお願いします。それで当面の予算は十分ですわ。財閥の資産も人的資源もありますし・・・あと、これは私の意見ですが私のクラスメイトの那波千鶴さんを召喚してください。彼女は『那波重工』という会社の娘で、召喚の際にオプションを付ければ会社もこの世界に現れるはずですわ。雪広財閥だけでネルフと戦うのは無謀・・・少しでも仲間の企業を増やしたいですわ」

 

「うん、もちろんいいよ。えーと那波さん那波さん・・・19位・・・アヤカさんの一つ下か・・・190万ポイントだね。オプションで会社とアーティファクトを付けて240万ポイント。よし、設定完了。いくよ、召喚!!」

 

・・・・・・何も起こらない。

 

(そういえばアヤカさんをこの世界に召喚したときもそうだったけ・・・)

 

どうやら『ネギ魔』世界の人たちは直接この世界に登場しているようだ。

つまり、シンジの元にくるのには通常の交通手段が必要ということなのだろう。

 

 

<<警告 村上夏美を24時間以内に召喚しない場合、那波千鶴の能力特大ダウン>>

 

 

突然システムから警告音が鳴り響く。

驚いて画面を見ると、『ネギ魔』美少女リストの中の村上夏美の名前が点滅している。

 

「え??これは何??」

 

「シンジ様、とにかくヘルプを開いて警告内容を確認してくださいませ」

 

「うっうん。というかヘルプなんかあったのか・・・えーとなになに・・・」

 

 

<<美少女召喚・補足1>>

『美少女達はそれぞれの世界で様々な人間関係を構築している。しかし、この世界に召喚された彼女達にはその繋がりを途切れさせてしまう。それは彼女たちにとって多大なストレスであり、神の力ではいかんともしがたい。故に特に繋がりの深い親友同士は一緒にいるべきである。早急に相手を召喚し一緒に愛でてあげるように』

 

<<美少女召喚・補足2>>

『魂が繋がるほどの深い関係、片方だけでは存在が許されない子達は個別に呼ぶことが出来ない(例:美羽&七乃・3バカ)』

 

 

「な・・・なるほど、確かに親友と離ればなれは辛いよね・・・」

 

「私と美羽様はセットでしたし、イザベラさんは友達がいなさそうだし(おい、そういえば昨日ユイさんも同じ世界の人を呼びたがってましたよね。それでキョウコさんを呼んだわけですし・・・あやかさんは大丈夫なのですか??」

 

「・・・そう考えると、ルームメイトである千鶴さんを呼ぶように私が提案したのも、もちろん戦略的な部分がありましたが、本当は寂しかったからかもしれませんね・・・」

 

本来は親友である明日菜を呼びたいアヤカであったが、明日菜はポイントが高く、さらに明日菜を呼ぶと次にまた高ポイントであるこのかを呼ぶことになってしまう。

そうなっては、ネルフとの戦いでポイントが足りなくなる恐れがあるためグッと我慢する必要があるのだ。。

あやかは知らないがこのかを呼ぶと次は刹那を呼ぶ必要があり、人気ベスト3を全員呼ぶはめになるのである。

ちなみに刹那を最初に呼んでも、このか、明日菜の順で呼ぶ必要がある。

 

これは他の世界でも同じで、その世界で主要な位置を占める『ヒロイン』はその他のヒロイン達とも親友であったり依存したりしていることが多いため、今後もシンジの頭を悩ませることになるルールなのであった。

 

「じゃあ、さっさと村上夏美さんも呼んじゃおう。えっとポイントは26位だから6万ポイント・・・えっアーティファクトが100万ポイント!!こっこれは・・・いや、ちゃんと付けてあげよう。差別無し!!よし、召喚!!」

 

とはいえ、ここに彼女が現れるわけではないので、ちょっと寂しいシンジだった。

しかしアヤカの様子をみると、とても嬉しそうだ。やっぱり一人は寂しかったらしい。

 

(確認すると、つまりはあまり考え無しに女の子を呼んじゃうのはダメってことだよね。今回はポイントが余っていたから良かったけど、ポイントが高い女の子の親友もポイントが高かったら、しばらく呼ぶことができなくなっちゃうってことだし・・・落ち込んでいる女の子は見たくないし。プロフィールはよく読んでおかないと・・・)

 

「シンジ様、少し細かい部分の操作を委託していただいてよろしいでしょうか?」

 

「もちろんいいよ。はい」

 

その後、アヤカはビルの強化、通信インフラの整備、グループ企業への予算援助、那波重工への資金拠出などなど、様々な業務を行っていった。所謂内政というものである。

とはいえ、実はアヤカも結局は中学生であるので本格的な事務方の必要性を感じていた。

 

「つまり文官、内政家さんですねー」

 

「そこまで大げさでなくてもいいのですが、やはり細かい調整となると私では・・・。システムの操作もそうですが、各所との調整もありますし・・・シンジ様まだ500万ポイント残ってますから、事務作業の出来る方を探してもいいでしょうか?」

 

「うん、アヤカさんに任せるよ」

 

「では・・・研究所に配置したイリーナさんような秘書経験のある方がいいですわね。それで検索を・・・うーん、そうですね『エリナ・キンジョウ・ウォン』さんがオススメのようです。ネルガル重工の社長秘書、少し性格的にエリート志向でヒステリーとありますが、そのあたりは(神の洗脳で)大丈夫でしょう。ポイントも4万ポイントと低目ですし・・・。このポイントの値って何が基準なんでしょうか・・・」

 

「それは僕もさっぱりだよ・・・。じゃあ、エリナさんを呼ぶね!召喚!!」

 

シンジがアヤカより操作を戻して貰ったシステムの召喚ボタンを押すと、突如として目の前に光の渦が現れ黒髪おかっぱ(?)のやや目つきが鋭い女性がその中から出てきた。

 

「・・・エリナ・キンジョウ・ウォンです。シンジ会長、よろしくお願いします」

 

「はい。こちらこそ。ええとなんですか?その会長っていうのは(汗」

 

「ふふ、私にとって目上の方をそう呼ぶのが自然なので。それにあながち間違ってもいないのでしょう?」

 

「ええ、そうですわ。シンジ様はいずれは雪広を・・・いえ『碇財閥』を率いるお方。何も問題はありませんわ」

 

「それではシンジ様、私はさっそくシンジ様直属の秘書室を作ります。アヤカさん、ここの下の階を頂いてもかまいませんね」

 

「結構ですわ、今のところ最上階のここ(住居スペース)以外は使っていませんから、程なく目眩ましにグループ会社の支社などのオフィスなどを入れる予定ですが、最上層の5階は立ち入り禁止。私たちだけで運営したいと考えています」

 

ちなみにこのビルは30階建ての第三新東京市で最も高い高層ビルである。

第三新東京市ではジオフロントへの収納の関係上、高層ビルの規格が決まっており、この30階建てがもっとも高いビルになるのである。

 

「では会長、早速秘書室を作るので予算をお願いします」

 

「えーと何億必要なのかな・・・」

 

「・・・会長、秘書室を作るのに億は必要ないです。とりあえず1000万ほどあれば十分です」

 

「あーうん、そうだね。さっきから何百何千億のお金を動かしてたから感覚がマヒしていたよ・・・」

 

「・・・はい、結構です。ついでに会長室も一緒に手配しておきますね。夜に一度ご報告に上がって参ります。では、失礼します」

 

エリナはシンジに一礼すると颯爽と部屋から出て行った。まさにデキる女である。

 

 

「お嬢様、那波様と村上様がいらっしゃっています」

 

メイドの一人がアヤカに報告する。

 

「わかりました。ご案内するように・・・といってももうあと30分もありませんね・・・。玄関で待ってもらって下さい。千鶴さんには私たちと一緒にネルフへ行って貰いたいですし・・・」

 

「ちょっと待って下さい。いくらご主人様が強いと言っても、アヤカさんと千鶴さんの二人を守るのは難しいですよー。護衛が必要なんじゃないですかぁ??」

 

七乃が慌てて指摘する。無論、自分が護衛に付くということは言い出さない。まあ、美羽を置いて彼女が別行動をとるなどありえないことであったが。

 

「そうだよ。危ないよ・・・どうしても連れて行くなら、誰か信頼できる人を護衛につけよう!!今日は召喚しまくりだけど(汗、まだまだポイントは余っているんだし、よし、ちょっと待ってね」

 

「シンジ様それならば、できれば二十歳以上の『大人』で武に秀でていて、ネルフの人たちを威圧できるような『恐さ』を持った方がいいですわ!」

 

「うーん、そんなスゴイ人が残りのポイントで呼べるかなぁ・・・検索してみようか・・・織斑千冬さんは・・・5000万ポイント、クラリッサ・ハルフォーフさんは呼べるけど・・・だめだラウラさんを24時間以内に呼ばないといけない・・・ラウラさんがIS付きで8000万だから到底不可能・・・。IS無しだと、ラウラさんの能力特大ダウン・鬱って書いてあるし・・・。というかこの世界は基本ISが必要みたいだから無し、次の世界は・・・ん?この忍足あずみさんはどうかな・・・29歳で大人だし、でも若いし・・・性格にはいろいろ問題がある人みたいだけど、凄く優秀だよ。よしあずみさんに決めた!!300万ポイントを消費して召喚!!」

 

「とう!」

 

シンジの召喚の声に反応して、突然天井からメイド服を着たショートカットの女性が飛び降りてきた。華麗に一回転して着地すると膝をついて頭を下げる。

 

「シンジ様のお呼びに応じて、忍足あずみここに見参!!以後よろしくお願いします」

 

「(びっくりした!)うん、よろしく。早速だけどこれからネルフへ向かうからアヤカ達の護衛を任せるね」

 

「はい。どうぞご安心下さい、シンジ様(ニコリ)」

 

一生懸命シンジに対して自らの本性を隠し仕えるあずみ・・・しかし、シンジはシステムのプロフィールで「メイドモード」と「通常モード」があることを知っているのであまり意味はない。まあ、そこを指摘するのは武士の情けである。

とりあえず、『メイドモード』がアヤカ達も対象にしてくれるようなので助かった。

 

というわけで、美羽と七乃をリビングに残し玄関へと移動する。

そこには静かにシンジ達が来るのを待っていた千鶴と所在なげにしていた夏美がいた。

 

「初めましてシンジくん。那波千鶴です。今日からお世話になります。それとあやかさんも頑張っているようね。お疲れ様。私も負けないように頑張るわ」

 

長身で爆乳、一見女子大生のような容姿であり母性あふれる美少女、那波千鶴である。

 

「えええと、なんかついでに呼ばれたみたいで恐縮です~。村上夏美です。あわわわ私もその頑張ります。いっ一応アーティファクトは結構レアだそうですから、ぜひお使いくださいませ~」

 

対照的に子供っぽい外見、そばかすがチャームポイントなのかどうかはわからないが、それでも十分に美少女(実はシンジはこういう素朴な子がタイプなのである)の村上夏美である。

残念ながらこのSSならともかく、普通に原作通り書いたら夏美のタイプには絶対シンジはならないと思うが、まあ、そんなことを言ったら全員そうかもしれない(爆)ので置いておこう。

 

「夏美ちゃん。アーティファクトは本人しか使えないわよ。でも大丈夫、夏美ちゃんは可愛いからアーティファクト抜きでも十分シンジくんに愛してもらえるわよ」

 

「ああああああああああ愛いあい(///∇///)」

 

「夏美さん、確かあなたのアーティファクト『孤独な黒子(アディウトル・ソリタリウス)』は『誰にも認識されなくなる』という強力なものでしたわね。・・・ちょうどいいですわ、今日はそれを使って私たちの後を着いてきて下さいな。もしなにか不測の自体が起こったときは全員で手を繋いで姿を消して逃げてきましょう、いかがでしょうかシンジ様」

 

「うん!それはいいね。そうしよう。というか夏美ちゃんが一緒にいたらネルフ本部のどこにだっていけるんだよね・・・あとでイザベラさんに教えて上げないと・・・」

 

「そうですわね・・・まあ、姿が見えないだけでセキュリティを突破することができるわけではないので、使いよう・・・という感じですが」

 

「そうだね。さあ、そろそろ行こう!確か最初は病院だったね。出発進行!」

 

「「「「わかりました(わ)(です)(はいぃーー)」」」

 

 

「・・・のう七乃、この「いないいないばぁ」は面白いのう・・・先ほどの「おかあさんといっしょ」もなかなか良かったが・・・ふむ、次は「えいごであそぼ」か・・・えいごとはなんじゃろう・・・んっはろー?ふぁいんさんきゅーじゃー」

 

(ふふ一生懸命絵に向かって手を振る美羽様・・・なんて愛らしいの・・・ああ鼻血が・・・)

 

今日もこの主従は絶好調のようである。

 

 

Bパートに続く

 

 

 

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