王のビレイグアカデミア   作:INANO

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俺らに与えられた仕事はガキどもの始末。
『オールマイトを殺す』
それが俺らの大将の目的らしい。
別にヒーローに恨みはねぇが、
本当にオールマイトが死ぬなら、
こんなデカい祭り…
参加しねぇわけにゃいかねぇだろ。




会敵

 

「ぐっ…!?」

 

 (もや)に飲み込まれた直後、金木の視界は暗闇から急激に明るさを増した。

辺りは岩に囲まれた地形で、すぐ側では八百万と耳郎、上鳴が同じように辺りを見回している。

 

「ここは…山岳災害を想定したエリアでしょうか?」

 

「うん、たぶんそうだね。バラバラにされちゃったみたいだ。」

 

「バラバラにしたっつっても4人も固まっちまってるし、ここには推薦組2人もいるじゃん!」

 

「バカ上鳴バカ!ここに4人固まってるってことは1人で飛ばされたヤツもいるかもしれないってことだろ。ウチらは固まってさっさと他と合流しないと!」

 

耳郎の言う通り、先の靄で飛ばされた生徒たちの中には孤立している者もいる。

だが、上鳴の言う通り、このエリアに関して言えば戦力過多と言っても過言ではない。

 

「! …上鳴くん、下がって!」

 

金木が上鳴の胸を押して下がらせた直後。

ブンッ、と上鳴が居た位置を大振りの拳が通り過ぎる。

不意の一撃を避けられたヴィランは、大きく舌打ちをしながら仲間に向けて叫ぶ。

 

「ちっ!おい、お前らガキどもはここだ!」

 

その言葉で、ヴィランが続々と集結していく。

そして統率も連携もない、ただの暴力を振りまいていく。

だが、どの攻撃も当たらない。

特殊な個性を用いた攻撃ならいざ知らず、殴る、蹴る、武器を振るう…

素人の使う暴力など、日々ヴィランとの肉弾戦を想定して訓練している雄英生にとって、いなすのも躱すのも難しくはない。

 

それでも、その表情には焦りや不安が隠せない。

ヒーロー志望とはいえ、まだ高校生になったばかりの子どもたち。

明確な敵意をもって攻撃に晒されるのは初めてなのだ。

 

一人を除いて。

 

 

 

 

 

バヂィッ!

と何かが弾ける音がして、一人のヴィランが倒れる。

続いて、鈍く重い音がして、もう一人のヴィランが倒れる。

辺りには砂埃が舞い上がる。

耳郎や上鳴は、何が起きているのか分からず、互いの顔を見合わせる。

八百万は目を見開いたまま、倒れていくヴィランを見る。

 

そして数秒後、砂埃を切り裂いて金木が現れた。

その手には刀のような武器が握られている。

 

「八百万さん、さすが!これすごく使いやすい!」

 

「は?金木…なにそれ…つか、ヴィランは…?」

 

「まだ辺りに何人かいるよ。たぶんもう少しで集まってくる。」

 

「さっきのって、戦闘訓練の時の瞬間移動みたいなやつ?」

 

「…瞬間移動ではないけどね。限界突破(オーバーフロー)って呼んでる。限界超えて個性使うから、講評の時に八百万さんに指摘された通り反動すごくてあんまり使えない。」

 

「いや…使えない、って…。」

 

これのどこが使えない技だというのか。

ヴィラン3〜4人を瞬殺。

連続して使えずとも十分すぎる。

 

「つーか、その武器は?え?…ヴィラン斬り殺したの?」

 

「…いえ、殺してませんわ。金木さんが持っているのは私が個性で『創造』した模造刀。刃のない刀です。」

 

 最初にヴィランが上鳴に襲いかかり、金木が注意を促した直後。

金木は八百万に武器を創造してもらうべく耳打ちした。

金木の依頼に瞬時に応えた瞬発力や模造刀の構造を把握していた八百万はさすがと言える。

しかし、刮目(かつもく)すべきはその後。

 

相手が武器を手にしているのだから、こちらも得物がいるのは理解できる。

そして、刃がついていたら致命傷を与えかねないから模造刀というのは分かる。

だが、模造刀を手にした金木の動きは…。

八百万には、微かにしか見えなかった。

だが、ハッキリ分かるのはただ振っているのではない、ということ。

「刀を振る」のと、「剣術を使う」のでは意味が違う。

両手の小指をしっかりと刀の柄の菱目(ひしめ)にかけ、相手に振るう際にキッチリ刃筋(はすじ)をたてる。

剣術の基礎ができた動きだ。

 

「金木さんは…剣術に精通してますの?」

 

「いや、全然…。この間『剣術の基礎』っていう本読んだとこだったから刀にしたんだけど、大人数相手なんだし、もっと効率いい武器にすれば良かったかも。…あっ!でもこの刀はすごい使いやすいよ!」

 

金木は慌てて八百万の創造した武器を褒める。

上鳴も耳郎も、金木の動きが見えていなかったため、八百万の武器がすごいのだと納得している。

だが、八百万からすれば先程の言葉はありえない。

自分も個性の都合上、本をよく読むが、“この間、剣術の本を読んだから”といって、正確にその動きを現実で行うことなどできない。

(たぐ)(まれ)な才能だ。

 

 

 

「八百万さんっ!」

 

固まっていた八百万の背後から、巨大な岩石が飛んでくる。

金木の声の後に続いて、耳郎も上鳴も声を上げる。

その声で我に返った八百万は、後ろを振り返り、自分の身長ほどもありそうな大きな岩が迫ってくるのを視認した。

 

(!!っ間に合わない。)

 

八百万がそう考えるのと同時に、身体がふわりと宙に浮く感覚がした。

 

 

 

 

「ごめんね。咄嗟(とっさ)に。」

 

気づけば八百万は、金木に所謂(いわゆる)お姫様抱っこで運ばれていて。

いやに対空時間が長いと思えば、自分たちがいる位置は遥か上空で。

 

大岩がぶつかる直前に金木が助けてくれたのだろうが、こんなに高く飛ぶ必要はあったのか。

眼下にはヴィランがわらわらと集まっている。

そして、辺りを見渡すと、遥か遠方で多数のヴィランと一人で格闘している相澤の姿が見えた。

 

(なるほど、飛んだのは現在位置と状況の把握のためですわね。)

 

「まずい。八百万さん、相澤先生が苦戦してる。さっさとここを抜けて援護しに行こう。」

 

「え、えぇ。ですが、ここにも相当な数のヴィランが集まってますわ。」

 

「ヴィランは僕がなんとかする。八百万さんは、降りたら個性で相澤先生のところまでの移動手段を創造してもらえる?」

 

「わかりました、っわ!」

 

打ち合わせもそこそこに、八百万を抱えた金木が着地する。

地上では耳郎と上鳴がヴィラン相手に苦戦している。

 

「ヤオモモっ!武器作って!」

 

「あぶねっ!俺にも武器くれっ!」

 

最初に倒した4人のヴィランを除いて、さらに16人。

そこから耳郎と上鳴がそれぞれ1人倒して、残りは14人。

金木は八百万に移動手段のことを念押しすると、大きく息を吸い込み、また超速戦闘を開始した。

今回は、3人にもかろうじて金木の姿が見える。

 

金木は鞘に納めた模造刀を構え、地面スレスレの低い位置を超高速で移動する。

左手の親指に(つば)をかけ、チキリと鯉口(こいくち)を切る。

逆袈裟(さかげさ)気味に居合で抜かれた刀身は、移動のスピードを乗せてヴィランへと叩きつけられる。

そして、ヴィランが倒れる前に高く脚を振り上げ、その隣のヴィランを地面に向けて蹴りつける。

2人のヴィランが気を失って倒れる頃、ようやく周りのヴィランが金木の存在に気づいた。

 

だが、身構えるよりも先に金木はまたも姿を(くら)ます。

刀で、蹴りで、拳で、片っ端からヴィランを圧倒していく。

そこかしこで汚い悲鳴があがる。

結局、14人いたヴィランは5分と持たず、金木一人によって制圧された。

 

 

 




クインケ使うハイセ好きだったから、カネキに武器使わせたかっただけの回。
そのおかげでなんか余計に変なチート野郎になりました。
そしてすごい長くなりました。
ここでこんなに尺使ってどうするんだ。
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