好きに使って何が悪ぃんだ?
髪が綺麗だとか、
顔の造りが良いだとか、
喧嘩が強ぇだとか
そんな理由で仕事に就いてる奴と何が違う?
俺は俺のルールに従う。
しょせん世の中ビビった方が負けだ。
ビビった奴は食いモンにされる。
誰も救けちゃくれねぇよ。
春、中学3年生になった金木は、新たな教室で途方に暮れていた。
例の事故以降、学校で金木に近づく者も話しかける者もいなくなった。
クラスメイトが変わった今も、それは変わらない。
おそらく話しかければ無視されることはないだろうが、金木はその努力を諦めていた。
ゆえに金木は空気と等しく、今となっては
だが、クラス替えが行われてわずか2日。
その2日間ずっと、授業中も休み時間の間も、ある一人のクラスメイトからガン見され続けていた。
睨んでいるわけではない、ニコニコと笑顔で見られ続けているのだ。
話しかけてくることもなく睨んでいるわけでもないので、気にしないようにしているが、さすがに理由が気になる。
(えっと…トガさん?だったっけ?……なんでずっと見てくるんだろ…?)
本を読みながら、チラリと自身を見つめる
渡我は目が合うと、鋭い犬歯を見せながら満面の笑顔になる。
髪型の特徴も覚えていたし、誰かが話していた噂話も耳にしているので、彼女が事故の時の少女だということは、さすがにもう分かっている。
だが、この見つめ続けられるという状況に、どう対処していいのか分からない。
(…こういう時、どうすればいいんだろう……)
ちなみに余談だが、新しいクラスメイトは金木を恐れてはいない。
事故のことは聞き及んでいるが、実際に見たわけでもないので気味が悪いと言われてもピンとこないのだ。
前学年から同じクラスの者もいるが、事故の現場にいた者は新しいクラスにはいない。
では、なぜ金木との間に壁があるのかと言えば、そもそも読書ばかりして人を寄せ付けないオーラを発しているばかりか、渡我がやたら熱視線を送っているからである。
金木に話しかけようとすると渡我から殺気を感じたという者もおり、ひとまず2人には関わらないでおこう、というのが、新クラスになって2日目にして誕生した暗黙のルールであった。
ルール1 【金木と渡我に関わるな】
帰り道、金木はまたも途方に暮れていた。
30mほどの距離を空けて、後方から視線を感じるからだ。
(今日は下校中もついてくる………本人にやめてほしいって直訴した方がいいのかな?…いやそれは……うーん。)
…………よし、撒こう…!
そう思うが早いか金木は個性を発動し、パルクールのような動きで路地裏へと姿を消した。
渡我はその動きを見切れず、あえなくほんの1秒で金木を見失ったのだった。
「ここまで来れば大丈夫かな?」
登下校のルートから大きく離れた暗い路地裏に金木はいた。
正直ここがどこか把握できていないが、まぁだいたいの方角は分かるし、迷うこともないだろう。
(トガさん………どう対応すればいいんだ……。)
女の子に見つめられて逃げる、という男としての意義を問われそうな自分の行動を少し情けなく思いつつも、明日以降の対応について考えると、さらに頭を抱えたくなってしまう。
“あの事故のお礼が言いたいけど話しかけづらいだけ”
それが、学年上位の学力を誇る秀才にして、絵に描いたような草食系男子でもある金木が導き出した渡我の行動原理だ。
(いや、待てよ…?)
ならばこちらから、「あの時は蹴飛ばしてごめんね」と言ってやればいい。
そうだ、簡単なことじゃないか!
そしたらトガさんだってお礼が言えてスッキリするはず!
明日への希望を見出した金木は、意気揚々と帰り道のルートに戻ろうとした。
が、少し離れた場所から聞こえてくる不穏な声に足を止めた。
「オイゴルァ!このっ!程度でっ!!捕まえるとかぬかしてんじゃねぇぞっ!!オラァ!」
「ッぐ!…っつ…うぁ!」
明らかに事件の匂いがする声。
金木は個性を発動して気配を抑えたまま路地の壁を駆け上がり、上から現場を見下ろした。
一人のヒーローと
幸い、まだヒーローの男性は重症というほどの怪我ではないが、このままではマズい。
助けを呼ぼうとスマホを引っ張り出し、画面をタップする。
(ヒーロー事務所か、警察か、どこに連絡すれば……)
そう
「ケンくん!見つけましたぁ!」
その声に反応したのは3人。
暴行を受けていたヒーローは援軍がきたのかと思い、顔をあげて声の主を見るが、明らかにその顔に絶望を貼り付けてしまう。
暴行していたヴィランは警戒心を剥き出しに振り向いたが、声の主を見ると歪んだ笑みを浮かべる。
そして、その名を呼ばれた金木は驚いてスマホを落としてしまう。
ガシャン!と派手な音がした。
内部の部品が飛び散り、辺りにほんの刹那、静寂が訪れる。
通報手段を失ったことに一瞬歯噛みしながらも、金木は渡我の目の前に降り立った。
「トガさんっ!ここは危ないから、ひとまず逃げて!!」
金木の必死な形相に対し、渡我はニコニコと疑問符を浮かべる。
さらに現状を説明しようと必死になるが、渡我はニコニコと首を傾げるだけ。
この2人だけを見れば微笑ましい中学生同士の放課後の日常だが、現実は非情で、今2人が巻き込まれている状況は非日常だ。
「クククッ、おいガキども。ヒーローごっこかぁ?なんでこんなモンに憧れんのかねぇ?」
筋骨隆々。
肉体強化系の個性だろうか?
肥大した筋肉を
(まずい まずい まずい まずい…)
この状況は最悪だ。
スマホは使い物にならないだろうし、逃げて通報するにしても、抗戦するにしても、人質となりうる者が2人もいる。
ヒーローの方は怪我の度合いによっては早急な治療が必要かもしれない。
となれば…
(考えるより先に状況を変えるっ…!)
金木は個性を全開にして、人間離れした速度でヴィランへと突っ込んだ。
「…っ!?」
腰の捻りも何もない、人を殴り慣れていないのが分かるパンチだ。
だが、それでも不意をつかれたヴィランは、顔面を殴り飛ばされる。
そして、金木は勢いそのままにヒーローを抱えて距離をとった。
ヴィランはヒーローを奪還されたことに加え、唇を切ったのか少し出血していることに気づき、一瞬驚いたあと、不敵に笑った。
「トガさんっ!この人をお願い!あと通報もしてくれると助かる!」
奪還したヒーローをトガに引き渡し、金木はヴィランと再度向き合う。
一方、ヴィランは額に青筋を浮かべてヘラリと
「…いいねぇ。その気絶してるゴミなんかより…よっぽどヒーローだなぁガキィ!!」
血の混じった唾を撒き散らしながら、ヴィランは金木に向かって突撃する。
「くっ……」
個性を発動し、軽々とその突進を避けるも、再び追ってくる。
どうやら標的は完全に金木一人に絞られたらしい。
(…簡単には逃げきれないか。でも避けられないこともなさそうだ。)
(僕が囮になって時間を稼げば、トガさんが誰か呼んできてくれるはず…!)
金木は個性を維持したまま路地裏を自在に駆け回る。
ヴィランも金木を視界から外すことなく追い続ける。
そうして、怪我人とクラスメイトから距離を取りつつ、ヴィランを引き連れて金木はどんどん暗く人気のない方へと進んでいった。
一方、金木が命懸けの鬼ごっこに興じている頃。
渡我は金木に押し付けられたヒーローを路地裏に放置したまま、笑っていた。
そして、出血しているヒーローの傷口から血を拭い取ると、ベロリとその手を舐め上げ、恍惚とした表情を浮かべる。
(……ケンくんがお名前呼んでくれたァ)
「クソがっっ!どこ行きやがったガキィ!!」
八つ当たりとばかりに周囲の壁を破壊しながら、ヴィランは金木を探していた。
地獄の鬼ごっこ開始から数分。
つい先程、金木の姿を見失ってしまったのだ。
(…あのガキ、肉体強化系の個性だな。なら建物の上にいる可能性もあるな。)
そう考えたヴィランは金木を探すため、近くのビルの非常階段を駆け上がり始める。
そもそもこの事件の発端となったのは、路地裏で個性を用いて喧嘩していたところをヒーローに見られたことだ。
彼はただの喧嘩好きで、別に犯罪が犯したいわけではない。
個性使用自体が犯罪にあたるといえばそれまでだが、彼には別に大それた目的などないのだ。
(なぁんで生まれ持った個性を喧嘩に使っちゃいけねぇんだ?)
彼は喧嘩している時が一番楽しい。
別に誰彼構わず喧嘩を吹っかけるわけではない。
強気でいかにも自分が最強だと信じて疑わない奴を叩きのめすのが楽しいのだ。
劣勢になった相手がどんどん自滅していく姿を見るのが最っ高に楽しい。
だが、個性の使用も喧嘩も、ヒーローや警察に目をつけられては自由に楽しめなくなる。
だから今まではヒーローや警察から隠れて喧嘩を楽しんできた。
そのおかげで、このヴィランは今まで見つからずに生きてこられたのだ。
もし見つかっていれば、このヴィランが持つ規格外の個性でヒーローの幾人かは犠牲となっていたかもしれない。
今更ですが、私は原作も二次創作も大好きです。
やさしい目で見守ってください。まじで。
構想練ったり、プロット起こしてみたり、文章書いてみたり、何回も推敲して、何回も書き直して……1話書くのもものすごい大変なんだなと実感して、プロが書くものはちゃんと取材した知識や状況説明のための細かい描写があることを考えると、もっと大変なんだろうなと思って余計に小説が好きになりました。
しかもね!漫画はさらに絵までついてるんですよ!
東京喰種もヒロアカも、ものっすごい上手い絵までついてあの値段ですよ!
安いわ!全巻買うたったわ!
そして、ハーメルンは無料で読めるんですよ。
私のこの全く話が進まないダメ小説と違って皆様すごい作品ばかりで、ホント尊敬します。
そんなすごい作品が無料で読めちゃう!
ネットの時代ってすごいですねェ。(恍惚)