プリンセス・アート・オンラインRe:Dive 作:日名森青戸
( ・大・)<あれだけ時間かけといてまだギルド結成までって……。
12月20日。第3層主街区【ズムフト】。
「すっご……」
始まりの街の転移門から転移してきたノゾミ、チカ、ツムギ、マコト、ユイ、ウィスタリアの6人。
ユイの話ではこの層でギルドを結成できる、所謂『ギルド結成クエスト』が受注できるという。
「森ん中を開拓して作った村……っていうか、駐屯地って奴所だな」
マコトが周囲を見渡す通り、3層は古代樹の森の中だ。
右も左も、文字通り見渡す限りの木々の数々。曰く『迷いの霧の森』と呼ばれている。
「ユイさん、肝心のギルド結成クエストは一体どこで?」
「それよりも、これだけは頭に留めておいてくれるかな?」
「肝心な事?」
妙に神妙な顔をするユイに、5人が首を傾げる。
「SAO……ソードアートオンラインは、この3層からが本番だよ」
「本番、と言いますと?」
「ソードスキルの精度が段違いなの。1層の迷宮区でもコボルトが使っていたけど、それとは全然違うし、剣術としても相当の腕だよ」
「じゃあつまり、総じて敵が強くなるって事?」
ノゾミの質問にユイは「そういうこと」とうなずいた。
ユイ自身、ソードスキルを外して《調合》のスキルを取り、ポーション売りに転身したのもこの3層からのモンスターとの戦闘についてこれないと察したからだ。
「茅場明彦も言ってたよ……『ソードアート・オンラインの剣技は、ソードスキルの光と音、生と死が織りなす協奏曲だ』って。今思えば、その時からもうこの計画を始めていたのかも」
「はいはい考察はそこまで。今はギルドの結成が優先ですよ。こGMの計画を考察したって意味無いじゃないですか」
「……確かに」
ツムギがポンポンと手袋越しに手を叩いて話を終了させる。
それより、6人には考察よりももっと重大なものがある。
「それで、犠牲者は?」
「……1900人強、ですわ」
「気が滅入るには十分すぎる数ですね……」
ウィスタリアから告げられた4ケタの数字――これまでの犠牲者の数――にチカがげんなりした表情で返す。
単に1900人強もの犠牲者が出たのではない。その半数近くはこのデスゲームの絶望に耐え切れず、アインクラッドの外周から飛び降り――死んだのだ。
「で、その協力者ってのは何人なんだ?」
マコトからの質問に、ツムギはあえて沈黙を通しつつ、代わりに指の数で答える。
――その数、4本。つまり4人。
「たったの4人かよ!?」
「仕方ありませんよ。あんな状況の中、ウィスタリアさんの計画は頭のネジが外れてるとしか思えませんからね」
ツムギが言うのも無理はない。
デスゲームが宣告された中で、ウィスタリアの言う『攻略に参加できない人の保護』という目標は、当日にデスゲームを宣告されたプレイヤー達にとっては、彼女の言葉は夢物語にすらならない戯言でしかない。
ウィスタリアが必死に呼びかけても、そのほとんどが一蹴し、去って行った。そのまま帰らぬ人となったプレイヤーも少なくはない。
「力を着けて、ギルドを作って、具体的な方針が決まれば少しは話を聞いてくれるかもしれないわね」
「そのためにも、ギルドクエストをこなしていこう。あと、これはウィスタリアさんが受注してくださいね」
ぐっと決意を改めていると、とうとうギルドクエストを受けられるNPCの元に到着した。
†
「園外に出るクエストなんて聞いてねぇよ……」
「うん。私も知らないで受けたから慌てて一度脱退してから入り直して、ギルドリーダーを交代したくらいだし……」
「ベータテスターにある失敗談ですか?」
マコトのボヤキに続き、ユイが訂正を入れつつ過去を思い返す。
今彼女たちはギルド結成クエストで、モンスターに奪われたギルド結成の指輪を取り戻す為、ダンジョンでもあるある洞窟を目指していた。
「そうだ。みんなレベルはどうしたの?」
「んぐっ……!」
乗り込む寸前で振り返りながらのノゾミの質問に、ツムギを筆頭に3人ほど言葉を詰まらせた。
「因みに私は10」
「私もそれくらいですね」
「あたしは11くらいかな」
すんなりと答えたマコト、チカ、ノゾミに対し、
「3人でレベリングに行ったけど、まだ8……」
「……言っておいて難ですが、3位ですわ」
「……6」
ユイはまだしも残る2人、ウィスタリアとツムギは特に酷かった。
3人とも1ケタ、ウィスタリアに至ってはこの3層の適正レベルギリギリである。
「……一応パーティ組める上限6人いるとはいえ……」
状況が状況だけに、この3人はろくにレベリングを行えるような状況ではなかった。
とはいえSAOのパーティシステムの都合上、この3人は比較的攻撃を続け、経験値を稼がなければならない。
一つだけ幸いなことと言えば、今から挑む洞窟の中には平均レベルが4程度しかないので、ウィスタリアでも比較的楽に倒せるとった点くらいか。
「とにかく、虫系モンスターは状態異常をメインに使ってくるから、掛かったら下がって回復して。私の《調合》でも、数に限界があるから……」
「わかりましたわ。それでは早速向かいましょう!」
「あんたに言われてもレベルのせいで威厳が感じられないんだよな~」
マコトの言うことも最もである。
†
道中、幾つものモンスターに遭遇したものの、マコト、ノゾミ、チカが隙を作ってウィスタリアとツムギ、ユイが止めを刺して経験値を稼ぐことを5回ほど繰り返してダンジョンに乗り込んだ。
「……」
「どした、ユイ?」
「このダンジョンの宝箱、全部開けられている……」
「解放されたのは5日も前だろ?フロントライナーがとっくに全部開けちまったんじゃないのか?」
「そうなんだけどさ、ここ」
ユイが指したのは壁の亀裂の奥にある未開放の宝箱だ。
宝箱は1度解放されたら後はそのままになる。それはVRよりも以前のRPGにはお約束のシステム。つまり、これは攻略組の誰もが見落としていた特殊な宝箱だということだ。
閑話休題。
この場所は影の影響などもあって、一見しただけでは見つけにくい。更に亀裂の中にある為に尚更見つけ辛い場所にある。
「ここの宝箱はベータ版でも最初は見つけられなかったんだ。ベータの最前線の人でも。多分知ってるのは私くらいだよ」
「その最前線の奴は、今や攻略組か。ユイとは豪い差だな」
「そ、そんな差はどうでもいいよ!とにかく、このダンジョンは他のクエストの舞台にもなるから、たまにそのクエストで戦うモンスターが現れることが――」
ユイの注意点も束の間、その声は一つの轟音にかき消された。
視界一面が巻き上げられた土煙に覆われる。
「お、おい!いったい何が――!?」
「これもクエストの一つですの!?」
「違う!ギルド結成クエストは討伐系じゃなかったはず……ッ!?」
ユイの叫びと共に土煙が晴れていく。
同時に露わになった原因を前に、一行は言葉を失った。
高さ3メートル級の、毒々しい黒に染まった多脚と胴体、そして熟れた鬼灯の如く赤々と光を灯す目。
現実世界にはいない、巨大蜘蛛。
「なッ……なん、で……!?」
敵は完全に眼下の6人――特に案内として一番前に出ていたユイ――を獲物と見定めたのか、前脚の一本を振り上げる。
数秒後には振り下ろされて、レベル差の大きいユイは一撃でHPを全損し、ナーヴギアに脳を焼かれてしまうだろう。
「ユイちゃん、逃げて!!」
ノゾミの悲鳴と同時、巨大蜘蛛の前脚が振り落とされた。
再び轟音と共に彼女のいた場所に土煙が上がる。
「ユイちゃん!!」
ノゾミが再び悲痛な叫びをあげる。
誰もが逃げるのを忘れて固唾をのんで土煙に中を見ていた。
やがて土煙が薄らぎ――、その中に2人の人影が見えてくる。
「ま、こと…ちゃん……」
「ユイだけは……絶対に殺させねぇ!!」
その攻撃は、咄嗟に前に出たマコトによって防がれていた。
巨大蜘蛛との力の差に、素早く両手剣を傾けて攻撃を逸らす。
「ユイ、コイツ斃せるか!?」
「えっ……?――多分、倒せるかも。別のクエストの討伐対象になってるけど、普通にリポップするから」
「じゃあそいつがこの化け物をここにおびき寄せて、あたしらのような奴を狙ったMPKだっていうのかよ!?」
「誰がMPKをしたたって!?」
マコトの叫びに応じるかの如く、黒と白がどこからか飛び出した。
ワンテンポ遅れて巨大蜘蛛がその2つに反応したものの、その間に複数の斬撃が巨大蜘蛛のHPバーを削り斬り、軽快な音と共にポリゴンとなって砕け散った。
「うっそ……」
まさしくあっという間の出来事。反撃する間も無く消滅していく様に一行は呆然とその場に座り込んでいる。
「悪かった悪かった。宝箱の取り忘れを思い出して戻ったけど、アンタらと遭遇しちまったみたいだな」
黒――黒服の少年が手にした剣を背中の鞘に戻しながら謝罪する。
「あなた達もギルド結成クエストを受けてたの?」
白――ケープを纏った少女も細剣を鞘に納め、駆けてくる。
「え、ええ……そんなところで……」
すっかり腰の抜けているユイが少女の差し伸べられた手を掴んで立ち上がる。残る5人もやっとのことで立ち上がる。
「先ほどはありがとうございました」
「あんたらも攻略に参加するのか?」
少年、キリトの質問にウィスタリアが首を振りながら答える。
「いいえ。そのことについても、少々ダンジョンを抜けてからにしましょうか」
「それもそうだな」
そこからはキリトと少女、アスナを先頭に洞窟の出口へと向かう。
途中に現れた小型モンスターはノゾミ達のレベリングの為に彼女らが戦闘を行うことにする。
アスナは最初あんな目に遭って問題なく戦闘ができるのか、キリトはあんなバランスの悪い編成で大丈夫かと内心思ったが、6人の戦闘は滞りなく進み、見事にモンスターを全滅させた。あのボス級モンスターに比べれば、さほど脅威でもなかったのだろう。
「そういえば、キリト君の言ってた宝箱の中身って何だったの?いきなり思い出したみたいに駆け出して」
「それなんだよ。色々ごたごたが終わった直後に思い出したんだけど、あの洞窟にはちょっとした特殊アイテムがあったのを思い出したんだ。ベータじゃ攻略した後の別件で偶然通りかかってあの場所を見つけたんだけど……」
「あ、多分それ私だ」
「……マジで?」
何気ない会話だったのに、キリトが食い気味にぐるりと後ろを向く。
「中身は何だった!?」
食いつくキリトへ返答代わりにユイがその獲得品をオブジェクト化する。
表れたのは小さな鉢型の皿に乳棒、そしていくつかの小道具がユイの手元に現れる。
「これって……?」
「ポーションキット。素材からポーションを作ったり」
「ま、マジか……」
折角の隠し宝箱の中身がまさかのポーション製作に使われるキットだったとは。
衝撃の事実にがっくりと膝をつくキリトだった。
†
キリトとアスナを加えた8人は、野営地へと足を運んでいった。
その野営地で数日前に結成された攻略組ギルド【アインクラッド解放隊】のリーダー、キバオウと【ドラゴンナイツ・ブリゲード】のリーダー、リンドと顔を合わせていた。
余談だが、2人に会う前にギスメルというNPCと出会ってユイが仰天していたのを記載する。
「始まりの街の治安維持?」
ウィスタリアの立てたギルド目標に対して、声を上げたのはリンドだった。
「ええ。攻略を進めていく内に、攻略組や中層域のプレイヤーは下の街を放置していくのは明白。下層域に残る人達を守る方も、必要になるのではなくて?」
「おいおい……。階層一つをジブンらで管理するんか?旧式の街の経営ゲームちゃうぞ」
「何も、第1層全てを手掛けることなんて言ってませんわよ。けど、このまま下層で暮らす方々を放置しておくわけにはいきませんわ」
沈黙が走る。
2人ともウィスタリアの話に対して自分なりにまとめているようだ。
「……バカバカしい」
沈黙を破ったのはアスナだった。
「あなた達の言い分は、このデスゲームの攻略を私達に丸投げして、自分達は最下層で静かに暮らすっていうのよ!あなた達、頭おかしいんじゃないの!?」
爆発するように不満をぶちまける。
一日も早い攻略を目指す彼女にとっては、ウィスタリアの行動は完全に他人任せのものでしかない、この時点で攻略そのものを諦めている、とも解釈することができる。
アスナからすればそう解釈しても無理はない。自分達は解放の為に必死に抗っているのに、のうのうと下に残ることに怒りを感じずにはいられなかった。
「確かに解釈次第では、そうなりますわ。ですが、誰かがやらなければあの街は遅かれ早かれ廃れていきます。誰が何と言おうと、私達の掲げたギルド目標は曲げる気はありません」
「……そう。さっきは怒鳴ってごめんなさい」
アスナも先程の怒声から冷静になったのか、頭を下げて詫びる。
「まあいい。今後連絡はしないかもしれないが、ギルド間での連絡として一応フレンド登録はしておこう」
「ワイらは明日はボス攻略や。これ以上話すことが無いんやったらこっちは勝手に上がらせてもらうで」
「ええ。こちらもお手数をおかけしました」
フレンド登録を終えたキバオウとリンドの後ろでウィスタリアが頭を下げて、彼女も少し離れた場所で待機していた4人の元へと向かっていった。
「あれ?ユイは?」
「ごめんごめん。ちょっと遅れちゃった」
待機していた一行から少しは垂れた場所からユイが駆け寄ってくる。
「どうしたのよ?」
「あーうん。ちょっとね」
「そろそろ帰りましょう。ギルド活動を掲げておいていつまでも用の無い場所に長居する必要はありませんもの」
幸いこの野営地は主街区からほど遠くない。そのまま転移門へと向かい、転移されていった。
†
「君達、少しいいか?」
転移ゲートに来た6人が転移しようとした時、後ろから声を掛けられた。
振り返ると数人の男女のプレイヤーだ。そのうちの一人、大柄な体躯の男が集団のリーダーらしい。
「あなた達は?」
「我々は攻略ギルド【剣文録】。私はリーダーのフレッグだ」
「――ウィスタリアと申しますわ」
「おっさん、何の用だよ?」
「スカウトだよ。それ以外に何がある?」
目の前の男、フレッグはあっさりと自分の目的を示した。
訝し気な表情を露わにする6人に気付いていないのか、更に続けた。
「お気持ちはありがたく受け取りますわ。ですが、今私達はギルドを起ち上げたばかりですのよ。そのギルドを放っておいて攻略に携わろうとは思いませんわ」
「なら我々のギルドと合併すればいいだろう?」
「「「「「「……はぁ?」」」」」」
思わず6人が6人、素っ頓狂な声を上げてしまった。
同時にマコトは、「馬鹿かコイツは」とあきれ果ててしまう。
要するにこの男は、言い換えれば「お前たちのギルドを解体するか合併で自分達のギルドに入れ」と言っているのだ。無茶苦茶にも程がある。
「……申し訳ありません。私達には私達のやるべきことがあります。その使命を捨ててまであなた達と共に攻略に参加することはできませんわ」
「なんだと?」
「要するに、あたしらのやる事ほっといて攻略に参加する気はねぇって事だ」
「貴様……!」
ずいっ、と前に出て返したマコトに対して、フレッグの声色に怒りが僅かに含まれた声を上げる。
「まあいいじゃないですか。無理強いして入れた人だと、後々ギルド内の不和にも通じてしまいますよ」
まさに一触即発の空気に、別の声が横やりを入れて制した。
その声の主は20代後半の男。長身の黒髪の姿は先程会ったキリトと見た目はそっくりだ。ただ、顔つきは日本人のようなものではない。外人の―西欧風の雰囲気が感じられる。
彼の声に冷静さを取り戻したのか、先程見えた怒りの感情はすっと引っ込んでいった。
「……確かにそうだな。さっきは悪かった」
「いいえ。力づくという選択をする前に冷静になってくれて助かりましたわ」
ウィスタリアも事が穏便に済んで一応の警戒は解く。
フレッグたちはそのまま踵を返して去って行き、彼らの姿が宵闇に消えるまで見送った彼女らは、転移門の前に立った。
「「「「「「転移、始まりの街」」」」」」
†
「それで、例の話を聞いてくれた奴ってのがこの人達か?」
「はい。今から紹介しますわ」
始まりの街に帰還して一夜を過ごした宿屋のある一室。
一向はウィスタリアの話に応じたプレイヤーと会う為にこの宿に待機してもらっていた。
彼女らの据わるテーブルの向かい側には、4人の年齢の異なるプレイヤーが据わっている。
「では私達から」
ウィスタリアの号令に続き、40代後半の男性が名乗りを上げる。
続き、彼と同い年のような女性も立ち上がる。
「私はユース。彼女はティアナ。ここの治政を任されました。現実でも夫婦です」
「へぇ。政治家でもやってたのか?」
「え?え、えぇ……そんなところです」
最後のほうは口ごもっていた点に全員疑問を感じたが、そこに深いツッコミを入れようとする無粋な考えは起こさなかった。
ユースとティアナが座ると、次に眼鏡の女性が立ち上がる。教師のような雰囲気を持った女性だ。
「私はサーシャといいます。子供たちと一緒に教会で暮らしています」
「彼女には子供たちの保護とその世話を。私も先程足を運んだのですが、かなりの人数でしたわ」
ウィスタリアの補足に、サーシャに対して感心しながらも、子供たちに対してレーティング無視じゃないかと疑問を上げる。
「最後は私ね」
最後の協力者が立ち上がる。
年はウィスタリア達とさほど変わりなく、少女と言っても差し支えない。
「私はレイン。ウィスタリアさんのギルドで働くことになりました」
彼女の自己紹介を最後に、今度はユイ、マコト、ノゾミ、チカの4人が改めて自己紹介をする。
「さて、初めはこんな所ですわね。それでは――」
「待って。ギルド名は?」
早速【約定のスクロール】を使おうとした時、ユイが待ったをかけた。
確かにギルド名はまだ決まっていない。
肝心のギルド名は何なのかと、全員期待の籠った目線をウィスタリアに向ける。
「ギルド名?ああ、そうでしたわ。名前は……まだ決めてませんでしたわね」
全員ずっこけた。
名前を決めるタイミングはそれぞれだが、このタイミングでまだ決めてないのはどうなのだろうか。
「そうですわね……メルクリウスは加えるのは絶対ですわ」
「メルクリウス……商業の神ですね。このまま使うのもありですが?」
「それだとありきたりですわ。もっとこう……このギルドだからこその名前っていうのが……」
変なところで躓いてしまった。
今適当な名前で【約定のスクロール】でギルド名を決めると、解散以外で名前を変更はできない。変な名前を決めてしまうと、ギルドの活動意欲に支障が出てしまう。
何か良い名前は無いかと考えている中、夜9時を告げる鐘の音が耳に入ってきた。
「……ゴスペル」
「ん?」
「ゴスペル・メルクリウスなんてのはどうかな?」
「“メルクリウスの福音”という意味ですか。悪くないんじゃないですか?」
「確かにそうだね。希望となる福音を鳴らす商業の神。悪くないんじゃない?」
「では、ここに【約定のスクロール】の元、約定を」
商業を通じて解放の日を待つまでの希望となる。
その理念を通じた者達が一人ずつスクロールに名を刻む。
全員がギルドに名を刻んだ後、ウィスタリアが宣言した。
「それでは、今ここに【ゴスペル・メルクリウス】の設立を宣言します!」
次回
「食糧生産を確立せよ」
( ・大・)<次回は多分オリキャラ回。