闇の悪魔とキスをしよう   作:散髪どっこいしょ野郎

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闇の悪魔とキスをしよう

サンタクロースがやってきた。

 

 

公安に入ってまだ日の浅いデンジ少年を囮とし、デパートの中で人形共とサンタクロースを殺すことになった。

 

 

日下部の石の悪魔も大量に押し寄せる人形達には少し力不足だったようで、俺達公安には中々ハードな戦闘になることが予測された。

 

 

 

 

俺がデビルハンターになったことに理由は無い。

 

が、やりたいことも見つからなかったのでそこそこに給料のいい公安で悪魔を殺す道を選んだ。

 

自分でもすぐ死ぬのだろうと思っていたが存外にも悪魔退治の才能があったらしく、ここまでなあなあと生き残ってきた。

 

 

 

「お前みたいなタイプもあまりデビルハンターに向いていない」

 

 

たしか岸辺隊長はそんなことを言っていただろうか。

 

 

その訳は恐らく死ぬ時に分かるだろう。

 

 

今日か明日か分からないが。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

「構えろ」

 

 

未来の悪魔を使ったであろう早川アキの言葉に従い、咄嗟に中村を盾にするようにして体制を整える。

 

 

天使の魔人と早川アキは勢いよく弾き飛ばされ、中村は死んだ。

 

 

此方を見つめる眼帯の女性。恐らく俺では勝てないだろう。

 

 

一瞬にしてデンジ少年は無力化され、玉置と日下部も気絶。

 

 

フィジカルに優れた吉田と襲いかかるも、軽くあしらわれて終了。

 

 

まともに打撃を食らいトバされる視界の片隅に岸辺隊長が見えた。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

目覚めるとそこは地獄だった。

 

 

比喩表現ではなく、本物の地獄だった。

 

 

周囲を見回すと先程の女性に加え早川アキやデンジ少年等がいる。

 

 

想定外の出来事だったのか、戦闘は行われていないようだ。

 

 

敵であろう魔人の証言からここが地獄であることを知った。

 

 

意外と良い景色なんだな。

 

 

何をすればいいかも分からず一人感想をこぼしていると、辺り一面が闇に包まれた。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

それは闇だった。ただひたすらに黒い闇だった。

 

 

そこには悪魔がいた。音もなく存在していた。

 

 

その場にいた全員の腕が落とされた。

 

 

そんなことはどうでもいい。

 

 

俺は自分がデビルハンターになった意味を知った。

 

 

その悪魔を見た瞬間に脳内を埋め尽くしていく情報。

 

 

超越

 

不明

 

恐怖

 

理解不能

 

 

その悪魔はそれらで満たされていた。

 

 

生物としての本能に直接与えられる絶対的な恐怖。

 

 

それが闇の悪魔だった。

 

 

それが

 

 

よかった。

 

 

 

 

 

 

四つの頭。あるいは五つ。

 

ヒトの肢体で構成された足であろう部位。

 

腕…?肩…?翼…?そこから伸びる黒い闇。

 

そして生きることさえもままならなくなるほどの恐怖。

 

 

そのどれもが、俺を倒錯させるには充分すぎるくらいだった。充分すぎた。

 

 

その時の俺の男としての象徴は、これまでの人生の中で最も活気に溢れていたのだろう。

 

 

触れたい。頬ずりしたい。交わりたい。

 

 

ガキのようなとめどない欲望が湧き出ては止まらず、ただ俺を昂らせる。

 

 

 

 

 

泣き別れした下半身に祈る宇宙飛行士。

 

 

ヒトは闇の前で祈る。

 

 

根源的な闇という恐怖の前では、ヒトは祈ることしか出来ない。

 

 

それでも俺が感じていたものは間違いなく恐怖であり、希望であり、悦びであり、愛欲であり、快楽である。

 

 

見知らぬ男が何かを喋っている。

 

 

どうでもいい。どうでもいいんだよ。お前がこれに何かを話すことなんて、俺のデビルハンターとしての全てと比べればどうだっていいことなんだよ。

 

 

 

 

 

 

「私にどうか…マキマを殺せる力を────「俺とキスしてくれ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

言った。言ってやった。

 

誰も何も発することは無く、俺に全ての視線が注がれた。

 

 

「闇の悪魔…俺はお前を愛している!お前にとって俺はただのヒトなんだろうが、俺はお前を愛する為に生まれてきたんだ!────ああ、済まない。いきなりすぎたな。だが本当の愛の前には時間なんて些細な事だ。どうか、どうか────俺とキスしてくれ!!!いや、それだけじゃあ足りないな。全然足りない。なんだったらお前と永遠に愛し合っていたい!お前と手を繋ぎたい!お前とヤリたい!闇の悪魔だろうが超越者だろうが知ったことか!俺はお前を愛している!」

 

 

間髪入れずに一気に闇の悪魔に向かって走り出す。先程まで見知らぬ男の目の前にいたというのに、いつの間にか辛うじて見える所まで逃げてしまっている。

 

 

「────ははっ、照れ屋なんだな」

 

 

なんと愛らしい姿だろうか。しかしこれで諦めてなるものか。やっと俺は生まれてきた意味を見つけたんだ。

 

 

ジリジリと後ずさる闇の悪魔に追いつき、俺は自分のブツが破裂しそうな程に高まっていることに気づいた。

 

 

「────愛しているよ」

 

 

両足である二つの胸にあるはずのない手を這わせ、一番下に位置づく頭に顔を近づける。

 

 

嗚呼、なんと幸せなことだろうか。闇の悪魔が俺を見ている。闇の悪魔に触れている。

 

 

ゆっくりと顔を近づけ、唇を合わせる。

 

 

赤ん坊の頃からずっと溜め込んできた愛を解き放ち、瞼を閉じた。

 

 

鈴の音が聞こえた。

 














あア~……何っ…ホンット……
何っ…してんだ俺ぇぇぇ…
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