短い文で綴るエピソード集   作:沙希斗

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うちでは毎年、「昔々、あるところに……」と言いたくなるようなこんな光景が見られます。(実話です)


父とカラス

 

 

 

 父がトラクターを使い始めると、必ずカラスが付いて来る。

 多分トラクターに驚いて出て来る虫や、耕す時に掘り返されて出て来る虫を目当てにしているものと思われる。

 カラスには「ハシブトガラス」「ハシボソガラス」「ミヤマガラス」「ホシガラス」など何種かあるのだが、普段見掛けるいわゆる「カラス」と呼ばれているものはハシブトガラスとハシボソガラスぐらいである。

 ちなみにこの「ハシ」というのはクチバシの事で、要はクチバシが太いか細いかでこの名が付いたようだ。

 でも極端に太かったり細かったりしている訳では無いのでパッと見分からない。

両方を見比べてみて、初めて「そういやこっちの方が太いな(細いな)」と分かる程度である。

 ハシブトの方がハシボソより少し大きい(ハシボソはスリムに見える)とか、ハシブトの声の方が澄んでいて「カァカァ」とハッキリ聞こえるのに対し、ハシボソはややしゃがれていて「ガァガァ」と聞こえる、という特徴も、よく見たり聞いたりしないと分からない。

 一番見分けが付きやすいのはハシブトの「おでこ(クチバシより上の部分)」が出ている(逆立っている)、という事だろうか。

 ハシボソのおでこはスッキリしているので、「でこっぱちがハシブト」と覚えて置けば良いかもしれない。

 あとハシブトは比較的都会に多い「都会のカラス」で、ハシボソは比較的田舎に多い「田舎のカラス」である。

 

 さて今までの話でも何度も書いているが、うちはド田舎なので付いて来るのはハシボソガラスである。

 そいつが一羽無いし二羽、二メートル程離れて後ろを付いて来る。

 父もカラスもお互いに分かっているようで、トラクターを運転する時期になると毎年まるで昔話に出て来る物語のような、ほのぼのした光景が見られるようになる。

 あまり頻繁に見ると流石に逃げるようだが、父が「カー公、来たか」などと声掛けしても逃げないらしい。

 ハシボソは非常に頭が良く、車にわざとクルミを轢かせて中身を食べるという利用の仕方をしたりするらしいのだが、うちの近くにはクルミは無いのでそういう光景は見られない。

 その代わりというのかたまたま田んぼの害獣避けのついたてとして使っていた金属板に姿が映るヶ所があったらしく、二羽が連れ立ってやって来て、一羽が攻撃している姿を何日か見られた事があった。

 どうも自分の姿を敵と見なしたらしい。

 それとももしかしたら攻撃の仕方を練習していたのかもしれない。

 攻撃している一羽は地面に下りて執拗に金属板をつついていたが、もう一羽は何もせずにその上にとまって見守っていた。

 どうやら仲間に見張りを頼んでいたようである。

 そのいつも来る二羽が、なんだか人間臭くて滑稽だった。

 

 そういえば、カラスの仲間には「オナガ」「カケス」「ルリカケス」「カササギ」がいる。

(カササギは「カチガラス」とも言われているのでそのままカラスの仲間だと分かる)

 「カワガラス」などという鳥もいるが、こちらは「川にいるカラスに似たもの」という意味らしく、カラスとはまったく関係の無い種類らしい(カワガラス科カワガラス属という事なので、特別な種類の鳥なようだ)。

 ちなみにカササギには「カチカチと鳴いて縁起が良い」と、豊臣秀吉が朝鮮半島から連れて来た(取り寄せた)という逸話があるのだが、どちらにしても日本にいるものは元々は人為的に持ち込まれたものだと考えられるという事である。

 

 

 

 

 

 




今の時期はカラスの巣立ちの時期らしく、まだまだ飛ぶのがヘタクソな雛に寄り添う親鳥を見掛けます。
餌を貰う雛の声と警戒する親鳥の声が頻繁なため、非常に喧しいです。
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