短い文で綴るエピソード集   作:沙希斗

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この虫が家の中に入って来ると、こんな歌を思い出します。(実話です)


金持ちな虫

 

 

 

 夏になると決まって、緑色の綺麗な甲虫が家の中に入って来る。

 灯りに向かって突進したりその周りをぐるぐると飛び回ったりしてブンブンうるさいこの虫は、「コガネムシ(アオドウコガネ)」という虫である。

 よく「カナブン」と間違えられる(私も間違えていた)のだが、コガネムシの体つきが丸っこいのに対し、カナブンはもう少し角ばっていて角を丸くした四角に見えるという違いがあるそうな。

 顔付きも違っていて、コガネムシは丸くてカナブンは四角(へら状)になっている。

 「ハナムグリ」という花粉を食べる小さめで、緑に白い斑点のある上に上げた二種とよく似た甲虫もいるが、これは「カナブン」と同じ仲間なのだそうだ。

 

 さてこのコガネムシに、歌(童謡)があるのはご存知だろうか。

 「♪黄金虫は金持ちだ」というフレーズで始まるこの歌を、知っている人は少ないかもしれない。

 だが幼い頃に誰かから習ったと思われるこの歌を私は覚えていて、ブローチにしても良いような緑色の綺麗な虫が家の中に入って来る度にこの歌を頭に浮かべてしまう。

 しかし綺麗な見た目に反して害虫らしく、これが増えれば草花が被害に遭う。

 親(成虫)は葉を食べるので網目状にされ、子(幼虫)は根を食べるので枯れてしまう。

 要するにガーデニングをする人にとっては天敵とも言える存在である。

 「アオドウコガネ」は楕円に磨いたアベンチュリンのように綺麗だが、黒い地味な「クロコガネ」というものもいる。

 こいつも庭でよく見かけるコガネムシの仲間である。

(他には「ヒメコガネ」「マメコガネ」「ドウガネブイブイ」という面白い名前の奴もいる)

 前記したカナブンの仲間「ハナムグリ」は、名前と食生活の通り花にいる事が多く、小さ目の、緑に白い斑のある甲虫が花粉を狙って花の真ん中にとまっている様は非常に可愛らしい。

(漢字で書くと「花潜り」という事なので、そのまま名付けられたらしい。受粉を助ける益虫として活躍している所もある)

 花にいる関係でミツバチや蝶などと鉢合わせる事も多く、それらとの共演もまるでお互いに話しているみたいで見ていて微笑ましい。

 ちなみにカナブンの方も、親も子も朽ちた葉を食べたり樹液を食べたりするので益虫なのだそうな。

 なので花の近くにはいず、もっぱらカブトムシと一緒に木の汁を舐めている姿を見掛ける。

(成虫の頭がへら状なのも、朽ち木に潜るために進化したものと思われる) 

 しかしカナブンとコガネムシはよく似ているため、カナブンまでもが害虫扱いされて駆除される事が多いのと、カナブンの幼虫が「(くず)」という蔓植物を餌にしている関係で非常に数が少なくなっているらしい。

 

 葛といえば「葛切り」という食べ物があるのだが、これはその葛の根のでんぷん(を精製した葛粉)を使って作る(水で溶かした粉を型にはめ、熱して固めたものをうどん状に切る)ものなのだそうな。

 だが本物の葛で作るのは手間暇がかかる(葛根を掘り出すのが物凄く大変)ので供給量が少ないのもあり、今では偽物(主にジャガイモのでんぷん)で作られているとの事。 

 本物(葛粉)には身体を温め血行を良くする作用があるとして、風邪や胃腸の薬として民間療法で古くから利用されて来たそうな。

 

 

 

 

 




「コガネムシ」「カナブン」共にメタリックな色合いなものもおりますが、「アオドウコガネ」は煌びやかで派手な光り方はしておりません。
本文には出て来てませんが「センチコガネ」というコガネムシの方がメタリックで綺麗です。
このセンチコガネの名前の由来は「㎝コガネ」ではなく、「雪隠(せっちん)(トイレの事)コガネ」という意味なんだそうです。
動物の糞や死骸に集まる(餌にする)という事を考えるとそのままですよね。
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