短い文で綴るエピソード集   作:沙希斗

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生き物全般が大好きな私は蛙やトカゲの類いでも可愛いと思ってしまいます。
ですが嫌いな人にとっては、これは読みたくない話かもしれません。(実話です)


間抜けなヒキガエル

 

 

 

 山と田んぼに囲まれた、他から少し離れた場所に有るうちの家は、それだけ自然という名の野生動物が他より多くやって来る。

 虫や蛙が家の中に入って来る事はもはや日常茶飯事で、そんな中で大きさでビックリするのは「ヒキガエル(多分二ホンヒキガエルだと思われる)」である。

(「ガマガエル」ともいうが、図鑑には「ヒキガエル」の名で載っているのでこちらが正式名称のはず)

 「ウシガエル」の方が大きいそうなのだが、この辺りには「彼ら」の生息地は無いようなので、今の所一番大きな蛙といえば「ガマ」とも呼ばれるこの蛙だという事になる。

 

 家の近くに住んでいるようで、まるで門番のようにでっかい(といっても十五センチぐらい)奴がたまに玄関先に座っていてビビる事がある。

 だが生き物全般が大好きな私はいきなり出くわしてギョッとする以外は別段気にする事もなく、邪魔だったら掴んでどかす程度である。

 ヒキガエルの仲間は全部有毒なので掴んだら危ないと思われがちなのだが、目の後ろに「耳腺(じせん)」と呼ばれている大きな瘤があり、そこから出す毒(ガマの油。ブフォトキシン)が強い(目に入ると失明するし、謝って口に入ると最悪死ぬ)のであって、その部分を強くつまんだり押さえ付けたりしない限りは毒は出さないため、体を軽く掴んだり手に乗せたりする程度では何ら問題は無い。

 自身もそこから出るものが猛毒である事が分かっているらしく、その付近を触ると擦り付けるようにその方向に頭を傾けて来る。

 恐らく警告のつもりなのだろうが、蛙が平気な私にとっては逆に懐いているかのようで可愛いと思ってしまう。

 あまりにいじると体中にあるイボからも毒のある粘液を出すので、それは気を付ける必要があるが。

(こちらは触った後手を洗えば荒れたりしない) 

 ちなみに脇の下を掴むと体をヒクヒクさせながら「クックックックッ」と鳴くのは雄だけである。

 これは「リリースコール」と呼ばれているもので、繁殖期に雌を抱く(抱接)際、間違えて雄を抱かないようにしているらしい。

 雌はヒクヒクさせたとしても鳴かないので、雄雌の区別をこれで付ける事が出来る。

 

 さてある日、家の外で父が呼ぶので何事かと思ったら、大きなヒキガエルが雨樋の元の、排水管に雨水を流す場所(昔の家なので瓦と同じ焼物)と縦樋の隙間に頭を突っ込み、逆さになって腰から下を出した状態になっていた。

 軽く曲げた両脚が伸びたままになっており、ピクリとも動かないが、息はしている。

 よく家の前で見掛ける奴で、助けてやろうとしたのだが、上半身が丁度その場所にピッタリはまってしまっており、少し引っ張ったぐらいでは出せなかった。

 おまけにヒキガエルは興奮すると体を膨らませる性質があるため、ますます抜けなくなった。

 いくら引っ張っても抜けないので見ていた父に「もう壊すか」とたまたま持っていた鍬を見せられたが、焼物なので一度割ったら元に戻せないし、どうにか壊さずに出してやれないかと奮闘した。

 もう最悪殺しても良いやという勢いで両手で腰を強く掴み、無理矢理引っ張るとどうにか引き摺り出す事に成功。

 死んでいないのを確認してやれやれと胸を撫で下ろし、だいたい潜んでいる物置小屋の床下の隙間に置いてやった。

 

 生まれてこの方こんな間抜けな野生動物は見た事が無い。

 父も初めて見たとの事で、呆れていた。

 一応発泡スチロールを加工して隙間を塞いだが、野生でもこんなドジな奴がいるもんなんだなと思った出来事だった。

 

 

 

 

 




ちなみにこれは何年か前の話です。
そういや見掛けなくなったなと書きながら思いました。
助けてから数日は見掛けていたんですが、いつの間にかいなくなっていました。
脚だけが外に出た本当に間抜けな恰好だったんですが、生憎私は携帯を持ち歩かないので写真を撮る事が出来ませんでした。
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