日本には金色の蛇がいる、と言えば「何を馬鹿な」と思うだろうか。
しかし冗談抜きでいるのだ。漢字で「金蛇」と書く動物が。
ここで「なぁんだ、アイツか」と思った方は余程の動物好き、しかも取り分け爬虫類に詳しい人に違いない。
漢字で金蛇と書く動物は、片仮名では「カナヘビ」と書く。
ここまで書いても爬虫類に詳しくない人は「蛇の仲間だ」と思うだろう。
カナヘビは蜥蜴の仲間である。
何故トカゲなのにヘビというややこしい名前が付いているのか?
それは恐らく姿によるものだと思われる。
カナヘビは別にヘビのように手足が無い訳では無く、どう見てもトカゲにしか見えないのだが、全体が細長く、尾が非常に長いのだ。
これは私の憶測に過ぎないのだが、たまたま手足が草の中に隠れでもして見えない時に見付けた人が蛇だと勘違いしたのではないかと思う。
まあもし蛇と見間違えたのだとしても生れて間もない子蛇ぐらいにしか見えないのだが、体をくねらせて歩く様子などを見たら、そして素早く走って手足が見えないような状態だったら蛇に間違えられても仕方がないのかもしれない。
色は背面が褐色または灰褐色で、腹面が黄色味がかった白。
これのどこが金なのだと思うのだが、もしかしたら日本では茶色または黄色味がかった茶色の事を金と表現するのかもしれない。
それか、「金」は「きん」ではなく「かね(金属)」という意味もあるので、「金属質な蛇」という意味でこの名が付けられたのかもしれない。
でも金属質な、つまりメタリックな光沢があるのはむしろ「ニホントカゲ」の方である。
私は高校の頃、このカナヘビ(ニホンカナヘビ)を捕まえて飼っていた事がある。
餌は生きた虫。
というのも(蛙や蛇もそうなのだが)爬虫類、両生類の類いは「動いているもの」しか見えないためである。
しかしその当時はペット用のトカゲというものは売っていず、従ってそれ用の生餌などは無かったし、そもそもが初めから自然の餌で飼うつもりでいたのでその辺の虫を捕まえては与えていた。
受精した雌だったようで、何日かしたら白くて小さな、楕円形の卵を産んだ。
調べたら湿ったコケなどで保護すれば良いという事が分かったので、コケが渇かないように、かつ濡れ過ぎないように調節しながら孵化を待つと、やがて小さなトカゲたちが出て来てとても可愛らしかった。
そのままカナヘビのミニチュア版だったが、親よりも黒っぽい色だったので、成長するにつれて色が薄くなっていくのだと分かった。
親には「カナちゃん」などと名前を付けて可愛がっていたのだが、水槽を飼育箱代わりにしていたのが悪かったのか、出られないだろうと高を括ってろくに蓋をしないで飼っていたら、どうも隙間から抜け出たようで、親子共々いなくなってしまった。
都会の只中ならば心配するが、ここは山の中なので出て行ってもどうせ自然に帰るだけだし、元々日本にいる在来種なので他のカナヘビとの混血をつくって遺伝子を変える心配をする事もない。
とても残念な出来事ではあったのだが、自然に帰れて良かったと考え直した思い出だった。
余談というか一応「カナヘビ」について調べた中で、名前の由来が「可愛い(愛らしい)蛇」という意味で「
確かに顔が可愛らしいのでこういう意味でカナヘビになった、という説もあるのかもしれないなと思った。
日本では地名(発見場所)を入れたり特徴を捉えた名前を付けたりするせいなのか、「トカゲに似たもの(トカゲモドキ)」だの「ゴミムシかと思ったら騙された(ゴミムシダマシ)」だのと、ただでさえややこしい名前を更にややこしくする名付けをする事があります。
究極はハムシの仲間の「トゲアリトゲナシトゲトゲ(トゲアリトゲナシトゲハムシ)」。
棘の多いハムシという事で「トゲトゲ」という名前のハムシがいるのですが、その中に棘の無い種類(トゲナシ)がいるらしいのです。
で、その「トゲナシ」の中に棘のあるものがいる(ただしトゲトゲよりは棘が少ない)事からこんな名前になったのだそうです。