短い文で綴るエピソード集   作:沙希斗

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今回の話は第四話(虚しき猛アピール)を読んでからの方が分かりやすいかもしれません。
勿論実話です。


虚しき猛アピール、その後

 

 

 

 今回は第四話「虚しき猛アピール」に出て来た雉猫「縞」のその後の話である。

 というのも春に来てからずっと、未だに通い詰めているからである。

 それどころか毎日来るようになり、しかも倉庫などでよく見掛けるようになったため、どうも飼い猫の雄が雌の匂いに誘われて通って来ている、という事ではなく、完全な野良で住む所が無いから倉庫など雨露をしのげる所で暮している、という感じなのだ。

 で、始めは人目を忍んで餌を食べに来、逃げ腰を構えて誰かが来ようものなら即逃げ出す、という様子だったのが、誰かがいても(多少ビクついてはいるものの)堂々と食べるようになった。

 しかも甘えた声で鳴くようになり、外にいる時限定(家の中では不安らしい)だが抱っこも慣れてゴロゴロ喉を鳴らすようになった。

 うちの雌は、というよりは雄雌に限らずうちにいる代々の猫は、野良だった自分が住む場所も無く迷っている頃にうちに来て安寧の棲み処を得たという経歴があるからか、「他所の猫」に寛容な奴が多い。

 もちろん始めは威嚇し、逃げ回るのを追い掛けて攻撃したりして追い出そうとするのだが、それでも通って来る奴には(恐らく諦めもあるのだろうが)自分の餌を食べているのを見ても知らぬふりをするようになる。

 むしろ『困っているならうちで食べれば良い』と連れて来ている風がある。

 だが攻撃して追い出され、縄張り争いに負けてそのまま来なくなる奴もいて、「虚しき猛アピール」で登場したシルバータビー(白縞)はあの時依頼一切来なくなってしまった。

 その代わりのように、今度は八割れ模様の顔に背中は黒いが四肢や腹側は全部白いという白黒模様の猫が来るようになった。

 通称「白黒」と呼んでいるこいつはしかし日本猫の「黒ぶち」と違って黒い部分が完全な黒ではなく、よく見ると淡い縞模様が入っている。

 なので洋猫の血が混ざっているのだろうと思う。

 こいつも「縞」同様やや小振りである。

 しかし来た時は普通の雄より小振りで、成長途中かもしくは栄養不足で小さいままなのかと思っていた「縞」は、今では普通の雄の大きさになり、顔も鰓が張って四角く見えるようになって、大人の雄らしい貫禄が出た。

 そういうのを見ると、猫の雄は大人になりきる前に発情し、出歩くようになるのだろう。

 そうやって縄張りを探し、追いつ追われつして喧嘩に明け暮れながら自分の居場所を得るのに違いない。

 飼い猫の雄ならばそのまま自分の家に帰るのだろうが、野良ではこういう流れになるので、「猫」というものはこういう生態を持っているのだと思う。

 

 さて「白黒」は、今の所うちの雌だけでなく「縞」にも追われるとても弱い立場にある。

 しかし「白縞」よりも根性があるようで、それでも通って来る。

 食べ物に困らないのでそれだけうちが魅力的なのだろうが、特に「縞」と鉢合わせると脅され、恐怖のあまりにクソ小便を垂れ流しながら逃げるのだ。

 大抵餌場(野良用と家猫用の二ヶ所ある)で鉢合わせるので屋内だがコンクリートの床の方(野良用)にそれが振り撒かれる事になり、やられると始末に辟易する。

 でも、そんな怖い思いをしても奴はやって来る。

 しかも家猫用の餌にも目を付け、こそ~っと家の中にまで入って来るようになった。

(ただし見付かると即行で逃げる)

 

 「彼」(恐らく雄)も、「縞」同様「うちの子(もしくは外猫)」になりそうな予感である。

 

 

 

 

 




ちなみに第四話に出ていた「黒」は、何故か来なくなってしまいました。
「彼」は居場所があるのかうちに来て寛いでも、しばらくしたら出て行くような居付かない奴でした。
もう年寄りだったように見えたので寿命が来たのか、それとももし飼い猫だったならば家の中で寝て過ごすようになったのかのどちらかかもしれません。
決して馴れない(寛いでいても触らせてくれない)猫でしたが、うちの雌が縄張り内に入っても追い出さなかったり、他の野良も「彼」には手を出さなかったり(逆に脅されたり)して敬意を表する程威厳のある猫でした。
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