短い文で綴るエピソード集   作:沙希斗

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サブタイトル通り、今回は「ピースサイン」についてのうんちくです。


「ピースサイン」の元は挑発だった?

 

 

 

 先日、ファンタジー世界などに登場する武器についての本(昔買った古い物)を読み返していると、その中に興味深い記述があった。

 その本曰く、『ピースサインとして知られている人差し指と中指を立てて人に見せるハンドサインは元々は平和の象徴ではない』という事なのである。

 このハンドサインの元になった仕草は、「百年戦争」と呼ばれているフランス王とイングランド(イギリス)王との王位継承権及び領土争いが長期化した闘い(俗に1337年~1453年までと言われている)がきっかけだったらしい。

 イングランドの兵は「ロングボウ」という弓を操る術が非常に長けていた。

 それで戦果を上げてはイングランドを有利に導いていたので、捕虜として捕まった場合、二度と弓を引けないように人差し指と中指を斬り落とす事があったという。

 そこでイングランドの弓兵は、敵にわざと人差し指と中指を立てて見せびらかし、二本の指が健在である事を見せ付けると共に「斬れるものなら斬ってみろ」と挑発していたんだとか。

 それがいつしか二本の指が健在である=捕虜にならない(戦争が無い)平和な証拠、というように変わり、この指二本を見せる事が平和の象徴になっていったらしい。

 他にも英語圏では「勝利(victory)」のVの形と同じなので、戦争に勝利した=平和になったというように変わっていったという説もある。

 

 しかしこのハンドサインで挑発するやり方は、実は日本では通用しない。

 何故かと言うと日本では弓を引くやり方が違うからである。

 

 日本ではアーチェリーなどで見られるような、矢の尻に刻まれた溝に弓の弦を入れてつがえると共に、人差し指と中指で矢を挟んだ状態でそのまま二本の指を曲げる事で弦を引っ掛けて引く、というやり方はしない。

 親指と人差し指で矢を挟み、矢の尻に刻まれた溝に弦を入れたらその状態で、要するに矢をつまんで持ってそのまま引くからである。

 つまり日本の場合は指で弦を触らないのだ。

 これは現代でも「弓道」で継承されているし、それ用の「籠手」も作られている。

 ちなみに高校時代に弓道を齧った(弓道部に入ったというよりはそこで部員に色々教えてもらった)事がある私は、その籠手が弦を固定する(引きやすくする)ためではなく、矢を固定する(挟みやすくする)ためにあるという事を知っている。

 矢を挟んでいる親指と人差し指だけの力で弓を引くため、それを補うための籠手なのだ。

 

 という事は、もし日本で捕虜になった者の指を斬り落とすという見せしめがあった場合、「人差し指と中指」ではなく「親指と人差し指」が斬り落とされるという事になる。

 なのでもしピースサインの発症が日本であるならば、親指と人差し指を立てるハンドサインになったかも知れないのだ。

 そう考えると、特に写真を撮る時などに誰もが行うこのサインが、もしかしたら違った形になっていたと思うとなんだか面白い。

 

 

 余談だが、この弓を引く動作の和洋の違いを知らない監督がいると時代劇のドラマや映画で興醒めする事がある。

 弓を引くシーンがあった場合、日本の時代劇なのに人差し指と中指で弦を引っ掛けて引いている事があるからだ。

 それが感動的な場面や臨場感を煽るような場面でアップになっていたりしようものなら、もう失笑ものである。

 

 

 

 

 




元々が挑発のハンドサインだったのが平和のサインになるという事は、よくアメリカ映画で使われるような、中指だけを立てるハンドサイン(ファックユー)も、いつしか他の意味になったりするんでしょうか。
あれは挑発というよりは屈辱を与えるみたいな意味だと思うので、ずっとあのままかもしれないですね(笑)
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