SS(ショートショート)よりも実話の方が多くなってきて、「これはSSではなくてエッセーなのではないか?」と思い始めたからです。
「エッセー集」にしようかとも思いましたが、実話だけじゃないしこれからも(思い付けばの話ですけど)フィクションも書くつもりでいますので、「エピソード集」にしました。
さて今回は前話(「託されたもの」)を書いて思い出した、この時期ならではの話です。
実話というよりは生存戦略です。
春先ではヘタクソだったウグイスが「恋の歌(ホーホケキョ)」を上手く歌えるようになった頃、それと競うようにこんな「恋の歌」が聞こえ始める。
キョキョ、キョキョキョキョ
これは「ホトトギス」の声。「聞きなし(生き物の声を人間の言葉に当てはめる事)」では「特許許可局」「天辺欠けたか」などが有名で、面白いものでは「天辺禿げたか」などというものもある。
(私には「特許許可局」と聞こえる)
別名は「子規(しき)」。つまり俳人
彼は口の中が真っ赤なこの鳥が「血を吐くように鳴く」と言われている事から、結核で喀血する自分になぞらえてこの名前にしたらしい。
ちなみに本名は「升(のぼる)」なので、親しい者は「のぼさん」と呼んでいたそうな。
さてこのホトトギス、ウグイスに托卵(たくらん)する事で有名である。
要するに自分の子供を勝手に他に押し付けて丸投げし、自分は育てもしないのだ。
この習性は「カッコウ」の仲間に見られるもので、カッコウは「オオヨシキリ」に托卵する事が多いとの事。
他には「モズ」「ホオジロ」などが選ばれるようだ。
何故他に押し付けて自分が育てないかというのは謎なのだが、研究によると「彼ら」の体温は安定しておらず、環境によって他の鳥より低い場合があるらしい。
なのでそれでは確実に孵化させられないため他に託すようになった、という説があるとの事。
だがこの説も確実性がないのだとか。
托卵先ではこんな悲惨な事が起きる。
ホトトギスならばウグイスそっくりな卵をウグイスの隙を狙って産んだ「彼女」は、我が子を見もしないでサッサと何処かに飛び立ってしまう。
詳しく書くと目星をつけたウグイスが産卵した直後に相手が巣を離れた僅かな隙を見て巣に入り、数合わせのために相手の卵を一個くわえて自分の卵を一個産んで逃げるのだそうな。
(その間なんと約十秒。取った卵は後で美味しく頂くとの事)
その卵はウグイスの雛が産まれるより先にまず孵り、なんと目も見えず羽毛も生えていないろくに足腰も立たない状態で、ウグイスの卵を自分の背に乗せて全部外に出してしまう。
(そのために、ご丁寧にも乗せやすいように背中に窪みがあるらしい)
出された卵は木の上から地面に落ちるため、そのまま孵らずに死んでしまう。
時には同じ頃に孵る事もあるらしいのだが、その雛も生きたまま背に乗せて外に出し、殺してしまう。
(その間、足元で自分の子を殺されようとしているというのに、当の親は知らん顔をしているらしい)
そうやって巣を独り占めしたホトトギスの雛は、自分だけが餌を貰ってすくすくと育つ。
それこそ仮親であるウグイスを呑み込む程に大きく。
(実際にはそんな事はしないが、それぐらい体格の差がある)
それはカッコウの雛も同じ事で、要するに自分よりも小さな鳥(食べるものは同じ)を仮親にするらしい。
そうやって文字通り親より大きく育った雛は、苦労して他の子を育てた仮親には見向きもしないでサッサと巣立って行く。
その間、自分の子を育てられなかった仮親は、その分個体数が減る事もあるらしい。
何故自分を呑み込む程大きく育つようになる雛を自分の子と思い込み、最後まで騙されたまま育て続けるのか?
それは雛の口の中が赤い事に原因があるらしい。
この赤(もしくは鮮やかなオレンジ色)が親鳥の給餌本能を掻き立てるようで、これに支配されると近くの巣にいる他の雛にをも餌を与えようとする程なんだとか。
だが仮親も騙されっ放しという訳では無く、中には雛が孵る前に偽物の卵を見分けて捨てたり、それまでの模様とは違う模様の卵を産んだりするものもいるそうな。
そう言う関係から、「ホトトギス」は「ウグイス」が来る時期より遅れて来る(五月中旬頃)。
どうも托卵する相手が繁殖を始める時期に合わせているらしい。
なのでウグイスのいる地域ではホトトギスが漏れなくやって来る、という事になる。
ちなみに浮気や不倫などで他の男との間に出来た自分の子を、夫に育てさせる人間を「托卵女子」というそうです。