メジロマックイーンとお兄様と愉快な元極道たち   作:ライステイオー

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ダービートレノ

「せっかくのトレーニング中にすまないな。」

 

「ルドルフから呼び出すなんて滅多にないからな。別にかまわない。」

 

シンボリルドルフ、入学当初はブラックウィドウに所属していて、3冠制覇後に現在のトレセン学園中最強のチーム。ベアキャットに移籍する。

 

「で、用件は?」

 

「いやなに。テイオーがそっちに入ったって聞いてな。」

 

「テイオー... あー、あのポニテの子か。あいつ、まだまだこれからだが体の柔軟性からくる安定性は抜群だな。」

「実はテイオーは私にあこがれていて、最初はベアキャットに入ると言っていたが私がブラックウィドウに最初在籍していたって言ったらあっさりそっちに行くと言ったんだ。」

 

「なるほどね。憧れの目標がたどった道を通りたいってわけか。よくある話だ。で、それだけじゃないだろ?会長さんよ。」

 

ルドルフは少し笑う。

 

「わかっていたか。実は今あるチームに悪いうわさが出ているんだ。」

 

「悪いうわさ?どんなだ。」

 

「ウマ娘たちをキャパオーバーなトレーニングを強制させて無理やりレースに出させているっていう噂だ。」

 

「強制ね... あまり聞かない話だな。で、そのチームの名前は?」

 

「ダービートレノ。昔からあるそこそこ古参のチームで君たちと同じようにウマ娘たちの意志を尊重したチームだが今のトレーナーになってから急に変な噂が出るようになった。」

 

「ダービートレノか。たまに見るな。けどその割にはまともな練習しかしてなさそうだが?」

 

「そうだろう。けどこの噂以外にもあるんだ。」

 

「なんだよ。もったいぶらないで教えてくれ。」

 

俺がそういうとルドルフは少し間をおいていった。

 

「レビュー前のウマ娘を使って賭け事をしている。」

 

「は?」

 

俺はあっけにとられた。ウマ娘にかかわる賭け事は問答無用で御用になる。

 

「それも誰が1着とかじゃなくてケガするかしないか。」

 

その情報が追加されて俺は余計に固まる。ルドルフは俺を見て説明し続ける。

 

「デビュー戦で転倒などで怪我したウマ娘たちのほとんどが体がボロボロだった。無理に無理を重ねたかのような状態の者ばかりだった。そしてその子たちは全員無所属だった。自主的なトレーニングではまずこのような状態にはならない。そしてその子たちは口をそろえてダービートレノについて言っていた。」

 

「まさかそれだけでダービートレノが確実に何かしていると思ってるのか?」

 

「いや、そうではないが... 私はどうもあの子たちが嘘や精神的な状況から言えるような言葉ではないと思っている。きっとまだあのチームに何人かデビュー前のウマ娘たちが同じようなことをやらされているのだろう。」

 

「なるほどな。もしその話が全て本当だとしたらわざと過酷な練習を与えて疲労がピークに達したときにレースに出させてケガするか賭けるってわけか。」

 

「...」

 

ルドルフは沈黙で返す。確かにあのチームは最近できたチームでマークはしてなかったが、ここのところレビューレース中に重大な怪我をするウマ娘たちが多いと聞く。中には転倒によって命を落としたというウマ娘もいるという。

 

「しかも厄介なことにそれには海外の資本家に国内の官僚、テレビ局や新聞社の社長、警察の上層部なども加わっているって噂だ。」

 

「摘発したところでもみ消されるってわけか。」

 

「あぁ。君ならどうする。」

 

「証拠撮ってレース中にばらまく。」

 

俺はふざけて答える。ルドルフは苦笑しながらも言う。

 

「はは、君らしい意見だ。」

 

俺は頭をかいてルドルフの言いたいことを予想する。

 

「要するにあれだろ?証拠集めて持ってきてくれって。」

 

「その通りだ。できるか。」

 

「どうせできませんといってもやらせるんだろ?わかった。ただこればかりは時間がかかる。その辺はいいか。」

 

「かまわない。時間をかけて濃い情報を頼む。」

 

俺はそれを聞くと立って部屋を出ようとする。

 

「あいよ。それと、お客が来るならお茶かコーヒーくらい置いといたほうがいいと思うぞ。何もないのは少し失礼だ。」

 

「む、そうだな。あ、今いいこと思いついた。」

 

「なんだよ。」

 

「コーヒーはオーシー。」

 

あまりのつまらなさに声が出なくなる。

 

「お前ギャグセンス落ちてねぇか?」

 

「むぅ、私としてなかなかだと思うが...」

 

「テイオーに言わない方がいいぞ。それ、だれが聞いても寒くなる。」

 

そういって生徒会室を出る。ルドルフは入学してから一向にギャグセンスが上がらないどころか下がってきているのは気のせいだろうか。そう思いつつ部室に戻る。部室にはなぜかふてくされているマックイーンとそれをなだめているやつらの集まりがあった。

 

「次は何...」

 

「いやぁーつい実さんのクレープがおいしすぎてマックイーンのために残すの忘れちゃってさぁ...」

 

テイオーがやっちゃったというような顔で説明する。確かに

 

「なんだ、そういうことか。しょげるなよマックイーン。また作ってやるからさぁ。」

 

そういって椅子に座ってしょげてるマックイーンの前でしゃがむ。マックイーンは涙目で俺を見た。

「ほ、ほんとですの...」

 

「ほんとだって・・・何なら入団試験のレースで勝てたらもっといいの「何してるんです皆さん!さっさと入団レース始めますわよ!」...ここまでちょろいのほかにいるだろうか。」

 

「「「いないね。」」」

 


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