メジロマックイーンとお兄様と愉快な元極道たち 作:ライステイオー
「実さん。ドーベルのことは覚えていますか。」
「はい、覚えています。」
メジロドーベル。メジロ家の一人で、幼い頃からマックイーンと対をなすほどの整った顔をしていた。実はマックイーンはメジロ家の娘の中で末っ子である。といってもマックイーンと多くても2歳しか差がないが、それでも末っ子のマックイーンは皆から可愛がられた。特にライアンとドーベルからはかわいがられていた。
「実はトレセン学園に入学してから一通も連絡を受けないのです。ほかの子は少なくとも1回は連絡をしてくれていますので何かあったのかと心配で...」
俺は察した。きっとダービートレノが絡んでいるだろう。俺自身ライアンやパーマーには顔を出している。ただドーベルだけはどこにいるかわからなかった。ライアンたちに聞いてもわからずじまいで、いやな予感はしていた。
「ライアンやパーマーに聞いてもわからないみたいで。むしろ最近ではずっと休んでいて見てもいないと。」
「そうですか... 私もライアンやパーマーは見かけましたがドーベルは見ていません。」
「実さん。どうかドーベルを見つけてくださいませんか。」
俺は少し黙った後にこういった。
「おばあ様。もちろんやらせていただきます。この実、命を引き替えても探し出して見せます。」
俺がそういうとおばあ様は少し笑った。そしてこういう。
「命を引き替えてしまったら今度はマックイーンが悲しみますよ?」
そういうと俺はあっとなり少し照れた。
「私、実さんであればマックイーンをあげてもよろしいと思ってるんです。あなただったらあの子にどんなことがあっても守り切れると思います。だからどうかマックイーンも守ってあげてください。」
「おばあ様。感謝の極みです。」
「ただし、関係は清いままでいてくださいね。」
「婚前の男女が同じ屋根の下で生活するのが清いと言えるのでしょうか...」
「あら、私からしたらあなたたちの年齢であれば清い関係のうちになりますよ。私も若い頃はよく想い人の家にお邪魔しておりました。なんなら夜の営みも。」
「よっ!?」
一瞬顔が熱くなるのがわかった。しかしおばあさまは落ち着いて言い続ける。
「あ、でもちゃんと避妊はしてくださいね。」
あまりにも突拍子のないことを言われたので冷静さを失う。
「や、やりませんから!!」
「避妊しないで営むつもりなの!?」
「あぁもう違いますよぉ!!」
おばあさまが笑う。そうだった。このおばあ様は俺とマックイーンの仲をおちょくるのが好きだったのだ。10年たっても変わらない...
「とにかく、実さんが元気であって安心しました。マックイーンとドーベルのこと、頼みますね。」
「はい。」
おばあ様はそれを聞くとゆっくり椅子に座った。
「メジロ家はあなたに救われてばっかりね。本当に感謝しきれません。」
「自分だってメジロ家の方々に良くしてもらってます。このくらいはどうってことありません。」
するとおばあさまは少し黙って俺を見る。じっと見つめられて少し戸惑うがその後すぐおばあさまはこういった。
「あなたはほんとに優しいのね。」
「メジロ家の方々と比べたら全然です。むしろ畜生の塊ですよ。」
「もう、汚い言葉使っちゃって。」
そういうと爺やさんが昼食ができたと教えに来た。俺とおばあさまは部屋から出て食堂へ向かう。すると向かいから見知らぬ男性がやってきた。
「おばあ様。あの方は?」
俺は小声でつぶやく。
「現トゥインクル委員会倫理管理委員長の斎藤さんよ。」
「倫理管理委員長は木下さんじゃ?」
「木下さんはどうもあの方の言うことだと先一昨日に自宅で倒れてしまったらしくて、今病院で治療を受けているらしいわ。」
「そうですか...」
木下さんとは顔見知りだ。中学の頃に学園に入り浸っていた時に出会い、息子のように慕ってくれた。
「ただ、木下さんが倒れたことについては少しうわさが立っていて。」
「噂?」
噂を聞こうとする。しかしそれと同時に斎藤は俺たちに気づいたらしくこちらに向かってきた。ある程度近づいて斎藤はこういった。
「これはこれはおばあ様。今からなにかお話ですかな?」
「いえ、この人は昔からのお付き合いがあるものでして。」
おばあ様がそういう。俺は軽く会釈してこういう。
「桐生実といいます。メジロ家とは小さい頃から良くしておりまして。」
そういうと男性は笑顔でこういう。
「おぉあなたがメジロ家一同が言ってた人ですか。いやあえて光栄です。私、斎藤と申すものでありまして、この度トゥインクル委員会倫理管理委員長に任命されましたのでご挨拶をと。」
「それはおめでとうございます。ところで、木下さんはどうなされたのですか?」
「それが... 先一昨日に家で倒れたらしくて、今診療中らしいとのことで。」
「そうですか... 実は木下さんとは顔見知りでしたもので。」
「そうでしたか。となるとあなたが言っていた例の特殊な子ですか。」
「特殊と言いますと?」
「足が異様に早いようで。ウマ娘でさえも置き去りにできるといわれるほどと。」
「置き去りなんて、自分はただ中学のころからウマ娘たちの走りを見てきたのでそれで経験値が多いだけですよ。それに足が少し早いだけです。」
「ははは。ご謙遜を。それでは、私はこれから役員会の方に出向かわなければならないので。」
「そうですか。ご活躍をお祈りいたします。」
「こちらこそ。チームブラックウィドウの健闘をお祈りもうしあげます。」
そういうと男は俺たちを通り過ぎて行った。少ししてまた歩き始めてから俺はおばあ様に聞いた。
「それでおばあ様。うわさというのは?」
「それが、どうもあの人がなにかしたんじゃないかって話が出ているのです。」
「何かした...ですか。」
「あの方は承認欲求がとんでもなく強いそうで、認めてもらうなら何でもするほどらしいです。そして今回の倫理委員長もURA委員会会長から認めてもらうがための一策とも...」
「なるほど、どうも役員の世界はめんどくさいですね。認めてもらうとかどうとか。」
そういって俺は肩をすくめる。おばあ様はフフッと笑ってこう言った。
「年寄りたちが集まる世界はこういうものよ。みんな承認欲求を満たしたいものなの。」
そうして俺たちはマックイーンの両親とも交えて昼食をとった。久々にあったマックイーンの両親は昔と比べたら老けてしまったがそれでも昔と変わらずに俺と接してくれた。ほんとにこの家は優しい。こんな犯罪者と呼ばれても仕方ない俺を優しくしてくれているのだから... 食後また会話を続け、夕方になり俺たちはおいとますることになった。(なぜマックイーンが一緒に帰ろうとするのかはもう気にしないことにした。気にしたら負けそうだから)帰り際、おばあ様が車に乗った俺たちに近寄ってこういう。
「それじゃあ実さん。頼みますね。」
「はい、おばあ様。」
ドーベルの件を確認しあった後、おばあさまは視線をマックイーンに向ける。
「マックイーン。あまり実さんに迷惑をかけないようにね。」
「もちろんですわ。おばあ様。」
マックイーンがそういい終えた後、おばあさまは少し笑ってこういう。
「それと、赤ちゃんはまだ早いですからね。しっかり避妊はしなさいよ。」
「「なっ!?」」
二人して顔を赤くしているのを見ておばあさまは笑う。そしてごきげんようと言って家に入っていった。
「おばあ様、あの性格ほんと1ミリも変わってないな...」
「...」プシュー
そうして家に帰ったが、その日は結局お互い意識しすぎて落ち着けなかった。
ドーベルってマックイーン並みにかわいいよね(本音)おねぇさんキャラ似合いそう。さて次の更新はいつになるでしょうか...なるべく早めに投稿できるよう善処しますのでよろしくお願いします