メジロマックイーンとお兄様と愉快な元極道たち 作:ライステイオー
あの方と離れ離れになって10年でしょうか。あの方は突然いなくなりました。おうち
を訪れても空き家であり、人を使って探してもどこに行ったか分かりませんでした。
おばあ様や周りの人たちはひどく悲しみました。あの方は私にとってはお兄様のよう
な存在でしたし、メジロ家の者たちとも親しくしていましたから...
みんな彼はどこかに消えたか、死んでしまったかと言いました。
ですが5年前にトレセン学園に学校見学で来た時に似たような方... いえ、あの方はおられました。顔に傷があってわかりづらかったですがあの顔はまさしく彼でした。列から抜けてあの方の行く先を追いかけましたが二度と見ることはできませんでした。私はきっとあの方に似たような人だと自分に言い聞かせました。そうしないとずっと探してしまいそうでしたから・・・ですがそれは間違いでした。2年後のある日、ふと車に搭載されたテレビを見ているとニュースで高校生がトゥインクルシリーズのトレーナー資格を取得したというニュースがやっていました。私は興味を持ってそのニュースを見続けました。すると高校生へのインタビュー映像に変わったとき、わたくしは固まりました。確かにあの人だったのです。顔には大きな傷跡があり、右目はずっと閉じていましたが、あの顔を忘れたことはありません。彼はトレセン学院にいたのです。ですが疑問が浮かびました。どうして彼はあそこにいたのか、そしてなぜ今まで連絡をしてこなかったのか。ですがそんな考えはすぐ吹っ飛びました。彼が生きていた。それだけで私は満足でしたのです。そして今日... 私はトレセン学園に入学します...
わたくしとあの人の出会いはまるでおとぎ話のようでした。わたくしが熱で寝込んでいるときにどこからか忍び込んだのかわかりませんが、部屋のバルコニーの方を見ると男の子がいました。当時の私は何を思ったのか無意識に窓を開けてその男の子を中に入れました。そしてどこから来たのか聞きました。するとその男の子は「君が苦しそうにしていたのが見えたから飛んできた。」とおっしゃいました。素っ頓狂な話ですが私はその話を信じました。そして次の日も、その次の日も、あの方は私の部屋へと窓から訪れました。爺やにその姿を見られたときは怒られるかと思いましたが、爺やは黙ってくれました。しかしおばあ様に見つかったときにはほんとに怖かったものです。おばあ様は優しいですが時に厳しい人でもありますから。ですがおばあ様も最初は叱責を男の子にしましたが私と友達になってくれたことがよほどうれしかったのか次からは玄関から来なさいと言って、飲み物を届けてくれました。それ以降はよくおばあさまの部屋へ行って昔ばなしなどをしてくださいました。一度だけ、外で思いっきり遊びまわったこともあります。ですがその次の日に熱を出しました。その方はその次の日からはおうちで遊ぶようになりました。わたくしはその方を王子様のように思っていました。いや、もう王子様といっても過言ではありませんでした。お父様やお母様に怒られて悲しいときには静かに隣にいてくれて、うれしいことがあったら一緒に喜んでくれて。あの方を好いておりました。しかし、ある日を境に彼は二度ときませんでした。
「...きっとここにあの方が...」
胸に置いた右手を握りしめる。今日わたしはトレセン学園に入園する、目標は、天皇賞勝利である。そして、彼を見つけて言いたいことを言うのだ。そう思って私は入学式に出る。入学生代表の言葉になると私は壇上に立つ。一礼をしたのちに会場を見渡す。けど彼はいない。冷静さを保ちながらあいさつ文をそつなく読む。入学式が終わり、下校する際に学園を回る。ふと一つのチームに目がいった。そのチームはターフの上で併せをしていたが、おかしかった。4人走っているのだが、ずば抜けて早い一人の格好がジャージではなく、普段着なのである。しかしその走りは早く、並みのウマ娘を超えているものがあった。だがそれはどうでもいいと思い、私はずっと探し続けました。ですが日の明るいうちに彼を見つけることはできませんでした。あきらめて帰ろうとすると部室に入っていく彼を見つけました。
「いた。」
そこからは自然に足が部室の方へ向かいました。部室にはチーム名が書かれていまし
た。名前は...
「ブラックウィドウ...」
メジロマックイーンを泣かせたい。次回は若干胸糞要素があります。けど主人公は誠型のクソやろうじゃないので許してください()