前話で、勘違いだと思われてた事が、勘違いではなくなります。
「ここにも・・・いないか。本当にどこにいる?トウカイテイオー・・・」
俺は、生徒会室を訪れた後、図書室やトレーニングルームを探してみたのだが、結局トウカイテイオーはいなかった。もうほとんど探す場所は残っていない。とその時、スマホが鳴り響き手に取り画面を見ると、どうやらトレーナーからの連絡だった。
「もしもし?」
【あ、ファイズ?トウカイテイオー見つかった?」
「いや、あれから探してはいるんだが、一向に見つからない。トレーナー達の方は?」
【うーん、こっちも先輩達と探してはいるけど、めぼしい場所はないかなぁ。こっちは後探してない場所も残ってないし・・・本当にどこにいるんだろうね?】
どうやらトレーナー達もトウカイテイオーを見つけられていないらしい。
「トレーナー達はこれからどうする?他の場所も探すのか?」
【うーん、とりあえず、ファイズはこっちに戻ってきてくれる?】
「了解。今から戻る」
俺は電話を切り、ポケットにしまい、トレーナー達がいる場所まで少し駆け足で向かう。軽く走ってるつもりなのだが、周りの目が集まっている所を見ると、かなりの速度が出ているみたいだが、気にせず走る。
数秒後、トレーナー達が見えたので、走る速度を緩め、ブレーキをかける。
「すまない。待たせたな」
「う、ううん。全然待ってないよ。けど・・・はやくない?あれから1分も経ってないけど・・・」
「気にしない方がいい。それで、トウカイテイオーは見つからなかったのか?」
「はい。カフェテリアやコースに戻っていると思ったのですが、どこにもいませんでしたわ」
「タイキやフクキタルにも聞いたけど・・・誰も見てないって言ってました。
マックイーンやスズカもそれぞれの方法で探したらしいが、有力な情報は得られなかったらしい
「なら、完全に手詰まりというわけか?他に誰もトウカイテイオーの行きそうな場所を知らないと?」
「うーん、先輩達も、色々当たったみたいだけど、結局いなかったらしいし・・・」
「あ、あと探してない場所なら、ライス知ってるよ!」
「本当か?ライス、何処だ?」
「寮の中だよ。お兄様と、トレーナーさんは、お、男の人だから寮に入らないもんね?」
「・・・そういえばそうだったな。俺は一人で行動してたから、無理だったわけだが。しかし、トレーナー達は行ったんじゃないのか?スカーレットやウオッカ、ゴルシに行かせれば良かっただろう?」
あくまでも、トレセン学園の寮はウマ娘専用だ。男である、俺やトレーナーは入らなくても、ゴルシ達に頼めば探ることはできたはずだ。
「あー、そうなんだけどさ。先輩に話を聞いたらさ。トウカイテイオーなら部屋に籠るなんて事しないと思ってたんだよ。それで、みんなに頼んで、他のコースとか、チームの人達に聞いたりとかしてたんだからさ・・・」
「確かに、トウカイテイオーならそうかもしれないが・・・そういう奴に限って、案外籠る可能性が高いと思うぞ?」
恐らく・・・だけどな。すると。
「あれ?ファイズさんに、ライスちゃん達だー!なになに?何の話してるのー?」
俺達に話しかける一人のウマ娘が現れる。オレンジ色の髪、小柄だがその走りは多くのものを惹きつける。
「マヤノトップガン・・・」
「うん!マヤだよー♪」
彼女の名前はマヤノトップガン。最近はウェディングドレスの新衣装が登場したウマ娘だ。(現実世界)大人の女性を目指しているウマ娘でもある。
「マヤノトップガンはどうしてここにいる?」
「えーっとね?カフェテリアでスイーツを食べようと思ったんだけど、ファイズさん達が集まってたから来たの!それで、なんの話してたの?」
「トウカイテイオーを探している。何処にいるか知らないか?」
「テイオーちゃん?テイオーちゃんなら、寮の部屋に籠ってるよ?」
「・・・何だと?」
こんな近くに情報があったとは・・・だが、彼女はトウカイテイオーとルームメイトだ。部屋に戻っている事を彼女が知っていることは何も不思議ではない。
「トウカイテイオーは、部屋に戻っているのか?」
「うん。けどね、テイオーちゃん、すごく震えてたんだ。顔色も悪くてさ。マヤも心配で、事情を聞いてみたら走るのが怖くなっちゃったんだって。越えられない壁があるから。走っても無駄なんだって。ユーコピー?」
「・・・・・・」
つまり、俺に負けた事によって、努力では俺を越えられないから何もしないで諦めたと?たった一度の敗北と挫折で、あいつの心は折れたと?
フザケルナヨ?トウカイテイオー?
ファイズside off
ライス視点
「お、お兄・・・・・・様?」
ライスはマヤノトップガンさんの話を聞いた後、お兄様が、急に顔を俯かせて、黙っていたから、心配で声をかけたの。けど、お兄様は顔を上げて、マヤノトップガンさんを見つめてる。
「マヤノトップガン、トウカイテイオーのいる部屋に案内しろ。今すぐ」
「え?けど、ライスちゃん達はいいけど、トレーナーちゃんとファイズさんは入れないんじゃないの?」
「フジキセキに言えば、俺も入れる。俺も一応、ウマ娘だ。トレーナーには待ってもらうしかない。それで問題ない。頼めるか?」
「アイコピー♪ファイズさんの頼みなら任せてよ♪」
マヤノトップガンさんは、お兄様の手を引きながら、寮の方へと向かっていく。ライス達も後を追うように、寮に向かったの。
「また・・・あの感じだった・・・お兄様・・・さっきの時より怒ってる・・・!」
「疑問、ライスシャワー。先程のトウカイテイオーさんとの会話よりも、今の話を聞いたファイズさんからステータス『怒り』を感じるのですか?」
「う、うん!もしかしたら・・・テイオーさん危ないかも・・・!お、お兄様、本当に怒ってたら、な、何するか分からないから・・・!」
また・・・ウララちゃんのトレーナーさんの時みたいになっちゃう・・・!お兄様が・・・!
「そ、それって危険じゃないか!と、とりあえずファイズ達の後を追うよ!みんなは先行ってて!僕は先輩達に連絡入れとくから!」
「「「はい!」」」
ライス達は、急いで寮に向かって走る。お兄様・・・!早まっちゃダメだよ・・・!!
ライス視点 end
トウカイテイオーSide
「・・・・・・嫌だ・・・もう嫌だ・・・!」
僕は昼食に向かう最中、みんなが話に夢中なってる時に抜け出した。最初はカイチョーのいる生徒会室に行こうとしたんだけど、急に怖くなって、寮の自室にまで走って戻ってきた。マヤノに心配されたけど、僕は全部、マヤノに話したんだ。
「カイチョーみたいに頑張ろうって思ってたけど・・・!カイチョー以上に速い人がいて・・・!その人と走って・・・!完敗したんだ・・・!こんなんじゃあ・・・!カイチョーにだって勝てないんだ・・・!」
全て話した後、マヤノは部屋から出て行った。多分、一人にしてくれたんだと思う。僕が落ち着くまで。マヤノには感謝しかないんだ。けど、僕は怖いんだ。部屋から出たら、思い出しちゃうから。
あの人の圧倒的な走りを。初めて・・・酷いこと言っちゃった時のあの目を。
「あんな目で・・・!見られたくないよぉ・・・っ!何で・・・あんな目で見るんだよぉ・・・!」
怒ってたんだと思う。自分が言われたら嫌な事を僕はあの人に言った。怒らない方がおかしいと思う。けど、あの人の目を見た時・・・怒ってるのはわかったんだ。けど・・・あの人の目はすごく・・・
真っ暗だったんだ。濁ってる目・・・って言うのかな。なにも感じてないような・・・そんな目だった。
と、その時だった。「コン、コン、コン」と、扉がノックされる。僕は体をビクッ!とさせた後、ゆっくりと扉に視線を向けた。
「だ、誰?」
「あ、テイオーちゃん?大丈夫なのー?」
「ま、マヤ?」
「うん♪マヤだよー!」
・・・良かった。同じルームメイトのマヤだった。急にいなくなったから、スピカの皆んなが探しにきたのかと思った。僕は何でかホッとした。あの人じゃなくて良かった。
「ぼ、僕は大丈夫だよー!無敵のテイオー様だからね!」
「さすがテイオーちゃんだね!それなら早く部屋から出てきてよー!せっかくお菓子持ってきたんだから!みんなで食べよう!」
「お菓子!?わかったー!今開け・・・・・・あれ?」
マヤの発言に僕は違和感を覚える。今、『みんな』って言ったよね?ここには僕と外にいるマヤだけのはず。もしかして、マヤと一緒に誰かいる?そう思った時、僕は血の気が引くような感じがする。僕は声を震わせながら、マヤに問いかける。
「ね、ねえ、マヤ?も、もしかして一緒に誰かいる?」
「え?うん!
ファイズさんも一緒にいるよー!ね?ファイズさん?」
「・・・そうだな。トウカイテイオー。さっさと出てこい。俺も少し腹が減った。」
その声を聞いた時、恐怖が襲ってきた。あの時の走り終わった時に僕に向けられた目を思い出してしまった。暗く濁った目で、冷めた目で僕を見下ろしていた。身長差もあるんだろうけど、見下された時、すごく怖かった。そんな目がまた向けられる。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!
「・・・?テイオーちゃん?どうしたのー?お菓子食べないの?」
「・・・やっぱり、僕いらない。」
「え?テイオーちゃんの好きなお菓子とか、はちみー?だっけ?それも買ってきたんだよー?食べようよー!」
「いらないって言ってるの!二人で食べてればいいじゃん!」
体が震えてる。怖い。扉の向こうにいる人が、すごく怖い。だから、マヤについ声を荒げてしまうが、僕はいま、そんな事を気にしてる余裕は多分ない。あの人と会いたくなかった。どんな事をしても会いたくないんだ!
「・・・面倒だ。マヤノトップガン。少しどいていろ。」
「え?ふぁ、ファイズさん?なにするの?」
「・・・トウカイテイオー、扉の前からどけ。警告はしたぞ」
「・・・え?」
僕は嫌な予感がしたからすぐに扉の前から退いた。その瞬間だった。
バゴーッン!!!
扉が吹き飛んだ。いや、蹴り破られたんだ。
「ぴいっ!?」
「ふぁ、ファイズさん!そんなことしなくても、フジキセキさんに言えば、合鍵で開けてもらえた「少し黙ってろ。マヤノトップガン。」・・・っ!」
「俺は今・・・機嫌が悪い。」
左右で違う色の瞳が僕を見据える。真紅の目と黄金の目が、僕を見下している。こんな目をした人なんて見たことない。僕は怖さで涙を流しても、ファイズさんから目を離せなかった。目を背けたら、駄目だと本能的にそんな気がしたから。
「・・・トウカイテイオー。」
「ぴゃ、ぴゃい!?」
「俺が今、何故機嫌が悪いか。わかるか?」
「え、えーっとえーっと・・・ぼ、僕がいなくなったからぁ・・・おこってるでしょぉ・・・?グスッ・・・・・・!」
「それもある。だが、それは俺が怒ることではない。それは、お前のチームであるスピカに謝る事だ。俺が怒る理由は他にある。言ってみろ。他に何か思い当たるか?」
僕は必死に思考するけど、全然わかんない。いや、わからないわけじゃないけど、思い当たる節が複数あるからだ。
「わかんないよぉ・・・っ!」
「・・・マヤノトップガンが言っていた。トウカイテイオー、お前は走りたくないようだな?越えられない壁があるからと。どれだけ走っても無駄だと。お前はそう言っていたな?」
「ひぐっ・・・!た、確かに言ったけどぉ・・・っ!そ、それで何でファイズさんが怒るんだよぉ・・・っ!」
自分が思った事を正直に口に出したんだ。何でそれで怒られるのか訳がわからない。
「・・・本当にわからないのか?」
「だからぁ・・・!わかんないって言ってるじゃん・・・っ!」
僕は涙を流しながらも、ファイズさんを、見据える。その瞬間、激しく後悔した。また、あの目を向けられる!そう思った時にはもう遅かった。
暗く、濁った目が、僕を見据えていた。
「そうか。なら、もうここには用はない。スピカのメンバーには俺から話しておく。お前はそのまま怯えているといい。
だが、一言だけ言わせてもらう。」
そう言うと、ファイズさんがおもむろに足上げて、ダンッ!と足を地面に下ろす。足が降りた場所は、凹んでいてクレーターみたいになっていた。
「お前の言っていた言葉は、ここにいるすべてのウマ娘への冒涜になるぞ。俺を除いてな。
これ以上、俺を失望させるなよ?トウカイテイオー?」
そう言って、ファイズさんは出て行った。僕はファイズさんがいなくなったから安堵したのか、膝から崩れ落ちて、思いっきり泣いた。
ファイズさんと一緒に来たマヤは、僕が泣き止むまで、「大丈夫だよ、テイオーちゃん。大丈夫、大丈夫」と僕が泣き止むまで一緒にいてくれていた。
その後、トレーナー達が来てくれて、僕は必死に謝った。みんなは、すぐ許してくれたけど、シリウスの人達とお話ししたんだ。
「て、テイオーさん、お、お兄様に何か言われた?」
「ぐすっ・・・っ!俺を失望させるなって・・・僕の言ってた言葉はみんなへの冒涜だって・・・言われた」
「はぁ・・・?テイオーが言ってた言葉って・・・怖いから走りたくないってやつ?努力しても無駄って言ってた。あれ?」
「そ、それなら、お兄様が怒るのもわかっちゃうなぁ・・・」
「・・・?ライス、それってどう言う事?」
僕達は、この後のライスちゃんの、言葉を聞いて、ファイズさんの言葉の真意を知ったんだ。
「お、お兄様が怒ってるのは、テイオーさんが、夢を諦めてるからだと、ライスは思うよ!」
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(誰を出して欲しいなど」