ファイズ「もうレースの日程が・・・?チームが結成した直後にか?」
トレーナー「うん。マックイーンとスズカとブルボン、タイシンの強さはわかってるからレースを組んだ。それに、ライスはデビュー戦をした後、GⅢレースからやってもらうつもり。
ファイズはもうデビューしてから色々なレース、出てるでしょ?だから、近いG1レースに出す予定だから・・・・・・大阪杯になるかな?」
ファイズ「大阪杯・・・」
芝2000メートル。中距離のレースのG1レースの一つ、大阪杯。このレースを目指すウマ娘も少なくはないほど、有名なレースの一つだ。よって、手強いウマ娘が走ることも多い。
ファイズ「トレーナー、お前が注意すべきと思うウマ娘は?」
トレーナー「そうだね・・・うーん・・・リギルからグラスワンダー・・・それと、カノープスってチームから、1人だったかな?そのぐらいかな?」
ファイズ「グラス、そして、カノープスから1人・・・グラスの実力は理解しているが、カノープスというチームはわからない。誰が出る?」
トレーナー「えーっと・・・確か、ナイスネイチャだったかな?テイオーとは同期らしいけど。」
ナイスネイチャ・・・彼女の事は俺も知っている。トウカイテイオーの影に隠れてしまってはいるが、彼女も実力者だ。だが、彼女はあまり勝利を手にしているイメージはない。確か・・・彼女が出たレースの着順は3位だった事は覚えている。
ファイズ「ナイスネイチャ・・・そして、グラスワンダーか。実力者が集っている事は間違いない。だが、俺が負ける事はない。トレーナー、練習メニューを頼む。何をすればいい?」
俺の言葉に、苦笑のトレーナーとみんな・・・俺は何か変な事を言っただろうか?
ファイズ「・・・?どうした?」
タイシン「・・・あんたのその自信ってどこから来るの?まだ、走ってもないのにもう勝つ気?」
ファイズ「逆に聞くが、レース前の練習時点で、負ける事を考えるウマ娘がいるか?考えるのはただ一つ。全てを置き去りにして、ゴールを・・・全てのレースに勝利すること。それだけだ。」
勝利する事だけが俺の存在の証明になった。誰にも認められていなかった昔は、全てを叩き潰した。圧倒的な走りで。全てのウマ娘に対しての絶対的な壁として。
トレーナー「あはは・・・・・・ファイズはそういうウマ娘・・・いや、うま男なんだね。少しだけどファイズの事、わかったよ。」
タイシン「ま、あんたはそういう奴だよね・・・嫌いじゃないけど」
ファイズ「日本全冠を舐めるなという事だ。グラスやネイチャには悪いが、今回も勝たせてもらう。」
トレーナー「よし!それなら、僕もちゃんとしないと!日本全冠のウマ男のトレーナーになれたんだから、それに相応しくならないとね!」
マックイーン「トレーナーさん、ちゃんと私たちのトレーニングも考えておいてくださいね?」
トレーナー「もっちろん!無理しない程度に頑張るよ!」
意気込むのはいいが、あまり無理はしない様にして欲しいな。トレーナーには。
トレーナー「よーし!ファイズのメニュー作りしなくちゃね。その為に、ファイズに色々聞きたいんだけど、いいかな?」
ファイズ「構わない」
トレーナー「ファイズの一番得意な走法は?さっきのテイオーと走った時は、えーっと・・・あれって差しでいいの?」
ファイズ「ああ。あの時は差しで走った。ついでに言っておくが、俺は一応、全ての走法ができる。だが、その中で一番となると・・・差しと先行、この二つだな。」
トレーナー「えーっと、差しと先行・・・距離適性と、芝とダート、どっちが得意?」
ファイズ「芝。距離は中距離から長距離。だが、短距離、マイル、ダートも走れる。日本全冠だからな。だが、短距離、マイル、ダートは走ることはもうないだろう。」
トレーナー「なるほど・・・ちなみに聞くけど、ゲート難とかは?」
ファイズ「ない。」
俺の言葉を逐一、メモするトレーナー。初めてあった時からそうだが、トレーナーは本当に俺の事をよく知らないらしい。
トレーナー「よし。それなら、ファイズのメニューは・・・・難しいな。それと、今後のマックイーン達の練習メニューも考えなきゃだし・・・うーん」
ファイズ「・・・無理に決める必要はない。今日は各々でトレーニングをすればいいと思う。トレーナーにも考える時間は必要だろう」
トレーナー「そう?それならそうしようかな。みんな、各自でトレーニングした後、しっかり柔軟をしてゆっくり休んで。何かあったら、すぐに言うこと。近くで見てはいるけど、僕はみんなの練習メニューに集中するから。」
トレーナーの指示の元、俺達は各自のトレーニングをしている。ライスとマックイーン、ブルボンは坂路を走り、タイシンとスズカは、コースを走り込んでいる。そして、俺はと言うと。
ファイズ「ふっ・・・!」ズルズルズル
タイヤを引きながらは、走り込んでいる。なんでも、チームスピカでは、よくやっている練習なのだとか。確かに、このトレーニングは、想像以上のパワーが必要になってくる。流石は沖野が考案したトレーニング方法だ。
「あ!?ファイズさんがタイヤひいてるよ!」
「え!?ほんと!?」
「あんなに大きいタイヤを引っ張ってるのに涼しい顔してる!あれって、確かスピカの練習で使ってたやつだよね!?」
・・・何やら外野が騒がしい。そんなにも俺がこのトレーニングをしていることが意外なのだろうか?まあ、気にしなければいいだけの話だが。その後、コースを一周して、このメニューを終了した。汗がすごい。それだけ、効果が出ているということではある。
ファイズ「ふう・・・」
・・・しまった。タオルを用意するのを忘れてしまっていたな・・・俺とした事が・・・っと、その時だった。俺の隣からスッとタオルが差し出される。視線を向けると、そこにいたのは。
「ファイズさん、はい!タオルだよー!」
ファイズ「ん・・・?ああ。ありがとう。ハルウララ。」
小柄で、桃色の髪と瞳が特徴の天真爛漫なウマ娘。ハルウララ。
いつもニコニコ笑顔で、レースを負けても楽しそうにしているウマ娘だ。
だが、つい先日のゴm・・・いや、トレーナーの件で、以前までは笑顔が暗かったイメージだ。が、今ではそんな感じはしない。いつものウララだ。
俺は、彼女からタオルを受け取る。
ファイズ「・・・ん?何故ここにいる?ハルウララ?さっきまではいなかっただろう」
ウララ「えっとねー?んーと・・・ファイズさんがいたから!走ってきたの!」
ファイズ「・・・そうか。」
眩しい笑顔で答えるハルウララ。以前のトレーナーから解放され、今まで以上に、レースや練習を楽しく、休まずに行っている彼女は、確か、仮トレーナーとのトレーニングをしている。その成果なのか、今では凄まじい活躍をしているという話だ。短距離では連勝を続けているらしい。
ファイズ「ふぅ・・・」
汗を拭き取り、一息つく。トレーナーが作ってくれたドリンクを飲みながらも、練習に対しての思考は欠かさない。
ファイズ(タイヤ引きはこれくらいでいいか・・・後は、コースをひたすら回るか・・・徐々にスピードを上げていく・・・そして、寝る前に他の選手の走りを頭に叩き込むか・・・・・・ここまでの対策はいらないとは思うが・・・)
ウララ「ねぇねぇ!ファイズさん!!」
思考の最中、ハルウララから声をかけられ、俺は思考を中断。そして、意識をハルウララに移す。
ファイズ「ん?なんだ?」
ウララ「あのね!あのね!私、ファイズさんと同じチームに入りたい!!私も入れるかな?」
ファイズ「・・・なんだと?」
・・・ん?ウララは仮トレーナーと契約しているはず・・・
ファイズ「ウララ、お前は確か、トレーナーと仮契約していたはずだろう?期間はもう終わったのか?」
ウララ「え?仮契約・・・?んー?ファイズさん、何のお話ー?」
ファイズ「いや、ウララは確かトレーナーと・・・」
ウララ「ファイズさん・・・何のお話?」ハイライトオフ
・・・何故だ、ハルウララの目の光が消えている様な・・・?気のせいか・・・?
ファイズ「・・・まあいい。それより、チームへの加入は俺に聞かれても困る。トレーナーに聞いてくれ・・・まあ、チームには短距離を走れるウマ娘は所属はしていないはずだ。頼めば、入れると思うぞ。」
ウララ「本当ー!?じゃあ、行ってきまーす!!うーららー!!」
ダダダッ!と凄まじい勢いの走りで、立ち去っていくハルウララ・・・
ファイズ(・・・最近、見かけなかったが、あれ程早くなっていたのか・・・成長速度が凄まじい・・・・・・)
・・・チーム加入の件は・・・トレーナーに任せればいいだろう・・・日が落ちたか。すると、スマートフォンへ連絡が入る。見ると、マックイーンからの連絡だった。各自の練習は終わり、皆、寮へ戻っているとの事。
・・・全員、戻っているのか・・・。門限まで時間はまだある。コースで自己練習していても問題はないだろう。日が沈み、月が空に浮かぶ時間、俺はコースに到着した。この時間は誰も走っている事はない。大抵は俺一人だ。
俺は軽くステップした後、流し程度に走り、納得するまで走る。それを繰り返す。スタミナが続く限り。だが、何度目か走り続けていた時だった。
ヒュンッ!
ファイズ「・・・?」
急に、風が吹く。しかも、俺のすぐ隣でだ。だが、俺以外で走っているものは誰もいない。最初は気のせいだろうと思っていた。が、そういえば、走っていた時も、少し違和感を感じていた事を思い出す。
・・・まるで、すぐ横で、誰かが走っているような感覚に襲われたのだ。
ファイズ「・・・俺には見えていないが・・・誰かいるのか?並走してるものが。」
ただ、独り言を言ってるだけだった。だが、その瞬間、トンッ!と俺の背中を誰かが押す。少しよろけるが体制を立て直し、後ろへ振り返ると、
その場には誰もいなかった。
ファイズ「・・・どういう事だ?」
・・・訳がわからない。だが、これだけはわかった事がある。
間違いなく、この場には俺には見えない何か・・・いや、何者かがいる。
そして、俺は周囲を警戒した。すると。また後ろから気配を感じた。
俺はすぐさま振り返る。すると、そこには一人のウマ娘がいた。
黒いロングヘアー、金色の瞳・・・そして、どこか、ミステリアスな雰囲気を漂わせる一人のウマ娘に。
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