Fate/Extra Summon (バカテス*Fate/Extraクロス)   作:新月

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Fate/Extra cccが来年発売すると聞いて、前作をやり直していたら、Fate/Extraの世界に明久を入れてみたら面白いんじゃないか、というアイデアで投稿してみました。

シリアスとギャグを混ぜて面白くしていけたらなと思っています。




予選
プロローグ


 

 物音一つしない真夏の夜。

 

 だれもいないはずの文月学園校舎、その学園長室にあるパソコンに光がともっていた。

その画面には何かのプログラムなのか、数字の羅列で覆われていて、それが書き換えられて行くのが分かった。

やがて、その作業が終わったのか、画面にはある言葉のみが残った。

 

 

【Nightmare servants System】

 

 

 

 

 

 ★☆★

 

 

 

 夏休み。それは全国の、いや世界中の学生達にとって待ち望んだ物である。

 

 じりじりと体を照り付ける太陽の光をその身に受けながら、けたたましいセミ達の大合唱を聞き、その中で吹き抜ける風を受けたときの気持ち良さは爽快だ。

 プールや海水浴、山で登山をしてキャンプしたりもいい。(ちなみに僕は、夏休み一杯を使って溜まっていた積みゲーと、新しく発売した最新作のゲームを残部クリアすると言う重大な予定が入っていたりする)

 

 これはもう、室内なんかに居る訳には行かないでしょうと言う日々の中で……

 

「何が楽しくて、こんな暑っ苦しい校舎の中で、暑っ苦しい鉄人の補修なんか受けなくちゃいけないんだろう……」

「だから西村先生と呼べとあれほど……」

 

 これが僕、【吉井明久】の今の心情である……

 

 

 

 ★☆★

 

「アー、暑いー……」

 

 ここは文月学園。

 テストの成績によって強さが変わる『召喚獣』を使って戦う、『試験召喚システム』というものを導入している高校だ。

 僕はその二年生の、最低ランクである『Fクラス』の卓袱台に突っ伏した状態でだらけていた。

 やっとの事で補修が一旦終わったのはいいが、その時間が午後一時という、特に日中の中で一番暑くなる時間帯なので、立ち上がる気力も無くそのままの状態がさっきから続いていた。

 

「このままだと、バターみたいに体が全部溶けていきそう……」

「既にお前の頭の脳みそは溶け出しているだろうがな」

「何だと雄二!!」

 

 今僕の事を馬鹿にしたこいつは、野生的な風貌の赤髪を逆立てた特徴の男、【坂本雄二】

 一応このクラスの代表であり、僕の悪友でもある。

 ……ただ最近本当に友達なのかと疑いたくなる日が週に七日ほどあるけど。

 

「うっさいわよ、アキが馬鹿なのは今に始まった事じゃないでしょ」

「美波だって数学以外、特に古典なんか僕とその控えめな胸と同じくらいの点の低さに右腕が捻じ切れる様な激痛がアアアアあぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁ!?」

「何ですってええええぇぇっぇえぇ!!」

 

 この僕に関節技を決め込んでいる美少女は、ポニーテールと強気な目とスレンダーな体が特徴の【島田美波】

 気を遣わずに話を出来る貴重な女子ではあるけど、こうして関節技を掛けてくるので結局精神的にも体力的にも疲れるわけで……

 

「全く、相変わらずじゃのう……」

「……いつもどうり」

 

 ちょっと離れたところで、呆れた表情で僕達の事を見ているのは、そこらの女の子より美少女の【木下秀吉】、そしてエロ――と言うよりムッツリの無表情の男、ムッツリーニ事【土屋康太】。

 二人とも僕の親友でもあり、ムッツリーニは保体の実力と先程見せた凄まじきエロへの執着心から、寡黙なる性識者(ムッツリーニ)呼ばれている。

 秀吉はその演技力には定評がある演劇部のホープだ。

 本人は男だって言っているけど、戸籍上の話だから関係ないね!

 

「何か今、一瞬寒気がしたのじゃが……」

「あー、吉井いるか?」

「いませんよー」

「グーで殴られたいのか、貴様は」

 

 ガラッと音を立ててボロイ引き戸を開けて入ってきたのは、さっきまで僕達の補修を担当していた鉄人こと【西村先生】

 筋骨隆々で、趣味はトライアスロンでいろいろ暑苦しい先生だったりする。

 あー、鉄人が来たせいで教室の空気がさらに暑く……

 

「何ですか鉄人ー、僕は見てのとおり忙しいので、手が離せませんって」

 

 このだらけてる卓袱台からは。

 

「貴様に学園長から直々の呼び出しだ」

「あれ? 無視ですか……って、あのババアからですか?」

「貴様は本当に敬意ってもんを知らないのか……」

 

 うげえっと、僕は自分でも分かるくらいの露骨に嫌な顔をした。

 当然と言えば当然だ。

 あのババアに関わって今まで碌な目にあってないから……正直今すぐ帰りたい。

 

「おい、まさかそれ俺達もって言うわけじゃないよな?」

 

 鉄人の言った事を聞いて、雄二がそう切り替えした。

 まあ雄二達も被害者だからね、主に本音を喋る召喚獣とかの件で。

 

「いや、これは観察処分者である吉井だけが実験に協力して欲しいらしい」

 

 え~……何で僕だけ……

 

「じゃあ、ウチ等は行かなくていいのね?」

「うむ、学園長の実験にはこりごりじゃ」

「……ほっとした」

 

 自分達は行かなくていい事を知ると、みんなほっとしたような表情をしていた。

 みんな薄情者過ぎる……僕は行かなきゃ行けないのに。

 

「あー良かった。アキだけならウチ等には全く関係ないし、またとんでもない実験でウチ等に被害――なんて事になったら最悪よねえ……」

「正直、もうやりたくないのじゃあ……」

「……対岸の火事」

「まあ明久だけなら全くかまわないからな。こいつがどんな酷い目に合うのかはぜひ見てみたいが……」

 

 訂正、外道過ぎる(主に雄二が)

 このまま行く振りをして逃げてしまおうか……

 

「ちなみに逃げたら吉井だけ補修三倍だからな」

「絶望したっ!選択権の無い未来に絶望したっ!」

「いいからさっさと行け」

「ふわぁ~い」

 

 やる気の全く感じられない無い返事をしながら、僕はだるい感じの表情をしながら教室を出て行った。

 ……やっぱり嫌な予感しかしないなあ。

 

 

 

 

 ★☆★

 

 

「あ~もう、何で僕だけなのさ、せめて雄二を巻き添えにしろっつうの……」

 

 ブツブツと文句を言いながら、僕は夏の気温のせいで軽いサウナ状態になっている廊下を歩いていく。

 あーけど、本当に暑い……癒しが欲しい。

 その内暑さで幻覚が見えてきそうだよ。

 ほら、今まさにピンク色の髪をした綺麗な女の子の幻覚が……

 

「あれ、明久君?」

「へ?」

 

 今、僕はすごい間抜け面をしていたのだろう。

 そこにいたのは幻覚などではなく……

 

「姫路……さん?」

 

 そう、成績優秀で、ふわふわとした髪が特徴の綺麗な女の子。

 そして……僕の好きな人でもある、【姫路瑞希】さんがいた。

 

「どうしたんですか、明久君? 明らかに嫌な場所に行こうとしている雰囲気でしたけど……」

「うん、まさしくその通りだよ……それより、姫路さんは何で学校に? 姫路さんは補修じゃ無い筈だよね?」

 

 毎回テストで成績上位者に入っている姫路さんが、補修なんてありえないし……第一、さっきまでFクラスに居なかったし。

 

「えと、私は夏期講習の方で……」

「へ? 夏期講習?」

「はい、私は特別に他のクラスの教室で受けさせてもらっているので……」

 

 夏期講習って、あの希望者だけが学校に集まって貴重な休みを削って勉強する奴?

 正直、僕には休みを返上してまで勉強なんて、死んでも考えられない。

 

「それで今、ちょうど終わった所だったので帰ろうとしてたんです」

 

 なるほど、だから姫路さんは学校にいたんだね。

 講習っていっても、流石に午後まではやらないのか。

 

「そっかあ、こっちは補修でまだあるし、しかも貴重な休み時間まで潰れそうだし……」

「そういえば、何処に行こうとしてたんですか?」

「あーうん、学えn……ババアのところに」

「あ、明久君……何故、合っていたのに言い直すんですか……?」

 

 何言ってるのさ姫路さん。

 最初に言いそうになった方が間違いだったんだよ。

 

「何か、また召喚獣の実験に付き合ってくれって……」

「実験って……あの……」

「うん。多分姫路さんの思っている通りだと思う」

 

 実験、という言葉を聞いて、姫路さんは少し顔が引きつっていた。

 多分姫路さん、本音を喋る召喚獣の件を思い出してるんだろうなあ。

 あ……そういえばあの時姫路さんの好きな人を聞きそびれたんだった。

 あ~、結局誰なんだろうな……雄二だったらコロス。

 

「って、あれ? 明久君だけ……ですか? 他のみんなは?」

「そうなんだよね。何故か僕だけなんだよ……他のみんなは呼ばれてないし、暑いから動きたくないしって……」

「そうなんですか……」

 

 そう聞くと、姫路さんは何故か急に考え込んでしまった。

 一体どうしたんだろう?

 

「……それなら、明久君と二人っきり……」

 

 時々なんかブツブツ言っている様に聞こえるけど、内容までは良く聞こえなかった。

 ちょっと時間が経つと、姫路さんは何か決意したような顔で僕の方を見た。

 その時一瞬、僕はドキッとしちゃっていた。

 

「あの、明久君。私も付いて行っていいですか?」

 

 まあ、姫路さんの次の言葉に別の意味でまたドキッとしたが。

 

「ええ!? 本気なの姫路さん!?」

 

 絶対あのババアの事だ、結局姫路さんにも被害がこうむる可能性の方が高くなるって言うのに!

 

「はい、大丈夫です。今回はちゃんと気を付けますから」

 

 はっきりと言ったその言葉に、僕は何も言えなくなった。

 姫路さんは普段は素直なんだけど……時々、こうして自分で決めた事を曲げないって時がある。

 姫路さんを巻き込んじゃうかもしれないけど……

 

「んー……じゃあ、行こうか?」

「はい!」

 

 そう言ったとき、姫路さんはボソッとやったっと言ったように聞こえたが、一体何故だろう?

 

 まあ……本音を言うと、姫路さんと一緒って事に、喜んでいる僕がいるわけだけど……

 

 

 

 ☆★☆

 

 

 

「遅かったじゃないか、クソジャリ」

 

 今、僕と姫路さんは学園長室にいる。

 その目の前に、ババア……あ、間違った。

 訂正、藤堂カヲルこと【妖怪ばばあ】がいた。

 

「まちな、今明らかに逆……いやそれだけじゃない間違いがあったんじゃないかい」

「気のせいですよ妖怪ばばあ」

「あんたは本当に、年長者に対しての敬意ってもんを知らないねぇ」

「あ、明久君……」

 

 隣で姫路さんが戸惑っているような顔をしているけど、僕は間何も違った事はしていない。

 ……だいだいせっかく姫路さんと二人なのになんでわざわざ妖怪ババアの顔を見なくちゃいけないんだよブツブツ……

 

「まあいいさ、早速実験に入ってもらうよ」

「え~」

「あんたは何しにここに来たと思ってんだい……」

「あの、学園長先生。結局何の実験をするんですか?」

 

 姫路さんがふと気になった事を、学園長に聞いてくれた。

 姫路さんナイス!

 確かにそれを聞かないと、全く安心して実験に協力なんて出来ない。

 またあの時みたいのだったら即効帰らせてもらおう。

 

「ああ、今回は【観察処分者】の召喚獣に関する実験さね」

「へ? 観察処分者の?」

 

 観察処分者って言うのは、具体的には教師の雑用係の事だ。

 力仕事とかそういった類の雑用を、感覚を共有した特別製の召喚獣を使ってこなしていく。

 召喚獣って見た目と違って力持ちらしいから、一見便利なように思うけど、感覚を共有しているから召喚獣の負担や受けたダメージも僕に伝わってくると言うデメリットもある。

 伝わるダメージは一部だけど、それでも痛いものは痛い。

 本音の召喚獣の時も、止めるのに自分だけ物理的に痛い思いをしたし。

 

「そうさね。今回はあんたの召喚獣……正確には、【フィードバック・システム】の性能について、さね」

「フィードバック・システム……?」

「学園長先生、何ですかそれ? 聞いたことが無いんですけど……」

 

 姫路さんが首を少し傾げながらそう言った。

 僕も同じ感想だ、今まで全く聞いたことの無い言葉だ。

 

「何、あんた達が知っての通り、観察処分者の召喚獣は受けたダメージの一部を本人も共有する。これがフィードバッ・クシステムの効果さ」

「へえ~」

 

 知らなかったよ。

 僕の召喚獣で受ける痛みは、そんな名前のシステムのせいだったなんて。

 

「フィードバック・システムは、召喚獣の受けている感覚を本人と共有する事の出来るシステム。本来召喚獣とコントローラーの感覚は共有できず、それを無理やりやった結果、このシステムを搭載した召喚獣が現実の物体に触れるといった副作用が起きたわけさ。」

「それじゃあ、明久君の召喚獣が現実の物体に触れるのは元々副次的なもの、という訳ですか? あれ? でもそれじゃあ、教師の召喚獣も実体化しているのは……?」

「それはこのシステムの改造版……いやこの場合、召喚獣のほうを改造したと言った方が正しいさね。痛みをカットできるように、召喚獣の方に常に麻酔を与え続けているような状態にしているのさ」

 

 と、言うことは。

 実際は教師たちも、このフィードバック・システムを使って感覚を共有していた。

 で、召喚獣自体は常に麻酔状態だから、本人には全く痛みがいっていないっと……

 なんか、すごい差別を感じる……

 

「で、このフィードバック・システム何だが、元々召喚獣との五感……つまり、視覚や嗅覚などといった感覚を共有するために作られたんだ」

「五感を共有? 何でそんな事?」

「今召喚獣を使っているのは、この学園の中だけだけど、将来他の場所で使われるようになったらそう出来た方が便利になるだろうと思ったからさ。例えば視覚や聴覚なんかは、災害の被災地とかで本人は安全に逃げ遅れた人とかを捜索、とかさね」

「確かにそうなったら、凄く便利になりますね! 人々の助けになりそうです」

 

 なるほど。

 学園長の言う通り、確かにそうなったら便利そうだ。

 ……例えば女子のお風呂をこっそり覗いたり、とかね。

 ふっふっふ、おっとよだれが。

 

「まあ、このシステムには欠点があったんさね……」

「欠点ですか?」

「このシステムは、五感を共有するためには、召喚獣との共鳴率を上げないといけない。ダメージもその分上がるという危険性があったんさね」

「あれ? じゃあ僕が痛み以外を共有できていないのって……」

「さらに共鳴率を上げなくちゃ、五感まで共有できない。具体的に言えば、今の共鳴率を30%くらいだとすると、少なくとも70%まで上げないと無理さね」

「高っ!?」

 

 何それ!?

 ただでさえ今の比率で痛い思いをしてるのに、いきなり倍以上上げなくちゃいけないの!?

 危険すぎるよそれ!?

 それだったら前の本音を喋る召喚獣の方がましだったよ!

 

「じゃあ、明久君を呼んだのは……」

「フィードバック・システムを搭載しているそこの馬鹿しか、今回の実験に協力できないからさね」

「ちょっと待って!? さっきの話だと、教師陣全員にもそのシステム使ってるって事だよね! だったら僕じゃなくて、他の先生に頼めばいいじゃないか!」

「あんたなら怪我をしても全く問題ないからさ」

「教育者の言う事じゃねえぇぇえぇぇ!?」

 

このババアツ!!

妖怪じゃなくて悪魔、いや魔王だよもう!!

 

「うるさいさね、とっとと始めるよ!! っと、その前にこれを付けな」

「うわっとっと……」

 

強引に実験に移ろうとしたババアが、急に何かを思い出したように引き出しを開けて何かを取り出すと、イラついていたせいかそれを僕の方に投げ渡してきた。

これって……腕輪?

 

「それは【黒金の腕輪】さね」

「ああ、“アニメ版の”」

「・・・何の事さね?」

「何の事ですか明久君?」

 

ああ、うん。

無かった事にするんですね、分かります。

 

「それには今回の実験用の特殊召喚フィールドが組み込まれている。そいつを使いな。ただでさえ今まで試した事なんて無い実験をするんだ。それ相応の準備をしないとさね」

「へえ、用意がいいんですね」

「今日の朝思いついて、ついさっき完成したからね」

「あの、待ってください学園長先生。それって、大丈夫なんですか……」

 

姫路さんに同感だ。

一気に不安感しか出てこなくなった。

ていうか、絶対失敗しそう……

 

「大丈夫さね。既にクソジャリの召喚獣の共鳴率は変えてある。起動(アウェイクン)と唱えれば、何時でも始めてもいいさ」

「はーい」

 

既に嫌な予感がさっきからMAXなんだけど、こうなったら仕方が無い。

 

「起動(アウェイクン)ッ!!」

 

何事も無いことを祈るばかりだ。

 

 

 

ジ………ジジッ……ザッザザ…バチバチッ…ギイィィィィッ!!

 

ザアアアァァァッァァッァアァッァァッァァxッァアァァァァッァァッぁ!!

 

……そして、僕の祈りは全く無意味だったと言うことが分かった。

 

「ちょっとババア長っ!!明らかにおかしい音出してるんだけど!?」

「ノイズ音が、酷すぎて……頭が割れるように痛いです……っ!!」

 

隣で姫路さんは耳を押さえながら、膝を床について苦しんでいる顔をしている。

そういう僕も、この酷いノイズ音のせいか、何故か体の自由がだんだん聞かなくなってきている。

けど、音を聞いただけで、こんなにだるくなるものなんだろうか……?

 

「お、おかしいさね……いくら何でも、ここまで酷くはならない筈……!?」

 

流石に学園長ですらこんな状況は予想してなかったのか、僕達以上に焦った顔をしながら手元のパソコンをカタカタと動かしていた。

 

「なっ!? 召喚獣のシステムが暴走している!?」

「暴走!?」

「腕輪のせい……? いや、あれは飽くまで実験用にシステムから独立しているはずさね! システムに影響を与える事は出来ない……と言う事は、何か別な……!?」

 

そう呟きながら学園長はなおパソコンの操作を続けていくと、急に何かを見つけたのか、驚いた表情で固まった。

 

「【Nightmare servants System】……!? なんだいこれは!? あたしゃあこんなシステム作った覚えなんて無いよ!?」

「それって、一体……!?」

「まさか、ウイルスプログラム……!?」

「「ええぇっ!?」」

 

バチバチッ!

バチバチバチッ!!

ガガアアアァッァッァッァッァザザァァxッァアッァッァァxッァ!!!

 

驚愕する僕達をよそに、ノイズ音はさらに酷くなっていき、この部屋の空間に白い閃光見たいのが出てきていた。

それと平行して、僕の体の自由もだんだん奪われていき、ついに僕も膝を付いてしまった。

 

「っ!? 体が……!?」

 

自分の両手を見てみると、 “ブレていた”。

まるで自分自身がノイズに侵食されているように、体全体が電波の悪いテレビの映像を流したかのようだった。

 

「あ、明久君……っ!!」

 

そんな僕の様子を見て、姫路さんは苦しみながらも僕の方に手を伸ばしてきた。

あ、姫路さんはブレていない様子だった。

それが分かっただけでも、僕はこの一瞬だけほっとしてしまった。

 

        その一瞬に

 

  バチィィィィィィイィィイイィィィィィィィイィッィィィィイィッ!!

 

 

僕等の視界を、まるで近くで雷が通っていったかのように白い閃光が埋め尽くし、僕の意識はそこでとぎれてしまった。

 

 

 

 

 

 

                ★☆★ 

 

 

「おはよう! 今朝も気持ちのいい晴天で大変結構!」

 

「……はあ?」

 

気がつくと、僕は見知らぬ学校の校門の前にいた。

 

……これが、僕の【月の聖杯戦争】の始まりだった。

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