Fate/Extra Summon (バカテス*Fate/Extraクロス)   作:新月

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また二話同時公開の、二つ目。
こっちはややギャグメイン。


情操教育は大切に

 

 

「っ、う…………ここ、は……校舎?」

 

 気がつくと、いつの間にか見慣れた光景が目に入って来た。

 戻って来たの……?

 そう思い、周りを見渡そうとすると……

 

「貴様等、どうやって生き延びた?」

 

「な……ッ!?」

 

 突如聞こえて来た、突き刺さるような声。

 予選の時、僕のクラスの担任という“設定”だった人……“葛木先生”が、そこにいた。

 まさか、さっきの武人はこの人のサーヴァント!?

 

「アリス、あの人だあれ?」

「分からないわ。けれど、嫌な感じね」

 

 アリスの言う通り、決して好意的な様子は無い。

 こちらに向けるその視線は殺気に満ちて、それを一切隠そうともしていない。

 

「よっぽど上級のサーヴァントを引いたか、それとも爪を隠した腕利きか……だが、無傷とはいかなかったようだな」

 

 押さえつけた僕の左腕をみて、彼はそう言ってくる。

 心無しか、彼に睨まれた部分が余計に痛んでくるような気さえしてくる。

 

「どちらにせよ、あの魔拳を生き延びた事には変わりない」

「……っ!」

 

 殺気を研ぎすませながら、ゆっくりと僕達の方に近づいて来た。

 来る……ッ!

 そう感じ、僕は痛みを抑えながら右腕だけでも構える。

 そんな僕達に、彼はその手のひらをこちらに向けて————

 

 

 

「今ここで、始末して————」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【コードキャスト・advance shock】」

 

「ッ!?」

 

 

 

 そう彼の声を遮るように、別の声がいきなり響いた。

 

「何ッ!?」

 

 今まさに僕達に危害を加えようとしていた彼の腕は、いつの間にか視角出来る程の電気が纏わり付いていた。

 既に腕を伸ばす事も出来ないようで、ダラッと力を失って肩からぶら下がっているだけの状態になっている。

 

「誰だッ!?」

「……………………」

 

 謎の声が聞こえて来た方向に、葛木先生が睨む。

 そこには、いつかの黒いコートの人が片手をこちらの方に向けて立っていた。

 

「君は、あの時の……?」

「貴様……ッ!!」

 

 僕は戸惑いの、葛木先生は憎しみの籠った声で呼びかける。

 それに対し、そのコートの人物は無言で葛木先生の方を向いていた。

 その手のひらは、常に葛木先生の方に向けられたまま。

 

「……チッ。分が悪い、か……」

 

 そう呟くと、不利を悟ったのか葛木先生はここから立ち去っていった……

 た、助かった……

 彼が立ち去ったのを確認すると、コートの人物はその上げていた手をゆっくりと下ろした。

 

「……あ。えーと、ありがとう!」

「……………………」

「……え、と。何か、僕の顔に付いてる、の?」

 

 僕達を助けてくれたお礼を言うと、そのコートの人は今度はじっと僕の方を見つめてき、た?

 疑問系なのは、結構近い距離なのにそのフードの下の顔が一切見えないから。

 深くかぶってはいるんだけど、それでも少しは見えてもいい筈なんだけど……

 

「……………………」

「あ……いっちゃった」

 

 しばらくそうした後、そのコートの人は踵を返して何処かに行ってしまった。

 一体何者なんだろう……?

 何か急におかしな事言ってきたと思ったら、今度は助けてくれたし……うーん……

 

 

「けど、まあ……助かったー……」

 

 その事を実感し、僕はふー……っと、深いため息を吐く。

 本当に、今回はヤバかった……何の対抗策も立てられなくて、一方的だったし……

 ていうか、何さあの武人! こっちの矢を武器で防ぐんじゃなくて、拳で迎撃ってッ!?

 いくら僕でも、生身で防ぐのは無理だよ!! 何あの滅茶苦茶加減!?

 

「ところでお兄ちゃん。その腕、大丈夫?」

「え? ああ、うん…………すっごい痛い」

 

 ありすに指摘され、改めて左腕の痛みが響いてくるのが実感する。

 あ、ヤバい、凄い泣きそう……

 何もかも投げ出して、今ここでゴロゴロ転がって泣き喚きたい位。

 こうゆうのって微妙に怪我した瞬間より、その後のジンジン来る期間の方が辛く感じちゃうんだよなー……

 あ、何か血がドクドク出て来た……

 

「なら、保健室に行った方がいいんじゃないかしら? 後、はい。お兄ちゃんの落とした奴でしょコレ?」

「あ、ありがとう。拾っといてくれたんだ」

 

 そう言われ、アリスから僕の木刀と、ライダーの拳銃を受け取る。

 あー、さっき骨折れた時に落としちゃったから……良かったー無くさないで。

 僕は右手で何とか端末を操作して拳銃と弓を仕舞い、木刀はベルトに挿した。

 ていうか、よく吹っ飛ぶなーこの木刀。これで計三回目?

 

「っと。じゃあ僕はこれから保健室行くけど、二人はどうする? 一応一緒に診てもらう?」

「うーんと、もう少しお兄ちゃんと一緒にいたいな! いいでしょアリス?」

「ええ、いいわよありす」

「そっか。じゃあ一緒に行こうか」

 

 あ、そう言えばコレ、お兄ちゃんにおいしいクッキーもらったんだー

 そうなの? 良かったわねありす。あ、これ本当においしいわね。

 

 そんな二人の会話を微笑ましく見ながら、僕達は保健室に向かっていった……

 

 

 

 ★☆★

 

 

 で、保健室。……の、“前”。

 

 

 

 

【今日は保健室お休みでーす。キャッ♥】

 

 

 

「…………………………うそぉー…………」

 

 

 多分桜さんが書いた、女の子らしいポップな丸字でそう張り紙が貼られていた。

 可愛らしく書いてはいるが、内容は今の僕に取っては半分死刑宣告に等しい。

 最後に付いたハートマークが地味に憎たらしい。

 

「紫のお姉ちゃん、今日はいないの?」

「うん……そうっぽい……」

 

 これ、地味にヤバい……

 さっきから、左腕の痛みと出血がさらに酷くなって来てるのに、このタイミングで……

 あーもう、とことん僕、運無いなぁ……っ

 

「じゃあ、これからどうするの?」

「どうするって……あー、しょうがないから、姫路さんとか誰か他の————」

 

 

 

 ドンッ

 

 

 

「…………今、何か聞こえなかった?」

「え、そう? ありすは聞こえなかったよ?」

「……そっか。じゃあ、さっさと————」

 

 

 

 ドンドンッ

 

 

「…………ねえ? 本当に何か聞こえない?」

「いいえ、私には何も聞こえないわ。ねえ、ありす?」

「…………まあいいか。じゃあいこ————」

 

 

 ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン

 ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンッッッ!!!!!

 

 

 

 

 

「いやもう絶対聞こえるよッ!? あからさまに鳴ってるよ!!? 主にそこのドアからッ!!!」

 

 廊下全体に響く程の大きさで、保健室のドアがドンドン鳴り響いていく。

 時間が経てば立つ程、それはされに大きくなっていく!

 いや本当に何ッ!!?

 何か保健室で猛獣でも飼って……

 

 

 

 ——————昨日の“保健室薬品横領事件”の犯人として、もの凄くいい笑顔な桜さんに連行されていって——————

 

 

 

 …………あ、察し。

 

 

「一体なんなんだろうね、アリス?」

「そうねありす。多分大きなチャシャ猫さんじゃないかしら?」

 

「いやあ、白い茶坊主だと思うよ。……凄い不運の」ボソッ

「ちゃぼーず?」

「ううん、何でも無いよ?」

 

 ……さて、どうしよう……割とマジで。

 正直、さっさと腕の治療をしないと、真面目に命に掛かってきそうだから何とかしたいんだけど……

 この際、保健室の備品だけ借りて勝手に何とかするのがいいような気がする。

 中にいる人に付いては十中八九あの人だし、あの人なら一応応急処置くらいはうまくしてくれそうだし。

 

 問題は、どうやって中に入るかなんだけど……

 鍵は、やっぱりロック掛かってるよね……さっきの様子だと、中からも開けられなさそうだし……

 当然、僕には扉を開けるハッキングスキルなんて一切無い……

 うーん、本当にどうしよう……

 

 

 

 

 

 

「————む? そこにいるのは……お主、明久か!?」

 

「へ?」

 

 

 

 

 急に掛けられた声。

 その方角を見てみると……

 

 

 

 

 

 

 

「“秀吉”ッ!?」

「やはり、明久じゃったか!!」

 

 

 

 

 僕のクラスメイトの一人、“木下秀吉”がそこにいた。

 

 

 

「秀吉ー! 何処行ってたのさ、心配したんだよ! まさかこんな所で会うなんてさあ!」

「全く、ワシもじゃ。まさかお主がいるとは思わなかったぞ……」

 

 そういった秀吉は、ヤレヤレと何故か呆れたように首を振っていた。

 

「ていうか、今まで何処行ってたのさ? 雄二とか美波とか会った?」

「ん、二人には既に会っておるぞ。いや、ついさっきまで購買に行っておったのじゃが……これがまた酷くての、法外な値段を要求されて危うくぼったくられる所じゃった……」

「え? あそこの売店って、そんなに酷かったっけ? 結構普通の対応だったと思うけど」

「何でも、臨時のアルバイトらしくての。とにかく、他の店員らしき人がおらんかったら危なかったのじゃ……」

「ふーん……」

 

 アルバイト制度なんてあったんだ、あそこ。

 今度時間があったら僕もやってみようかな……

 

「って、それはともかく。明久、お主……」

「ねえねえ」

「ん?」

 

 秀吉が何か言おうとした瞬間、横でありすが僕の右袖を引っ張った。

 

「このお姉ちゃん、誰?」

「む? そう言えば明久、そこの二人の女子は誰なのじゃ?」

「ああゴメンゴメン、紹介しないとね。この人は木下秀吉って言って、僕のクラスメイト。で、こっちの双子がさっき友達になったばっかで、白い方がありす、黒い方がアリスっていう子なんだ。まあ、同じ名前だけどそれで会ってるらしいから」

「そうか、ありすとアリスと申すのか。よろしくなのじゃ」

「よろしくー!」

「よろしく」

 

 そう言って、三人は互いに挨拶をした。

 

「って、そうじゃなくて、お主じゃお主。明久の事じゃ」

「僕?」

「明久……お主、怪我しておるじゃろう。それも結構な深手を」

「あれ、直ぐ分かっちゃった?」

「普通気づくじゃろう、そんな血をポタポタ垂らしておったら……廊下で血の跡が引いておったのじゃぞ。売店から帰ろうとした所でそれを見つけてしまって、後を追ったらお主がいたと言う訳じゃ」

「あー」

「保健室は……なんじゃ、休みか。これでは治療できんのう……なら明久、ワシのマイルームに来ぬか? そこなら、応急処置くらいは出来ると思うのじゃが……」

 

 そう言いながら秀吉は片手を僕の方に差し出して来た。けど……

 

「いや、遠慮しておくよ。そこまで世話になるのも何だしね」

「む、そうか……」

 

 そう言って手を引いた秀吉の顔は、少しガッカリした様子だった。

 

「しかし、それならその腕の治療はどうするのじゃ? 保健室は使えぬのだろう?」

「あー、それなんだけど……秀吉ってさ、この扉のロックって解除出来る?」

「は? 扉って、この保健室の扉か? いやまあ、この程度なら何とかいけると思うが……開けたとしても、保健室のAIはおらぬ筈じゃろう?」

「そこはホラ、ちょっとあてがあるからさ……」

「はあ、まあよいが……………………ホレ、開いたぞ」

 

 カチカチと端末をいくらか操作した後、秀吉はそう言った。

 

「え? もう?」

「当たり前じゃ。この程度のロック、半人前のウィザードですら簡単に開けられる物じゃ。それじゃあ、悪いがワシはこの後用があるからの。さらばじゃ」

「うん、じゃあね」

「バイバーイ、お姉ちゃん」

 

 そう言って、秀吉はこの場を去っていった……

 

「……さて」

 

 っと、僕は改めて気を引き締めて、保健室の扉に向かい合った。

 

「ごめん、ちょっと二人とも、扉から少し離れていてくれない?」

「え、うん?」

「いいけど……」

 

 そう言って、二人は素直に距離を離していく。

 うん、これで安心。それじゃあ……

 と、僕は覚悟を決め、決して扉の真正面には立たないように、横の方で右腕だけを伸ばして取ってを掴み……

 

 一気に開ける!!

 

 バッ!!

 

 直後、開けた扉の中から赤い何かが勢いよく現れッ!!

 

 ガンッ!!

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

 

 それまた直後、廊下の壁に頭をぶつけて悶えていた……

 

 

「……………………えー、と」

「ねえアリス。これって、何なのかな?」

「さあ? 多分、犬じゃないかしら? どう見ても大人には見えないもの」

「いやあ、普通に人だと思うよ? ……“パンツ一丁だけど”」ボソッ

 

「……ッ!!」

 

 しばらくすると頭を抑えていた、パンツ一丁の、白髪頭の、肌が色黒の、家事とか得意そうな男が、バッと顔を上げ、

 

 

「出れたあああああああぁぁぁ——————————————————————————————ッ!!

 俺は脱出出来たんだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!」

 

 

 まるで難関の山を登頂した登山家のような雄叫びを上げ、喜びだす変質者。

 うん、もうね、いろいろアウト。

 主に子供の情操教育的に。

 

「ゴメンね、二人とも。お兄ちゃん、今からこの人と大事なお話ししなくちゃいけなくなっちゃったから、ここでお別れしなきゃ」

「え……お兄ちゃん、もう遊んでくれないの?」

「本当にゴメンね。また今度、遊んで上げるからさ」

「……っ。うん! 分かった、約束だよ!」

「うん、約束だね!」

「じゃあ、バイバイ。いこう、アリス」

「ええ。分かったわ、ありす」

 

 そう言って、アリス達はタッタッと手をこっちに向けて振りながら走っていった。

 僕はそれを見えなくなるまで、ずっとこっちも手を振って見送っていた。

 

「……さて、と……」

 

 そう気分を強引に変えて、僕は未だに、やったあああ、とか叫んでいる変質者に向き直る。

 

 

「何やってんの、アーチャー」

 

 今の僕の声は、それはもう凍える程冷たい感じのだった。

 恐らく視線も、いわゆる絶対零度と呼ばれる程の物だろう。

 

「むッ!? その声は、マスター! マスターなのかッ!?」

 

 が、その事に全く気がつかない程テンションがバカでかい茶坊主。

 まるで小さい子が心底嬉しい事があったのを自慢しているような感じだ。大人だけど。

 

「そうか、マスターが助けてくれたのか!! 聞いてくれマスター、俺は生きた、生き残ったんだッ!! いやあ長かった、長かったんだよ本当にッ!! 時間にしたら一日も経っていないのかもしれない! けど俺に取っては数ヶ月にも及ぶ激闘にも等しかったんだ!!」

 

「へー、そう」

 

「ふう、さすがに今回は死を覚悟したな!! まるで蛇に睨まれたカエルの如し!! 正直どんな手を打っても意味の無いように思えた程だったし!! 完全に俺オワタ\(^o^)/状態だったしな!!」

 

「そっすか」

 

「いやあ、生きてるって素晴らしいなっ!! 命の尊さが身に染みた感じがしたよ!! 俺決めた! もう無茶な事ばっかりやって命を粗末にするような事しないって!! 自分を大事にしない奴なんて碌な奴じゃないからな」

 

「あっそう」

 

「っていうかマスター? 何かテンション低すぎないか? 今の私から見たら遥かに低すぎると思うんだが」

 

「ふーん」

 

「何かあったのかって、どうしたその左腕はあああああああああああああああああああああッッッ!!!??」

 

 

 あー……うるさい。

 僕はそう、疲れた頭でそう感じた。

 

「一体何があった!? まさか敵に襲われたのか!? どこだ、何処の相手だッ!!」

 

「僕としては、何でアーチャーがパンツ一丁なのかの方が何があった何だけど」

 

「桜に身包み全部剥がされた!!」

 

「そう、よかったね」

 

「良く無い! 全然良く無いぞマスタああああああああああああああああああああああああッ!!?」

 

「あーうん。とりあえずさー、さっさと腕の治療したいから保健室入っちゃおう。アーチャーは応急処置くらい出来るよね」

 

「何、いや待て!? 君は今何て言った!? 保健室、保健室に入ると言ったか!!? 正気かマスター、それは自殺行為だぞ!? ライオンが戻ってくる事が分かっている檻に、自ら入る物だぞそれは!? いやホントに待ってマスター!? あそこに戻るのはいやだああああああああああああああああああああッ!!!」

 

 

「アーチャーは保健室に入らないのと僕の腕を治すの、どっちが大事なのさ」

 

 

「………………………………………………………………………………………………………

 …………………………………………………………………………………………………………

 …………………………………………………………………………………………………………

 …………………………………………………………………………………………………………

 …………………………………………………………………………………マスターの腕、か?」

 

「そこは即答して欲しかったなあ」

 

 後、疑問系なのも。

 

「ほら、入るよー」

 

「いや落ち着こうマスターッ!? まだ心の準備が、折角脱出出来たんだしもう少し考えさせてく」

 

 

 

 

「あら。どこから脱出出来たんですか、アーチャーさん」

 

 

 

 その声に、バカみたいに騒いでいたアーチャーがピシッと石のように固まった。

 そして壊れたブリキのオモチャのようにギギギッと音を鳴らしながら、首を回していくと。

 

 そこには、この保健室の主、間桐桜さんが立っていた。

 

 

 “首輪を持って”。

 

 

「……………………………………………………………」

 

「……………………………………………………………」

 

 

 ダッ←(アーチャーダッシュ)

 

 ダッ←(桜ダッシュ)

 

 

 ああ……僕はこの光景を見て思った。

 暗殺されかけたり、ビジュアル系だったり、変質者だったり、首輪だったり。

 僕の周り、碌な奴がいねえ、と……

 僕のこの感想は、ひょっとしたら、かなりのわがままなのかもしれない。

 

「ちょッ!? マスター、勝手にモノローグぽくまとめてないで、たす」

 

 けれど、僕はこうも思うんだ。

 人間、少し位わがまま言った方が“らしい”んじゃないかって。

 だから少し、ほんの少しだけ。普通の人と付き合いたい、いやされたい。

 

「うふふ……待って下さい、アーチャーさ〜んー……」

 

 そうだ、またありす達と会おう。

 ついさっき約束したばっかりだし、その時は今度こそ二人と一緒に遊ぼう。

 

 そう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『三回戦 吉井明久 対 ありす』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 例えそれが、最悪な形での再会だったとしても。

 

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