Fate/Extra Summon (バカテス*Fate/Extraクロス)   作:新月

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最近小説書く時間が取れない。
受験だからなあ……


戦いの覚悟

「はあ、はあ……ふ、二人とも、落ち着いた……?」

「は、はい……」

「え、ええ。おかげさまでね……」

 

 混沌の世界となった屋上事件、命名『赤服のツインテの乱』が一通り落ち着いた頃。

 僕達は荒い息を整えながら、互いに向かい合っていた。

 屋上がそこらへん小さなでこぼこだらけになってしまっているけど、どうしよう。

 

『むう……なんだ、そこの赤いのは女子を愛でていた訳ではないのか』

「やー、けどさっきの雰囲気見てると、あながち間違っているようには見えないんだけど……」

「違うっつうの!! 私にそんな趣味はないわ!!」

 

 今は霊体化しているセイバーは、遠坂さんの話を聞いて明らかに落胆したような顔をしていた。

 いや、ていうか君はそっちの趣味なの?

 ちなみにセイバーには、さっきの騒ぎに入る前に霊体化してもらったので、恐らく扉越しだったから、隙間から見えた姫路さんはともかく姿は遠坂さんに見られていない、筈。

 

「え? でもそれじゃあただの痴女……」

「だれが痴女か!! 其処!! あんたも笑うな!!」

 

 そう言うと、遠坂さんは明後日の方向をみて、誰かに怒っている。

 多分、霊体化している彼女のサーヴァントに注意しているんだろうけど……

 

「急に誰も居ない空間に向かって喋ってるのって……友達、居なかったのでしょうか?」

「うん。傍から見ると可愛そうな人に凄く見える……」

「あんた達も黙れっ!!」

 

 今度から、セイバー達と会話する時は気をつけよう。

 遠坂さんはだあーっと言いながら、髪をガシガシ片手でかきながら、姫路さんの方を勢いよく指を指したた。

 

「大体! あなたが人懐っこいような顔をして挨拶してきたから、運営からの通達の【NPC】かと勘違いしちゃったんじゃない!!」

「え、ええ!?」

「うわー、横暴だ……」

 

 何か、何処かデジャブと言うか、近親感があるんだけど……

 この乱暴さ加減、誰かに似ているような……

 

 あ、そっか。美波に近いんだ、この感じ。

 

「はあ、全く……ところで、あなた吉井明久よね? 予選で会った」

「え、あ、うん」

 

 姫路さんに当たったおかげで落ち着いたのか、遠坂さんは僕の方に向き直ってそう言った。

 そういえば、彼女とはこの屋上で会ったっけ。

 

「今はカスタムアバターを使っているのね。予選の時はやっぱり実力を隠していたのかしら」

「へ?」

 

 あ、そっか……今の僕の格好を言ってるのか。

 学ランで、既に月海原学園の制服じゃないし。

 

 さて、なんて説明しようか……

 そう悩んでいると……

 

「明久君? この人に会ったことがあるんですか?」

 

 そう姫路さんが質問してきた。

 そういえば、姫路さんはその時まだ合流してなかったっけ。

 そう言おうとすると……

 

「そう言えば明久君? さっき出てきた赤い人ハダレナンデスカ?」

「ひいっ!? 姫路さんの目からハイライトが無くなってる!?」

 

 この時僕は知らない間に姫路さんの地雷を踏んでいたらしい。

 あーていうか姫路さんのコレ久しぶりだなあ……とかずれた事を考えていると……

 

「さっき出てきた赤い人? なるほど、それがあなたのサーヴァントかしら」

 

 そう遠坂さんが呟いていた。

 あ、やば。極力サーヴァントの情報は周りにばらさないようにって注意されていたのに。

 まあ仕方ないよね……セイバー自身が出てきちゃったんだし。

 

「まあ、そんなとこ、かな」

「私には声しか聞こえなかったけど、こんな場所で霊体化を解かせるなんて随分余裕ね。よっぽど聖杯戦争に勝ち抜く自身があるのかしら」

 

 そう言いながら遠坂さんは、いや……と呟き、

 

「それとも、逆にサーヴァントの手綱を握れていないのかしら? なんかあなた、馬鹿そうだし」

 

 なんかいきなりそう言った。

 失礼な、てか何で急にそんな事言うのさ!

 

「正直、あんた実力があるのか無いのかわからなくなってきたのよね……馬鹿そうか顔をしてるかと思えば、予選で直ぐに記憶取り戻して、カスタムアバターを使っている実力者。かと思えば、こうして改めて話してみると、まるで気迫が感じられないっていうか、やっぱり馬鹿そうな顔だなっていうか……」

 

「なんで馬鹿そうな顔って二回言ったの? なんで馬鹿そうな顔って二回言ったの?」

 

 正直遠坂さんが言ってることがあまりにあんまりなので、僕も二回聞き返してしまった。

 何で二回しかあっていない人にも馬鹿にされているんだろう、僕……

 

 って、そういえば姫路さんの攻撃が来ないな?

 そう思って姫路さんの方を見てみると……

 

「え……サーヴァント、に……聖杯戦争……?」

 

 と、まるで訳が分からないといった風な顔をしてそう呟いていた。

 ……てか、え?

 

「え? ていうか、姫路さん。サーヴァントとかって……もしかして、知らない?」

「え、はい……分からないです……」

 

 僕と遠坂さんは、思わず互いの顔を合わせた。

 もしかして、姫路さんは聖杯戦争について、何も知らない?

 遠坂さんもそう思ったのか、姫路さんに話しかけた。

 

「ちょっとあなた? もしかして、聖杯戦争について何も分からないの?」

「あ、はい……残念ながら……」

「え、それ本当!? あなたまさか記憶が戻っていないの!?」

「え? 記憶……ですか?」

 

 遠坂さんはそう言ったけど、それは無いはず、と僕は思った。

 姫路さんの記憶は確かに戻っている事は、予選の時に僕が確認した。

 

「私は、記憶は戻っている筈ですけど……明久君は、知っていたんですか?」

 

 そう言って、姫路さんは僕の方を見てきた。

 

「うん。ていうかついさっき、僕のサーヴァントに教えてもらっただけなんだけどね……」

 

 考えてみれば、記憶がある無しに関わらず、僕達には聖杯戦争なんて話自体知らなかった。

 だから僕も、セイバー達から聞くまで何も知らなかったけど……姫路さんは自分のサーヴァントに教えてもらわなかったんだろうか?

 

「そのサーヴァントって言うのが、分からないんですけど……」

「まさか、姫路さんにはサーヴァントがいない、とか……?」

「そんな、ありえないわよ!!」

 

 何気なく僕がそう呟いた時、遠坂さんがそう言って、姫路さんに詰め寄った。

 

「ちょっと! あなた体のどこかに令呪……なんか痣が出て来ていないかしら?」

「痣……? もしかして、これの事ですか?」

 

 そう言って、姫路さんは右手の甲を僕達に見えるように出してきた。

 其処には、僕のとは違う模様だけど、確かに令呪が存在していた。

 

「ちゃんとあるじゃない……だったらサーヴァントがいておかしくない筈なんだけど……」

「姫路さんはこの学校に来る直前、誰か近くにいなかった?」

 

 僕がそう聞くと、姫路さんは困ったような顔をして、

 

「えっと、人というか……」

 

 と、そう呟いていた。

 え、本当にどうしたんだろうか?

 

「もしかして、口が利けないバーサーカーか、あるいはそんなコミュニケーションの取れない英霊なのかしら? いずれにせよ、あなたの近くに何かがいたなら、多分そいつがあなたのサーヴァントね」

「え……じゃあ、あれが……?」

 

 と、姫路さんはそう呟いたけど、一応心当たりはあるそうだった。

 とりあえず姫路さんの事が一段落したから、遠坂さんは全く……と呟きながら改めて僕達の方を向き直った。

 

「ところで……じゃあ何? あなた達、何も知らずにこの聖杯戦争に参加したって言うの?」

「まあ、そうだね」

「はい……」

 

 僕達は正直に言う。

 だって知らなかったものは知らなかったし。

 

「呆れた……戦う以前の問題よ、それ。どおりで戦う姿勢が取れていないと思ったら……」

「あの、戦うって何ですか……?」

 

 僕の横で姫路さんがそう聞く。

 彼女は本当に、何も知らないんだ。

 

「あなた、本当に何も知らないのね……いい事、この聖杯戦争は“殺し合いよ”」

 

「……え……? 殺し……?」

 

 遠坂さんの言葉に、姫路さんは驚きを通り越し、逆にぼんやりとした表情でそう言った。

 姫路さんにとっては、その言葉を頭で完全に理解し切れていないようだった。

 

「そう……聖杯を求め、サーヴァントと呼ばれる使い魔を用いた、魔術師同士の殺し合いの戦場。あなた達は、その戦いの場にいるの」

「そんな……」

 

 遠坂さんのその言葉を聞いて、姫路さんは僕の方を向いた。

 

「明久君……嘘、ですよね? いつものFクラスの悪ふざけ程度で……」

 

 姫路さんは、震えた声でそう聞いてきた。

 多分姫路さんは、これが作り話か、あるいはただの冗談であると思いたいんだろう。

 

 ……ただ、僕は予選の時に、あの沢山の人達の死を間近で見ていた。

 だから、遠坂さんの言葉は、少なからず僕には理解できてしまっていた。

 

「何はともあれ、戦う姿勢が取れていないなら改めなさい。覚悟が無い状態で戦えるほど、この戦いは甘くないわよ」

 

 そんな事言われたって……と、僕はそう思う。

 僕達は元々ただの学生なんだから、戦う覚悟なんて言われたって、そんなのある筈が無い。

 とても僕達には現実味が感じられない……

 

 

 

 

 

 

 

 ――――その筈なのに

 

 

 何故か僕は、その事実を受けとめてしまっている。

 

 戦う、という事に何故か前から心の準備が出来ていたかのように感じられる。

 

 まるで、今日までその戦いの最中を感じてきていたかのように……

 

 

 

 

「……ふうん」

 

 僕の方を見た遠坂さんは、少し感心したかのようにそう呟いた。

 

「なるほど……納得は出来ていないけど、覚悟は出来てるって感じね」

「へ? あ……」

 

 僕は自然と両手の拳を握っていた。

 いつの間にか力が入っていたようだった。

 

「まあ、その調子なら、あんたの方は大丈夫なんでしょうけど……問題はあなたね。覚悟以前に、知識も足りていないもの」

 

 そう言って、遠坂さんは姫路さんの方を向き直る。

 すると、一回はあ……とため息を付いて、こう続けた。

 

「まあいいわ。基本的な知識だけなら教えてあげる。それでいいでしょ」

「「え?」」

 

 遠坂さんの言葉に、僕と姫路さんは驚いた。

 それは嬉しい話だけど……一体なんで?

 姫路さんもそう思ったのか、首を傾げている。

 

「勘違いしないで。ただ、あなたみたいな弱そうな人が相手なら楽そうだなと思っただけよ」

 

 そう首をプイっと横に向けながら、遠坂さんはそう言った。

 けれど、心なしかその顔は少し赤かった。

 ああ、多分彼女は優しい人なんだな、と僕達はそう思った。

 

「まあ、あと……体をぺたぺた触った借りもあるし……」

「「ああ……」」

 

 そういえばそうだったね……あの光景は忘れられそうに無いよ……

 そう僕が思い耽っていると、それに気づいたのか遠坂さんは顔を赤くしながら僕の方を向いた。

 

「い、いいから忘れなさい!! あと、あなたは大体の事をサーヴァントから聞いてるんなら、さっさと行ったら!! ただでさえあなた達は準備出来ていないんだから、少しでも特訓でもしてきたらどう!!」

「え、でも……」

 

 姫路さんを一人残していくのは……

 そう思ったのが分かったのか、姫路さんは僕の方を向いた。

 

「あの、大丈夫です、明久君。私は話を聞いてから行くので、先に行っててください」

 

 姫路さんは少し不安そうな顔をしてるけど、はっきりとそう言った。

 正直心配だけど、遠坂さんと一緒なら大丈夫かな……

 彼女、思った以上に優しいみたいだし、信用できそうだから。

 

「……分かったよ。じゃあ、また後でね」

 

 僕はそう言って、屋上から去って行った……

 

 

 

 ★☆★

 

 

 

『マスター、いいのか姫路瑞希の事は?』

「うん、まあ心配だけど、向こうは遠坂さんもいるし、自分の事もやっておかないとね」

 

 姫路さんの事は、遠坂さんに任しておいて問題は無いだろう。

 それなら、確かに自分達の準備の方にも力を入れておかないと。

 

『ふ、そうか……』

『ところで奏者よ、マイルームとやらに行くのであろう!』

『ご主人様と私の愛の巣! いざレッツゴーです!!』

「あはは、そうだね。愛の巣はともかく」

 

 さっき一階で、何か神父っぽい人に聖杯戦争についての説明をいくつか聞いた後、僕の端末にマイルームとかいう奴の鍵のデータを送ってもらった。

 コレで2-Bの教室のドアに端末をかざすと、マイルームにいけるらしい。

 

「じゃあ、早速……ん?」

 

 扉に端末をかざそうとして、ふと横を見ると、階段の所に見た事のある野生的な風貌の赤髪――――

 

「雄二っ!?」

 

 やっぱりいた!!

 僕は思わず手元の端末を放り投げ、雄二のいる方向に向かって走り出した。

 

「うおっと! おいマスターッ!? 一体どうした!!」

 

 その様子を見て、すばやくアーチャーが霊体化を解き、僕の端末が床に落ちる前にキャッチしてくれた。

 ありがとう! けど今は雄二を追わなきゃ!

 

「ごめん! アーチャー達は先に入ってて!!」

『ちょっ!? ご主人様!?』

『奏者!?』

 

 後ろでキャスター達が呼び止めようとしているけど、今回ばっかりはこっちが優先だ!

 僕は急いで階段の方に向かって行った……

 

 

 

 ★☆★

 

 

 

「はあ、はあ……いたっ!!」

 

 雄二の後を追いかけて、僕は中庭の方まで来ていた。

 校内で他の参加者達が廊下にいたのが邪魔で、直ぐには追いつけなかったけど、何とか今回は見失わずに済んだようだ。

 目の前には、明らかに見知った後姿をした男が立っている。

 

「雄二っ!!」

 

「――――ん?」

 

 僕がその男に声をかけると、やっと気づいたようで僕の方に向き直った。

 その顔はやっぱり間違いない。

 僕の悪友の坂本雄二だった。

 

「やっと、追いついたよ……」

「お前、明久か……?」

「そうだよ、全く」

 

 人が心配してたっていうのに、相変わらず憎たらしい顔をしてるよ、ほんとに。

 雄二に会えた事で、安心して心に余裕が出来たのか、そんな感想が出てきた。

 その雄二は僕の方を見て、少し驚いたような顔をしていた。

 

「お前、何してんだ?」

「いや、何って……雄二の方こそどうしてこの学校にいるのさ? 確か文月学園にいたときは、補修でFクラスで待機してたよね、僕達が実験にいってた時」

「……悪い明久、正直良く分かってねえ。まずお前の方から、一から説明してもらえるか?」

「え、まあ……」

 

 

 そう言って、僕は簡単に雄二に僕がここに居る経緯を話した。

 僕と姫路さんがババアの実験のせいで、この世界にいる事。

 この世界で、聖杯戦争という戦いが始まっている事。

 僕達は、それにいつの間にか巻き込まれてしまっていたという事を……

 

 

「……なるほどな、そっちはそんな事があったのか」

「僕はてっきり、あの時の実験に近くにいた面子だけが飛ばされて来たのかと思ったんだけど……雄二は何でここに? 実験の場にいなかった筈だよね?」

「ああ、俺の場合は教室にいた時に、急に目の前が光ったと思ったら、いつの間にかこの世界にいたって感じだな」

 

 と、言う事は……

 雄二はFクラスの教室に残ったままにも関わらず、この世界に来ていた。

 となると、前に僕が予選で立てた仮説が真実味を帯びてきたね……

 

「雄二、他にも誰かこっちに来てから見かけなかった? 美波とか、秀吉とか」

「いや、まだ俺は会っていないな。だが、あの時何人か近くにいたから、そいつ等も来ているかどうかははっきり分からねえが、いる可能性は高いな」

「そっか……」

 

 と言う事は、まだ何人か会っていない人達がいるかもしれないって事か。

 ……この殺し合いの聖杯戦争の中で。

 

「にしても、聖杯戦争だっけか? 随分と凄い催しがされてるらしいじゃねえか」

「そんな単純そうなものじゃないよ……多分、僕達が考えている以上に」

 

 この聖杯戦争は、トーナメント形式の戦いだと聞いている。

 最後の一人になるまで戦い続けるといっていた。

 

 ……つまりそれは、いつか僕達の知り合い同士でも戦わなくちゃいけないという事になる。

 正直、そんな事を考えるだけでも僕の気分は鬱になる。

 

「何言ってんだ明久。せっかくこんな世界にいるんだ、楽しまないと損だぞ」

 

 そう言って雄二は、一拍置いて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ……本当に、面白そうだ――――――」

 

 

 

 

 

「……雄二?」

 

「ま、とにかくだ」

 

 そう言って雄二は、改めて僕の顔を見た。

 その調子は、いつもと変わらない。

 

「とりあえず、勝ち残らなくちゃ意味が無いんだろう? お前も生き残れよ」

「あ、うん……」

「んじゃ、俺は暫く別行動しておくか。じゃあな」

「あ……」

 

 そう言って雄二は、校舎の中に戻って行った。

 本当は、多分直ぐ追いかけて、あまり別行動しないようにって言った方がいいんだろうと思っていた。

 

 けど、僕は暫く其処から動けなかった。

 さっきの雄二の感慨深けな声が、嫌に耳に響いていた。

 

 

 

 ★☆★

 

 

「勝ち残れ、か……」

 

 暫く時間が経って、ようやく動けるようになった僕は、ちょうど二階まで戻ってきていた。

 まだ雄二の声が頭に残っているけど……今は気にしないほうがいいのかもしれない。

 

「む……やっと戻ったか、マスター」

「あれ? アーチャー?」

 

 僕が2-Bと書かれた教室の前まで戻ってくると、その扉の前に霊体化を解いたままのアーチャーが立っていた。

 

「どうしてここにいるのさ? 中に入っていればよかったのに」

「端末を預けたままで、君はどうやって入る気だったんだ? それが無ければ扉は開かんのだぞ」

「あ」

 

 しまった、そういえばそうだった。

 そうだよ、端末に鍵のデータが入ってるんだから、無かったらは入れないに決まってるよ。

 それでわざわざ外にでて待ってくれてたのか。

 

「ごめん、ありがとうアーチャー」

「全く、ほら。セイバー達は先に入って待っている。君もさっさと入るがいい」

「うん」

 

 改めて、僕はアーチャーから端末を受け取り、それを扉にかざした。

 すると、一瞬扉がぴかっと光った。

 どうやら、これで自分の部屋に繋がったらしい。

 

「じゃあ、早速」

 

 そう僕は、ちょっとした期待感を持ちながら、扉を開けると

 

 

 

 

 

 

 ゴウッと机が飛んできた。

 

 

 

「って危なああああああああああああああッ!!???」

 

 僕はそれを、Fクラスで培った反射神経で、マトリックスの如く避け、

 

「ごがァッ!!?」

 

 後ろにいた幸運Jさんが撃沈した。

 アーチャーあああああああああああ!?

 

 

 

「このっ!! キャスター貴様其処は世のスペースだ!! 勝手に侵略するな!!」

「何を言ってるんですかセイバー!! あなただけで場所を取り過ぎなんです、よっと!!」

 

 

 中を見ると、学校の机やら椅子やらが飛び回っていた。

 というか、セイバーとキャスターが投げ合っていた。

 

 見ると、教室のあちこちに壊れた机やら椅子やらの残骸が転がっていた。

 あー、マイルームって殆ど学校の教室と変わらないんだー。知らなかったー。

 そんな一瞬なだけの現実逃避をした。

 

 無駄だった。

 

「くたばれこの女狐っ!!」

「黙りなさい馬鹿皇帝!!」

 

 盛大にバトり合っている女性二人は僕が戻ってきている事に気づかず、むしろ更に激しくなっていく。

 そして後ろには大きなたんこぶを作って倒れて気絶している赤い男性が一人。

 

 

 これを見て僕は思った。

 

 本当に生き残れるのかな、と……

 

 

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