一時の安らぎは、Voidからの不穏な囁きで、泡の様に消えた。
『オペレーター?Ordisは気になります…何をぼんやりと考えていらっしゃるのですかな?』
気がつくと、Ordisのホロが目の前で顔を覗き込んでいた。
WarframeのNidusにはおよそ、人間の顔の様に表情を作り出すパーツはない。
覗き込んだ所で表情など分かる訳はないのだが、そこは、ジェスチュアというものだ。
ランディングクラフトのブリッジ、と言うよりはコックピットと言った方が正しい狭い空間の正面、全体が窓の様になった開放的なディスプレイには、外宇宙の風景が映し出されている。
ブリッジには椅子はない。
疲れ知らずのWarframeに腰を下ろす椅子は必要ないし、体を固定したければ床に直接腰を下ろすだけで事足りる。
『さっきの通信について考えていた』
『ああ、DOJOからの通信ですね……大変奇妙です』
Tenno達の隠された拠点、DOJO。
全ての勢力から秘匿されたそれは、完全自立したステーションだ。
個人のTennoが所有する、ゴーストクランユースのものから、数百人以上のTennoが所属する大規模な、ムーンクランユースのものまで、規模は多種多様である。
通信を受けた自分のそれは、ゴーストクランユースの小規模なものだ。
小規模と言っても、必要な設備に関しては全て揃っているという自信はある。
資源さえ確保できれば、完全に自給可能だ。
Orokinのステーションには負けるかも知れないが、現状、それに一番近いものになる。
『オペレーター、何か面白いものでも見ていらっしゃるのですか?』
又、考え事をしてしまったらしい。
『不安定なVoid反応が見られたというのは、確かに気になる情報ですが、いつもの様にDOJOを動かしてしまわれば良いのでは?』
『……そうだが、何か、嫌な予感がするんだ』
Voidは、Tennoとは切っても切れない縁がある。
Voidに関する胸騒ぎは、無視して良いものではない。
『そうだな……DOJOは動かそう、だが、戻ってからだ、Railjackとランデブーしてくれ』
『了解です……セファロン CYに送信、ランデブー予定は、42分21秒後になります、オペレータは少しおやすみになられては?』
DOJOの乾ドックに入港した時、状況は特に変わりない様に見えた。
『よぉ、ガキンチョ、面白そうな気配がするなぁ?』
自室でシャワーから出た時、ベッドの上に自分自身が座っていた。
(又、出たのか)
幻覚を無視して、服を身につける。
こいつにはどうせ何を話しかけても無駄だ。
喋りたい事だけ喋って、勝手に消える。
正直うっとうしい存在だが、自分自身の一部だ。
長い事そうだったのだ、疎んじた所でしょうが無い。
『おいおい、無視するなよ、今日は忠告しに来たんだぜ』
今日は、普段より妙に喋る。
振り向くと、いつも薄ら笑いを浮かべている幻影が、真顔でまっすぐ指を指していた。
『古巣がどうも騒がしい……ガキンチョ、不意打ちに備えろよ?』
瞬きする間に、幻影は消えてしまう。
普段は、揶揄する様な言葉しか吐かない奴だが。
胸騒ぎが強くなる一方だ。
『Ordis、外部に展開している人員は全て帰還させろ、今後、指示があるまで警戒レベルを上げておけ』
『あー…体制変更を発令中……DOJOの移動後、Void反応は検知されておりませんが、気になる事がおありですか?』
『杞憂ならいいがな』
銀河で殺戮の限りを尽くす、Void空間から復活した悪夢。
そんなTennoを憎む者、ベールを剥ぎ取りたいと望む者は幾らでもいる。
警戒をし過ぎる事はない。
To Be Countinued...
ゲーム中だと、DOJOって割と必要施設の集合体で、後は庭園みたいな所がメインなイメージで、なんか、生活感は感じないんですよね。
RailJackが追加されてから整備クルーが乾ドックに常駐する様になりましたが……DOJOって、もしかしてDOJO自体は運営する人員とかいらっしゃらないんですかね?
まぁ、流石にTennoの私室位はどっかにあると思うんですけどねぇ。