ハリー・ポッターと灰の魔女   作:アストラマギカ

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第44章 ~帰還~

 

 地面に身体が叩きつけられる感触と共に、草いきれが私の鼻を満たしました。

 

「うえ……」

 

 すぐにでも何があったか伝えるべきなのに、身体が思うように動きません。安全なホグワーツに戻ったことで緊張の糸が切れたのか、これまでのショックや全力で走ったり魔法を使った疲労がドッと押し寄せ、船酔いでもしたかのような気持ち悪さが体中を満たします。

 

 

「イレイナ! イレイナ!?」

 

 2本の手が乱暴に私を掴み、力強く抱きしめられます。

 

「良かった! 気が付いたんだね? 本当に、無事でよかった!」

 

 涙ぐんだ声はお父さんのものでした。

 

「映像が途絶えてからずっと音沙汰が無かったから、何かあったんじゃないかと本当に心配したんだ! でも、無事に帰ってきてくれてよかった!」

「お父さん……」

「優勝おめでとう、イレイナ」

 

 すぐにでもヴォルデモートの復活を伝えなければいけないのに、セドリックの死も伝えなければいけないのに。お父さんに抱きしめられてから、体中の力がどんどん抜けていって。

 そのまま倒れてしまわないように、お父さんに掴まって、小さな手をぎゅっと強く握りしめました。

 

 

「あいつが復活しました。戻って来たんです――ヴォルデモート卿が」

 

 

 疲労困憊の私に代わって、ダンブルドア校長に状況を伝えたのはハリーでした。

 

 

「優勝杯が移動キーにされていたんです。僕たち3人は一緒に墓地に連れていかれて、そこでヴォルデモートが復活しました……セドリックは僕たちを助けようとして……」

 

「何事かね? 一体、何が起こったのだ?」

 

 コーネリウス・ファッジ魔法大臣が困惑した表情で現れ、後から次々に人がやってきました。

 

「2人とも傷だらけじゃないか! 早く医務室に連れて行ってやらねば!」

 

 ファッジ大臣は心配そうに叫んだあと、私たちを見てセドリックがいないことに気づきました。

 

「ディゴリー君はどうした? 彼も君たちと一緒に……」

「コーネリウス」

 

 ダンブルドアが険しい表情で告げました。

 

「ハリーが話してくれたところによると、優勝杯は何者かによって移動キーに改造されていたとのことじゃ」

「移動キーだと!? 誰がそんなことを……――いや、それよりディゴリー君は無事なのか?」

「急いで確かめに行かねばならぬ。警備についている闇祓いを数人ほど、同行させても問題ないかの?」

 

 いつになく厳しい声で告げるダンブルドアを見て、ファッジ大臣は動揺したように「わ、わかった!」と答えました。

 

「私とフランも行くわ」

 

 私のお母さんが名乗りをあげると、ダンブルドア校長は片眉を吊り上げました。フラン先生は「ええっ!?」と驚いたように叫びました。

 

「良いのかね? 場合によっては、君の古い友人たちと鉢合わせるかもしれぬ」

「ええ」

 

 迷いなく言い切ったお母さんを見て、ダンブルドア校長は「よかろう」と返しました。そのまま「私に選択権はないんでしょうか……?」とぼやくフラン先生をお母さんに丸投げし、集まって来た他の先生たちに矢継ぎ早に指示を飛ばします。

 

「アラスターは闇祓い達と共に、会場の見張りを頼む。ミネルバはセブルスと共に、試合会場に怪しい者が残っていないかを調べて欲しい。ポモーナとハグリッドは生徒たちを、フィリウスはアーガスと共に観客たちがパニックを起こさぬよう落ち着かせるのじゃ。エイモス・ディゴリーには――」

「私が話そう。同じ父親として、彼の不安に寄り添ってあげられるかもしれない」

 

 お父さんが立ち上がり、ダンブルドア校長が頷きました。

 

「僕たちは?」

「ハリー、君はイレイナと共にここでじっとしているのじゃ」

 

 ダンブルドア校長が矢継ぎ早に指示を出し、後には私とハリーが残されました。

 

 

 

「イレイナ!」

「ハリー!」

 

 大きな声に振り返ると、ドラコやダフネ、ロンたちが人混みをかき分けて駆け寄ってくるのが見えました。スプラウト先生とハグリッドの目を盗んで、こっそり抜け出してきたようです。

 

「大丈夫!? 何があったの!?」

「それは……」

 

「ヴォルデモートが復活したんだ」

 

 過程を色々すっ飛ばして結論から入ったハリーの言葉に、ダフネたちが思わずギョッと身を引きました。

 

「じょ……冗談、だよね?」

「冗談じゃない。セドリックも奴らに殺された」

「ちょっとポッター! 縁起でもない話は止めてよ!」

 

 怯えるダフネたちを庇うようにパンジーが食ってかかり、それから私の方を向きました。

 

「ねぇ、イレイナもなんか言ってよ。ポッターの話、どうせ嘘なんでしょ?」

 

 パンジーに答えようとしたところで、ムーディ先生がぬっと現れました。

 

 

「お前たち、こんなところで何をしてる? 誰が勝手に抜け出していいと言った?」

 

 

 ギロリと睨みつけるムーディにパンジーが慌てて口をつぐみ、バツの悪そうなスリザリン生たちに代わってハーマイオニーが答えました。

 

「先生、私たちハリーとイレイナが心配で来たんです」

「理由の方は聞いておらん」

 

 堂々と開き直ったハーマイオニーを、ぴしゃりと一喝するムーディ先生。

 

「さぁ、お前たちは先生たちのところへ戻れ。わしはこれから2人を医務室へ連れていく」

「ダンブルドア校長はここに残れと……」

「ここは安全ではない」

 

 ムーディ先生はそう言って私とハリーの腕を掴み、半ば引きずるようにして進みました。

 

「友情は結構なことだが、もし今さっき抜け出した誰かが『服従の呪文』で操られていたらどうする? これだけの人混みの中で、擦れ違いざまにお前たちの腹にナイフを突き立てることなど、さほど難しいことではない……」

 

 

 しばらく石段を登り、玄関ホールを横切ったところで、再びムーディ先生が聞いてきました。

 

「ハリー、闇の帝王が復活したという話は本当なのか?」

「はい」

 

 ハリーが答え、ムーディ先生が先を促します。 

 

「あいつは薬を作って、身体を取り戻した……材料はあいつの父親の墓にあった骨と、ワームテールの腕、僕の血……」

「さぁ、こっちだ」

 

 

 医務室は暗く、中には誰もいませんでした。

 

 

「ふむ、ポンフリーと入れ違いになったかもしれん。城の中は安全だ。しばらく、ここで待つのだ……」

 

 ムーディ先生は棚をゴソゴソとあさって薬瓶を取り出し、私たちの手にコップを押し付けました。

 

「飲むんだ。気分が良くなる……」

 

 薬は喉が焼けるような胡椒味で、私たちが飲み干したところでムーディ先生は再びハリーを見据えました。

 

「さぁ、ハリー、続けるのだ。あの場で起こったことを、儂は正確に知る必要がある」

 

 ムーディ先生は静かに聞きました。

 

「死喰い人たちはどうなった? やつらは戻ってきたのか?」

「はい……大勢戻って来ました」

「あの方は死喰い人をどう扱ったのだ?」

 

 ムーディ先生の声はいつになく静かで、いっそ不気味ですらありました。

 

「許したのか?」

 

 ハリーが頷くと、ムーディ先生は奇妙な表情を浮かべました。

 

「誰が死喰い人か、わしは知っている」

「カルカロフ?」

 

 僕が聞き返すと、ムーディ先生は歪んだ笑い声をあげた。

 

「カルカロフだと? 奴なら昨晩からダンブルドアの傍でずっと怯えている。腕についた闇の印が焼けるのを感じてな。仲間をあれだけ裏切った奴だ……だが、そう長くはもたないだろう」

「僕の名前をゴブレットに入れたのは、カルカロフじゃないの?」

「違う。あいつではない」

 

 ムーディ先生は言葉を噛みしめるようにして、ハッキリと言いました。

 

 

「わしがやったのだ」

 

 

 一瞬、ムーディが何を言っているのか分かりませんでした。

 

 

「違う……せ、先生のはずがない……」

 

 茫然とするハリーと私を、ムーディの「魔法の目」がぐるりと回って見据えます。

 

「別の学校の名前を使って『炎のゴブレット』にお前の名前を入れたのは誰だ? ハグリッドを唆してドラゴンを見せつけ、卵の謎をセドリックに教え、鰓昆布を屋敷しもべ妖精に与えたのは? ビクトール・クラムに『服従の呪文』をかけ、仕掛けを追加して忌々しいドローン・スニッチとやらの中継を妨害したのは誰だ? この俺だ」

 

 狂喜を帯びた瞳で畳みかけるように囁きながら、ムーディ先生の歪んだ口がますます大きくひん曲がっていきます。

 

「闇の帝王はお前を殺し損ねた。代わりに俺がやり遂げたら、どんなに褒めてくださるか……それに」

 

 ハリーを睨みつけていたムーディ先生の『魔法の目』が、今度は私に向けられました。

 

 

「お前もだ、セレステリア」

 

 その瞳には強い憎しみが宿っていました。ハリーに向けられていたものよりも、ずっと強い憎悪が。

 

 

「俺が何よりも憎むのは、自由の身になった死喰い人どもだ。あの方が一番必要としていた時に背を向けた、不実で役に立たない蛆虫ども……そんな弱虫どもと手を組み、あの方を裏切るように唆したお前の母親を、俺は絶対に許しはしない。お前が苦しみながら死んだと知った、あの女の顔が絶望に染まる様を見届けてやる」

 

 狂気の笑みを浮かべ、顔を輝かせるムーディ先生。

 

「俺だけが忠実であり続けた! あのお方のためにアズカバンに入る勇気も無かった、臆病な裏切り者どもとは違う!」

 

 ムーディ先生の普通の目が私を睨みつけ、「魔法の目」はハリーを油断なく観察していました。ドアには閂がかかっており、私とハリーが杖を抜いても間に合いそうもありません。

 

「闇の帝王と俺は、共通点が多い。2人とも父親に失望し、同じ名前を付けられるという屈辱を味わった。もうすぐ、俺も同じ楽しみを味わうことになる……自分の父親を殺し、闇の勢力の台頭を確実なものにするのだ!」

 

「狂ってる!」

 

 ハリーが叫びました。

 

「お前は狂っている!」

「俺が狂っているだと? 違うな、今に分かる――闇の帝王がお戻りになった今、どちらが狂っているか、やがて全員が知ることになる!」

 

 いよいよムーディの瞳は狂気を帯び始め、去年のシリウスさんを前にしたスネイプ先生のようになりました。

 

 

「貴様らは今夜、死ぬはずだった――だが、まだ生きている――だから俺が殺してやる!」

 

 

 ムーディ先生が高ぶった声で叫び、杖を振り上げて呪文を放とうとした、その時。

 

 

「ボンバーダ-砕けよ!」

 

 

 轟音と共に医務室の扉が爆発し、砕けた破片がそこら中に吹き飛びました。私とハリーはとっさに地面に身を伏せ、ムーディ先生の方も間一髪で回避してベッドの陰に隠れます。

 

 戸口にはロンとハーマイオニー、ドラコ、パンジー、ダフネ、ミリセント、ザビニが立っていて、さらにノットまでが青ざめた顔で杖を向けていました。

 

「やったか!?」

 

 爆破呪文を唱えたノットに向かって、返事代わりにムーディ先生の失神呪文が飛んできました。

 

「ああっ! ノットがやられた!?」

「落ち着けダフネ! ドラコ、攻撃を引き継げ!」

 

 ザビニが叫び、ドラコが「わかった」と頷きます。

 

「撃ちまくれ!」

 

 次の瞬間、皆の杖から次々に呪文が放たれました。

 

「ペトリフィカス・トタルス-石になれ!」

「スラグラス・エルクト-ナメクジくらえ!」

「エヴァーテ・スタティム-宙を踊れ!」

「デンソージオ-歯呪い!」

「リクタスセンプラ-笑い続けよ!」

「レヴィオーソ-浮かべ!」

「ファーナンキュラス-鼻呪い!」

 

 適当な呪文も数撃てば当たるとばかりに呪文を乱射するドラコたちでしたが、ムーディ先生は『盾の呪文』を展開していとも簡単に防いでしまいます。

 

「くっ……ダメだわ、『盾の呪文』が硬過ぎる!」

「だったら柔らかくすればいいだろ! もっと徹底的に叩いて!」

 

 ミリセントの謎理論にハーマイオニーは何か言いたそうな顔をするも、すぐに再びムーディ先生に向かって「ステューピファイ!」と失神呪文を放ちました。

 

「イレイナ、僕たちも加勢しよう!」

「ええ」

 

 ハリーと私も杖を抜き、呪文を唱えました。

 

「エクスペリア―ムス-武器よ去れ!」

「インペディメンタ-妨害せよ!」

 

 数を生かして呪文の弾幕を張り続ければ、たとえムーディ先生の『盾の呪文』を破れずとも動きを封じることはできます。後はこのまま、騒ぎを聞きつけた先生たちがやってくれば―――。

 

「ちっ……子供でも数が多いと厄介だな。反撃する暇もない。このまま時間稼ぎをされれば、不利なのはこっちの方か」

 

 どうやら、ムーディも同じ考えに至ったようでした。窓の外に目を向けて、ぐにゃりと顔が歪みます。

 

 

「闇の帝王は復活した! これからは新しい時代が始まる! お前たちは皆、いずれここで死ぬのだ!」

 

 

 高笑いしながら、ムーディ先生は自分に杖を向けました。

 

 

「オブスキュリフォース-オブスキュリアルとなれ!」

 

 ムーディ先生の身体から不気味な黒い霧のようなものが放出され、全身を包んでいきます。黒い靄に包まれたムーディ先生は煙のように飛び出すと、あっという間に窓ガラスを破壊して校庭から上空へと去って行きました。

 

 

 

 ***

 

 

 

 ムーディ先生が飛び去ってから、しばらくして息を切らしたダンブルドア校長ら先生たちがやってきました。

 

 めちゃくちゃ破壊された医務室と煤だらけになった私たちを見て、マダム・ポンフリーが叫びます。

 

「アラスター・ムーディ先生の仕業です! あの人は私を呼び出して『失神呪文』をかけました! 誰もいない医務室で、恐ろしいことをしようとしたんです!」

 

 ハリーも困惑気味に口を開きました。

 

「僕たちもムーディに殺されかけました。急におかしくなって、自分はヴォルデモートの手下だとか言って……ロンやハーマイオニー………………それから」

 

 ハリーは一旦そこで言葉を切り、唇を噛んでから――渋々といった感じでドラコたちに顔を向けました。

 

 

「マルフォイ達が来てくれなければ、僕たちは殺されていたかもしれません」

 

 

 ふいっと顔を逸らすドラコ・マルフォイ。

 

「別に……僕はポッターを助けたわけじゃない」

 

 そんなドラコに、ダフネたちは「ねぇ」と声をかけて。

 

「ドラコってさ、やっぱりツンデレなの?」

「そうなのよ、ほんとウチのドラコちゃんってば素直じゃなくてぇ」

「でも、そういう素直じゃないところも、ス・テ・キ♡」

 

「そこの三馬鹿はこういう時ぐらい黙ってなさい」

 

 普段の調子を取り戻したダフネ、ザビニ、ミリセントを、呆れ気味にたしなめるパンジー。いつものしょうもない会話に、私はどこかホッとして。

 

 そんな私たちを優しい目で見ながら、ダンブルドア校長は静かに言いました。

 

「ポピー、まずはそこに倒れているミスター・ノットを頼む」

 

 失神していたノットの命に別状がないことを確認した後、ダンブルドア校長は再び口を開きます。

 

 

「皆、よく聞くのじゃ―――君たちが見たというその男は、アラスター・ムーディではない」

 

 

 全員が困惑する中、ダンブルドア校長は腕を伸ばして呪文を唱えました。

 

「アクシオ!」

 

 しばらくして、大きなトランクが飛んで来るのが見えました。トランクには7つの錠前が一列に並んでおり、ハリーが首を傾げます。

 

「ムーディのトランク……?」

 

 ダンブルドア校長が一つずつ鍵に合わせてトランクを開いていくと、その度に違う中身が現れていきます。最後の鍵が錠前に差し込まれて蓋が開くと、中には地下室のような空間が見下ろせました。

 そして3メートルほど下の床に倒れていたのは、「魔法の目」と白髪の一部を失った、本物のマッドアイ・ムーディでした。

 

「失神術と服従の呪文、それに……」

 

 ダンブルドア校長はトランクから顔をあげ、医務室の床に転がっていた携帯用酒瓶を見つけると「呼び寄せ呪文」で手に取り、蓋を開けてひっくり返しました。

 

「ポリジュース薬じゃ」

 

 指先に落としたネバネバした液体の匂いを嗅いで、ダンブルドア校長が言いました。

 

「単純で、しかも見事な手口じゃ。ムーディは決して、自分の携帯用酒瓶からでないと飲まなかった」

 

 

 本物のムーディ先生をトランクの中から助け出し、医務室のベッドに横たわらせてから、ダンブルドア校長は呪文を唱えました。

 

「リナベイト-蘇生せよ!」

 

 本物のムーディ先生が目を開け、ダンブルドア校長が静かに聞きました。

 

「アラスター、聞こえるかね? 儂が分かるか?」

 

 ムーディ先生は瞼をパチパチさせた後、弱々しく呟きました。

 

「ダンブルドア……」

 

 校長先生が優しく言いました。

 

「話してほしい。誰がこんなことを?」

「……クラウチだ」

 

 ムーディ先生は深く息を吸い込み、再び口を開きました。

 

「父親の方ではない……アズカバンに入って死んだはずの、息子の方だ」

 

 ダンブルドア校長の表情が険しくなり、スネイプ先生とマクゴナガル先生の方を向きました。

 

「セブルス、君の持っている『真実薬』の中で一番強いものを持ってきてくれぬか。万が一ということもある……。ミネルバは厨房から、ウィンキーという屋敷しもべ妖精を連れてきて欲しい」

 

 

 2人に指示を出した後、ダンブルドア校長は私たちに向かって言いました。

 

「ハリーにイレイナ……君たちは、儂の想像を遥かに超える勇気を示した。自らを誇りに思うがよい。一人前の魔法戦士でも、君達のように振る舞える者はそうはおらぬ」

 

 さらにドラコたちを見て、ダンブルドア校長は微笑みました。

 

「君たちもじゃ。友のために機転を利かせ、勇敢に戦った。だが、今日のことは1日だけ秘密にしてほしい」

「秘密にして、僕たちに何のメリットがあるんですかね?」

 

 ドラコが生意気に返すと、ダンブルドア校長は「そうじゃのぅ」と考え込むようなフリをして。

 

「黙っていてくれれば、君たち1人につき30点を与えよう。明後日にはグリフィンドールが60点、スリザリンは180点が加算されることになる」

「………」

「もちろん、君たちがこっそりイレイナをつけて抜け出す隙を作るために、会場で騒ぎを起こしたミスター・クラッブとゴイル、ミス・デイビスたちもお咎めなしじゃ」

 

 ドラコが狡猾な顔で「そういうことなら」と引き下がった後、ダンブルドア校長は杖を一振りして破壊された医務室を元に戻し、私とハリーに言いました。

 

「ハリー、イレイナ。儂はこれから、ウィンキーを連れてバーテミウスに会わねばならん。詳しい話はその後にすると約束しよう。今日はここでゆっくり休むのじゃ」

 

 ダンブルドア校長が出ていくとマダム・ポンフリーが睡眠薬の入ったゴブレットを持ってきて、残っていた私のお母さんに渡しました。

 

「イレイナ、今日は私も一緒にいるわ」

「……はい」

 

 お母さんはにっこりと笑って、私が寝付くまで優しく髪の毛を撫でてくれました。

  




 この時点だと、まだドラコたちスリザリン生たちはヴォルデモート復活を知らないので、「イレイナが心配でこっそり後をつけてきたら、なんかヤバそうな叫び声とかが聞こえてきたので助けに入った」という感じです。

原作との違い
・セドリックの死体が確認できていないため、公式には「行方不明」扱い
・クラウチ・シニアは生存(表向きはテレワークという体裁で、実際には自宅軟禁中) 
・クラウチ・ジュニアは逃亡(ホグワーツでは「姿現し」できないため、映画版の死喰い人の飛翔術で逃亡)


オリジナル呪文『オブスキュリフォース‐オブスキュリアルとなれ』
・映画版で死喰い人が使ってた飛翔魔法のイメージ。黒い霧のような状態で移動できるが、ヴォルデモートの呪文と違って箒よりは遅い(ヴォルデモートの飛翔呪文は、ファイアボルトよりも速いとされるセストラルに追いつくレベルの速さ)。
・自身をオブスキュリアルに変身させるという特性上、動物のように思考力は低下しない。
・オブスキュラスを宿したり放出するには、精神的・肉体的な虐待の影響等で魔法を抑圧された怒りや苦痛が必要なので、「マグルのせいで(機密保持法を守るために)魔法を抑圧されている」という拗らせた被害者意識を負のエネルギーとして利用
・「姿現し」と違ってオブスキュラスなので、映画版6作目冒頭のように物理的な破壊も可能
・厳密に言えば完全なオブスキュリアルには変身できないが、クラムが「第2の課題」で身体の半分だけサメに変身させた状態でもエラ呼吸が出来ていたように、不完全な変身でも限定的であれば空を飛んだり物理破壊も可能(もちろん本物に比べるとスペックは大幅に低下)

 以上、色々と考えましたが、大目に見て頂ければ幸いです。
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