ハリー・ポッターと灰の魔女 作:アストラマギカ
ホッグズ・ヘッドでの集会からしばらくして、58名の生徒たちが「必要の部屋」に集まっていました。
当初こそひと悶着あったものの、やはり持つべきは友人です。知り合いの紹介とあれば、誰しも多少は警戒や猜疑心も薄れるというもの。友人の友人を介して~みたいな感じで一人ずつ説得に奔走した結果、最終的にはハーマイオニーが謝罪して呪いを一旦解除。その後、マリエッタさんらの強い推薦によって私が新しい魔法契約書を作成することとになり、ペナルティを明文化したした上で改めてサインしてもらうという形で、どうにか丸く収まりました。
そんなわけで後日、場所探しに悩んでいたネビルがたまたま見つけたという、「必要の部屋」に私たちは案内されました。
「ほえー、こんな所があったんですねぇ」
広々とした「必要の部屋」は、揺らめく松明に照らされていました。
壁際には何百という学術書が本棚に並び、椅子の代わりに大きな絹のクッションが床に置かれ、奥の棚には「かくれん防止器」やら「秘密発見器」に「敵鏡」なんかが収められています。
「素敵! これ『通常の呪いと逆呪い概論』だわ! こっちには『自己防衛呪文学』もあるし、『闇の魔術の裏をかく』に『呪われた人のための呪い』まで……!」
部屋に入るなりハーマイオニーは目をキラキラさせ、興奮気味に本を読み始めました。
「普通の町みたいな場所もあるんだ」
「市街戦を想定した演習場的な?」
ディーンとシェーマスは奥の方まで歩いて行って、マグルのベッドタウンみたいな住宅地エリアを観察中。
「でも、見つかって良かったね。ネビルのお手柄だ♪」
「あ、うん……ありがと」
ダフネは笑顔でネビルの肩をポンポンと叩き、ネビルは慌ててアンソニーの方を向きながら両手を上げて敵意の無いポーズを示します。
そんな感じでメンバーが部屋内に集まってきたところで、ハーマイオニーが仕切るように全員の前に立ちました。
「まずはリーダーを決めましょう」
すかさず、レイブンクローのチョウ・チャン先輩が答えました。
「ハリーがリーダーよ」
すると、ハッフルパフのザカリアス・スミスさんが胡散臭そうにハリーを見て、「いいや」と異を唱えます。
「エンドウ先輩がリーダーになるべきだと思う。最年長の監督生だ」
推薦を受けたハッフルパフ女子監督生のハルカ・エンドウ先輩は「さ、さいねんちょう……」とショックを受けつつ、「私は向いてないよ~」とエステル・ロストルフさんの方を向きました。
「監督生なら、代わりにエステルちゃんとかどう? 今のハッフルパフだと一番頭良くて強いし」
「あー、それはアリかも」
「ロストルフ先輩かっこいいもんねー」
何人かから賛同する声が上がり、部屋がざわついてきました。
「イレイナでも良くね?」
「むしろ年功序列ならグウェンドリン先輩が順当じゃないかな」
「リーダーシップ的にキャプテンのアンジェリーナが……」
ザビニにジャスティン、アリシア・スピネットさんなんかも口々に意見を言い始めました。
「私もやりたーい」
「ねぇ、貴方も立候補してみない?」
「君がそう言うなら……」
ダフネが無意味に立候補し、シャーリー・フォーセット先輩は彼氏のルカ・カルーソ先輩を煽っていきます。人数が増えるのは良いことですが、このままだと収拾が付かなくなりそうだったので――。
「じゃあ、ここは民主主義的に選挙で決めましょう」
私が提案すると、皆それで納得してくれました。それぞれが投票羊皮紙にリーダーにしたい人物の名前を書いて投票していき、公平で厳正な選挙の結果――。
「ジョンソン2票、ロストルフ6票、セレステリア19票、ポッター23票……」
よって――。
「リーダーは……ハリー・ポッター!」
ハーマイオニーが選挙結果を告げ、黒板に書かれたハリーの名前の横に、選挙によくある赤バラ当選シールを張り付けると、双子とリー・ジョーダンが「ばんざーい!」と両手を大きく上げて万歳しました。
一応はハリーが最多得票でリーダー就任ですが、地味に過半数割れしてるとか、数の多いグリフィンドールの組織票のおかげなんじゃないかとか言ってはいけません。我らがイギリスの伝統ある小選挙区制ではよくあること。
「では、次に……この組織の名前を決めるべきだと思います」
ハーマイオニーが提案すると、これまた色々な案が出てきました。
「反アンブリッジ連盟」
「魔法省はみんな間抜け」
「防衛協会」
アンジェリーナ、フレッド、チョウが最初に案を出し、ルーナやシェーマス、ザビニ、アーニー、ハルカ・エンドウ先輩、ダフネ、サヤさんが続きます。
「ハリーズ・エンジェルズ」
「ブラザーフッド・オブ・ユナイテッド・ハウス」
「魔法学校リベンジャーズ」
「10月のマーリン」
「新たな学園のフューラーズ」
「HGW58」
「灰色ウィッチーズ」
「私たちがやろうとしているのは、スーパーヒーロー連合でも音楽バンドでもありません!」
「戦闘的DADA改革連合・前衛派」
「自由学生解放戦線」
「救校革命最高評議会」
「統一母校再建運動」
「民主ホグワーツ同盟軍」
「真のダンブルドア同胞団」
「いかにもな学生運動とか軍事クーデター政権とか、テロリストっぽい名前も論外よ!」
ハーマイオニーが睨みを利かせて悪ノリしてきたパドマ、リー・ジョーダンさん、レイチェル・コーナーさん、ヘレン・ドーリッシュさん、アンソニー、ノットを黙らせると、ジニーが呆れ気味に口を開きました。
「
ジニーの提案に、グリフィンドール生から「いいぞ」という声が次々にあがります。
対して、我らがスリザリン生はと言いますと。
「いざって時にはダンブルドアのせいに出来るし、いい案かもね」
「それでアンブリッジとダンブルドアが潰し合ってくれれば、一石二鳥だしな」
割とクズっぽい理由で賛成多数。
「では、賛成多数で動議は可決! ダンブルドア軍団に決定! はい、議論終わり!」
ハーマイオニーが食い気味にまくしたて、組織の名前が決まりました。
◇◆◇
それから「ダンブルドア軍団」の活動が開始され、後ろに下がった私――ハーマイオニー・グレンジャーに代わって、ハリーが前に出る。
「じゃ、練習を始めよう。僕なりに考えたんだけど、最初に練習すべき呪文は『武装解除術』だ。かなり基本的な呪文だけど、これは役に立つ――」
「おいおい、勘弁してくれ」
ザカリアス・スミスが腕組みしながら、呆れたように目を天井に向けた。鼻先がちょんと上向いた、背の高いひょろひょろの金髪のハッフルパフ男子で、これまであまり話したことのない相手だ。
「さすがは英雄ハリー・ポッター、なんと人道的なんだろうか。死喰い人や例のあの人に対して、専守防衛で身を守るおつもりらしい」
思ってたより地味な呪文に不満があるらしく、皮肉っぽい薄ら笑いを浮かべている。しかし、ハリーは落ち着いた様子で言い返す。
「去年、僕は連中に対してこれを使って命拾いした」
「その話なら、僕も聞いている。もちろん君が相手を傷つけたくないというのなら、それは個人の自由だ。僕とて君の信条まで口を出すつもりはない。だが、それが絶対的に正しいと結論付けるのは、いささか性急過ぎやしないか?」
ロンがムッとした表情で言い返した。
「そんなに気に食わないなら、さっさと出てったらどうだい? 誰も止めやしないさ」
「これはこれは。またまたグリフィンドールらしく、勇ましい意見なことだ。反対意見は全て敵だと言うのなら、この集まりもアンブリッジの授業の二番煎じにしかなるまい」
小馬鹿にしたようにフッと鼻で笑い、やれやれとスミスは首を振る。
「誤解しないで欲しいが、なにも僕は君と敵対したいわけではない。ただ、僕たちも相応のリスクを負ってこの集会に出ている以上、それに釣り合うものを提供して欲しいと望んでいる――」
「ザッキーの奴、演説始めると長いんだよなぁ……」
「あまり責めないであげてください。かつて内なる真の力に目覚めたダークヒーローは、僕たちぐらいの歳になると、今度は綺麗事と偽善から目覚めてリアリストとなるものです」
「……ジャスティンさ、一応フォローしてるつもりなんだよね? ザッキーのこと煽ってるわけじゃないんだよね?」
アーニー、ジャスティン、リーアン達の生温かい反応を見る限り、どうやらハッフルパフ内でも持て余しているらしい。とはいえ、ゆるい仇名で呼ばれるぐらいには打ち解けているようだった。
「ねぇ、ザカリアスって普段からあんな感じなの?」
ダフネが隣にいたスーザンに質問すると、「割とあんな感じだ」という返答が返ってくる。
「人によって態度を変えることはなく、思ったことはストレートに伝え、曲がったことが嫌いで妥協しない……良く言えば我らがハッフルパフ寮の求める公平さ、正直さ、誠実さ、勤勉さを体現している」
「悪く言えば?」
「空気が読めない、無神経、潔癖で融通が利かない、といったところか。ああ見えて嘘を言ったり弱いものイジメするような奴じゃないから人として信用はできるが、謙虚さに欠ける点は早く治って欲しいものだ」
そしてザカリアスの演説が終わった頃合いを見計らって、イレイナが仲裁に入った。
「スミスさんの疑問はもっともな事だと思いますし、そうした疑問を素直に伝えてくれることも有り難いことだと思います。ちゃんと頭で考えながら参加してくれている証拠ですから」
物は言いようと言うけど、監督生になってからのイレイナは政治家しぐさに磨きがかかっているような気がする。
内心はどうあれ、表向きは対立する相手であっても顔を立て、気づけば内側に取り込む形で多様な意見を集約している。なるべく相手の面子を潰さないよう配慮しているから、どんな交渉や調整役も務まるし、その人脈を通じて様々な情報が自然と耳に入ってくる。
どれも今の私には欠けているものだけど、本気で魔法大臣になろうとするなら必要なものだ。
「そうですね……であれば」
イレイナは顎に手をやりながら呟き、ハリーに何か耳打ちした。
彼女の提案はハリーにとっても納得のいくものだったらしい。ハリーは「よし」と手を叩いて、皆の前で再び口を開いた。
「たしかに、ザカリアスの言う事も分からなくはない。ただ教室で昔やったように『武装解除術』の練習をするだけじゃ、たしかに面白くはないからね」
というわけで、とハリーが少し悪い顔になる。
「もうちょっと実戦を意識した、本格的な訓練をやろう」
***
――かくして2時間後。
耳に響くのは、ゼイゼイと荒い息を吐く自分の呼吸。頬が上気し、肌が汗ばむのが分かる。
「い……イレイナ、もう無理……」
心臓はずっと高鳴りを続けていて、ひたすら身体が熱い。
「おやおやぁ、この程度で音を上げるとは情けないですね。まだ出来るでしょう、ほら」
そんな私を、イレイナは目を細めて見下ろしている。口元に嗜虐的な笑みを作り、同級生が悶えている様を楽しそうに眺めていた。
「で、でも……」
「ダメです。あと一回でいいので、やってください」
「は、はい……」
あと一回だけ。あと一回だけなら、何とか。
そう自分に言い聞かせ、疲れ切った体を無理やり起こし、焦点がブレブレになりながら必死に杖を構える。
「エクス、ペリアームス」
フラフラになりながら放たれた武装解除呪文は、当然のように的に当たることはなく、あさっての方角に飛んでいく。それでも呪文が発動しただけマシな方で、隣にいたシェーマスは目の前で杖が暴発していた。
「はい、よくできました。今ので武装解除呪文30回×3セット、完了です」
イレイナの言葉に、ぐったりとして地面に倒れ込む。
「し、死ぬかと思った……」
全身からドッと汗が噴き出し、強張った筋肉がピクピクと痙攣する。
「そんな大袈裟な。ひたすら呪文を唱えるだけじゃないですか」
「筋トレとランニングの後にやる呪文の反復練習は拷問よ……人道に反するわ……」
クールで可憐な見た目に反して、イレイナの提案した訓練はゴリゴリの体育会系トレーニングだった。
ランニングのような有酸素運動と筋トレのような無酸素運動を交互に、最小限の休憩のみを挟みながら連続して行う。クィディッチ選手や闇祓いの間では『サーキット』と呼ばれているトレーニングで、前者なら箒に跨ってシュートという練習メニューが入り、後者なら『武装解除術』や『盾の呪文』といったメニューが入る。
「一対一の試合形式の決闘ならともかく、実際の戦闘は集団戦かつ長期戦になることも珍しくありませんからね。シーラさんの話だと、半日近くかけて張り込みしたり尾行してた犯人グループに気づかれて、そこから呪文の撃ち合いや箒チェイスに発展した挙句、首尾よく逮捕できても必要書類を書き終えるまでは家に帰れないんだとか」
たしかに戦う訓練である以上、それなりの体力は必要であることは知っていたが、いざやってみると思った以上にキツイ。
「でも、イレイナがこういうフィジカル面を重視したトレーニングをやるのは、ちょっと意外かも」
ジョージやケイティも同意する。
「まぁ、イレイナと言えば頭脳派みたいなイメージはあるしな」
「もっとこう、呪文のテクニックとか集団戦のゲームメイク的なものを重視した訓練になると思ってた」
しかし、彼女は気を悪くした様子もない。
「そういうのは、ある程度の基礎が身についてからですよ。息が乱れれば呪文を正しく唱えることもできませんし、難しい呪文を覚えてても体が動かなければ杖は棒切れでしかないですから」
そう言われると、ぐうの音もでない。
マグルの軍隊だって、新兵はまず体力トレーニングから始まる。続いて集団生活と集団行動を通じて規律と統率を叩き込み、全員が機械のように命令通り動けるようになって初めて、実銃を使った射撃訓練が許可される。
そして実際の戦場では、行軍と塹壕掘りと見張りが生活の大半を占める中、いきなり攻撃命令が出たり敵の奇襲を受けたりする。その中で自分が怪我をしたり親しい友人が死んでもパニックに陥らず命令を遂行し、極度のストレスを感じていても捕虜や住民を虐待したり酒やドラッグに溺れたりせず軍紀を維持しなければならない。
過酷な環境でも動けるだけの体力の上に、困難にあっても挫けないだけの気力が乗っかり、その上で冷静に合理的な最適解を見つけるための知力が要求されるのだ。
「しかし、だ」
再びスミス節がさく裂する。
「君の言うことは分からなくもないが、こんなに何度も繰り返す必要があるのかい?」
疲れもあって心なしか言葉の棘が抜けているスミスの質問に、イレイナは「もちろんです」と自信たっぷりに答えた。
「だって
現役シーカーで得意呪文というのもあるけど、現にハリーの方は涼しい顔で息も上がっていない。イレイナは流石に肩で息をしていたけど、呼吸は乱れておらず、時間をかけて狙えば的にも当てられるぐらいの余裕はある。
「極限状況で確実に呪文を唱えて敵に当てる唯一の方法は、それを何度も繰り返すことです。どんなにプレッシャーを感じていても、“この呪文ならもう1万回以上は唱えた”という境地に達すれば、まず間違えることはありません」
いざという時、呪文に失敗したり狙いを外す理由はシンプル。ただ単に練習が足りてないだけ。
「練習問題でずっと解けなかった問題は大抵、試験本番で急に解けるようにはなりません。逆に練習試合で何度も完璧に出来たプレーは、きっと試合本番でも同じように出来ます」
それからイレイナは、杖を使って空中に文字を書いた。
筋肉は裏切らない。練習は嘘をつかない。
ならば鍛えよ。さすれば与えられん――。
「2年生の時、私にマーカス・フリント先輩が教えてくれた言葉です。あんな脳筋ゴリラに論破された挙句、『杖十字会』体験入部の決闘試合で手も足も出なかったのは屈辱でした……」
悔しそうに、けれど懐かしそうにフリントについて言及するイレイナ。グリフィンドールから見たら嫌な敵プレーヤーだったけど、スリザリン選手だったイレイナにとっては良いキャプテンだったのかもしれない。
ちなみに『杖十字会』とは、19世紀の魔法使いルーカン・ブラトルビーによって創設された歴史ある招待制決闘クラブで、時計塔入口を拠点としている。
「フリントって、そんなに強いの?」
「はい。あの世代は卒業前にクィディッチ競技場で決闘トーナメントをやったみたいなんですけど、最終決戦は今でも語り草になってますよ」
イレイナがチラっと目配せすると、現役の杖十字会員だというアストリア・グリーングラスが語り始めた。
「強い力を求めていた1年次のわたくしにとって、当時のスリザリン寮で最強だったフリント先輩は憧れでしたわ……」
聞けば馬鹿の一つ覚えみたいに爆発呪文しか使わないものの、それを大火力で無言呪文の早撃ち連打がフリントの十八番だったという。それでいてチェイサーだから狙いも正確、フィジカルもあるので回避力高めで、無駄に体力があるから連戦でもスタミナ切れにもならない。
「ワンパターンのゴリ押しも、極めれば予測可能・回避不能となります。フリント先輩はボンバーダ、コンフリンゴ、エクスパルソのほぼ3つだけで、立ちはだかる敵をバッタバッタとなぎ倒していきました」
典型的な「一芸を極める」タイプで、もはや爆発というより絨毯爆撃あるいは艦砲射撃だったらしい。
「――かくしてフリント先輩は準決勝戦で、開心術で先読みしながら目くらまし術と姿現しによる奇襲で翻弄しようとしたジェマ・ファーレイ先輩を、決闘コートの上下左右前後を数分にわたって4次元爆撃して撃破しました」
戦い方が脳筋すぎる……。
どちらかというとテクニックや戦術を駆使するオールラウンダー型のジェマの戦い方にはシンパシーを感じていたから、なんというか同情を禁じ得ない。
「そしてオリバー・ウッド先輩がハッフルパフ監督生のアンネロッテ・カルーセル先輩に粘り勝ちし、決勝戦で立ちはだかりました」
杖十字会員として観戦していたアストリアが言うには、今でもその光景は鮮明に思い出せるという。
「ひたすら連続高速爆撃してくるフリント先輩の猛攻に対し、ウッド先輩はありとあらゆる防御呪文と回避呪文を駆使して防ぎ切りました。お互いの長所を潰し合う形となった戦いは長期戦と化し、ついには2人とも魔力切れに追い込まれました」
「おい、それってまさか……」
「周りも“さすがに引き分けかー”となりましたが、2人とも示し合わせたかのように無言で立ち上がり、拳を握り締め、そして」
―――ぶっ殺してやるぞ、グリフィンドォォォオルッ!
―――スリザリンなんかに負けるかぁぁぁああああッ!
「最後は正面から正々堂々、殴り合いで決めたそうです」
「男だ……」
「漢だな……」
「そして2人とも決闘ルール規定違反により、反則負けになりました」
「バカだ……」
「馬鹿が2人おる……」
ちなみに防御魔法特化のパーシーも優勝候補の一人ではあったものの、運悪く魔法解析と一撃必殺の強烈な魔法を得意とするペネロピーと当たってしまい、相性の悪さによって敗退していたらしい。
逆にペネロピーは典型的な後衛火力支援タイプだったため、次の試合では白兵戦を得意とするハッフルパフのコウタ・オオニシ先輩に瞬殺されたという。
(下手にすべての魔法を極めようとして器用貧乏になるのもダメだけど、得意な呪文に特化すると相性の良し悪しに左右されやすくなるから、この辺のバランスは難しいものよね……)
***
とまぁ、そんな感じでDAの活動が始まった。
ペーパーテストよりも自衛に重きを置くため、テクニックだけではなくフィジカルも鍛え、心技体をバランス良く揃えていくことを目指す。あれこれ呪文を覚えるというより、いくつかの役に立つ汎用性の高い呪文に焦点を絞って、それを徹底的かつ確実に習得していく。
覚える呪文も専守防衛をモットーに、まず「
――かくしてDAの運営は円滑に進み、かなり短期間のうちに大勢の参加者が実戦的な呪文を習得することに成功した。
ところがハロウィンを目前にして今までの復習に努めようとしたところ、またもやザカリアス・スミスが文句を言い出した。
「復習も悪くはないが、最近は少し活動がマンネリ化してはいないか? 気を引き締めるためにも、君たちはもっと何か新しい取り組みを始めるべきと思うが」
「「……」」
ハリーが真顔のまま固まり、イレイナは目を瞑ってゆっくりと深呼吸。あれはそう、「言い出しっぺなら、丸投げする前に一つぐらい提案出せや」とか「素人は黙っとれ――」とか思ってる顔だ。
ところが、スミスのKY発言で空気が張りつめた中、ふらっと爆弾を落としたのは意外にもアンソニー・ゴールドスタインだった。
「なら、ただ復習するだけじゃなくて、もっと
「どゆこと?」
ダフネが首をかしげて聞くと、アンソニーは部屋の隅にあった黒板にチョークでトーナメント表を書いていき、双子が「あっ」と声をあげる。
「そういう事か、頭いいな」
「燃えてきたぜ」
他の生徒たちも、そこでようやく意図に気づいたようだった。
つまり――。
「せっかくだし、僕たちも決闘トーナメントで誰が一番強いか決めてみないかい?」
ザカリアス・スミス
・原作ではハリー達3人から嫌われていたキャラ。ちょいちょい「なんでこんな奴が誠実さと公正さの寮であるハッフルパフに?」と疑問視されるキャラですが、一方で別に他人を騙したり裏切ったりイジメをしたりマグル生まれ差別をしている描写は特に無く、嫌味な人物だけど悪人ではないのかなぁと。
本作ではハッフルパフの美徳である、公平さ、正直さ、誠実さ、勤勉さ等が行き過ぎてKY、無神経、潔癖、頑固さといった負の部分が悪目立ちするキャラとして解釈。グリフィンドールの美徳である勇敢さや正義感が行き過ぎて目立ちたがりや傲慢さになったり、スリザリンの美徳である現実主義や同胞愛が行き過ぎてズルさや差別になったりするのの、ハッフルパフ版みたいな。
ダンブルドア軍団
・原作では29人ですが、本作では58人に倍増(※旧ポッターモアやハリポタゲーム作品等から名前を引用したオリキャラも多数おりますが、特に覚える必要はありません。民主主義ルートに舵を切ったイレイナさんの一人称視点なので、とりあえず顔と名前は知っているという描写)。
・原作小説で参加していないキャラは「キャラ名*」で表記。
・魔女旅キャラは「★キャラ名」で表記。
◆グリフィンドール(22名)
7年 - フレッド・ウィーズリー、ジョージ・ウィーズリー、リー・ジョーダン、アンジェリーナ・ジョンソン、アリシア・スピネット
6年 - ケイティ・ベル、フェイ・ダンバー*
5年 - ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー、ネビル・ロングボトム、パーバティ・パチル、ラベンダー・ブラウン、ディーン・トーマス、シェーマス・フィネガン、アリス・ランコーン*、エマ・ベイン*
4年 - ジニー・ウィーズリー、コリン・クリービー、★サヤ
2年 - デニス・クリービー、ナイジェル・ウォルパート*
◆ハッフルパフ(13名)
7年 - ハルカ・エンドウ*、グウェンドリン・ヘッジフラワー*
6年 - ★エステル・ロストルフ 、サリバン・フォウリー*
5年 - アーニー・マクミラン、ジャスティン・フィンチ=フレッチリー、ザカリアス・スミス、ハンナ・アボット、スーザン・ボーンズ、サリー・アン・パークス*、リーアン・セラーズ*、ミーガン・ジョーンズ*
3年 - レイチェル・コーナー*
◆レイブンクロー(14名)
7年 - ルカ・カルーソ*、スコット・サマーズ*
6年 - チョウ・チャン、マリエッタ・エッジコム、シャーリー・フォーセット*、ロルフ・スキャマンダー*、ヘレン・ドーリッシュ*
5年 - アンソニー・ゴールドスタイン、マイケル・コーナー、テリー・ブート、パドマ・パチル、リサ・ターピン*、マンディ・ブルックルハースト*
4年 - ルーナ・ラブグッド
◆スリザリン(9名)
5年 - ★イレイナ・セレステリア、ダフネ・グリーングラス*、ミリセント・ブルストロード*、ブレーズ・ザビニ*、セオドール・ノット*、トレイシー・デイビス*
3年 - アストリア・グリーングラス*、フローラ・カロー*、ナサニエル・ベイジー*