ハリー・ポッターと灰の魔女 作:アストラマギカ
その夜の晩餐は、僕――ロン・ウィーズリーにとっても楽しいものになるはずだった。
蛇に噛まれて怪我をしていたパパが退院し、魔法省でインターンをしていたハーマイオニーや、社会人のビルやパーシーも戻ってくる。お母さんはいつになく腕によりをかけて、盛大なパーティーが開かれる予定だったんだから。
**
ちょうど18時頃、インターンから帰ってくるハーマイオニーを迎えようと、ハリーと一緒に階段を降りた時の事だった。
「――ホグワーツを中退するだなんて、馬鹿なことを考えるのはやめるんだ。ましてや悪戯専門店のためだなんて」
決して大声ではないけど、半開きになった扉から聞こえたパーシーの声は、静かな苛立ちを含んでいた。
「馬鹿ってなんだよ」
「まさかアンブリッジのいる学校で1年無駄にするのが賢いって?」
返事はフレッドとジョージのものだった。
「どうしたんだろう?」
「さぁ」
思わずハリーと顔を見合わせ、こっそりとドアから覗き見る。部屋にはパーシーと双子が対面でにらみ合っていて、決闘でも始まりそうな雰囲気だ。
「開業資金はロックハート・エンターテイメントとGM社に融資してもらうそうだが、もし潰れたら負債と経歴に傷が残る。諦めるにしろリベンジするにしろ、茨の道だ」
フレッドとジョージは何か言いたそうな顔をしながらも押し黙る。パーシーは冷静な口調で続けた。
「誤解しないでもらいたいが、僕は別に悪戯専門店を開くこと自体に反対してるわけじゃない。ただ、
「それは……」
「普通に卒業して就職して、開業資金が貯まってからじゃダメなのか? あるいはゾンコの店で働いて、店主の後を継ぐのでもいい」
「それじゃ……遅いんだよ」
ジョージが弱々しく反論する。
たしかに、パーシーの言う通りにすれば堅実に開店できるだろう。でも、その頃にはフレッドもジョージも相当いい歳だ。誰かと結婚して、子供だっているかもしれない。違う理由でリスクを背負えなくなる。
「2人がなりたいのが弁護士事務所だとか、開業癒のような専門職であれば話は違う。けれど、悪戯専門店のようなニッチな店は、好きだからなりたいで食える仕事じゃないんだ」
「わかってる。わかってるけど……!」
「せめて自分で開業資金を貯めてからなら、もし潰れても借金は残らない。それに前職で中途採用してもらえるだけのスキルと実績と人脈を作っておけば、失敗してもキャリアをやり直せる」
フレッドが噛みついた。
「けどさ、失敗することばっか考えてたら、成功するもんも成功しなくなるだろ。精神論っぽい自覚はあるけど、端っから失敗するって決めつけるのは違うと思うぜ」
「いいや、失敗する前提で話さなきゃダメだ」
やけにハッキリと、パーシーは断言した。
「誰だって最初は失敗する。最初の1回で成功できる人は半分以下だし、運よく1回目が成功しても成功し続けられる人はもっと少ない。作家としてあれだけ成功したロックハート先生だって、1回は会社を潰した」
「でも、ペネロピーのいるGM社は……」
「まだ設立から3年も経ってない。パーキンソン総研の経済レポートによれば、イギリスで新規開業した企業の5年後の生存率は半分ほどだそうだ。厳しい結果になってから、“趣味のままにしておくんだった”と後悔しても遅い」
国際魔法貿易基準機構長を務めるだけあって、その言葉には重みがあった。たとえ彼女が成功してようとも、あくまで冷静に事実を述べるパーシー。
「悪戯グッズの開発が君たちにとって一番幸せな時間だってことぐらい、僕も含めて家族の全員が知っている。だから、今まで通り趣味のまま続けるというのなら反対はしない」
黙り込む双子にパーシーが言葉を続ける。
「OWL試験の成績は酷かったけど、2人とも地頭が悪いわけじゃない。性格だって社交的だから普通に就職すれば、同僚とも上手にやれるだろう。後は好きな相手と結婚して子供を育てて、趣味か副業の範囲内で悪戯グッズを開発したり通販で売ったりすれば……地味かもしれないが、末永く平和な『普通』の幸せが手に入るんだ。父さんや母さんだって安心する。そういう道だって、君たちは選べるんだ」
「ッ――」
「わかってる……!」
それ以上、双子が返す言葉は無かった。苦しそうに舌打ちして、僕たちとは反対側の扉から逃げるように出ていく。残されたパーシーは疲れたように深呼吸して、ぐったりとソファにもたれかかった。
**
そっと扉から離れる。廊下を歩く最中、ハリーも僕も無言だった。
(たぶん……パーシーの話は、大人として正しい)
フレッドとジョージも、きっと心のどこかでそう思ってしまったんだろう。
だから、この場にはいられなかった。もしこの場に残れば、きっとパーシーの語る正論に飲み込まれてしまう。嫌がらせでも何でもなく、本気で2人の将来を考えてるからこその厳しい言葉に。
それが分からないほど子供じゃなくて。
でも、割り切れるほど大人でもなくて。
(パーシーは思い込みや無理解で、フレッドとジョージの夢を奪おうとしているわけじゃない……)
むしろ家族の一員として2人のことをよく理解した上で、けれど現実はそれほど甘くないことも知っていて――その上で、どうすればフレッドとジョージが一番幸せになれるのか、極めて現実的で合理的に考えている。
何より――僕自身、一瞬だけ想像してしまった。パーシーが語った「普通の幸せ」のイメージは具体的で、フレッドとジョージが選ぼうと思えば、きっと選べる未来だ。パパやママだって、普通に安心して喜んでくれるはず。
だから、怖くなったんだろう。真面目に考えれば考えるほど、どんどん平凡に染められていくことが。けれど「ありきたり」に絡めとられてしまうことが、必ずしも不幸になるとは限らないってことに。
――そして翌日、フレッドとジョージは出ていってしまった。
◇◆◇
「むやみに“好き”とか“自由”って言葉さえ掲げておけば、無責任な選択でも許されるわけじゃないんだよ」
やたら酸っぱいペアリングの白ワインをごくりと飲み、僕――パーシー・ウィーズリーは考えるより先にそう口走っていた。言い終わってから「今日ちょっと酔ってるな」と自覚するも、妙に喉の渇きが止まらない。
「あのさ、パースはちょっと忘れてるみたいだけど」
テーブルを挟んで向かい合ったペニーはナイフを動かす手を止め、目を細めてじろりと僕を見た。
ボリュームのある金髪ロングヘアに深い群青の瞳、陶器のように白い肌と彫像のような目鼻立ち、ブラウスの上からでも分かるほど抜群のスタイル。北欧神話に出てくる戦乙女と言われたら信じてしまいそうな風貌だけに、不機嫌になるとかなり迫力がある。
「目の前にいる私は、まさに無責任な選択をしちゃったわけで」
「そういう意味で言ったんじゃない。あくまで一般論としての話だ」
「そうなんだ」
ペネロピーは明らかに納得していない表情で目を伏せ、フォークを器用に使ってスズキのポワレにヴェルモットソースを絡める。それを上品に口に運んでゆっくりと咀嚼し、ナプキンをそっと唇にあててから、やけに慣れた仕草でくるっとワイングラスを回す。小さくワインを飲むと、濡れた唇が宙に浮かぶ蝋燭の光に照らされて艶めかしく光っていた。
その優雅な仕草に見とれると同時に、何とも言えない痛みが胸をチクリと刺す。
高級フレンチでもオペラ劇場でも初めてキスをした時も、ペニーはいつも落ち着いて手際が良かった。逆に僕はというと、ペニーと付き合うまで「隠れ穴」とホグワーツ以外の場所でどう振舞えばいいのかなんて、考えたことすら無かった。
だから、その時になって急に取り繕っても、埋めがたい経験の差が表れてしまう。さっきもウェイターが皿を下げたタイミングで、ソースがあちこち飛び散ってる自分の皿に比べて、ペニーのそれが綺麗なままなのに気づいてしまった。
年齢は変わらないはずなのに、どこで高級店でのテーブルマナーを覚える暇があったのだろうか。取引先のエリートビジネスマンか、半年で別れたという元カレか、あるいはGM社の同僚になったシリウス・ブラックかもしれない。
ざわつく気持ちから目を逸らすように、再びフレッドとジョージの件に話を戻す。
「たしかに君たちが起業したGM社は成功した。大成功だと言ってもいい。でも、身近に成功例があるからといって自分たちも上手くやれるなんだなんて、世の中はそう甘くない」
そう、世の中は甘くないのだ。まるで自分に言い聞かせるように、白ワインを一口大きく飲む。
その証拠にホグワーツを首席で卒業して魔法省のエリートコースに入っても、朝から晩まで働き詰めで給料も正直なところ割に合わない。だというのに、仕事中にジュースを飲んだだけで市民にクレームを入れられたりする。
今日もクリスマス期間だというのにアメリア・ボーンズ執行部長に呼び出され、外資系企業の進出増加に伴う経済安全保障上の懸念について徹底的に詰められた。「じゃあ、執行部が自力で『例のあの人』を倒してくださいよ」と喉まで出かかった皮肉を何度も飲み込んで、ようやく説得できたのがデートの20分前のことだ。
急いでデスク周りを片付け、着替えする時間もなくスーツ姿のまま待ち合わせ場所に「姿現し」すると、店の前でペニーが待っていた。
黒のシアーブラウスに白のスリットスカート、ミドルヒールの本革アンクルブーツという格好で、メイクもヘアセットも念入りにされている。
会うごとに垢抜けていく彼女を見る度、胸の奥の柔らかい部分がギュッと掴まれるように痛んだ。
――ペネロピー・クリアウォーターと付き合い始めたのは、ホグワーツ6年目からだった。
入学当初は「眼鏡をかけた大人しそうなマグル生まれの女子生徒」という印象だったペニーも、5年生になる頃にはすっかり華やかな雰囲気になって、グリフィンドール男子の間でも「オレ、最近クリアウォーターのこと気になってんだよね」みたいなのが次々に出てくるようになった。
けれど、垢抜けたことで態度がころっと変わってしまう同世代も少なくない中、ペニーは落ち着いていて謙虚なままだった。監督生としても真面目に仕事に取り組み、随所で見せる有能さ、僕は少しずつ惹かれていった。
お調子者のジェマ・ファーレイが僕をからかう度にペニーがたしなめていたことがキッカケで、少しずつ2人きりの会話も増えていき、勉強会や食事へと変化するまで半年ほど。5年目が終わって夏休みが始まる頃には、自然と周囲からもカップル扱いされるようになっていた。
6年目にホグワーツで2人きりのクリスマスを過ごした時は、現実味が無さ過ぎて夢でも見ているんじゃないかと思うほどだった。7年目に2人一緒に首席に選ばれた時は、監督生仲間がわざわざ『三本の箒』の2階を貸し切ってパーティーを開いてくれて、今でもそのことを思い出すだけで守護霊を作れるほど幸せな思い出だ。
けれど、卒業してから――いや、その少し前からペニーは変わり続けていた。
彼女が悪友のファーレイに誘われて「一緒に起業する」と言い出した時、最初は正気を疑った。
ホグワーツ首席ともなれば、魔法省はもちろんのこと、純血名家が経営するような大手の財閥でも引っ張りだこのはず。魔法省のような安定した職場でエリートコースに乗るほうが、身ひとつで起業するよりも遥かに現実的だというのに。
何より、ペニーと一緒に魔法省で働けることを、密かに楽しみにしている自分がいた。
けれど、実際に僕がペニーに言ったことは、作り笑いを浮かべて「応援している」という心にもない言葉。早い話、恋愛に不慣れで気も利かないくせに面倒くさい彼氏だと思われて、彼女に嫌われることが怖かったからだ。
正直、GM社のコンセプトは魅力的だった。皆で新しい商品を開発し、それが社会で売れてお客さんが喜んでいるのを見た時は、試験勉強で得られるのとはまた別の充実感があった。
それでも、最終的に僕が選んだのは「安定」だった。
若気の至りで判断を誤ってはいけないと冷静に諭す自分の声に従い、彼女の誘いを断ったのだ。どうせ学生の起業なんて大半は上手くいかないし、いずれペニーも考え直すだろう……という暗い期待は、意外にもGM社の成功によって裏切られることになった。ペニーは大金持ちになったばかりか、一気にエリートの仲間入りを果たしたのだ。
たとえGM社がたまたま良いスタートを切れただけで、ペニーが社長といっても実際は調子のいい個人事業主レベルの収入しかなかったとしても。それでも彼女のいる世界は、僕からすれば間違いなく「上流階級」だった。
ペネロピー・クリアウォーターは20代そこそこにして、遙かに多様な人間に接し、多くの経験を積んでいた。自分が会ったこともないような貴族が、彼女の周りにはひしめいているようだった。仕事が順調だという話を聞くたびに、安定を選んだ自分の選択が間違いだったような気がして、これまで感じたことのない嫉妬や独占欲、焦りと劣等感で、胸の内側がズキズキと痛んだ。
「……パーシー?」
黙っている時間が長かったからか、ペニーが不安そうな顔で聞いてくる。何か返した方がいい、と他人事のように思いつつ、うまく言葉が出なかった。
◇◆◇
気まずさの残ったデートの後、僕はペネロピーをロンドン郊外のリッチモンドまで送った。マグルの富裕層が大勢住んでいる小綺麗なタウンハウスを見ると、心惹かれると同時にえも言われぬ羞恥心に襲われる。
(マグルたちも、まさかこんな所に魔女が紛れ住んでるとは夢にも思わないだろうな……いかにも魔法使いの住んでそうな、違法増築まみれの『隠れ穴』とは大違いだ)
手を振って別れたペニーの後ろ姿を別世界から眺めるように見送り、グリモールド・プレイスに戻る頃にはワインの酔いも抜けてくる。
スーツを脱ぎ、入浴の前に水でも飲もうとダイニングへ向かうと、中からジョージの声が聞こえてきた。
「――ビル、俺たちのことは弟だと思わないでくれ」
一気に酔いが醒め、気になって覗き込む。ビルとテーブルを挟んで向かい合うような形で、フレッドとジョージが真面目な顔をしていた。
「客観的な意見が聞きたいからさ……ちょっと見て欲しい」
フレッドがテーブルに広げたのは、そこそこ枚数のある書類一式だった。
「これ、まさか、事業計画書かい……?」
ビルが目を見開く。予想外の流れに、危うく僕まで声を漏らしそうになる。
「家出したって聞いてたけど……ひょっとして、これを作るために?」
「まぁ、そんなとこ」
「それでも正直、かなり骨が折れたぜ。半日で終えるつもりが、気づいたら夜までかかって家出になっちまった」
あまりの行動力に、さすがのビルも開いた口が塞がらないといった顔だ。
「といっても、所詮はGM社とロックハート・ストリーミング社の見よう見まねだけどな」
「業績予測がこんな面倒だって知ってたなら、『数占い』の授業もっと真面目に聞いとくんだった」
双子は何でもない風を装っているけど、何度も瞬きして話すスピードも少しだけ早い。ものすごく必死に作ったのであろうことは痛いぐらい伝わってくる。
ビルもそれを感じ取ったのか、それ以上の追求を止めて計画書を手に取った。
「そうだね……」
計画書をめくる度、ワイルドな雰囲気が徐々に冷徹な銀行員の顔になる。
「すごく勢いがあるのに、不思議と成功しそうな安心感もある。何よりワクワクする感じが好きだな。もし本当にこの店がダイアゴン横丁にあったら、きっと気になって立ち寄っちゃうね」
双子の反応を見る。フレッドは今にも怒りそうなぐらい真剣に、ジョージは泣き出しそうなぐらい切実な表情をしている。2人は無言のまま、ビルに言葉を続けるよう促した。
「はっきり言って、学生が作ったとは思えない出来だ。兄の欲目を差し引いてもね」
「学生じゃなくて、社会人が作ったものだったら?」
ジョージが覚悟を決めたように聞く。ビルは「まぁ、そう来るよね」と苦笑して、諦めたように告げる。
「――そうだね、正直なところグリンゴッツから融資するのは厳しいと思う。仮に何かを担保に入れて資金調達できたとして、2年も持たないかもしれない。きっと」
フレッドの唇が何か言いたそうに開いて、また閉じる。ジョージの方はほとんど潤んだ瞳でビルに先を促した。
「通販の販売実績があるから商品の需要や事業見通しの説得力が違うし、ゾンコの店でバイトリーダーをしてた経験も評価できる。けど、たとえば取引先のところ」
ビルが指で紙をトントンと叩く。
「安定した仕入れルートが確保できてない。在庫を抑えてコスト削減するのはいいけど、実店舗で販売するなら品切れのリスクがある。改めて通販の販売実績を見るとムラが大きいのも、そういうことなんだろう?」
フレッドが力なく頷いた。
「おっしゃる通りで。まとめて発注したり、安売りの時にまとめ買いしてコストを抑えてた」
「商品数の多さで顧客を飽きさせない工夫が上手くいったのも、そうした工夫の積み重ねだと思う。けど、それは少量の通信販売に最適化されたビジネスモデルだから――」
「「それじゃ店は開けない」」
双子が同時に認めた。
「そうだね」
ビルも小さく頷く。
ダイニングに沈黙が降り、そして。
「はぁ~~~~」
フレッドが大きな溜息を吐いた。
「やっぱダメかぁ……なんかパーシーの言った通りになってて頭くる。現実は甘くないわー」
「けど、ビルにこれだけダメ出しされるんなら、グリンゴッツの小鬼たちに見せたらもうボロクソに言われるんだろうな」
清々とした顔でジョージが笑う。
「いやいや、独学で事業計画書を作ってプロの銀行員に持ってくる生徒なんて、充分に頭おかしいと思うけどなぁ」
ビルは呑気に「ははは」と笑う。
「自分でプロとか言うな」
「頭おかしいもな」
「だって、どっちも本当だし」
**
ちょうどそこで廊下の奥から父さんの足音が聞こえてきて、逃げるように部屋を後にする。自室の扉に鍵をかけると、へなへなと地面にへたりこんだ。
どうして。
フレッドとジョージも。ペニーだって……たどり着けるかどうかも分からないゴールに、それ以外の道がないように当然のような顔をして、ひたすら苦労して歩き続けられるんだ。
言いようのない感情を無理に飲み込むと、無性に泣きそうな気持ちに襲われる。
――きっと羨ましいんだ、僕は。
別に、今までしてきた選択を後悔してるわけじゃない。むしろ自分はしっかりと将来について考えていたから、やってきたことに無駄なことなんて一つもなかった。
ただ、思い返した時に記憶に残るような情熱がどこにも無いことに、どこか寂しさを覚えている。
ああなりたいとはちっとも思ってないはずなのに、心のどこかで双子の弟たちや恋人のような、何かに熱中できる人生に惹かれている。危険を避けて安全ばかり追い求めた道は、障害物もカーブも無く平坦で、振り返ってもなんだか味気ない。
たぶん僕も、一度ぐらいはなってみたいんだろう。後から振り返ってみた時、出来るかどうかではなく――他でもない僕自身がやりたいからこそ、この手で掴み取ったものがあるのだと。
そう、誇れるような自分に。
原作と違ってパーシーがウィーズリー家に残ってるので、悪戯専門店を開こうとする双子を全力で止めるの回。いくらハリーが資金援助してくれるとはいえ、「いや残り1年なんだし、そんぐらい我慢して卒業しなさいよ」と常識的なことを言うパーシー。
と思いきや、なんやかんやで起業するような人間はビル・ゲ〇ツしかりスティ〇ブ・ジョブズしかりイー〇ン・マスクしかり、常識にとらわれず謎の自信で中退して成功してますしね。
原作だとフレッドとジョージも6巻で悪戯専門店を成功させてますし、たぶん同じ人種じゃないかな。
むしろ堅実に人生設計してそこそこエリートにはなってるけど、ぶっ飛んだ成功者を間近で見てるパーシーとかの方が「なんでやねん……」と悩み深そう。