ハリー・ポッターと灰の魔女   作:アストラマギカ

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※本作のファッションに関しては、映画版ハリポタもしくはファンタビ仕様の比較的マグル寄りでイメージしております。
 海外のファンサイトなんかも調べたところ、冠婚葬祭などでは伝統的な服を着るが日常的には実用的なマグルの服を着る(純血主義者を除く)、若者ほどマグル寄りで年配ほど伝統的な服を着る、らしいです。
 異論等もあるかもしれませんが、大目に見て頂ければ幸いです。


第13章 ~ホグズミード~

           

「じゃあ、まずはヘアサロンに行こっか」

 

 ダフネが先導して私たちは大通りの喧騒からちょっと外れた場所にある、隠れ家的なお洒落サロンに辿り着きました。

 

 

 ガラス張りの外装からのぞく店内は、白樺を使ったフローリングを暖かい暖色系のライトが照らし、若いカップルやマダムな魔女たちが順番を待っております。

 

 あんまりこういう場所に慣れてなさそうなロンやルーピン先生が、思わず気後れするのが見て取れました。

 

 

「ホグズミードにこんな場所あったんだ……って、あれっ!?」

 

 突如、ロンが目を丸くします。視線の先にはガールフレンドのペネロピー・クリアウォーターさんと一緒にいるパーシー・ウィーズリーさんが、弟に負けず劣らずの驚き顔で口をあんぐりさせておりました。

 

「パーシー!? こんなところで何してんの!?」

「ロン!? どうしてここが……」

 

 何が気恥ずかしいのか、もごもごと「僕が興味あるとかじゃなくて」とか「決してカッコつけようと思ったわけでは」などと言い訳がましく弁明するパーシーさんに、ペネロピーさんは苦笑して。

 

「こんにちは、ロナルド君。パーシーは私が誘ったの」

 

 さりげなくペネロピーさんがフォローすると、パーシーさんは「そ、そうなんだ!」と分かりやすく話を合わせます。

 

 

 ロンが「ふーん」みたいな顔でパーシーさんをじろじろ見ている間、私はペネロピーさんに近づいて言いました。

 

「今日はデートですか?」

 

 輝く金髪をふんわりと軽めに巻いたペネロピーさんは、ボルドー・レッドのベレー帽にすっきりしたムートン・ダッフルコートをタートルネックのセーターに合わせ、フレアスカートにストッキングとムートンブーツという、冬らしい可愛らしさのあるファッションです。

 

 

「うーん、どうだろ……状況次第?」

 

 曖昧に笑うペネロピーさんの視線の先には、インナー用らしきチェックシャツにジーンズ、そして真ん中にデカデカと『P』というロゴの書かれたオリーブグリーンのセーターを着こんだパーシーさん。

 

「え、変かい?」

「別に変ではないんだけど……」

 

 どう考えても適当に着てきた感が否めない……という喉まで出かかった言葉を呑み込むペネロピーさん。

 

 まぁ、パーシーさん的には単に「ホグズミードに買い物に来た」だけなのかもしれませんが、彼女の方は「交際相手と休日にショッピング」という状況をもう少し意識して欲しい、みたいな感じなのでしょう。

 

 とはいえ、いわゆる()()()()をあからさまに伝えるのも、それはそれで女の子的には言いづらく。

 もちろん私たちも口に出せるはずも無く、どうやって切り込むべきか考えていると。

 

 

「くそっ、じれったいわね……」

 

 

 女の子っぽい良い匂いと共に、サラッとしたツヤのある黒髪をセミロングにしたジェマ・ファーレイ先輩がすっと背後から現れました。

 

 インディゴブルーのデニム地のスキニーパンツにシックなオリーヴ色のモッズコート、シンプルなVネックの白いチュニックからは黒いキャミソールの紐がのぞき、カッコいい系セクシーな魅力が際立っています。

 

 

「私、ちょっとやらしい雰囲気にしてくるわ!」

 

 

 ダッと駆けだそうとしたファーレイ先輩でしたが、後ろからにゅっと伸びてきた別の手に襟をむんずと掴まれ、「ぐえっ」と可愛くない悲鳴が漏れます。

 

 

「あ、アンネロッテ先輩」

 

 ファーレイ先輩を引っ掴んだのは、横髪を伸ばした緑色のミディアムヘアを赤いヘアピンで留めた、紫色の瞳をしたプロポーションの良い女性――ハッフルパフ7年で監督生のアンネロッテ・カルーセル先輩でした。

 

 私もそれほど親しい訳ではないのですが、ペネロピー先輩とファーレイ先輩から紹介されて「友達の友達」ぐらいの距離感で話せる関係ではあります。

 

 

「やぁ、イレイナさん」

 

 気さくに返したアンネロッテ先輩は、学校指定の冬用ローブを羽織っているものの、内側は黒いノースリーブのタートルネックシャツに白いベスト、黒のショートパンツにストッキングとハーフブーツという格好で、こっちも中々に身体のラインを強調したコーディネート。

 

 体型は見たところ、ペネロピー先輩とファーレイ先輩の中間ぐらいでしょうか。

 

 7年の先輩たちの中で一番の美人は誰かという話になった時、ファーレイ先輩とペネロピー先輩と共に必ず候補にあがるのがアンネロッテ先輩。

 ペネロピー先輩が垢抜けてきた癒し系おっとり優等生タイプだとすれば、ファーレイ先輩は愛想が良くてルックス抜群だけど小悪魔なとこもあるマドンナ、アンネロッテ先輩はカッコいい可愛い頼れるイケメンお姉さんタイプです。

 

 

「ファーレイ先輩も、アンネロッテ先輩も何してんですか……」

 

「さっきまで、カフェで一緒に休日デートしてたんだけど」

「首席コンビのデートを見つけて、尾行したら面白そうかなと」

 

 

 要するにストーカーというわけですね。

 

 

 そんな話をしていると、ペネロピー先輩たちも野次馬の存在に気づいたようで、パーシーさんが不思議そうな顔で近づいてきました。

 

 

「二人とも、どうしたんだい? さっきから僕たちをジロジロ見て」

 

「どうって、それは」

 

 アンネロッテ先輩は紫色の瞳を吊り上げて。

 

「……ミスター首席くん、この際だから聞いておくけど、その服を着てくる前にちょっと悩んだりはしなかった?」

「ペニーも気にしてたけど、そんなに変なのかい?」

 

 パーシーさんが首をかしげると、アンネロッテ先輩は「こいつマジで言ってるのか……」みたいな感じで大きな溜息を吐きました。

 

「今日の服、どうせクローゼット引っ張って一番上にあったから“まっ、これでいっか”みたいな感じだったんじゃない?」

「え、僕いま開心術使われた?」

「お願いだから今のはボケだと言って……」

 

 頭を抱えるアンネロッテ先輩に、ファーレイ先輩も「はぁ~」とわざとらしくかぶりを振って。

 

「まぁジーンズとワイシャツは良いとして、そのセーターどこのメーカーよ?」

「そ、それは企業秘密……」

 

 ぼそぼそとパーシーさんが呟き、何故かロンまで耳を赤らめています。

 

 

「いい? パーシー的には単にショッピングと食事しに来ただけかもしれないけど、彼女と来る時は何があってもいいように準備しておくもんよ」

「準備って?」

「そりゃあ、良い感じに酔ったところで‟ちょっと休憩できるとこ寄ってかない?”みたいなノリで二人っきりになるじゃん?」

 

 ペネロピー先輩が顔を赤らめ、アンネロッテ先輩は思わせぶりな含み笑いを浮かべ、ファーレイ先輩が妖しく囁きます。

 

「で、お部屋を探検してたらピンク色の玩具が見つかっちゃう訳で。遊んでいる内に2人の恋人は肌を――」

「いま完全に理解した! 僕が悪かった! だからそれ以上はやめるんだ!」

 

 パーシーさんが顔を真っ赤にして叫び、ファーレイ先輩の声をかき消していきます。

 

「分かったよ……ぼく、服、買う」

「それでこそペニーの彼氏だ」

 

 先輩2人に押し切られたパーシーさんを見て、ペネロピーさんは「まぁまぁ」と口では言いつつも小さくガッツポーズ。

 

 推測ですが、たぶん「前から実は服装も含めて色々と気になってたんだけど、面倒な女だと思われたくなくてずっと黙ってた」的なパターンじゃないんでしょうか。

 

 

 **

 

 

 ――そんなこんなで。

 

 

「ほら、ルーピン先生も座ってください」

 

 場違いなんじゃないか感を醸し出すルーピン先生をパーバティさんが椅子に座らせ、野次馬参加してきたアンネロッテさんやファーレイ先輩たちと一緒に、店に置いてある雑誌と見比べながら髪型の相談をしていきます。

 

「アップバングとかどう?」

「案外、ポニーテールも似合うと思う」

「攻め過ぎじゃない? 軽めオールバックのツーブロックが無難だって」

「あるいはソフト七三とか」

「それあるかも!」

 

 ロンやルーピン先生が謎の呪文を聞いているような顔をしている中、最終的にはビジネスマン定番のソフト七三で整えることに決定しました。

 

 

 ちなみに魔法族はハリーの様に坊主にしても一晩で髪が元通りになったりする体質の人も多いため、こうした魔法使い専用のサロンでヘアアレンジをするのですが、カットするだけでなく魔法で髪を伸ばしたりすることも出来たりします。

 

 

 

「私の髪の毛って、後ろから見るとあんな……」

 

 隣ではハーマイオニーが手鏡越しに、置き鏡に映った自分の後ろ姿を見て軽くショックを受けていました。

 

 

「あら、グレンジャーってば今まで鏡見たことなかったの? それ女子として終わってんじゃない?」

 

 ここぞとばかりにパンジーがせせら笑うと、ハーマイオニーは即座に「あぁん?」みたいな喧嘩腰になるも、改めて見事にパグ犬から美少女へイメチェンしたパンジーのルックスを見て、悔しそうに歯ぎしりしておりました。

 

 

「ハーマイオニーも気になるなら、今からヘアアレンジだけでもすればいいじゃないですか? いい機会ですし」

 

 何事も遅すぎる、という事はありません。ましてや私たちはまだ10代、いくら失敗してもまだ取り返しのつく年ごろです。

 

「でも私、どういうのが合うか分からなくて……」

 

 悩んでいる様子の彼女に、私はヘアカタログ雑誌を渡してパラパラとめくります。

 

「パッと見で、良さげなのありました?」

 

 聞いてみると「うーん」といくつかの写真を見比べた後、金髪のシュッとしたエアリーウェーブの魔女の写真を指さすハーマイオニー。彼女の場合、もともと顔の骨格は悪くないので普通に似合いそうです。

 

「じゃあ、これでいきましょうか。店員にこの写真見せて‟こんな感じで”っていえば、こんな感じにしてくれますよ」

 

 ちょっと悩んでいる様子のハーマイオニーでしたが、パーバティさんやラベンダーさんからも「いけるいける!」「絶対に可愛いって!」などとおだてられていく内にその気になったのか、意を決して「私、やってみるわ!」と店員の方へ向かっていきました。

 

 

 

 そして、スリザリン生はというと――。

 

「ドラコ、あなたマッシュヘアとか絶対に似合うと思うわ!」

「お、落ち着いてくれパンジー……わかった、分かったから!」

 

 テンションが上がりまくってるパンジーのゴリ押しを受け流せず、ドラコ・マルフォイはワックスでガチガチに固めていたオールバックとサヨナラしてマッシュにイメチェンです。

 

 

 ウッキウキのパンジー達が細かい相談をしている間、大きく溜め息を吐いたドラコと目が合いました。

 

「僕に似合うかな……?」

「似合わなければ似合わないで、話のオチとしては面白いからいいじゃないですか」

「オチたくないから気にしてるんだけれど!?」

「まぁそう言わず」

 

 何事も最初というのは緊張するものですが、割と開き直ってれば周りもすぐ慣れます。私も別にドラコがパンチパーマにしようが丸刈りにしようが「なんか気が変わったんだろうな」ぐらいしか興味ないですし。

 

 こういうのは友人と一緒に軽めのノリと勢いでやってしまうと案外どうにかなるもの。何かあっても「周りが悪ノリしたせい」で笑い流してしまえばそれまでですし、そもそも本人が思ってる以上に周りの人間は別に気にしません……みたいな感じで、自意識過剰になってるドラコをそれっぽく言いくるめる私。

 

 

「それに、今なら‟ホグズミード1年目のノリでやっちまった”という言い訳が通用します。あと一人だけイメチェンするより、皆でした方が浮きませんよ」

「一人だけ失敗したら、逆にもっと浮くと思うんだが……」

「失敗するにしても、後で好きな女の子とかが出来てから失敗するより、今のうちに色々と試行錯誤した方がお得では?」

 

 そんな調子で渋るドラコを説得して椅子に座らせると、パンジーとダフネが店員にあれこれ細かく注文を付け出し、ドラコは完全に保護者に連れられた子供みたいになっていました。

 

 

 それから一時間ちょっとすると、ソフト七三でこざっぱりしたルーピン先生に、爽やかなツーブロックのパーシーさん、マッシュに軽めのカットを入れてお洒落感を出したマルフォイ、そしてモッサリ感のあった栗毛から金髪エアリーウェーブへと一気に美人感の増したハーマイオニーの姿がそこにはありました。

 

 

 ヘアサロンから出てきた4人は「ちょっと変じゃないかな?」みたいなことを口でこそ呟いてますが、「そんなことないって!」「普通にイイ感じだから!」とノリで返してくる女性陣の反応に、なんだかんだで満更でも無さそうです。

 

 

 **

 

 

「じゃあ、次はスーツだね」

 

 ファーレイ先輩が案内してくれていった場所は、大通りに面した高級テーラーでした。

 

 ロンドンにある英国紳士服の聖地として名高い「サヴィル・ロウ」もかくやといった落ち着いた佇まいで、歴史と伝統を感じさせる店内にはスタイリッシュなスーツが並べられています。

 

 

「ようこそ、ファーレイ様。今日はどちらの紳士様で?」

「久しぶりね、ゲイリー。こちらはリーマス・ルーピン教授、ホグワーツで働いてるの」

 

 白髪交じりで初老の店員と顔馴染みらしいファーレイ先輩がルーピン先生を紹介し、さっそく採寸が始まりました。

 

「フォーマル用ですか? それともビジネス用?」

「ビジネス用、でも教職だから多少カジュアルな感じで」

 

 ルーピン先生が落ち着かない様子で採寸されるがままになっている間、ファーレイ先輩が慣れた様子で答えていきます。

 

「スタイルは?」

「もちろん、ブリティッシュ・スタイルよ」

 

 

 ちなみにスーツは大きく分けて、イギリス風・イタリア風・アメリカ風の3種類に分けられます。

 

 イギリス風は肩パッドが入っているのが特徴でやや角ばっており、ウェストは身体のラインに沿って引き締められ、硬めの生地を使ったダンディズム溢れる重厚な仕上がり。

 

 対してイタリア風は肩パッドが入らず、ウェストもソフトに絞り込まれる感じで、柔らかめの生地を用いたナチュラルで丸みを帯びたエレガントなスタイル。

 

 そして最後にアメリカ風ですが、こちらはウェストを絞らないのが特徴で体型を選ばず、機能性や動きやすさを重視した生地、カラーリングや柄模様の多様さも相まってカジュアルな印象を与えます。

 

 

「ボタンは?」

「ダブルでお願い」

「カラーは如何しますか?」 

「グレーのシャドーストライプ」

「かしこまりました」

 

 店員にテキパキと指示を出しながらファーレイ先輩はアンネロッテ先輩たちと一緒に、ネイビーの無地とストライプのネクタイを交互にルーピン先生に合わせて試しています。

 

 最終的に、ルーピン先生の「あまり派手じゃない方がいい」という意見を採用して無地の紺ネクタイに白いワイシャツという無難な組み合わせとなりましたが、無難過ぎても面白くないのでウェリントンの伊達メガネを追加。

 

 

「「「おぉーー」」」」

 

 

 しばらくして試着室から出てきたルーピン先生を見て、生徒一同が感嘆の声をあげました。

 

 なんといってもオーダーメイドなので「サイズが合ってないため、シワが出てきてしまう」という初歩的ですが案外やりがちなNGが回避されて、フィット感のある仕上がりになってキマった感じの雰囲気が。

 

 

 こういう時、魔法使いのテーラーだとオーダーメイドでも早く仕上げられて試着も出来て便利です。

 

 

 

「どう……かな?」

 

 なんだか照れた様子のルーピン先生に、女子生徒たちは黄色い歓声でテンション高め。

 

「え、ヤバい! 雰囲気がイケメン!」

「ダフネそれ褒め言葉じゃないから。でも、普通にアリだと思う」

「ルーピン先生かっこいい!」

「こういうの好きな女性、絶対いますって!」

「先生、写真いいですか?」

 

 

 そのまま仏頂面のドラコたちも一緒に、店員のゲイリーさんに全員で記念写真を撮ってもらいます。

 

 

「よーし、皆このまま買い物いくよー!」

「えいえいおー」

「この際、男子もまとめてコーディネートだー!」

「いえー!」

 

 

「えっ、まだ続くの……?」

 

 いい加減飽きてきたという顔のロンに、悟りきった表情のドラコが呟きます。

 

「いいかウィーズリー、こうなったら女子は止まらないんだ。ここは耐えるしかない……面倒臭そうな顔を見せたら負けなんだ」

「マルフォイ、君もいろいろ苦労してきたんだな……」

 

 なんだか知らない間に、男の友情が芽生えていたようでした。

 

 

 **

 

 

 そんな感じで夕食ギリギリに戻ってきた頃には、すっかりイケオジになってしまったルーピン先生に、げんなりした様子のパーシーさんとロン、ドラコの姿が。

 

 

「……えっと、その」

 

 大広間で待っていたハリーは彼らを見るなり目を丸くして、もし知り合いによく似た別人だったらどうしよう?みたいな感じで恐る恐る口を開きます。

 

「ロンとパーシー、あとマルフォイ……で、いいんだよね?」

 

「「「気にしないでくれ」」」

 

 

 そこには、完全に女性陣の着せ替え人形と化した男子3人組がおりました。

 

 

 ロンは黒の中綿ジャケットブルゾンにワインレッドのケーブルニット、ブラウンのストレッチデニムに白黒のキャンバス・スニーカーと、グリフィンドールらしく暖色系のカジュアルコーデ。

 

 パーシーさんは紺色のチェスターコートに白いVネックセーター、濃灰のテーパードパンツとブラウンのダービーシューズと、ペネロピーさんが選んだためかレイブンクローっぽく上品で綺麗めなコーデです。

 

 そしてドラコはネイビーのジャケットにグレーのニットプルオーバー、黒のストレッチスキニージーンズにカジュアルブーツと、スリザリンっぽい寒色系ながらも比較的さわやかにまとめています。

 

 

 ちょっと遅れてハーマイオニーが現れると、再びハリーの目が点になりました。

 

「えっと、ハーマイオニー……髪、染めたんだ」

「どう? 変じゃない……?」

「いや、似合ってると思う。うん」

「良かった!」

 

 ハーマイオニーも折角ということで、ちゃっかりダウンジャケットに赤いカーディガン、ストール、チェックのフレアスカートにダークブラウンのローファーと買い込んでしまい、手には出発した時に着ていたセーターなんかがパンパンに詰まった袋が。

 

 

「なんか、色々と凄かったみたいだね……」

 

 ハリーはそう言って、自分の着ているセーターに目をやります。どうやらパーシーさんのと同じメーカーらしく、ハリーのは真ん中にデカデカと頭文字の『H』が書かれた群青色のセーターでした。

 

 

「「「………」」」

 

 

 うーん、この。

 

 正直なところインナー感がバリバリで、ぶっちゃけ人前に出る服としては微妙です。というかパーシーさんといいハリーといい、本当にどこのメーカーのなんでしょう?

 

 

 ハリーはロンとアイコンタクトで「なんかゴメン」「いやダーズリーに比べれば全然最高だから」みたいなやり取りをしておりました。

 

「ハリー、僕、来年はママにデザイン変えてみるように言ってみるね」

「いや、そんな別にいいって」

「でも流石に……これ、改めて見ると……ウーン」

 

 ロンも新調したパーシーさんのセーターやハーマイオニーのカーディガンと比べ、最後に私のツケで買った自分のニットとまじまじと比べます。

 

 

「ねぇ、イレイナはどう思う?」

「そうですねぇ……」

 

 ハリーたちの謎セーター、詳細はさておき真ん中にある『H』の存在感が圧倒的なんですよね。

 

「全体的なデザインは悪くないと思うので、頭文字を小さくしてセンターではなく左胸あたりにコンパクトにまとめれば、ワンポイントお洒落みたいな感じになるんじゃないでしょうか」

 

 ハリーからセーターを受け取り、しげしげと眺めながら言う私。せっかくなので着心地を確認しようと着てみて、鏡で確認してみると。

 

 

「おや」

 

 

 ――そこには、だぼっとした群青色のセーターをゆるっと着こなした、萌え袖でふんわりした雰囲気の完璧美少女の姿がありました。

 

 

「イレイナかわいい!」

「むしろ、ちょいダサが逆にあざとい!」

「やっぱりイレイナは何着ても似合うわね!」

「こういうの好きな男子ぜったい多いって!」

 

 そうでしょうか。そうですよね。いえ、そうに違いありません。

 

 

 ちなみにこの後、ルーピン先生は見た目までスーツの似合う英国ジェントルマンになってしまい、もはやスリザリン生でさえ誰も文句を言う者はいなくなってしまいました。

  

 アストリアさんのファインプレーと言う奴です。




マルフォイとハーマイオニー
・マルフォイは映画通り、ここでオールバックからマッシュヘアになり、ハーマイオニーも美人路線へ。髪色も映画仕様の金髪に。
 
ウィーズリー家特製セーター
・その存在を、まだイレイナたちは知らない……。

アンネロッテさん
・最近、魔女旅17巻を読んで好きになったキャラなので、出さずにはいられなかった…。年齢は確か17巻時点で22歳だったので、7年生に。名字は17巻の町の名前から。
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