死神の黙示録   作:瑠威

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  彼女は待ち続ける──
  ──帰ってくると信じてるから
  


第15話

  

  雷の酷い、雨の日。

  屋上にて私たちヴァリアーとボンゴレボス候補たちが集まっていた。

 

  ぶっちゃけ言うと、この雷戦ではむさいオッサンのレヴィが勝つらしいのだが、それはそれは無様な勝ち方だったと私は聞いていた。そんな無様で醜い戦いを見る気にもならなかった私は、ホテルで寝てようとしたのだが、無理やりベルに連れてこさせられた次第である。

 

  レヴィと戦うのはランボ。アフロが特徴的なアホ牛5歳である。

  沢田綱吉は最後までランボを行かせたくなかったらしいが、この戦いがどれだけ重要で危険なものか理解出来ていなかったランボはおちゃらけた調子でフィールドへと行ってしまう。

 

  チェルベッロの言葉で、戦いが開始すると、そこからはもうレヴィの甚振りがずっと続くだけだった。

 

  そりゃそうに決まっている。だって、ランボは5歳でヒットマンなんて言っても、人1人殺したことないような綺麗な子供なんだから。

 

  しかし、ランボは傷の痛みからか大泣きすると、どこからかバズーカを出し、自分に向け──撃った。

 

  10年バズーカ。見たことはなかったが、聞いたことはある。どうやらランボはそのバズーカの所有者だったらしい。

 

  もくもくと煙がランボの身体を包み、煙がはれた頃には、かなり身長の高くなった、アフロしか面影のないランボが立っていた。しかも、餃子を持って。どうやら10年後のランボは食事中だったらしい。可哀想に。

 

  10年後のランボは少しブツブツ言いながらも、この時代のランボのために戦う。しかし…このランボもまた、かなり弱く再びレヴィに甚振られる結果となってしまった。

 

  大人気なく泣きわめくランボは、落ちていた10年バズーカを手に取ると、それを自分に向けて撃った。ということは10年後のランボのまた10年後。私たちにとって20年後のランボがここに登場したということになる。

 

  煙の中から出てきたランボは風格が変わっていた。少し、髪が伸びているようにも思えた。

 

  思わず、私の眉にシワが寄る。

 

  彼はこの場の状況を理解したらしい。ボンゴレの面々を見て懐かしいと言葉を漏らしていた。

  不意に、私と彼の目線がかち合った。彼は私を見て小さく首を傾げる。

 

 

「(彼女は…誰だ?)」

 

 

  彼は私の方に向かって前進してくるが、レヴィがそれを邪魔した。そこからは格の差が見せつけられる戦いとなる。

 

  20年後のランボにとって、この時代のレヴィとは赤子をひねるようなもので、一気に形勢逆転する。これは話に聞いていたよりも無様である。

 

  このままレヴィを殺してくれと思っていたが、残念なことに時間切れらしく、20年後のランボから20年前のランボ…要するにこの時代のランボに入れ替わってしまった。

  レヴィの一撃がランボにトドメを刺し、動かなくなってしまう。

 

  その姿を見た最低なレヴィは殺そうと自分の武器を大きく振りかぶった。

  が──

 

  目の前の避雷針が倒れ、壊れる。

  風で倒れるようなヤワな造りでは無いはずだ。ということは、誰かが意図的に壊したことになる。

 

 

「目の前で大事な仲間を失ったら……死んでも死にきれねぇ」

 

 

  額にオレンジの炎を灯した彼──沢田綱吉は自分のリングと引き換えに、ランボを救けた。

 

 

  ああ、酷く優しい人。

  そんな彼だから、きっと周りの皆は彼についてきてくれるのだろう。

  そんな沢田綱吉と父の面影が被った。


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