死神の黙示録   作:瑠威

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  彼は思い出す──
  ──帰り道彼女をおぶった記憶を
 


第6話

 

  クーデターの後、ヴァリアーはボンゴレの監視下に置かれることになった。

  が、少しだが任務は回されており、それを着実にこなす日々だ。

 

 

「しししっ、あーつまんねー」

「まあ、やりがいは無いよね」

 

 

  寒い日の夜。任務を終えた私とベルは、木の上を飛び跳ねながら、拠点のヴァリアー城へ向かっていた。

 

 

「つーか寒すぎね? あまりにも寒すぎて手が悴むんだけど」

「そりゃそんなに薄着なら寒いに決まってるわ。…くしゅ」

 

 

  相も変わらず、薄いボーダーを着ているベル。その上にコートを羽織っているとはいえ、コートの前は開かれているし、寒くて当たり前だろう。

 

 

「リリーみたいに厚着すっと動きにくいし」

「…厚着してても寒いよ」

 

 

  黒のパーカーにコートを羽織っている私。もちろんベルみたいに前ガン開きとかではなくて、全部しめられるところはしめている。

 

 

「ししっ、ルッスーリアの選んだスカート履いてくれば良かったのに」

「あんなの寒くて着てられないわ。…ホント、世の中の女子はなんであんなものを着てられるのか」

 

 

  この任務に出向く前。基本、ヴァリアーに決まった服装は無く、コートは支給されているが、中に着るシャツやズボンは指定されていない。

 

  そのため、いつにも増してルッスーリアがうるさかったのだ。例えば、このパーカーは可愛くないとか。寒いからこれにしていると言えば、暗殺部隊には似つかしくない真っピンクのパーカーを渡された。

 

  あまりにもピンクピンクしているので、それを拒否れば、次はスカートだと変にフリフリしたものを渡してきた。

 

  これもまたピンクピンクしていて、余程私にピンクものを着せたいらしい。もちろん断った。

 

 

「しししっ、かわいくねー」

「別に可愛くなくていいよ。…あの人は、居ないし」

 

 

  この場に居ない彼に私は思いを馳せる。

  けれど、やはり寒くって彼の顔は一気に霧散。またくしゃみをした。

 

  夜ということもあり、気温は低い。どれぐらい低いかなんて、今温度計を持っていないから分からないけど、確実にマイナス気温であることは間違いないだろう。

 

 

「風が冷たすぎて痛い」

「どーかん」

 

 

  くしゅくしゅとまたくしゃみをする。あー風邪ひいたかなーなんて思いながら、飛び続ける。

 

 

「あれだ、この辺一帯燃やしてみるってのはどうよ?」

「…環境破壊って考えたことある?」

 

 

  ただでさえ、地球温暖化が進んでいるだの、対策のために森林を増やしましょう、伐採は控えましょうとニュースで取り上げられているというのに。…世間を知らなすぎる王子も如何なものかと思う。

 

 

「そんな他人に構ってられるかっての。王子寒いし、しゃーねーだろ」

「…あなたのその行動は回りに回って、自分に返ってくるよ。後、絶対にスクアーロとマーモンにどやされるわ」

「げ、それは勘弁」

 

 

  最近、スクアーロの口数は明らかに減ったものの、自分の仕事はきっちりとやっているし、やはり怒る時は怒る。

 

  それにマーモンだってもちろん怒る。マーモンの場合、スクアーロみたいに怒鳴りつけるわけではなく、きっちりとした理詰め戦法で来るため、もう本当に地獄だ。

 

  怒鳴られて殴られるのと、ぐちぐちぐちぐちと必要経費から無駄な出費、その時間に割いたために得れるはずだった大まかな金額について聞かされるのとどちらがマシかと聞かれると、どっちもどっちなんだけれど。

 

 

「アイツら一々うるせーんだよなー」

「私たちのやってることの責任は全部彼ら持ちだから仕方ないことだと思うけど」

「セキニンとか知んねーし。王子は王子のやりたいことするだけだもん。だってオレ、王子だし?」

「…少しは大人になろ、ベル」

 

 

  リリーまでそんなこと言うのかよ。全く生きずれー世の中になったもんだなーとベルは口を尖らせながら言った。

 

 

「うわ」

「ん?」

 

 

  気を抜いていたわけじゃない。けれど、暗くて見えずらかったことや、どっちかって言うとベルとの話に熱中し過ぎて、木から足を踏み外してしまった。お陰で池の中にドボーン。……あー、寒っ。

 

 

「しししっ、ださ。…生きてっかー」

「な、何とか…くしゅん、くしゅん!!」

 

 

  さすが真冬で真夜中の池。めちゃくちゃ冷たいし、寒い。

  のそのそと池から出れば、ベルは笑ってこちらを見ていた。…くそう、私をからかっているな。

 

 

「ほら」

 

 

  ベルからコートが渡される。ベルの着ていたコートだ。このコートを脱いだため、ベルはボーダーの長袖のシャツ1枚になってしまっていて、寒いからかベルは震えていた。

 

 

「え、大丈夫だよ。これ着なって…くしゅ」

「いーから着とけ。くしゅくしゅうるせーんだよ」

「でも」

「つかお前が触った時点で濡れてるから王子やだ」

 

 

  ふい、と私から顔を背けて、ベルは行ってしまった。ベルのコートを有難く使わせて頂こう。

 

  5歳下だと言うのに、ベルのコートは意外にもピッタリでああベルも男の子なんだなあと気付かされた。

 

 

「あらまあ、2人とも震えてるじゃなあい!  早くお風呂に入ってきなさい!!  着替えの準備はしといてあげるから」

 

 

  ヴァリアー城に帰ったらルッスーリアが出迎えてくれて、身ぐるみを全て剥がされた私とベルは暖かいお風呂を満喫したのであった。

 

 

「くしゅん!!」

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