今回はタキオン短編集でございます。
筆が乗っていつもより長めにお送りいたします。
なお、各話はそれぞれ別世界でのお話だと思っていただければ。
あと念のため、ちょっとキャラ崩壊が著しかったりしますがまぁ…よろしくお願いいたします。
ではお品書きをば
・悩殺術
・リスタート
・独占力
・布石
・タキオンin悩殺術
ある日のことである。
今日もタキオンはトレーニングをサボって実験をしているのか、トレーニング場に現れなかった。
さて来ないなら仕方ない。研究でもしてるだろうし付き合うかといつものラボに向かう。
しかしラボのドアを開け、中を見渡すもタキオンの姿が見えない。
だが机の上には飲みかけの紅茶があるし、作っている途中であろう試薬も見受けられる。
すこし席でも外しているのか? なんて思いながら備え付きのソファーに座ろうとしたとき、気が付いた。気が付いてしまった。
「タ、タキオン…?」
「…………」
机の裏、そこには____ぶかぶかの白衣に身を包まれ、こちらを上目遣いで見上げるタキオンの姿があった。しかし、なぜか………背丈が小さい。
そう、背丈が小さいのだ。*1
具体的には幼稚園~小学校低学年くらい。某死神高校生探偵が薬のせいで小学生にでもなったように、変わり果てた姿がそこにはあった。
ロリタキオンである。
これにはトレーナーも困惑……しながらもどこか納得していた。
あぁ、ついにやらかしたか、と。
なんせ普段が普段、ゲーミング発光するわ笑いが止まらなくなるわ声がアヒルのおもちゃの声になるわと妙ちきりんな薬ばかり飲まされているのだ。慣れもする。
恐らくは自分で薬の治験をしたところ、予想外の副作用が出てこうなってしまったのだろう。
しかしこれは困った。
本来なら今はタキオンのトレーニングを行う時間帯だし、トレーナーには原因となる薬の治療薬なんて作れはしない。タキオンと同じか、或いはそれ以上の知識を持っている人物など世界を探しても限られるだろう。
そもそもこの薬が意図的にできるとも限らないわけで。
こうなってしまうと彼にできるのは薬の効果が無くなるまでタキオンの面倒を見ることだけである。だがこのトレーナー、子供を育てた経験などありはしないし弟妹や従妹などの面倒を見たこともない。
そこに現れた救いの手。
「トレーナーさん…タキオンさんはいましたか…?」
「あ、カフェさん。それが…」
「………かへー?」
「……?タキオンさんらしき声はしますが…どこから…?」
「あぁここです、ここ。」
ぎゅっとロリオンを抱きかかえ、カフェに見せるトレーナー。
「タキオンさん……小さく…」
「! かへ!かへー!」
「……………」
「かへ? かへー!かまえー!」
「グハァッ!」
「カフェさん!?」
この後色々限界を迎えたカフェがトレーナーからロリオンを取り上げ構いまくるまで、あと5秒。
「( ´ー`)フゥー...」
「えーと…落ち着きましたか?カフェさん。」
「あ、はい。久しぶりにとてもリラックスできました…。」
あれからカフェは2時間ほどロリオン*2を撫でたり抱きしめたり高い高いと構い倒していた。
その被害者?でもあるロリオンは疲れ果て、カフェの膝の上でぐっすりと夢の中である。
これ当の本人が見たら発狂しそうだよなぁ…なんて考えているトレーナーもちゃっかり一眼レフを構え写真を撮りまくっていた。
「しかし…何故このような姿に…。いえ…とても可愛らしいですし、こちらに実害もないので良いのですが…。」
「まぁ…恐らく自爆?」
トレーナーが指さす先には二人分の紅茶と空っぽの試験管。
「恐らくだけど、私が来ることを見越して薬品入りの紅茶を淹れたはいいもの、自分のと間違えて飲んでしまった。そんなところじゃないでしょうか。」
ここ最近徹夜気味だったみたいですし判断力も鈍っていたんでしょうね。と付け加えながら、残った方の紅茶を飲むトレーナー。
「なるほど…。となると、解毒薬は…。」
「恐らくここのどk」ボフン!
「………え?」
残っていた方の紅茶を飲んだトレーナーが急に煙に包まれたと思ったら目の前から消えていた。何を言ってるかわからないかもしれないがカフェにもわからなかった。
まさかと
「………?ここ、どこー…?」
「あ、え、ト、トレーナーさん…?」
そこにはなんと、幼児化したトレーナ―が!
おぉ、なんとタキオンは二段構えに薬を準備していたのだ。ワザマエ!
「おねーちゃん、だれー?」
「ええっと…私はマンハッタンカフェ、です。」
「かふぇおねーちゃん! ねぇかふぇおねーちゃん。ここってどこー?」
「えっと…ここはトレセン学園、です。」
「とえしぇんがくえん! オレおぼえたー! えらい? ねぇオレえらい!?」
「ハウッ」トゥンク
「一先ずお二人が戻るまで、私が責任もって面倒を見なければ…!」
かくてここに、マンハッタンカフェの子育て奮闘記が幕を開けるのであった。
頑張れ、マンハッタンカフェ。負けるな、マンハッタンカフェ。
トレーナーとタキオンの社会的地位*3を、スーパークリークの魔の手から守るために!
次回
・タキオンinリスタート
「やぁ、トレーナー君。今日も元気かい?」
「ん。まぁ、ね。」
「そう言う割には目に隈ができているじゃないか。君の健康状態は得られるデータに影響が出るんだから、しっかりと体調を整えて欲しいんだがねぇ。
「………ごめんなさい。」
トレセン学園に隠されたタキオンのラボにて二人の女性が会話をしていた。
一人はこのラボの主でもあるアグネスタキオン。
もう一人はアグネスタキオンの専属トレーナー。最も今は、トレセン学園の事務員兼タキオンのストッパーとしても働いているが。
朝にラボに来て、タキオンの淹れた紅茶を飲む。これがこの二人の習慣だった。
タキオンが自分用の紅茶を淹れながら尋ねる
「それで、何かあったのかい?」
「あぁ……いや…。」
「ねぇ、タキオン__」
___タキオンは、今走れるんだよね?
「っ…。それは、どういう意味かな?」
「ううん、その…最近夢を見るんだ。」
「シニア最後の有馬記念。あの場所でタキオンが、レース中に転倒して…。」
「それで…あ、脚が……動かなく……ッ!」
「………トレーナー君。大丈夫だ。私はここにいる。ほら、私の脚は無事だろう?」
「で、でも…ごめ…ごめんなさい……っ」
「大丈夫だよトレーナー君。私は走れないからここにいるわけじゃない。君も知っているだろう?私の新しい夢を。」
「………新しい……夢…?」
「あぁ。私は君のおかげで可能性の果てを見れた。だから私は、次に繋ぐことを決めたんだ。私の後輩たちが、安心して走れるようにと。」
「あ……あぁ……。」
顔は青ざめ、体は震え、涙をボロボロと流し、タキオンに縋りつくトレーナー。
そんな自分のトレーナーをタキオンはそっと抱きしめ、子供をあやすように優しく頭を撫でる。
「私…私のせいでタキオンが走れなくなって…!」
「違う、違うよトレーナー君。それは悪い夢だ。君は私と共にトゥインクルシリーズを駆け抜けて終わらせた。その道のりに悲劇なんてものはなかったじゃないか。」
「でも……私は……。ごめんなさい…ごめんなさい…っ。」
「……少し待っていてくれ、すぐに紅茶を淹れるよ。ほら、君の好きな茶葉が入ってね。これを飲めば落ち着くだろうさ。」
「ほら、冷めないうちに飲みたまえ。」
「うん…ごめん…タキオン…。」
「………いや、大丈夫さ。それに謝るべきなのは___」
「あ……え……急に……目が…おも…く……。」
すまないトレーナー君。おやすみ。
《《突然》眠りについたトレーナーをラボのソファへと運び、そっとタオルケットをかける。
飲みかけの紅茶を捨て空になった試験管を洗浄機へと突っ込み綺麗さっぱりと後片付け、タキオンは再び研究に戻った。
それからしばらくして。
「う、う~~ん…。んぁ…ここ…どこ…?」
「おや、おはようトレーナー君。随分ぐっすりと寝ていたようだねぇ。」
「え、タキオン!? なんでここに…ってここ、ラボ!? いつの間に!?」
「おやおや、だいぶ寝ぼけてるみたいじゃないか。君が朝ここにきて、そのまま寝てしまったんだよ。
「えー…?そうだっけ…?…あーでも、なんかそうだった気がするような…そうでないような…。」
「まったく、君はもう少し自分の体調を気にしていたまえ。毎回私が運ぶ羽目になるじゃないか。」
「あ~、ごめんごめん。ありがとうね。」
「なに、君と私の仲だ。お礼は実験に付き合ってくれれば構わないさ。」
「はいはい、お姫様の仰せのままに。」
彼女たちの
とある研究者のレポート
20xx年◎月◇日
今日で14本目。最近はフラッシュバックの頻度も増えてきている。薬の効果に耐性がついているものと思われる。
効果を強める?→彼女の健康状態に悪影響を及ぼす可能性が高いため慎重に行うように。
脚の調子は依然変わらず。全盛期とまでは行かずとも、模擬レース位は走れるようになってほしいものだが。
20xx年×月○□日
今日で16本目。そろそろストックが切れそうなため彼女が不在の間に精製しておかねば。
前々回と比べると、前回の治療から投与までの日数は長くなったが…。彼女が私に隠していた可能性があるため、理事長及び理事長秘書にも気に掛けるようお願いしておくこと。
こんな方法では彼女は救われないのは分かっている。だが、私にはこうするしか方法が思いつかなかったんだ。
20xx年△月☆〇日
今日で20本目に。案の定隠していたようで、だんだんと間隔が短くなっている。このままだと不味い。
以前の物より少しだけ強度を増したがどれだけ保つだろうか。今回は悪夢という形で表れたようだが。
経過観察と並行して『プランB』を進める。
君は優しすぎるんだ。例えあの結果に終わろうと、私は何の悔いもないと言うのに。
20xx年@月*日
今日で29本目。あれから少しずつ強くしているがそれでも頻度は増えていく。
寝ている間にも無意識的に謝罪の言葉が聞こえてくる。私が聞きたいのはそんな言葉ではないというのに。
20xx年@月☆☆日
プランBが完成した。まだフラッシュバックは起きていないが、彼女の体調面を加味すればもうそろそろ限界だろう。
既に理事長方には後のことを託した。カフェ君には事情を説明し、何かあったときのフォローをお願いしておいた。
シャカール君や彼女を慕っている桐生院家のトレーナー君にもデータと引き換えに依頼をしてあるから、大丈夫だと思いたい。
20xx年□月△日
統計データから言えば、明日が彼女と一緒にいれる最後の日になるだろう。
後悔も悔いもあるが、それでも彼女のためと思えばまぁ、飲み込める。
それに未来永劫会えなくなる訳ではない。ほんの僅かな可能性に賭ければ___シャカール君に言わせれば『神にダイスを振らせれば』___また、彼女と。
20xx年□月×日
プランBを実行。これで彼女の記憶から私という存在は失われた。これでいい。これでいいんだ。
今は保健室で眠る彼女の隣でこれを書いている。きっと彼女が目覚めればそこに私はおらず、いきなり4年の歳月が経ったように思うんだろうね。
もうラボは空け、部屋は返却している。まぁ勝手に私が借りていただけだが。
あとはこのままこの学園を離れるだけだ。幸いにも米国の信頼できる研究機関からのオファーも来ている。
数年はそっちで研究をするつもりだから、彼女の耳に私の名前が入ることも……まぁ少ないだろう。
今までありがとう、トレーナー君。さようなら。
ふっ、と意識が覚醒していく。目を開ければ、知らない天井と知らない部屋。
「知らない天井だ…。」
「! 目を覚まされましたか?」
声のする方を見れば、緑の帽子を被り緑の服を着こんだ女性が一人、備え付けであろう椅子に座っていた。
「あの…ここは…?」
「ここはトレセン学園です。○○さん。」
「トレセン学園って…あのトレセン学園ですか?」
「えぇ、恐らくあなたが思っているトレセン学園ですよ。」
「色々と混乱しているかと思いますが…説明いたしますので、どうか落ち着いて聞いてください。」
「先ず○○さん。貴女は___」
・タキオンin独占力
シニア1年目の有馬記念。トゥインクルシリーズ最初の3年間の締めくくりであるこのレースにおいて、アグネスタキオンは走りきった。
タキオンの脆くも才能に溢れたその足は、トレーナーの献身と彼女の研究の成果によって壊れることはなく。
彼女は可能性の先と共に、シニア級2年目という未来を見ることができたのである。
季節は春、4月。
多くの者に変化が訪れる時期だが、タキオンとそのトレーナーの周りにも変化が訪れていた。
元々タキオンのトレーナーはトレセン学園にきて六年ほど経っているいわゆる中堅トレーナーであり、今まではGⅡを何勝かする程の成績しか残せていなかった。
それがタキオンを担当として迎え専属として担当すること三年間。
クラシック三冠、秋シニア三冠とを達成するという成績を叩き出したのだ。
当然、トレセン学園が黙っているはずがない。
タキオンのトレーナーは理事長からのお願いもあり__トレーナーの絶対数が足りていないことを知っているからこそ__チームを設立することとなる。
いきなり大人数は難しいだろうからと、新たに二人*4の担当を迎え入れ発足したチーム。
当初はタキオンも様々なデータが取れると受け入れていたが、5月、6月、7月…と時間が過ぎていくにつれ、胸の中に何とも言いようのない感覚を覚えていた。
例えば夜に一日のことを思い返しているとき、何かが引っかかって気になったり。
例えばミーティングをしているとき、理由もなくデータが受け入れがたかったり。
例えばトレーニングを行っているとき、何故か思考に霧がかかったかのようにうまく走れなかったり。
宝塚記念。アグネスタキオンは冷静さを欠いた走りをしてしまい、着外6着という結果に。
苦しみの理由もわからないままに、9月。
チームの後輩がスプリンターズステークスに出場するため、トレーナーはほぼほぼ付きっ切りでトレーニングを見ていた。胸の中がちくりと傷んだ。
スプリンターズステークスで、後輩が優勝した。嬉し涙でトレーナーに抱き着く後輩を見て、苛立ちを覚えた。トレーナーと後輩が三人で喜び泣いているのを見て、不安を覚えた。
だがここにきてようやく、
恐怖だ。
失うことへの恐怖だ。
私が久しく忘れていた、この感情。
愛するものを奪われることへの恐怖。
手放したくないものを失うことへの恐怖。
それが___私が抱くこの感情の正体だと、私は結論付けた。
12月、2回目の有馬記念。私はここをラストランと決めた。
終わらせるにはちょうどいい場所だ。
このことはカフェ君にも、トレーナー君にすらも言っていない。私が勝手に決めたこと。でも、仕方がないじゃないか。私には___
パドックを終え、ゲートに入る。カフェは怪訝な目でこちらを見ていたからバレてしまっているかもしれないな。
この有馬記念において、アグネスタキオンはゴール後に激しく転倒し骨折。その有り様はいつかのサイレンススズカを思い浮かばせるようで、翌日の紙面の殆どは彼女の勝利と悲劇で占められていた。
ファンの多くは悲劇を嘆き、しかして彼女が再び、それこそスズカのようにターフに戻ってくることを祈った。
それからしばらく。
祈りも届かず、アグネスタキオンの折れた両脚は二度と治ることはなく。
そのままトゥインクルシリーズを引退し、長期療養の後に車椅子での生活を余儀なくされた。
彼女のトレーナーはもう二人の担当の引退を見届けると、アグネスタキオンと共に姿を消した。
『とある病室での会話』
「……やぁ、トレーナー君。」
「タキオン…。どうして…。」
「あんな走りをしたのか、かい?」
「………あぁ。」
「可能性の先、限界の向こう側を見たかった。それじゃぁ、ダメかな?」
「………」
「……すまないね、トレーナー君。正直に話そう。」
私は怖かったんだ。
最初は、君のことをどうとも思っていなかった。
君はただのモルモットでトレーナー。それだけだったんだ。
でもね。
あの三年間で、私は君に対する認識を大きく変えてしまった。
君に何度も助けられて、救われた。
君がいなければ私はここにいない。仮にトレセンを退学していなくても、私はプランBを選び、諦めていただろうね。
君はまさしく唯一無二の、
「そうだ。君は
「お、おいタキオン?」
「君は…私のトレーナーで私のモルモットなんだ!だから…だから…何処にも行かないでくれ…。わたしを…捨てないで…。」
「そんな、捨てるなんてこt「だが君はチームを作ったじゃないか!」
「それは理事長に頼まれたからで、別にお前を捨てるとかじゃない!」
「分かってる!だが君は確かに私を見てくれなくなった! いつも隣にいてくれていたのに。いつも私を見てくれていたのに!」
「それだけじゃない!私は今、学生としてあのトレセン学園にいる。でも卒業したら…君と離れ離れになるじゃないか! 私にはもう、それが耐えがたい。君がいないことが、私には…もう…。」
「分かっている。これがただの私のわがままだと言うことも、それで君に迷惑がかかることも。でも私には受け止めきれなかった。君がこのまま私から離れていくことが!」
だからこんなことをしたんだ。こうすれば…君が私だけを見てくれるんじゃないかと思って、さ。
そう力なく笑い静かに涙を零す彼女は、いつもの狂気を浮かべる研究者でも、レースに全力を賭ける勝負師でもなく、一人のか弱い幼子のように。
「………タキオン。」
「………なんだい、トレーナー君。」
「ごめん。ずっと気づかなくて。」
「いや、いいさ。私もこの感情を自覚したのは最近のことだからね。」
「………」
「トレーナー君。見ての通り私はもう走れない。それどころか、日常生活で足を動かすこともできないだろうね。医者にも言われたが…車椅子での生活は避けられないんだと。」
「もう、私は君の愛バである資格はないんだよ。」
「そんなことっ!」
「
「だから、
「ズルいな。タキオンは。」
「………はは、あぁ。そうだよ。私はとてもズル賢いんだ。欲しいものを手に入れるために、こんなことをするくらいだからね。」
「あぁ。本当に、ズルいよタキオン___」
その後の彼女たちの行方は、彼らのみぞ知る。
・タキオンin布石
「タキオンの様子がおかしい?」
「ええ、先ほど私を見るなり奇声を上げながら逃げ出しまして…」
とある日の午後、トレセン学園の食堂でアグネスタキオンのトレーナー*5は、マンハッタンカフェからそんな話を聞いた。
「カフェが逃げるならまだしも、タキオンが逃げるなんて確かに変ねぇ。」
「ええまあ、否定はしません。流石に奇声は上げませんが。」
などと口では言うものの2人とも原因に関しては目星が付いていた。
まぁ、トレセン学園ではよくある事だし。
「「タキオン(さん)がまた実験で自爆したわね(のでしょう)」」
トレセン学園の問題児筆頭でもあるアグネスタキオン。その彼女に振り回される二人だからこそ、最早日常茶飯事であり慣れ切っていた。
元に戻るのは3日後か1週間後か、などど話しながらもまぁとりあえず捕まえますかと捜索を開始する。
で、1時間後。トレセン学園、大樹のウロにて。
「あ、タキオン見っけ。」
「む、トレーナー君か……。」
「カフェから聞いたけどどったのタキオン? 急に奇声を挙げて逃げ回るなんて。」
「いやぁ…実はね。」
私と同室のアグネスデジタル君がいるだろう?彼女は私から見て、なかなか不可解な子でね。
それで色々と実験をしていたんだ。おっと、ちゃんと本人から許可は取っているし身体的被害が及ぶような危険なものはしていないから安心してくれ。
で、その一環として彼女のDNAをいくらか採取してね。
それを基に色々と実験をしていたんだが……その中の試薬を一本、手違いで飲んでしまってねぇ。
それからだ。
しばらくは特に変化はなく、まぁ無害だろうと結論付けたんだが…。
こう、カフェ君に話しかけられたときに体の内側からこう…、私の言葉では言い表せない感情が湧いてきてね。心拍数の大幅な増加や体温の上昇、それから……あー、まぁ色々と急激に変化が起こったんだ。
でまぁ、それに
「逃げ出した先にスカーレット君がいてね。彼女に話しかけられても全く同じ現象が起きるし、それで逃げ出した先には沢山の
「なるほどねぇ…。(なんか色々とツッコミたいところはあったような…)」
「しかし…ふむ。トレーナー君だと特に何も湧いてこないのか。やはりウマ娘ちゃんたち限定で起きる現象なのか…?」
「あー、考察中のところ悪いけどさ。それって効果の期限とかあるの?」
「む、あぁ。それは分からないが、私のラボに何本か解毒薬は置いてあるよ。」
「んじゃぁ先にそれ飲んでからにしない?今だとまともに研究もできないでしょ。」
「ふむ、それもそうだが…。どうやって戻ろうかを悩んでいて「Hey、ゴールドシップ。タキオン`sラボまでタクシー一丁!」
「アイアイサー!お代はスベスベマンジュウガニのマンジュウ1ヶ月分でいいぜ!」
「え、ちょ、ま、前が見えないってこの
トレーナーの指パッチン一つでタキオンの背後より現れたゴールドシップは、黒い袋をかぶせると嵐のようにラボへと運んで行った。
それを見届けたトレーナーはマンハッタンカフェに見つかった報告だけ済ませると、のんびりと自分もラボへと戻っていくのだった。
「んー、たぶんアレ摂取した人が
「………まぁいっか!多分大丈夫でしょ♪」
この後案の定二人がやらかしてトレセン学園を巻き込んだ大事件に発展することはまだ、誰も知らない。
ちょっとした解説的なアレ
・悩殺術
この後戻るまで1週間かかったしトレーナーはクリークに襲われた()し戻った後も記憶が残っていることがバレたタキオンはカフェに勝てなくなるし開き直って甘えたりした。
・リスタート
有馬記念で『ゴール前に』走れなくなったタキオンと女性トレーナーのお話。
記憶処理とタキオンを絡ませたくてこうなった。
・独占力
みんな大好き独占力!以上! あ、はい。ちゃんと書きます。
タキオンはこれでトレーナー君が離れるならそれでいいと思ってたしそうなったらひっそりと消える予定だった。
タキオンの設定に『親が放任主義だった』ってのがあったのでこのタキオンは『愛情』に飢えています(無自覚)。
・布石
布石というかなんというか。まぁ、はい。あちらを読んだ方にはお察しの通りかと(笑)