純情ハートとウマ娘(凍結) 作:ゲーミング
なんて作者の激甘事情はどうでもいい!本編どうぞ!
久しぶりに寮のベッドで寝たけど何か安心出来た。なんだろう、もう僕この寮から出れないかもしれない。旅館の布団ってのも中々良かったんだけど、やっぱり慣れ親しんだベッドが1番なんだね。まだこのベッドで寝る様になってから5ヶ月位しか経って無いんだけど。
取り敢えず秋川理事長に夏合宿修了を伝えて来た。たづなさんにしか言ってなかったけど、寝不足の件を聞かれて咄嗟に誤魔化してしまった。何処と無くふつふつと湧き上がる罪悪感を隠して理事長室を後にした。
目の下のクマとかもうないよね?見慣れた廊下を歩いていると、視界に存在感が飛び込んで来た。
「おはようトレーナーくん」
「シンボリルドルフ……おはよう?」
「……ふむ。今時間はあるかい?少し2人で話そうじゃないかトレーナーくん」
「どうしよう、揶揄われるから逃げたいんだけど」
「ふふ、知っていたかい?……皇帝からは逃げられない、と」
「実質強制じゃないか!」
「最近私の出番も無かったからね。ここは一つ付き合いってくれると嬉しいよ」
そう言って笑い掛けてくるの、狡いと思います。当然断る理由は沢山あったけれど、皇帝サマのご指名だから着いて行くとする。別に断ったら仕返しが怖いとかそんなんじゃ無いから。
◆❖◇◇❖◆
久しぶりに来た生徒会室は何時かのままで、懐かしさを感じさせられた。隣を歩いていたシンボリルドルフはいつの間にか生徒会長に与えられた椅子に座り、何時かの様に僕を見ていた。
「
「…………何の冗談?」
「
「え、これもしかして初対面の時の返ししないと先に進まないの!?そういうのはゴルシだけで充分なんだけど」
今度はもう何も言わず、ただニヤニヤと笑うシンボリルドルフ。コイツもゴルシに負けず劣らず意地悪だよね。僕の黒歴史って事を知ってて再現しようとするもん。
「はぁ……は、はじめ、はじめまして!新人トレーナーです!」
初めて会った時、皇帝として名を馳せて居たシンボリルドルフを生で見て色々とテンションが可笑しくなってたのは記憶に新しい。と言うか偶に夢に見るし。
どうせ律儀なシンボリルドルフの事だからこの後もまたあの日と同じ事を言うんだろうなぁ。でもそれじゃ僕が弄られて終わるだけだから悔しいし……。
「……くく……一先ずようこそ。我がトレセン学園へ。此処は」
「長い話は結構です!」
「……ほう?」
「僕のチームに入って下さい!」
「……ふふ、ふふふ……あははは!」
「そんなに笑う事ないだろ!此処ら辺で変えて行かないと僕またシンボリルドルフに抱っこされちゃうんだもん!」
そう、初めて会った時僕はシンボリルドルフに抱っこされてる。その理由も酷くて、噛みまくって吃りまくって恥ずかしくなって、まともな受け答えも出来なくて慌ててた時に足が縺れて転びそうになって。
それをシンボリルドルフが机を乗り越えて僕が倒れ込むより前に抱き上げてくれたのが僕とシンボリルドルフの初めてのコミュニケーション。
その後にテンパって勧誘したんだけど。結果はあえなく撃沈だった。その際にシンボリルドルフに質問されたんだけど、まぁ。それもどうせこの後再度聞かれるんだろうなぁ。
「随分逞しくなった様に見えるねトレーナーくん。夏合宿は君にとっても……テイオー達にとっても実に実りがあったと見える」
「逞しくなったのは気の所為だよ。実りがあったのは事実だけど」
「
初めて聞いた時、それは先頭を走るウマ娘の事だと思っていたけれど、それはナンセンスだとシンボリルドルフに言われて間違いなのだと思ったけれど。多分この質問に正解は無い。個人でこの言葉に対する解釈は違う筈だから、そして僕の出す答えは——。
「僕だ」
「……理由を聞いても良いかな?」
「僕のチームは僕の夢を叶える為に集めて、事実集まってくれた。そしてそれはきっと僕が皆の前を歩いているからだ。けど時としてその立ち位置は変わるし、逆に僕が皆の夢に魅せられる時もある。だから……僕だ」
「何となく意味は分かった。そうか、トレーナーくんはそう捉えるんだね。この言葉はあくまで個人ではなく、チームの為の言葉であると」
「……それは多分深読みし過ぎだよ?」
「いいや、私の中のトレーナーくんならそう言うだろうからね。だからそうなった。確定だよ」
「……ほんっ……とさぁ」
唯一抜きん出て並ぶの者無し。それはかの有名な海外で活躍したウマ娘のトレーナーの言葉なんだけど、余りにも衝撃的な言葉で未だ後世に伝えられて来た言葉でもある。
その解釈はやっぱり受け取り手次第で変わる。僕はチームだと思ったし、きっとコレも100%正解って訳じゃ無いんだ。
でも皆良い所があって、悪い所も有るからね。抜きん出てる所は有る。だからこそ抜きん出たら、それに追い付く奴は居ないって思う。
僕はトレーナーの中でもきっと夢見がちなんだと思う。皆の夢を叶えた先に僕の夢が有ると今でも本気で考えてるし、皆の夢を叶える為なら僕は自分の夢を捨てていいとさえ思ってしまった。
「それで?僕は僕なりの答えを出したけど、コレ出した意味ある?もしかしてシンボリルドルフが流れ星に」
「本気で勧誘するなら考えて上げよう。けどトレーナーくんはもう私の事を本気で勧誘はしないだろう?」
「……やっぱり僕シンボリルドルフが苦手だ」
「私は君と話すのは楽しくて好きだよ」
「それで!僕を呼び止めた理由ってこれだけ?これだけなら僕もう行くよ?」
毎回僕の考えてる事を見抜かれるのなんでなんだろ。シンボリルドルフって心眼とか持ってたりする?どうせ揶揄う為に呼び止めたのは知ってるけど、少し期待したじゃん。……何に期待したんだろ、僕。
「……少し真面目な話をしよう。トレーナーくん、帰るのはそれを話してからでも良いかな……?」
いつにも増して真剣な——そう、皇帝としての表情を見せるシンボリルドルフの圧と眼差しに引き止められた僕は、首を縦に振ることしかできなかった。
唯一抜きん出て並ぶの者無し。個人的に絶対はボクだ。の次に好きな言葉。3番目は、お前達が先頭争いをしている所を俺は見たいんだ!ですね。沖野トレーナーの心からの叫びって感じがして凄く好きです。それに続く、何時までも怖がってちゃダメだ!背中を追い掛ける事を怖がるな、って言う言葉もなかなかに好き。
という理由でトレセン学園に帰って来て初っ端のお話。
秋川理事長は書き始めると作者が書くの楽しくなって長くなっちゃうからね、今回はカット。